介護技能実習評価試験とは?初級・専門級・上級の違いと受検準備を解説

目次

結論(30秒でわかる要点)

介護技能実習評価試験とは、外国人技能実習生が在留資格を移行するために必須の公的試験であり、一般社団法人シルバーサービス振興会が実施する。

  • 重要ポイント①:1号→2号→3号の移行ごとに受検が必要で、最大3回受ける
  • 重要ポイント②:初級・専門級・上級の3段階があり、学科と実技の両方で合格が必要
  • 重要ポイント③:試験は施設に試験評価者が訪問して実施する「出張型」の試験

対象者:介護技能実習生を受け入れている施設の担当者、監理団体の職員、これから受検を控えている技能実習生

> ⚠️ 制度の詳細は変更されることがあります。最新情報は厚生労働省や外国人技能実習機構(OTIT)の公式資料でご確認ください。

はじめに

「技能実習生を受け入れたけれど、評価試験って何をどう準備すればいいの?」——そんな疑問を抱える施設担当者や監理団体の方は多いのではないでしょうか。

介護技能実習評価試験は、技能実習生が次のステージへ進むために避けて通れない関門です。しかし、試験の仕組みや申請手続き、合格基準がわかりにくいという声もよく聞かれます。

この記事では、試験の概要から受検の流れ、合格のポイントまでをわかりやすく整理しました。

この記事でわかること:

  • 介護技能実習評価試験とは何か、制度上の位置づけ
  • 初級・専門級・上級それぞれの試験内容と合格基準
  • 受検申請の手順と施設側が準備すべきこと
  • 試験当日の流れと注意点
無料診断ツール
特定技能介護 かんたん受け入れ診断
たった3問で貴施設の受け入れ可否がわかる

施設種別・職員数を入力するだけで、特定技能「介護」の受け入れ可否をその場で確認できます。

1施設種別 2職員数 3結果表示
今すぐ無料診断 →

介護技能実習評価試験とは?制度の基礎知識

用語の定義

介護技能実習評価試験とは:外国人技能実習生が介護職種における技能の修得・習熟・熟達の程度を証明するために受検する、厚生労働省認定の公的評価試験のことです。

この試験は「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(第8条第2項6号)に基づいて設けられており、技能実習の目標は主務省令で指定する試験に合格することとされています。実施機関は一般社団法人シルバーサービス振興会です。

技能実習制度における試験の位置づけ

技能実習の在留資格は、以下の3つの区分に分かれています。

  • 第1号技能実習(入国1年目):技能等を修得する活動
  • 第2号技能実習(入国2・3年目):技能等に習熟する活動
  • 第3号技能実習(入国4・5年目):技能等に熟達する活動

1号から2号へ、2号から3号へ在留資格を移行するには、技能実習評価試験への合格が必要です。さらに3号修了時にも実技試験の受検が求められるため、技能実習期間が5年に及ぶ場合、合計3回の試験を受けることになります。

介護職種が技能実習に追加された背景

介護職種は、2017年(平成29年)11月1日から技能実習制度の対象職種に追加されました。2016年には、介護職種追加に向けた制度設計や通知が行われています。
厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によれば、2022年時点で215万人だった介護職員数は、2026年には240万人(+25万人)、2040年には272万人(+57万人)が必要になると推計されています。

深刻な人材不足を背景に、外国人介護人材の受け入れが本格化しました。厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」(2025年資料)によれば、特定技能1号として在留する外国人介護士は2024年12月末時点で44,367人に達しており、技能実習制度でも15,909人(2023年12月末時点)が在留しています。

試験の種類・内容・合格基準を徹底解説

試験の種類・内容・合格基準を徹底解説|介護現場のイメージ

3段階の試験レベルと受検資格

介護技能実習評価試験は、初級・専門級・上級の3段階で構成されています。

試験区分対応する技能実習受検資格(実務経験)受検の目安時期
初級1号→2号移行時6ヶ月以上入国後9ヶ月目を目処
専門級2号→3号移行時24ヶ月以上入国後30ヶ月目を目処
上級3号修了時48ヶ月以上再入国後24ヶ月目を目処

試験の構成:学科試験と実技試験

介護技能実習評価試験には、学科試験実技試験があります。

1号から2号へ移行する初級試験では、学科試験と実技試験の両方が必要です。
一方、2号から3号へ移行する専門級試験、3号修了前の上級試験では、
制度上は実技試験が必須で、学科試験は任意受検です。

ただし、学科試験は介護業務に必要な知識を確認する重要な機会であるため、受検が推奨されています。

学科試験の概要:

  • 初級:真偽法20問、試験時間60分
  • 専門級:真偽法30問、試験時間60分
  • 上級:多肢選択法50問、試験時間90分

実技試験の概要:

実技試験は、試験評価者が受検者の勤務する施設に訪問し、実際に利用者に対して行う身体介護業務を「現認」しながら評価する形式です。受検者と試験評価者が1対1で実施され、同時に複数の受検者を評価することはありません。

試験課題には「評価項目」と「評価基準」が設けられており、「できた」「できない」のバイナリーで評価されます。実技試験の総時間は60分以内が原則です(移動時間も含む)。

専門級の実技試験では、初級と異なり「技能実習指導員の指示のもとで行う介護」ではなく、受検者が自ら主体的に判断して行う介護が評価されます。これは、単なる作業の遂行ではなく、利用者の状態に応じた思考過程に基づく介護行為を評価するためです。

合格基準

試験区分学科試験実技試験
初級必須。合格基準は満点の65%以上必須。合格基準は満点の60%以上かつ0点課題なし
専門級任意受検。受検した場合は実技試験とは別に合否判定必須。合格基準は満点の60%以上かつ0点課題なし
上級任意受検。受検した場合は実技試験とは別に合否判定必須。合格基準は満点の60%以上かつ0点課題なし

実技試験では、1つでも0点となった試験課題がある場合は不合格となります。この点は特に注意が必要です。

日本語能力要件との関係

介護職種の技能実習では、試験とは別に日本語能力の要件も定められています。

  • 第1号技能実習生:日本語能力試験N4以上、またはこれと同等以上の能力
  • 第2号・第3号技能実習生:日本語能力試験N3以上、またはこれと同等以上の能力が原則

ただし、第2号技能実習については経過的な取扱いがあり、技能実習生が日本語を継続的に学ぶ意思を表明し、実習実施者のもとで介護に必要な日本語を学ぶ場合には、当分の間、要件を満たすものとみなされる場合があります。

日本語能力は技能実習評価試験の合否にも間接的に影響します。令和6年度老人保健健康増進等事業の調査によれば、介護福祉士国家試験の合格率はN1保有者で86.7%、N2保有者で53.4%、N3保有者では25.2%と、日本語レベルによって大きな差があります。技能実習段階から日本語学習を支援することが、長期的なキャリア形成にもつながります。

受検申請の手順と施設側が準備すること

Step1:受検申請の準備(監理団体が主導)

受検申請は、監理団体が中心となって進めます。

  1. 外国人技能実習機構(OTIT)の「受検手続支援サイト」に技能実習生の受検情報を登録する
  2. 「介護技能実習評価試験受検申請書」を作成し、受検する等級に必要な書類を添付する
  3. 原則として書留等(信書として送付可能な方式)で試験実施機関(シルバーサービス振興会)に送付する

申請のタイミング目安:

  • 初級:入国月から5ヶ月目までに受検申請書を提出、8ヶ月目を目安に受検
  • 専門級:実務経験24ヶ月経過後に申請書を提出、申請翌々月を目安に受検
  • 上級:実務経験48ヶ月経過後に申請書を提出、申請翌々月を目安に受検

Step2:施設側の事前準備

実技試験は施設内で実施されるため、施設側にも準備が必要です。

  • 利用者票の作成:試験評価者が課題を確認する利用者を選定するための書類。受検者1人につき1枚必要(複数受検者でも同じ内容のコピー可)
  • 試験キットの受領と管理:窓口担当者が試験評価者に渡す
  • 学科試験会場の確保:施設内の会議室等を準備する
  • 立ち会い職員の選定:安全面の観点から、実習実施者の職員1名(技能実習指導員が望ましい)が立ち会う

Step3:試験当日の流れ

当日のスケジュールは以下の通りです。

  1. 窓口担当者が「試験キット」を試験評価者に渡す
  2. 窓口担当者が「利用者票」を試験評価者に提出
  3. 学科・実技の順番を確認
  4. 学科試験会場の確認
  5. 試験評価者と受検者・立ち会い者の面接・本人確認
  6. 学科試験の実施(開始20分経過後から退席可)
  7. 実技試験の実施
  8. 試験評価者が「試験実施報告書」を作成

注意点・よくあるトラブル

  • 利用者票に記載の利用者が全員体調不良の場合、その場で新たに利用者を選定する必要があり、選定できなければ試験は中止・再日程調整となる
  • 実技試験の時間は原則60分以内(移動時間含む)。超過した場合は事務局が理由を確認のうえ判断する
  • 受検料の請求は監理団体宛てに届くが、振込人は実習実施者でも構わない
  • 試験評価者の指名・変更は監理団体や施設からは行えない

合格に向けた施設のサポート事例

合格に向けた施設のサポート事例|介護現場のイメージ

事例①:学習環境の整備で合格率向上

関東のある特別養護老人ホームでは、技能実習生の初級試験に向けて、日本語読解が難しい学科問題への対策として、施設職員が週1回の勉強会を開催しました。令和6年度老人保健健康増進等事業の調査によれば、外国人介護人材が受けた職場からの支援として「施設職員に勉強を教えてもらった」が36%と最も多く、職場ぐるみのサポートが合格率向上に直結することがわかります。

この施設では、N4レベルの日本語力で入国した実習生に対し、試験の過去問を平易な日本語で解説するプリントを作成。実技試験については、日常業務の中で評価項目を意識した介護を自然に習慣化させることで、試験当日の緊張を和らげる工夫をしました。

事例②:長期的な視点でキャリアを設計

九州のあるグループホームでは、技能実習生の受け入れ開始当初から「技能実習→特定技能→介護福祉士取得」という3段階のキャリアパスを提示し、本人のモチベーション維持に努めました。

令和6年度の調査では、外国人介護人材が国家試験を受けた理由として「日本で介護職として働き続けるため(68.9%)」「日本で長く住み続けたいため(55.2%)」が上位を占めています。技能実習評価試験の合格は、こうした長期的なキャリア形成の第一歩として位置づけることが、実習生のやる気を引き出すポイントになります。

よくある質問(専門家に聞く)

介護業界に精通した専門家、大町潤一氏(元看護師・介護福祉士、GENSAI Career Consulting Corp代表)に、外国人介護士の受け入れに関するリアルな疑問をぶつけました。

Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?

「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。

一番伝えたいこと

「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」

私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。

それは:

1. 受け入れる側の覚悟

  • 最初は時間がかかることを理解する
  • 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
  • 文化の違いを楽しむ心

2. 外国人介護士のポテンシャル

  • 真面目で一生懸命
  • 学ぶ意欲が高い
  • 利用者様を大切にする心

3. 長期的な視点

  • すぐに結果を求めない
  • 信頼関係を築くのに時間をかける
  • 3年、5年後の姿を一緒に描く

「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」

「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」

最後に

「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」

「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」

Q.看護師・介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?

「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。

元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:

1. 現場目線での人材選考

  • 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
  • 技術だけでなく、人柄や適性を重視
  • 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ

2. 実践的な教育プログラム

  • 現場で本当に必要な技術を優先
  • 教科書的な知識より、実際の動きを重視
  • 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える

3. 施設側の悩みに寄り添える

  • 「受け入れる側」の大変さを理解している
  • 現実的なアドバイスができる
  • 一緒に問題を解決する姿勢

「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」

介護技能実習評価試験に関するよくある質問

Q1. 介護技能実習評価試験は、特定技能の試験と同じですか?

A. いいえ、別の試験です。介護技能実習評価試験は技能実習制度における試験で、シルバーサービス振興会が実施します。一方、特定技能「介護」の取得に必要な「介護技能評価試験」と「介護日本語評価試験」は、主にCBT(コンピュータ試験)方式で実施される別の試験です。ただし、技能実習2号を修了した方は、特定技能の試験が免除される場合があります。制度改正もあるため、最新の公的資料をご確認ください。

Q2. 試験に不合格になった場合、再試験は受けられますか?

A. 再試験を受けることは可能です。ただし、再試験の日程調整は改めて行われるため、在留資格の移行スケジュールに影響が出る可能性があります。また、再試験の試験評価者は1回目と同一の者が選任されるとは限りません。不合格後の対応については、監理団体と早めに相談することをお勧めします。

Q3. 技能実習評価試験の受検料はどのくらいかかりますか?

A. 受検料は試験の等級や内容によって異なります。なお、2024年11月にシルバーサービス振興会より受検料の改定が案内されています。最新の受検料については、シルバーサービス振興会の公式サイトまたは監理団体を通じてご確認ください。

Q4. 訪問介護(訪問系サービス)でも技能実習評価試験を受けられますか?

A. 2025年4月1日より、技能実習生の訪問系サービスへの従事が認められました。これに伴い、2025年10月1日より訪問系サービスでの受検申請の受付も開始されています。ただし、適合確認申請や技能実習計画の変更認定など、別途手続きが必要です。詳細は国際厚生事業団や外国人技能実習機構のホームページをご確認ください。

Q5. 施設側が試験評価者を指定することはできますか?

A. 監理団体や実習実施者(施設)から試験評価者の指名や変更を要望することはできません。試験評価者の選定は、日程調整を通じて試験実施機関が行います。公正な評価を担保するための仕組みとなっています。

まとめ

介護技能実習評価試験は、技能実習生が次の在留資格へ移行するための重要な節目です。この記事のポイントを振り返ります。

  • 試験は3段階(初級・専門級・上級)あり、在留資格の移行ごとに受検が必要。最大5年間で合計3回受ける
  • 学科と実技の両方に合格が必要。実技試験は施設に試験評価者が訪問する「出張型」で、利用者票など施設側の準備も欠かせない
  • 申請タイミングを逃さないことが重要。初級は入国5ヶ月目までに申請、専門級・上級は実務経験期間を満たしてから速やかに申請を

受け入れ施設にとって、技能実習評価試験のサポートは単なる「手続き」ではなく、外国人介護士と長期的な信頼関係を築く第一歩でもあります。まずは監理団体や専門家に相談し、受け入れ体制を整えるところから始めてみてください。

> 【YMYL注意】本記事の内容は公開時点の情報に基づいています。制度改正や受検料改定が行われる場合がありますので、最終的な判断は厚生労働省・外国人技能実習機構・シルバーサービス振興会などの最新公式資料、または専門家にご確認ください。

出典・参考

  • 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…2026年・2040年の介護職員必要数推計の根拠
  • 厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」2025年資料…特定技能1号・技能実習在留者数データの根拠
  • 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日…介護技能評価試験累計合格者数・国籍別受入状況・都道府県別データの根拠
  • 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…日本語レベル別合格率・国家試験受検理由・職場支援内容の根拠
  • 一般社団法人シルバーサービス振興会 介護技能実習評価試験事務局(公式サイト)…試験内容・合格基準・申請手続き・最新事務連絡の根拠
  • 外国人技能実習機構(OTIT)「受検手続支援サイト」…受検申請手続きの根拠
  • 厚生労働省「外国人技能実習制度への介護職種の追加等について(通知)」(2016年11月28日 社援発1128第6号)…介護職種追加の経緯・固有要件の根拠

この記事の監修者

大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次