結論(30秒でわかる要点)
外国人介護士の採用には、制度に精通した人材会社の活用が最短ルートです。
- 特定技能1号の在留者数は2024年12月末時点で44,367人に達し、年々急増中
- 人材会社は採用・在留資格申請・入社後サポートをワンストップで代行できる
- 会社選びのポイントは「介護専門性」「対応制度の幅」「定着支援の充実度」の3つ
対象者:外国人介護士の採用を初めて検討している施設長・採用担当者の方
> ⚠️ 本記事の制度情報は執筆時点のものです。在留資格・受入要件は随時改正されるため、最新情報は厚生労働省や出入国在留管理庁の公式資料でご確認ください。
はじめに:外国人介護士の採用、どこから始めればいい?

「求人を出しても応募が来ない」「夜勤ができるスタッフが足りない」——介護現場でこうした悩みを抱える施設は、全国で増え続けています。
厚生労働省のデータによれば、2022年時点で215万人の介護職員が働いていますが、2040年には272万人が必要とされています(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)。その差は約57万人。国内だけでは補いきれない規模です。
こうした背景から、外国人介護士の採用に踏み出す施設が増えています。しかし、「どの制度を使えばいいか」「どの人材会社に相談すればいいか」がわからず、最初の一歩を踏み出せないケースも少なくありません。
この記事では、以下の疑問をまとめて解決します。
- 外国人介護士を採用できる制度は何種類あるのか
- 人材会社に依頼するとどんなサポートが受けられるのか
- 費用相場と会社選びのポイントは何か
- 採用を成功させるための実践的なコツとは
外国人介護士の人材会社とは?基礎知識と背景

用語の定義
外国人介護士の人材会社とは、介護施設が外国人介護人材を採用する際に、求人・選考・在留資格申請・入社後の生活支援まで代行・サポートする専門の人材紹介・支援事業者のことです。
外国人介護士を取り巻く現状
前述のとおり、2040年には約57万人の介護職員が不足すると見込まれています。国内の若年労働力が減少するなか、東南アジアを中心とした外国人人材への期待は年々高まっています。
特定技能「介護」の在留者数は、制度開始直後の2019年12月末にはわずか19人でしたが、2024年12月末には44,367人に達しました(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。約5年間で2,300倍以上という急増ぶりです。
国籍別では、インドネシア(12,242人・27.6%)、ミャンマー(11,717人・26.4%)、ベトナム(8,910人・20.1%)が上位3か国を占め、フィリピン(4,538人)、ネパール(3,602人)と続きます。上位5か国だけで全体の9割以上を占めています。
外国人介護士の受入制度は4種類ある
現在、介護職で外国人が働ける在留資格は主に4つです。
- EPA(経済連携協定):インドネシア・フィリピン・ベトナムとの協定に基づく受入。候補者は4年以内に介護福祉士国家試験に合格することが条件。受入要件が厳しく、新設施設は不可。
- 在留資格「介護」:介護福祉士の国家資格を取得した外国人が取得できる在留資格。長期就労が可能で、訪問系サービスにも従事できる。
- 技能実習:実習期間は最大5年。監理団体への加入が必要で、手続きが複雑。2027年には「育成就労制度」へ移行予定。
- 特定技能1号:介護技能評価試験・日本語評価試験・JLPT N4相当の3試験合格が要件。学歴不問で母数が多く、最も採用しやすい制度とされる。
この4つのなかで、現在最も施設側の要件が低く採用しやすいのが「特定技能」です。特に初めて外国人介護士の採用を検討する施設には、まず特定技能から検討することをおすすめします。
外国人介護士の人材会社に依頼する方法と選び方

Step1:自施設のニーズを整理する
人材会社に問い合わせる前に、以下を整理しておくと話がスムーズに進みます。
- 採用したい人数(1名なのか、複数名なのか)
- 希望する在留資格(特定技能・技能実習・介護ビザなど)
- 希望国籍・日本語レベル(N3以上希望など)
- 入職希望時期(半年後か、1年後か)
- サポートの範囲(採用のみか、登録支援機関業務も委託したいか)
Step2:複数社に問い合わせ・比較する
人材会社によって、対応できる在留資格・国籍・エリアが異なります。以下のポイントで比較するとよいでしょう。
- 介護特化かどうか:介護業界専門の会社は、現場の実情を理解したうえで人材を選考できる
- 対応制度の幅:特定技能のみか、技能実習・介護ビザにも対応しているか
- 定着支援の充実度:入社後の日本語教育・生活サポート・資格取得支援があるか
- 登録支援機関の認定有無:特定技能の場合、登録支援機関として認定されているかを確認
- 費用体系の透明性:初期費用・月額費用・紹介手数料が明確か
Step3:費用の目安を把握する
費用は会社や採用人数・サポート範囲によって異なりますが、一般的な目安は以下のとおりです。
| 費用項目 | 特定技能の目安 | 技能実習の目安 |
|---|---|---|
| 紹介手数料(初期) | 15〜50万円程度 | 別途管理費として発生 |
| 月額登録支援費 | 2〜5万円程度 | 監理費として月額発生 |
| 3〜5年間の総コスト目安 | 約200万円/5年間 | 約200万円/3年間+教育費 |
特定技能は技能実習と比べて教育費が別途かからないケースが多く、総コストで見るとコストパフォーマンスが高い場合もあります。
Step4:契約・受入準備を進める
契約後は、施設側でも以下の準備が必要です。
- 受入担当者(メンター)の選定:外国人介護士のサポート役となるスタッフを決める
- 職員向け説明会の実施:既存スタッフが外国人受入に前向きになれるよう、事前に文化・制度の説明を行う
- 住居・生活インフラの整備:住まいの確保、銀行口座開設サポートなど
- OJT計画の策定:最初の3〜6か月の業務習得計画を立てる
人材会社を選ぶ際の注意点
- 「安さだけ」で選ぶと、入社後のサポートが手薄なケースがある
- 登録支援機関としての認定がない会社は、特定技能の支援業務を代行できない
- 訪問系サービスへの従事は、技能実習・特定技能では原則認められていない(在留資格「介護」は可能)
- 送り出し国の現地機関との連携状況も確認しておくと安心
外国人介護士採用の成功事例

成功事例①:複数名採用で離職率が改善したケース
関東地方のある100床規模の特別養護老人ホームでは、アクセスの悪さから求人を出しても応募が集まらず、若い職員や夜勤対応できる正社員の確保が長年の課題でした。
特定技能の人材会社を通じて複数名の外国人介護士を受け入れた結果、スタッフの離職率が下がり、採用コストの大幅削減につながりました。また、受入に向けた教育体制の見直しが中堅スタッフのモチベーション向上にもつながり、施設内のイベント開催数が前年比150%増になったという報告もあります。
このケースのポイントは「複数名での採用」と「受入体制の整備」を同時に行ったことです。1名だけの採用では孤立しやすいため、同じ国籍・同時期の採用が定着率向上に有効とされています。
成功事例②:現場の不安を解消して活気ある職場に変わったケース
関西地方のある介護老人保健施設では、経営層は外国人受入に前向きだったものの、現場スタッフのコミュニケーションに対する不安から話が進まない状態が続いていました。
人材会社の担当者が「一緒に最高の介護現場をつくっていきましょう」という姿勢で施設に寄り添い、職員向けセミナーを実施したことで、現場の受入意識が大きく変化。技能実習生を受け入れた後は、外国人介護士の口コミで新たな応募が加速し、人手不足の解消に大きく貢献したといいます。
このケースの学びは、現場スタッフの心理的な準備が採用成功の鍵だということです。制度的な準備と並行して、既存スタッフが「一緒に働きたい」と思えるような環境づくりが不可欠です。
よくある質問(専門家に聞く)
介護ケアジャパン・GENSAI Career Consulting Corp代表の大町潤一氏(元看護師・介護福祉士)に、外国人介護士の採用を検討する施設からよく寄せられる疑問についてお聞きしました。
Q. 元看護師・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?
「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。
元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:
1. 現場目線での人材選考
- 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
- 技術だけでなく、人柄や適性を重視
- 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ
2. 実践的な教育プログラム
- 現場で本当に必要な技術を優先
- 教科書的な知識より、実際の動きを重視
- 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える
3. 施設側の悩みに寄り添える
- 「受け入れる側」の大変さを理解している
- 現実的なアドバイスができる
- 一緒に問題を解決する姿勢
「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」
Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?
「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。
「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」
私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。
それは:
1. 受け入れる側の覚悟
- 最初は時間がかかることを理解する
- 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
- 文化の違いを楽しむ心
2. 外国人介護士のポテンシャル
- 真面目で一生懸命
- 学ぶ意欲が高い
- 利用者様を大切にする心
3. 長期的な視点
- すぐに結果を求めない
- 信頼関係を築くのに時間をかける
- 3年、5年後の姿を一緒に描く
「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」
「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」
最後に
「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」
「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」
制度に関するよくある質問
Q1. 外国人介護士の人材会社に依頼する際、施設側に必要な資格・要件はありますか?
A. 在留資格によって施設側の要件が異なります。特定技能の場合、介護保険法に基づく事業所であること、直接雇用であること(派遣は不可)、訪問系サービスは対象外であることが主な条件です。技能実習の場合は監理団体への加入が必要で、受入施設の規模・常勤職員数に応じた受入人数の上限もあります。EPA・在留資格「介護」はさらに要件が厳しいため、人材会社に相談しながら自施設が対応できる制度を確認することをおすすめします。
Q2. 外国人介護士の人材会社に依頼する費用はどのくらいかかりますか?
A. 費用は依頼する会社や採用人数、サポートの範囲によって大きく異なります。特定技能の場合、紹介手数料(初期費用)として15〜50万円程度、月額の登録支援費として2〜5万円程度が目安です。技能実習は監理費が別途発生し、教育費も含めると3年間で約200万円程度になるケースがあります。特定技能は教育費が別途かからないことが多く、総コストで見るとコストパフォーマンスが高い場合もあります。複数社から見積もりを取り、費用体系が透明かどうかを確認することが重要です。
Q3. 特定技能「介護」の受入上限はありますか?
A. はい、あります。特定技能「介護」の5年間の受入見込数(上限)は135,000人と定められています(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。また、施設単位でも常勤の日本人介護職員数を超えない範囲での受入が原則となっています。制度の上限・要件は改正されることがあるため、最新の公的資料での確認をおすすめします。
Q4. 外国人介護士の日本語レベルはどの程度を期待できますか?
A. 特定技能の場合、日本語能力試験N4相当(介護日本語評価試験合格)が要件です。ただし、介護福祉士国家試験の合格率はN2保有者で53.4%、N3保有者で25.2%と、日本語レベルによって大きく差があります(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)。入社後も継続的な日本語教育のサポートが定着率向上に有効です。人材会社によっては、入社後の日本語研修や資格取得支援を提供しているところもあるため、選定時に確認しましょう。
Q5. 技能実習から特定技能へのビザ切り替えはできますか?
A. 技能実習2号を修了した外国人は、特定技能1号への在留資格変更が可能です。この場合、特定技能の技能評価試験・日本語試験が免除されるため、施設にとっても本人にとってもメリットがあります。人材会社によっては、技能実習修了者の特定技能ビザへの切り替え支援をワンストップで対応しているところもあります。長期的な雇用を見据えるなら、こうした「キャリアパス設計」ができる人材会社を選ぶことが重要です。
まとめ:外国人介護士の人材会社を活用するための3つのポイント
外国人介護士の採用は、制度の複雑さから「難しそう」と感じる方も多いですが、実績ある人材会社と組むことで、初めての施設でも着実に進めることができます。
- ポイント①:4つの在留資格(特定技能・技能実習・介護ビザ・EPA)の特徴を理解し、自施設に合った制度を選ぶ。初めての採用には特定技能が最もハードルが低い
- ポイント②:人材会社は「介護専門性」「対応制度の幅」「定着支援の充実度」「登録支援機関の認定有無」で比較する。費用体系の透明性も必ず確認する
- ポイント③:採用後の受入体制(メンター配置・職員向け説明・OJT計画)を整えることが、定着率向上の鍵。外国人介護士を「仲間」として迎える職場文化づくりが長期的な成功につながる
まずは1〜2社の人材会社に無料相談してみることが、最初の一歩です。「どの制度が合うかわからない」という段階でも、相談を受け付けている会社がほとんどです。
> 【YMYL注意】本記事の制度情報・費用相場は執筆時点のものです。在留資格・受入要件・費用は随時変更されることがあります。最終的な判断は、厚生労働省・出入国在留管理庁の最新公式資料、および専門家(行政書士・登録支援機関等)への確認をもとに行ってください。
出典・参考
- 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…2022年実績215万人・2040年必要数272万人の根拠
- 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47936.html)…特定技能在留者数推移・国籍別ランキング・受入上限135,000人・施設種別受入状況の根拠
- 厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」2025年資料…特定技能1号44,367人・技能実習15,909人・在留資格「介護」12,227人・EPA3,180人の根拠
- 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…日本語レベル別合格率・国家試験受験理由・職場支援内容の根拠
- 厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117_00004.html)…EPA・在留資格「介護」・技能実習・特定技能の4制度概要の根拠
この記事の監修者
大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。