技能実習生・新制度・育成就労生を比較|施行前に知っておくべき違いと移行ポイント

目次

結論(30秒でわかる要点)

2027年4月1日より、30年以上続いた技能実習制度が廃止され、新たな「育成就労制度」へと移行します。制度の目的・在留期間・転籍ルール・日本語要件がすべて大きく変わるため、外国人材を受け入れている施設・企業は早急に対応準備が必要です。

重要ポイント3つ

  • 目的が「国際貢献」から「人材育成・確保」へと転換する
  • 転籍が一定条件のもとで認められ、長期定着の設計が変わる
  • 育成就労→特定技能1号への移行に試験合格が必須となる

対象者: 技能実習生を受け入れている、または外国人材の採用を検討している施設・企業の担当者向けの記事です。

> ⚠️ 本記事の内容は2026年8月時点の公表情報に基づいています。育成就労制度は2027年4月1日施行予定ですが、制度の詳細や分野別運用要領は今後も更新される可能性があります。最新情報は出入国在留管理庁・厚生労働省の公式資料でご確認ください。

技能実習生と新制度「育成就労生」は何が違う?

一般的に「育成就労生」と呼ばれることもありますが、制度上の正式な表現は「育成就労外国人」です。

技能実習生は、技能移転による国際貢献を目的とする技能実習制度のもとで受け入れられてきました。一方、新制度である育成就労制度では、日本の人手不足分野において、外国人材を原則3年間で特定技能1号水準まで育成し、人材確保につなげることを目的としています。

つまり、技能実習生と育成就労外国人の大きな違いは、「国際貢献を目的とした実習」から、「人材育成と人材確保を目的とした就労」へ変わる点です。

はじめに:制度の大転換期、あなたの施設は準備できていますか?

はじめに:制度の大転換期、あなたの施設は準備できていますか?|介護現場のイメージ

「今まで通り技能実習生を受け入れていれば大丈夫だろう」と思っていた担当者ほど、2027年の制度移行に戸惑うケースが増えています。技能実習制度は2024年6月に改正法が公布され、2027年4月1日より正式に廃止・育成就労制度へと移行することが決定しました。

この変化は単なる名称変更ではありません。制度の目的・対象職種・在留期間・転籍ルール・日本語要件など、実務に直結する部分が根本から変わります。

この記事でわかること

  • 技能実習・育成就労・特定技能の3制度を徹底比較
  • 育成就労制度で変わる6つの重要ポイント
  • 受け入れ企業・施設が今から準備すべきこと

介護分野では、厚生労働省の推計によると2040年には介護職員が272万人必要とされており(2022年比+57万人)、外国人材の活用は選択肢ではなく必須の戦略となっています。制度変更の波に乗り遅れないよう、今のうちに全体像を把握しておきましょう。

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技能実習制度が廃止される背景と育成就労制度が生まれた理由

技能実習制度が廃止される背景と育成就労制度が生まれた理由|介護現場のイメージ

用語の定義

育成就労制度とは: 日本の人手不足分野において外国人材を原則3年間で計画的に育成し、特定技能1号水準の技能と日本語能力を身につけさせることを目的とした、2027年4月1日施行の新たな在留資格制度です。

技能実習制度の何が問題だったのか

1993年にスタートした技能実習制度は、「開発途上国への技術移転による国際貢献」を目的として設計されました。しかし、実態は人手不足を補う労働力確保の手段として機能しており、制度の目的と現場の実態が大きくかけ離れていることが長年にわたって指摘されてきました。

具体的に問題視されてきた点は以下の通りです。

  • 転籍が原則禁止のため、劣悪な労働環境でも逃げ出せない構造
  • 「実習生」という位置づけにより、労働者としての権利が守られにくい
  • 失踪者数が2023年には9,753人と過去最多を記録
  • 国際機関・海外メディアから人権問題として批判を受ける

こうした背景から、2023年11月の有識者会議最終報告書で「技能実習制度を実態に即して発展的に解消し、人材の確保と育成を目的とする新たな制度を創設する」ことが提言されました。

4つの方向性で設計された育成就労制度

育成就労制度は、技能実習制度の問題点を正すために、以下の4つの方向性に沿って制度設計されています。

  1. 制度目的を「国際貢献」から「人材育成・人材確保」に転換する
  2. 外国人を「実習生」ではなく「労働者」として位置づける
  3. 一定条件のもとで転籍(転職)を認め、権利を保護する
  4. 特定技能制度との連続性を持たせ、長期キャリア形成を可能にする

3制度の徹底比較:技能実習・育成就労・特定技能の違い

3制度の徹底比較:技能実習・育成就労・特定技能の違い|介護現場のイメージ

制度目的・在留期間・転籍の違い

技能実習・育成就労・特定技能の3制度を、実務で重要な項目ごとに整理します。

比較項目技能実習制度育成就労制度特定技能制度
制度目的技術移転による国際貢献人材育成・人材確保即戦力の人材確保
在留期間最長5年(1号1年・2号2年・3号2年)原則3年1号:最長5年、2号:上限なし
転籍原則不可1〜2年経過後、条件付きで可同一分野内で転職可能。
対象職種・分野94職種(171作業)17分野19分野(拡大予定)
入国時日本語要件原則なし(介護のみN4相当)A1相当以上の試験合格、または相当する日本語講習の受講特定技能1号は、技能試験と日本語試験の合格が原則必要。
特定技能への移行2号修了で試験免除(同分野)試験合格が必須特定技能2号の対象分野では長期就労が可能。介護分野は2号対象外
家族帯同不可原則不可2号のみ可
支援体制監理団体監理支援機関(新許可制)登録支援機関

育成就労制度で変わる6つの重要ポイント

受け入れ企業・施設が特に注意すべき変更点を6つに絞って解説します。

① 制度目的の転換
技能実習の「国際貢献」という建前が撤廃され、「日本の人手不足解消と人材育成」という実態に即した目的が明記されます。外国人を「実習生」ではなく「労働者」として扱う制度設計に変わります。

② 在留期間の変更
技能実習は最長5年でしたが、育成就労は原則3年となります。育成就労修了後は、特定技能1号へ移行することで引き続き就労できる可能性があります。

ただし、介護分野は特定技能2号の対象外です。介護分野で長期的に日本で働き続けるには、
介護福祉士を取得し、在留資格「介護」へ変更するルートが中心になります。

③ 転籍ルールの緩和
技能実習では原則不可だった転籍が、育成就労では一定条件のもとで認められます。具体的な条件は以下の通りです。

  • 同一機関での就労が1年以上(分野により1〜2年)経過していること
  • 技能検定試験基礎級等およびA1〜A2相当の日本語試験に合格していること
  • 転籍先が同一業務区分で適正な基準を満たしていること
  • ハローワークや監理支援機関を通じた転籍であること
  • 民間の職業紹介業者は関与できない

④ 日本語要件の新設
技能実習では(介護を除いて)入国時の日本語要件がありませんでしたが、育成就労では就労開始前までにA1相当(N5等)以上の試験合格、または相当する日本語講習の受講が必須となります。

⑤ 対象分野の絞り込み
育成就労制度では、特定産業分野のうち「航空」「自動車運送業」を除いた17分野に育成就労産業分野が設定されています。自社業務が対象分野に含まれるか、また該当する業務区分に合っているかを事前に確認することが重要です。

⑥ 特定技能への移行に試験が必須
技能実習2号を良好に修了した場合は試験免除で特定技能1号へ移行できましたが、育成就労では試験合格が必須となります。試験に不合格の場合、同じ受け入れ機関での就労を継続する場合に限り、最長1年の在留継続が認められます。

育成就労制度の日本語要件:段階的なステップとは

3段階で高まる日本語能力の基準

育成就労制度では、就労の各段階に応じて日本語能力の基準が設定されています。

段階日本語能力要件技能要件
就労開始前までA1相当(N5等)以上の試験合格、または相当する日本語講習の受講
就労開始から1年経過時A1〜A2相当の日本語試験合格(分野ごとに設定)技能検定基礎級等の合格
特定技能1号への移行時A2相当(N4等)以上の試験合格技能検定3級等または特定技能1号評価試験の合格

介護分野は特に注意が必要

介護分野では、特定技能1号への移行に向けた日本語能力の重要性がデータでも裏付けられています。令和6年度の調査によると、介護福祉士国家試験の合格率は日本語レベルによって大きく異なります。

  • N1保有者:86.7%
  • N2保有者:53.4%
  • N3保有者:25.2%
  • N4保有者:25.0%
  • N5保有者:12.5%

(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」)

育成就労の最終目標がN4相当(A2)であることを踏まえると、施設側が日本語学習のサポートをどれだけ充実させられるかが、長期定着のカギを握ります。

受け入れ企業・施設が今から準備すべきこと

Step 1:自社業務が育成就労産業分野に該当するか確認する

育成就労の対象は17分野に限定されます。現在技能実習生を受け入れている場合でも、その職種が育成就労産業分野に含まれない可能性があります。まず自社の業務区分を確認することが最初のステップです。

育成就労産業分野(17分野)
介護・ビルクリーニング・工業製品製造業・建設・造船舶用工業・自動車整備・リネンサプライ・宿泊・農業・漁業・飲食料品製造業・外食業・鉄道・林業・木材産業・物流倉庫・資源循環

Step 2:移行スケジュールを把握する

育成就労制度の施行は2027年4月1日ですが、激変緩和措置として約3年間の移行期間が設けられます。概ね2030年頃までは技能実習制度と育成就労制度が並行して運用される見込みです。

ただし、以下の点には注意が必要です。

  • 施行日(2027年4月1日)時点で在留している技能実習生は技能実習を継続可能
  • 2027年6月30日までに技能実習を開始する場合も継続可能
  • 新規の技能実習生受け入れは将来的に不可となる

Step 3:監理支援機関の切り替えを検討する

現在の監理団体は、育成就労制度の「監理支援機関」として新たに許可を取得する必要があります。既存の監理団体がそのまま移行できるわけではないため、取引先の対応状況を早めに確認しておくことをおすすめします。

Step 4:日本語教育・育成計画の整備

育成就労では外国人ごとに「育成就労計画」を作成し、外国人育成就労機構(現・外国人技能実習機構)の認定を受ける必要があります。計画には「主たる技能」「日本語能力の向上目標」「育成方法」を具体的に記載しなければなりません。

よくある質問(専門家に聞く)

Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?

「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町潤一(元看護師・介護福祉士、GENSAI Career Consulting Corp代表)は真剣な表情で語ります。

一番伝えたいこと

「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」

私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。

それは:

1. 受け入れる側の覚悟

  • 最初は時間がかかることを理解する
  • 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
  • 文化の違いを楽しむ心

2. 外国人介護士のポテンシャル

  • 真面目で一生懸命
  • 学ぶ意欲が高い
  • 利用者様を大切にする心

3. 長期的な視点

  • すぐに結果を求めない
  • 信頼関係を築くのに時間をかける
  • 3年、5年後の姿を一緒に描く

「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」

「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」

最後に

「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」

「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」

Q. 元看護師・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?

「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。

元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:

1. 現場目線での人材選考

  • 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
  • 技術だけでなく、人柄や適性を重視
  • 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ

2. 実践的な教育プログラム

  • 現場で本当に必要な技術を優先
  • 教科書的な知識より、実際の動きを重視
  • 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える

3. 施設側の悩みに寄り添える

  • 「受け入れる側」の大変さを理解している
  • 現実的なアドバイスができる
  • 一緒に問題を解決する姿勢

「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」

制度に関するよくある質問

Q1. 育成就労制度は技能実習制度と何が根本的に違うのですか?

A. 最大の違いは「制度の目的」です。技能実習は「開発途上国への技術移転による国際貢献」が目的でしたが、育成就労は「日本の人手不足分野における人材の育成・確保」を明確な目的として掲げています。この目的の転換に伴い、外国人の位置づけが「実習生」から「労働者」へと変わり、転籍の権利や日本語要件など、実務上の仕組みも大きく変わります。

Q2. 育成就労制度で転籍が認められる条件を教えてください。

A. 本人意向による転籍は、以下の条件をすべて満たした場合に認められます。①同一機関での就労が1年以上(分野により1〜2年)経過していること、②技能検定試験基礎級等および分野ごとに定められた水準の日本語試験に合格していること、③転籍先が同一業務区分で適正な基準を満たしていること、④ハローワークや監理支援機関を通じた転籍であること(民間の職業紹介業者は関与不可)。なお、労働条件が契約と実態で異なる場合などの「やむを得ない事情」による転籍は、これとは別に認められます。

Q3. 育成就労から特定技能1号へ移行するには何が必要ですか?

A. 技能実習と異なり、育成就労では試験免除の仕組みがなく、必ず試験に合格する必要があります。具体的には、①技能検定試験3級等または特定技能1号評価試験への合格、②日本語能力A2相当(N4等)以上の試験への合格、の2つが必要です。試験に不合格となった場合でも、同じ受け入れ機関での就労を継続し、一定の要件を満たす場合には、最長1年の範囲で在留継続が認められる場合があります。

Q4. 現在の技能実習生は2027年以降どうなりますか?

A. 経過措置として、育成就労制度施行日(2027年4月1日)時点で在留している技能実習生は引き続き技能実習を継続できます。また、同日までに技能実習計画の認定が申請され、2027年6月30日までに技能実習を開始する場合も継続可能です。ただし、新規の技能実習生受け入れは将来的に不可となるため、中長期的な採用計画を今から見直すことが重要です。

Q5. 育成就労制度で受け入れられる人数に上限はありますか?

A. はい、あります。育成就労制度では特定技能1号と同様に、受け入れ対象分野ごとに受け入れ見込数(上限数)が設定されます。政府が公表している令和10年度末までの受け入れ見込数は、1号特定技能外国人と育成就労外国人を合わせて約123万人(1号特定技能外国人80万5,700人・育成就労外国人42万6,200人)とされています。なお、地方への人材流出を防ぐ観点から、「指定区域」では優良な育成就労実施者が優良な監理支援機関の監理を受ける場合に、受け入れ人数枠の拡大が認められます。

まとめ:制度移行に向けて、今から動き出すことが重要

本記事のポイントを整理します。

  • 技能実習制度は2027年4月1日に廃止され、育成就労制度へ移行。激変緩和措置により2030年頃まで両制度が並行運用される
  • 育成就労の最大の変化は3点:転籍の条件付き解禁・入国時日本語要件の新設・特定技能移行に試験合格が必須になること
  • 外国人材の活用は長期視点で設計することが重要。介護分野では、育成就労→特定技能1号→介護福祉士取得→在留資格「介護」への変更というキャリアパスを見据え、施設全体で育成文化を育てる

介護分野では2040年に272万人の介護職員が必要とされる一方(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)、特定技能「介護」の在留者数はすでに44,367人(2024年12月31日時点)に達しています。外国人材の受け入れは、もはや一部の先進的な施設だけの話ではありません。

制度移行の波に乗り遅れないよう、まずは自社業務が育成就労産業分野に該当するかの確認と、監理支援機関との連携体制の見直しから始めてみてください。

> ⚠️【YMYL注意】本記事は2025年時点の公表情報をもとに作成しています。制度の詳細は今後の政省令・告示により変更される可能性があります。採用・受け入れの最終判断は、出入国在留管理庁・厚生労働省の最新公式資料および専門家(行政書士・社会保険労務士等)にご確認ください。

出典・参考

  • 出入国在留管理庁「育成就労制度の概要(令和7年12月改訂)」…育成就労制度の施行日・対象分野・日本語要件・転籍条件の根拠
  • 出入国在留管理庁「育成就労制度についてのよくあるご質問」…転籍要件・受け入れ見込数・日本語講習に関するFAQの根拠
  • 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日…特定技能「介護」在留者数(44,367人)・国籍別ランキング・施設種別データの根拠
  • 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…2026年・2040年の介護職員必要数(272万人)の根拠
  • 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…日本語レベル別の介護福祉士国家試験合格率データの根拠
  • e-GOV法令検索「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律(令和六年法律第六十号)」…改正法の施行日・法的根拠
  • 厚生労働省「技能実習制度移行対象職種・作業一覧(94職種171作業)」…技能実習制度の対象職種数の根拠

この記事の監修者

大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。

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