結論(30秒でわかる要点)
かいごパスポートTokyo(KaiTo)は、東京都が令和6年度(2024年度)から開始した、外国人介護人材の受入れ促進を目的とする公的支援事業です。
- 東京都が委託・運営する公式マッチングサイト・支援プログラムで、都内介護事業所が無料で活用できる
- 求人掲載・補助金申請・説明会参加など、採用から定着まで一貫してサポートする仕組みが整っている
- 人材紹介料の一部(最大20万円)を東京都が補助する制度があり、費用負担を抑えた採用が可能
- 対象:都内の介護事業所の経営者・人事担当者、登録支援機関、外国人介護士の受入れを検討している方
> ⚠️ 本記事の制度・補助金情報は公開時点のものです。内容は随時更新される可能性があるため、最新情報は東京都福祉局または東京都福祉保健財団の公式サイトでご確認ください。
はじめに

「外国人介護士の採用を考えているけれど、何から始めればいいかわからない」「費用がかかりすぎて踏み出せない」——東京都内の介護事業所では、こうした声が後を絶ちません。
厚生労働省の「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によると、2022年時点で全国の介護職員数は約215万人。しかし2026年には約240万人、2040年には約272万人が必要とされており、2040年度には約272万人が必要とされ、2022年度比で約57万人多くの人材確保が求められる見込みです。東京都はこの深刻な状況に対応するため、2024年に「かいごパスポートTokyo(KaiTo)」という新たな支援の仕組みを立ち上げました。
この記事では、KaiToの概要から具体的な活用ステップ、補助金の内容、専門家の視点まで、疑問をまるごと解決できるよう詳しく解説します。
この記事でわかること:
- かいごパスポートTokyo(KaiTo)の目的・仕組み・特徴
- 都内介護事業所が受けられる補助金の内容と申請方法
- 説明会・マッチングイベントの種類と参加メリット
- 外国人介護士受入れのよくある疑問と専門家の回答
かいごパスポートTokyo(KaiTo)とは何か:基礎知識

用語の定義
かいごパスポートTokyo(KaiTo)とは:東京都が令和6年度より開始した、外国人介護人材の海外向け魅力発信・都内介護事業所とのマッチング促進・受入れ体制整備を一体的に支援する公式事業です。
対象となる方・事業所:
- 都内に所在する介護施設・事業所(特別養護老人ホーム、老人保健施設、グループホームなど)
- 外国人介護士の受入れを初めて検討している事業所
- すでに受入れを進めており、さらに拡大したい事業所
- 登録支援機関・人材紹介事業者のご担当者
対象外となるケース:
- 東京都外に所在する介護事業所(都外の方は各都道府県の窓口をご確認ください)
- 訪問系サービスは、2025年4月21日から一定要件
(初任者研修修了・実務経験1年以上・事業者の適合確認申請など)を満たせば従事可能(従来は対象外)
KaiToが生まれた背景:東京の介護人材危機
東京都では少子高齢化の進展に伴い、介護人材不足が特に深刻な課題となっています。厚生労働省のデータによると、「介護サービスの職業」の有効求人倍率は近年4倍前後で推移しており、求職者1人に対して4件以上の求人が存在する状態が続いています。
こうした状況を受けて、東京都は2024年6月に「2025年問題」への対応策として、外国人介護人材の受入れをより組織的・計画的に進めるためにKaiToを立ち上げました。事業の運営は、東京都福祉局からの委託を受けたアデコ株式会社が担っています。
KaiToの3つの柱:何をしてくれる事業なのか
KaiToが提供する支援は、大きく3つの柱で構成されています。
- 海外向け魅力発信:11か国語対応の専用ウェブサイトを通じて、東京の介護現場で働く魅力を海外に発信。現地でのイベント出展(例:インドネシアのジャカルタで開催された就職フェアへの出展)や動画コンテンツの公開も実施しています。
- マッチング支援:都内介護事業所の求人情報を掲載し、海外から応募してきた外国人介護士候補者との書類選考・面接調整をサポート。「東京都認証送り出し機関」と連携することで、信頼性の高いルートでの人材確保が可能です。
- 受入れ体制整備の支援:制度説明会・研修・相談会の開催、補助金情報の提供など、受入れに必要な知識とリソースをワンストップで提供します。
KaiToを活用した外国人介護士受入れの進め方

ステップ1:まずは説明会・事業説明に参加する
KaiToでは、外国人採用が初めての事業所でも安心して参加できる説明会をオンラインで定期開催しています(全5回シリーズ)。内容は「KaiTo事業説明・外国人採用の始め方」が中心で、所要時間は約1時間です。
参加対象者:
- 都内介護事業所の経営者・所長・人事労務担当者・介護主任
- 登録支援機関・人材紹介事業者のご担当者
説明会では以下のことが理解できます:
- KaiTo事業の概要と参加方法
- 外国人介護士の在留資格の種類(特定技能・技能実習・EPA・在留資格「介護」など)
- 外国人採用を始めるための具体的な手順
ステップ2:求人情報の掲載と候補者との交流
説明会参加後、KaiToのサイトに求人情報を掲載することができます。掲載することで、海外在住の候補者から直接応募が届く仕組みになっています。
また、「CC Cafe(Casual Communication Cafe)」と呼ばれるオンライン交流会(全5回)では、実際に日本での就労を目指して学習中の候補者と事前に交流することができます。これにより、採用前に「どんな人材なのか」「コミュニケーションのイメージ」を体感できるため、採用後のミスマッチを減らすことにつながります。
交流会で得られるもの:
- 外国人介護士候補者の雰囲気・人柄を直接感じられる
- コミュニケーションのポイントや工夫を学べる
- 採用面談の観点・質問の幅が広がる
ステップ3:東京都認証送り出し機関を通じた採用
KaiToでは、一定の基準を満たした海外の送り出し機関を「東京都認証送り出し機関」として認証しています。認証の基準は以下の3点です。
- 特定技能「介護」の日本への送出実績があること
- 介護の専門コースやカリキュラムがあること
- 機関の窓口担当者とビジネスレベル以上のコミュニケーションが取れること
現在、インドネシア・フィリピン・ベトナム・ミャンマーなど複数の国の機関が認証を受けており、都内介護事業所はこれらの信頼できる機関を通じて人材を確保することができます。
ステップ4:補助金を活用して費用負担を軽減する
人材紹介会社(受入れ調整機関)を通じて外国人介護士を採用した場合、東京都から紹介料の一部が補助されます。
補助金の基本内容:
- 補助基準額:対象者1人あたり30万円
- 補助率:2分の1(基本)→最大15万円
- KaiTo条件を満たす場合:補助率が3分の2に増額 → 最大20万円
※令和8年度の内容。最新の交付要綱でご確認ください
KaiToの条件とは、専用ホームページ(KaiToサイト)に求人情報を掲載した介護事業所であることです。つまり、KaiToに求人を掲載するだけで、補助率が2分の1から3分の2に上がり、最大5万円多く補助を受けられます。
補助金の計算例:
| 紹介料(実費) | 補助基準額 | 補助率(KaiTo未掲載) | 補助率(KaiTo掲載済) |
|---|---|---|---|
| 40万円 | 30万円 | 1/2 → 15万円 | 2/3 → 20万円 |
| 50万円 | 30万円(上限) | 1/2 → 15万円 | 2/3 → 20万円 |
申請窓口は公益財団法人東京都福祉保健財団(人材養成部 福祉人材養成室)で、令和8年度の補助金情報も順次公開されています。
注意点・コツ
- 補助金の申請は採用後に行うため、採用前に要件を確認しておくことが重要
- 在留資格の更新は通常1年ごとに必要なため、計画的なスケジュール管理が不可欠
- 登録支援機関は「SNS等でいつでも連絡が取れる体制があるか」「オンライン日本語レッスンを提供しているか」を選定基準にすると安心
- 介護福祉士国家試験は日本語で実施されるため、合格を目指す外国人スタッフには実質的にN2相当の日本語力があると有利(N2保有者の合格率53.4%)。継続的な学習支援の仕組みを整えておくことが大切
KaiTo活用の具体的なメリット:事例から学ぶ

成功事例①:初めての受入れでも安心できた理由
東京都内のある介護老人保健施設では、これまで日本人スタッフのみで運営してきたものの、慢性的な人手不足から外国人介護士の受入れを検討し始めました。担当者は「どこに相談すればいいかわからない」「費用が高すぎないか不安」という状態でKaiToの説明会に参加。
説明会では在留資格の種類・費用感・受入れ後のサポート体制について具体的な情報が得られ、「思ったよりハードルが低い」と感じたそうです。その後、KaiToサイトに求人を掲載し、東京都認証送り出し機関を通じて採用。補助金を活用することで、実質的な採用コストを大幅に抑えることができました。
変化のポイント:
- 説明会参加→求人掲載→補助金申請という流れが明確で迷わなかった
- 認証送り出し機関を利用することで、信頼性に対する不安が解消された
- 採用後も東京都の相談会を活用し、現場での疑問をタイムリーに解決できた
成功事例②:CC Cafeで「採用前の交流」が定着率向上につながった
関東のある特別養護老人ホームでは、過去に外国人スタッフの早期離職を経験したことがあり、採用前のコミュニケーション確認を重視していました。KaiToのCC Cafe(オンライン交流会)に参加したところ、候補者の人柄・日本語レベル・介護への意欲を事前に把握できたため、採用後のミスマッチが大きく減少しました。
学びのポイント:
- 採用前の「顔合わせ」が、入職後の信頼関係づくりに直結する
- 候補者側も「どんな施設か」を事前に知ることで、安心して来日できる
- 双方向の理解が深まることで、早期離職リスクが下がる
よくある質問(専門家に聞く)
外国人介護士の受入れに詳しい専門家、大町潤一氏(看護師・介護福祉士、GENSAI Career Consulting Corp代表)に、現場でよく聞かれる疑問をぶつけました。
Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?
「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。
一番伝えたいこと
「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」
私が看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。
それは:
1. 受け入れる側の覚悟
- 最初は時間がかかることを理解する
- 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
- 文化の違いを楽しむ心
2. 外国人介護士のポテンシャル
- 真面目で一生懸命
- 学ぶ意欲が高い
- 利用者様を大切にする心
3. 長期的な視点
- すぐに結果を求めない
- 信頼関係を築くのに時間をかける
- 3年、5年後の姿を一緒に描く
「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」
「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」
最後に
「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」
「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」
Q. 看護師・介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?
「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。
看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:
1. 現場目線での人材選考
- 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
- 技術だけでなく、人柄や適性を重視
- 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ
2. 実践的な教育プログラム
- 現場で本当に必要な技術を優先
- 教科書的な知識より、実際の動きを重視
- 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える
3. 施設側の悩みに寄り添える
- 「受け入れる側」の大変さを理解している
- 現実的なアドバイスができる
- 一緒に問題を解決する姿勢
「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」
かいごパスポートTokyoに関するよくある質問
Q1. かいごパスポートTokyo(KaiTo)の利用に費用はかかりますか?
A. 説明会への参加・求人情報の掲載・各種相談会の利用はすべて無料です。費用が発生するのは、受入れ調整機関(人材紹介会社)を通じて採用した際の紹介料のみです。ただし、その紹介料についてもKaiToの補助金制度を活用することで最大20万円の補助が受けられます。
Q2. どの在留資格の外国人介護士がKaiToの対象ですか?
A. KaiToでは特定技能「介護」を主な対象としていますが、EPA(経済連携協定)、技能実習、在留資格「介護」など、複数の制度に対応した支援も東京都福祉保健財団を通じて提供されています。自事業所のニーズに合った制度を選ぶためにも、まず説明会への参加をおすすめします。
Q3. 訪問介護事業所はKaiToを利用できませんか?
A. KaiToのマッチング支援や説明会への参加は訪問介護事業所でも可能です。かつて訪問系サービスは特定技能外国人の就労対象外でしたが、2025年4月21日からは、介護職員初任者研修の修了・実務経験1年以上・事業者による適合確認申請などの要件を満たせば、訪問介護等にも従事できるようになりました。要件の詳細は各制度の最新情報をご確認ください。
Q4. 補助金申請はいつ・どこで行えばよいですか?
A. 申請窓口は公益財団法人東京都福祉保健財団(人材養成部 福祉人材養成室、電話:03-3344-8627)です。令和8年度の補助金情報は東京都福祉保健財団の公式サイトで公開されており、申請受付の開始時期や要綱(PDF)も確認できます。採用後に申請する形となるため、採用前に要件を確認しておくことが重要です。
Q5. 外国人介護士の日本語レベルはどの程度を想定すればよいですか?
A. 特定技能「介護」で入国する外国人介護士は、基本的なコミュニケーションに支障のないレベル(おおむねN3相当)で入国することを目指して学習しています。ただし、介護福祉士国家試験の合格を目指す場合はN2相当が必要です。令和6年度の調査によると、N2保有者の合格率は53.4%、N3は25.2%と、日本語力が合格率に大きく影響しています(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)。継続的な日本語学習支援の仕組みを整えることが、定着率向上につながります。
まとめ
かいごパスポートTokyo(KaiTo)は、東京都が2024年度から本格展開している外国人介護人材の受入れ支援事業です。この記事の要点を整理します。
- KaiToは「海外向け発信・マッチング・受入れ支援」を一体で提供する東京都の公式プラットフォームで、都内介護事業所であれば無料で活用できる
- 補助金制度を活用すれば人材紹介料の最大20万円が補助される。KaiToサイトへの求人掲載が補助率アップの条件となるため、早めの登録が有利
- 外国人介護士は「穴埋め」ではなく「長期的なチームの仲間」として受け入れる視点を持つことが、定着率向上と現場の満足度につながる
まずは無料の事業説明会やCC Cafeへの参加から始めてみてください。「うちの施設でも本当にできるのか」という不安を、具体的な情報と交流を通じて解消することが、最初の一歩になります。
> ⚠️【YMYL注意】補助金の金額・申請要件・制度の内容は年度ごとに変更される可能性があります。最終的な判断は、東京都福祉保健財団または東京都福祉局の最新公式資料をご確認のうえ、必要に応じて専門家(社会保険労務士・行政書士)にご相談ください。
出典・参考
- 東京都福祉局「かいごパスポートTokyo(KaiTo)公式サイト」(https://kaigo-passport.metro.tokyo.lg.jp/)…KaiToの事業概要・求人掲載・送り出し機関認証・説明会情報の根拠
- 東京都「報道発表資料:かいごパスポートTokyo(KaiTo)を開始」2024年6月14日(https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2024/06/14/20.html)…KaiTo開始の経緯・補助金制度の基本内容の根拠
- 公益財団法人東京都福祉保健財団「外国人介護従事者受入れ環境整備等事業」…補助金交付要綱・各種支援事業(受入れセミナー・相談会・留学生支援等)の詳細根拠
- 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…2022年実績215万人・2026年必要数240万人・2040年必要数272万人の根拠
- 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日…特定技能「介護」在留者数44,367人・国籍別ランキング・受入施設種別の根拠
- 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…日本語レベル別合格率(N2:53.4%、N3:25.2%等)・職場からの支援内容の根拠
この記事の監修者
大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。
