外国人介護職の定着率を上げる方法|離職原因と実践すべき5つの施策

目次

結論(30秒でわかる要点)

外国人介護職の定着率を上げるには、給与・職場環境・キャリア支援・文化理解・生活サポートの5つを組み合わせた総合的なアプローチが不可欠です。

  • ポイント①:特定技能外国人の離職率は年換算2.89%と低いが、今後は競争激化で離職増が予測される
  • ポイント②:住居提供・日本語支援・キャリアパス提示が定着率向上の三本柱
  • ポイント③:文化理解と相互尊重が、長期就労の土台となる職場環境をつくる

対象者:外国人介護職の採用・定着に課題を感じている施設管理者・経営者の方

> ⚠️ YMYL注意:在留資格・制度の要件は随時改定されます。最新情報は厚生労働省や出入国在留管理庁の公式資料をご確認ください。

はじめに

はじめに|介護現場のイメージ

「せっかく採用した外国人スタッフが、1〜2年で辞めてしまう」「どうすれば長く働いてもらえるのか分からない」——そんな悩みを抱える介護施設の管理者・経営者の方は、年々増えています。

厚生労働省のデータによると、2040年には272万人の介護職員が必要になると見込まれており(2022年比で57万人増)、外国人介護職の活躍はもはや「オプション」ではなく「必須」の時代に突入しています(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)。

一方で、特定技能「介護」の在留者数は2024年12月末時点で44,367人に達し(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)、施設間の人材獲得競争も激しくなっています。今後は「採用できた」だけでは不十分で、「いかに長く働いてもらうか」が施設の競争力を左右する時代です。

この記事でわかること

  • 外国人介護職が離職する主な原因と背景
  • 定着率を高めるための具体的な5つの施策
  • 成功につながる職場づくりの実践ポイント
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外国人介護職の定着率の現状|なぜ今、対策が急務なのか

用語の定義

外国人介護職の定着率向上策とは、特定技能・技能実習・EPA・在留資格「介護」などの制度で来日した外国人介護士が、同一施設で長期間就労し続けられるよう、職場環境・待遇・支援体制を整備する取り組みの総称です。

対象となる在留資格(制度)

  • 特定技能1号(最大5年間、転職可)
  • 技能実習(原則3〜5年、転職制限あり)
  • EPA(経済連携協定)介護福祉士候補者
  • 在留資格「介護」(介護福祉士資格取得者、長期就労可)

定着率向上策の対象外となるケース

  • 在留期限の満了による帰国(制度上の制約)
  • 家庭事情による本人意思での帰国
  • 訪問系サービス(特定技能は2025年4月より一部解禁)

外国人介護職の離職率の実態

現時点では、外国人介護職の離職率は日本人を含む介護職員全体と比べて低い水準にあります。厚生労働省の資料によると、介護職員全体の離職率は令和4年時点で14.4%。一方、特定技能外国人介護士の離職率は2019年4月〜2022年11月の累計で10.6%であり、これを年換算すると約2.89%と極めて低い数字になります。

この低さの背景には、在留資格の制約があります。特定技能1号の場合、同一業種内での転職は可能ですが、外国人を受け入れられる施設は全体の約42%にとどまっており(全国老人福祉施設協議会「令和4年度外国人介護人材に関する実態調査結果」より)、転職先の選択肢が限られているのが実情です。

しかし、この状況は今後大きく変わる可能性があります。

今後、定着率が下がるリスクが高まる3つの理由

  1. 特定技能の受入上限が大幅拡大:令和6年4月からの5年間で135,000人の受入見込数が設定され(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)、受け入れ施設の選択肢が増える
  2. 転職市場の活性化:外国人介護士を受け入れる施設が増えるほど、待遇の良い施設への転職が現実的になる
  3. 在留資格の上位移行:介護福祉士資格を取得して在留資格「介護」を取得すると転職制限がなくなり、より自由に職場を選べるようになる

特定技能「介護」の在留者数は、制度開始の2019年12月末時点でわずか19人だったものが、2024年12月末には44,367人と、約5年間で約2,300倍に増加しています(出典:同上)。この急拡大のスピードは、施設側の定着策整備を急務にしています。

外国人介護職の定着率を上げる5つの方法

外国人介護職の定着率を上げる5つの方法|介護現場のイメージ

Step1|生活基盤を整える(住居・生活支援)

外国人介護士が安心して働くためには、まず「生活の安定」が前提条件です。全国老人福祉施設協議会のアンケートによると、外国人を受け入れている介護施設のうち、寮を設置している割合は61.9%に上ります。

生活支援の主なポイント

  • 寮の提供または家賃補助の実施
  • 社会保険(健康保険・労災保険)の手続きサポート
  • 銀行口座開設・携帯電話契約など行政手続きの支援
  • 近隣の生活情報(スーパー・病院・交通機関)の案内

「私は大切にされている」と感じてもらえる生活サポートは、長期就労への意欲に直結します。なお、外国人労働者の就労環境整備に取り組む事業主に対しては、厚生労働省の「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」などの助成金制度も活用できます。

Step2|給与・評価制度を透明化する

外国人介護士にとって、給与の納得感は定着率に大きく影響します。母国との賃金差から「1円でも多く稼ぎたい」という気持ちは自然なことであり、それを否定するのではなく、制度として応えることが重要です。

効果的な給与・評価の工夫

  • 日本語能力検定(JLPT)の取得階級に応じた昇給制度の導入(例:N3取得で月2,000円昇給)
  • 介護福祉士資格取得時の手当・一時金の設定
  • 評価基準を書面・多言語で明示し、透明性を確保
  • 話し合いの場を定期的に設け、互いの妥協点を模索する

評価制度が明確であれば、外国人介護士は「頑張れば報われる」という実感を持ちやすく、長期的なモチベーション維持につながります。

Step3|日本語学習と業務習得を支援する

令和6年度の調査によると、介護福祉士国家試験の合格率は日本語能力と強い相関があります。N1保有者の合格率が86.7%であるのに対し、N3では25.2%、N5では12.5%と大きな差があります(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」)。

また、外国人介護士が職場から受けた支援として「施設職員に勉強を教えてもらった」が36%、「日本語の先生に教えてもらった」が26.7%、「勤務時間やシフトの調整」が24.8%という結果が出ています(出典:同上)。

日本語・業務習得支援の具体策

  • 業務マニュアルのビジュアル化・多言語対応(イラスト・動画活用)
  • 朝礼・ミーティングでの「ゆっくり話す」「1文1メッセージ」の徹底
  • 勤務シフトの調整による学習時間の確保
  • eラーニングや外部の日本語教室との連携
  • 介護現場経験のある日本語講師による実践的な指導

ICTツールを活用した動画マニュアルや多言語対応システムを導入することで、教育担当者の負担を軽減しながら、外国人スタッフの理解度を高めることができます。

Step4|キャリアパスを明確に示す

外国人介護士が「この施設で長く働きたい」と思えるかどうかは、将来のビジョンが見えるかどうかに大きく左右されます。令和6年度調査では、外国人介護士が国家試験を受けた理由として「日本で介護職として働き続けるため」が68.9%、「日本で長く住み続けたいため」が55.2%と、長期定着への強い意欲が示されています(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)。

キャリアパス提示の実践ポイント

  • 1年後・3年後・5年後の具体的なキャリアステップを図示する
  • 介護福祉士→リーダー→主任→管理職という昇進ルートを明示
  • 社会福祉士やケアマネージャーへのステップアップ情報も提供
  • 帰国を予定している場合は「日本での経験を母国でどう活かすか」という視点でのアドバイスも

将来像が具体的に描けると、資格取得への意欲も高まり、施設への貢献度も自然と上がっていきます。

Step5|文化理解と職場の相互尊重を育む

外国人介護士の離職原因として、給与と並んで「職場の人間関係」が大きな割合を占めています。「自分だけ挨拶されない」「日本人スタッフだけ早退できる」といった不公平感は、見えないところで蓄積し、ある日突然の退職につながります。

文化理解・相互尊重のための取り組み

  • 朝礼やミーティングで5分間、お互いの文化・習慣を紹介し合う時間を設ける
  • 外国人介護士の母国語・伝統料理・祝日などを職場全体で学ぶ機会をつくる
  • 日本人スタッフ向けに「特定技能外国人理解研修」を実施する
  • 教育担当者(メンター)を選定し、個別の相談窓口を設ける
  • 労働基準法の遵守と、雇用条件の透明な説明を徹底する

成功事例から学ぶ|定着率向上の実践

成功事例①:キャリア支援と日本語補助で定着率が改善

関西のある特別養護老人ホームでは、外国人介護士の採用から2年以内に複数名が離職するという課題を抱えていました。改善策として取り組んだのは、「日本語能力に応じた昇給制度の導入」と「介護福祉士国家試験の受験サポート」です。勤務シフトを調整して学習時間を確保し、施設スタッフが週1回の勉強会を開催。その結果、N3取得者が増加し、国家試験合格者も複数名輩出。資格取得後に在留資格「介護」へ移行した職員が長期就労を継続するケースが生まれました。

この事例のポイント

  • 昇給制度と学習支援をセットで提供
  • スタッフ全員が「一緒に育てる」意識を持った
  • 資格取得後のキャリアパスを事前に明示していた

成功事例②:生活サポートと文化理解で職場の雰囲気が変わった

東京都内のあるグループホームでは、外国人スタッフと日本人スタッフの間に目に見えない壁があり、コミュニケーション不足が業務上のミスにつながることもありました。そこで取り組んだのが「異文化ワークショップ」の定期開催です。月1回、外国人スタッフが母国の料理や文化を紹介する時間を設けたところ、日本人スタッフの関心が高まり、自然に声をかけ合う関係が生まれました。また、業務マニュアルをイラスト付きで作り直したことで、引き継ぎのミスも大幅に減少しました。

この事例の学び

  • 文化交流の場が「職場の雰囲気」を根本から変える
  • ビジュアルマニュアルは言語の壁を超える有効なツール
  • 日本人スタッフの意識変化が、外国人スタッフの安心感につながる

よくある質問(専門家に聞く)

元看護師・介護福祉士であり、フィリピンで10年以上にわたって介護人材事業を展開してきたGENSAI Career Consulting Corp代表の大町潤一氏に、外国人介護職の定着に関する本質的な問いを聞きました。

Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?

「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。

一番伝えたいこと

「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」

私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。

それは:

1. 受け入れる側の覚悟

  • 最初は時間がかかることを理解する
  • 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
  • 文化の違いを楽しむ心

2. 外国人介護士のポテンシャル

  • 真面目で一生懸命
  • 学ぶ意欲が高い
  • 利用者様を大切にする心

3. 長期的な視点

  • すぐに結果を求めない
  • 信頼関係を築くのに時間をかける
  • 3年、5年後の姿を一緒に描く

「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」

「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」

最後に

「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」

「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」

Q. 元看護師・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?

「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。

元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:

1. 現場目線での人材選考

  • 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
  • 技術だけでなく、人柄や適性を重視
  • 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ

2. 実践的な教育プログラム

  • 現場で本当に必要な技術を優先
  • 教科書的な知識より、実際の動きを重視
  • 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える

3. 施設側の悩みに寄り添える

  • 「受け入れる側」の大変さを理解している
  • 現実的なアドバイスができる
  • 一緒に問題を解決する姿勢

「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」

制度に関するよくある質問

Q1. 特定技能「介護」の外国人は、どの施設でも受け入れられますか?

A. すべての介護サービスで受け入れられるわけではありません。特定技能「介護」は直接雇用のみが対象で、2025年4月以前は訪問系サービス(訪問介護など)は対象外でした。2025年4月より特定技能・技能実習の外国人が訪問介護に従事できるよう制度が改正されています。受け入れ可能なサービス種別については、最新の厚生労働省資料をご確認ください。

Q2. 外国人介護士の定着率を上げるための助成金はありますか?

A. あります。厚生労働省の「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」は、外国人労働者の就労環境整備や職場定着に取り組む事業主に対して、経費の一部を補助する制度です。対象となる取り組みや申請要件は変更されることがあるため、最新情報は厚生労働省の公式サイトでご確認ください。

Q3. 特定技能1号の外国人が在留資格「介護」に移行するとどうなりますか?

A. 在留資格「介護」は、介護福祉士資格を取得した外国人が取得できるビザで、更新を続ければ半永久的に日本で就労できます。また、家族の帯同も認められるため、生活の安定度が大きく高まります。施設側としては、資格取得支援を行うことで、長期的な戦力として育てる道筋をつくることができます。

Q4. 外国人が複数の国籍にわたる場合、管理は難しくなりますか?

A. 国籍が一国に偏ると、新たな優秀な人材が見つかっても採用が難しくなる場合があります。複数国から人材を採用することで、機会損失を防ぎつつ、職場内の多様性も高まります。ただし、文化・宗教の違いへの配慮(例:イスラム教徒の礼拝時間・食事制限など)が必要になるため、受け入れ前の情報収集と職場内ルールの整備が重要です。

Q5. 外国人介護職の定着率向上策は、いつから始めるべきですか?

A. 採用が決まった時点、あるいは採用を検討し始めた段階から準備を始めることが理想です。入職後にトラブルが発生してから対応するよりも、受け入れ前に職場環境・教育体制・生活サポートを整えておくことで、初期の離職リスクを大幅に下げることができます。特に「教育担当者の選定」「ビジュアルマニュアルの作成」「日本人スタッフへの理解研修」は、入職前から取り組めるものです。

まとめ

外国人介護職の定着率を上げるための方法を整理すると、次の3点に集約されます。

  • 生活・給与・学習の基盤を整える:住居支援・透明な評価制度・日本語学習支援が長期就労の土台になる
  • キャリアと文化の両面からアプローチする:将来像の提示と職場内の相互理解が、「ここで働き続けたい」という意欲を生む
  • 採用前から受け入れ体制を準備する:入職後のトラブルを防ぐには、事前の環境整備が何より効果的

2040年には272万人の介護職員が必要とされる中、外国人介護職との「長期的な信頼関係」を築けるかどうかが、施設の持続可能性を左右します。まずは自施設の現状を振り返り、今日からできる一つの施策から始めてみてください。

次のステップとして、外国人介護職の受け入れ・定着に関する無料相談や専門家への問い合わせを活用することをおすすめします。

> ⚠️ YMYL注意:在留資格・制度・助成金の要件は法改正により変更されます。最終的な判断は、最新の公的資料または専門家(行政書士・社会保険労務士など)へのご確認をお願いします。

出典・参考

  • 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…2026年・2040年の介護職員必要数(240万人・272万人)の根拠
  • 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日…特定技能受入上限(135,000人)・在留者数推移・国籍別ランキング・施設種別受入状況の根拠
  • 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…日本語能力別合格率・職場からの支援内容・国家試験受験理由の根拠
  • 全国老人福祉施設協議会「令和4年度外国人介護人材に関する実態調査結果」…外国人受け入れ施設の割合(42%)・寮設置割合(61.9%)の根拠
  • 厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」…外国人定着支援に活用できる助成金制度の根拠
  • 出入国在留管理庁「外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」…外国人労働者数の推移・受け入れ制度の概要の根拠
  • 厚生労働省「外国人従業員と一緒に働く皆様へ コミュニケーションに工夫をしてより良い職場に!」…コミュニケーション改善策の参考資料

この記事の監修者

大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。

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