特定技能社員とは?正社員との違い・採用手順・費用を介護施設向けに解説

目次

結論(30秒でわかる要点)

特定技能社員とは、在留資格「特定技能」を持つ外国人労働者を、日本の企業が正社員・契約社員などの雇用形態で迎え入れた社員のことを指します。

重要ポイント3つ

  • 特定技能は人手不足が深刻な産業分野(2026年1月時点で19分野)を対象とした就労ビザで、介護分野でも活用が急拡大している
  • 雇用形態は正社員・契約社員など柔軟に対応でき、日本人社員と同等の待遇が求められる
  • 2024年12月末時点で介護分野の特定技能1号在留者数は44,367人に達し、制度開始から約5年で急増中

対象者: 外国人介護人材の受け入れを検討している介護施設の管理者・採用担当者

> ⚠️ 本記事の情報は執筆時点のものです。制度は随時更新されるため、最新情報は厚生労働省の公式資料でご確認ください。

はじめに

はじめに|フィリピン人介護士のイメージ

「人手不足が深刻で、日本人スタッフだけでは現場が回らない」「外国人を採用したいけれど、何から始めればいいかわからない」——介護施設を運営する方から、こうした声をよく耳にします。

そんな中、近年急速に注目を集めているのが「特定技能社員」という働き方です。在留資格「特定技能」を持つ外国人を、正社員や契約社員として迎え入れる取り組みは、介護業界でも着実に広がっています。

この記事では、以下の疑問にまとめてお答えします。

  • 特定技能社員とは何か、どんな制度なのか
  • 介護施設が受け入れるための手順と注意点
  • 実際にどんな施設が活用しているのか、具体的なイメージ
  • 専門家が語る、受け入れを成功させるためのポイント

制度の基礎から実践的な活用法まで、丁寧に解説していきますので、ぜひ最後までお読みください。

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特定技能社員とは何か|制度の基礎と背景

特定技能社員とは何か|制度の基礎と背景|フィリピン人介護士のイメージ

用語の定義

特定技能社員とは: 在留資格「特定技能」を取得した外国人が、特定産業分野の日本企業に正社員・契約社員等として雇用された状態の労働者を指す呼称です(40字)。

特定技能制度が生まれた背景

特定技能制度は、2019年4月に施行された比較的新しい在留資格です。日本国内の深刻な人手不足に対応するため、即戦力となる外国人労働者を受け入れることを目的として設けられました。

介護分野における人手不足は、数字を見ると一目瞭然です。厚生労働省の「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によれば、2022年時点で215万人だった介護職員数に対し、2026年には240万人(2022年比+25万人)、2040年には272万人(同+57万人)が必要とされています。この不足を日本人労働者だけで補うことは、現実的に困難な状況です。

こうした背景から、特定技能「介護」の在留者数は急増しています。制度開始直後の2019年12月末時点ではわずか19人だったものが、2024年12月末には44,367人に達しています(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。約5年間で約2,300倍という驚異的な伸びです。

特定技能1号と2号の違い

特定技能には「1号」と「2号」の2種類があります。それぞれの特徴を整理しておきましょう。

特定技能1号の特徴

  • 在留期間は最大5年間(1年・6ヶ月・4ヶ月の更新制)
  • 取得には「介護技能評価試験」と「介護日本語評価試験」の合格が必要
  • 家族の帯同は原則不可
  • 訪問系サービスは2025年4月から条件付きで従事可能(初任者研修修了・実務経験1年以上等)、直接雇用のみ

特定技能2号の特徴

  • 在留期間の上限なし(更新が可能)
  • 将来的に永住資格取得の条件を満たす可能性がある
  • 家族帯同が可能
  • 長期的な正社員雇用につながりやすい

なお、介護分野は特定技能2号の対象外です。介護分野で長期的なキャリア形成・雇用継続を目指す場合は、介護福祉士資格を取得して在留資格「介護」へ移行するルートになります(在留資格「介護」は更新回数に上限がなく、家族帯同も可能です)。

特定技能社員の対象分野と介護業界の位置づけ

特定技能制度は現在、介護・ビルクリーニング・建設・製造・農業・外食など19の特定産業分野を対象としています(2026年1月の閣議決定でリネンサプライ・物流倉庫・資源循環が追加)。

2024年12月末時点の国籍別内訳を見ると、インドネシア(12,242人・27.6%)、ミャンマー(11,717人・26.4%)、ベトナム(8,910人・20.1%)が上位3か国を占め、この5か国だけで全体の9割以上を占めています(出典:同上)。

受け入れ施設の種別では、特別養護老人ホームが最多(7,827件)で、次いで病院(2,446件)、認知症対応型共同生活介護(2,340件)と続きます(出典:同上)。

特定技能社員を採用するための手順と注意点

特定技能社員を採用するための手順と注意点|フィリピン人介護士のイメージ

Step1:試験合格と要件確認

特定技能「介護」で働くためには、外国人本人が以下の2つの試験に合格している必要があります。

  1. 介護技能評価試験:介護の基礎知識・実技に関する試験
  2. 介護日本語評価試験:介護現場で必要な日本語能力を測る試験

2025年3月時点の累計合格者数は、介護技能評価試験が128,567人に達しています。試験は日本国内だけでなく、フィリピン・インドネシア・ベトナムなど13か国でも実施されており、海外在住の人材を直接採用することも可能です(出典:同上)。

なお、技能実習2号を修了した外国人は、これらの試験が免除されるケースがあります。

Step2:雇用契約と支援計画の準備

特定技能社員を雇用する施設(受け入れ機関)は、以下の対応が求められます。

  • 日本人と同等以上の報酬・待遇の確保
  • 1号特定技能外国人支援計画の策定と実施
  • 生活オリエンテーション・住居確保支援など、生活面のサポート
  • 登録支援機関への委託(自社で対応できない場合)

支援計画の内容には、日本語学習の機会提供・相談窓口の設置・定期的な面談なども含まれます。採用後の定着を左右する重要なステップです。

Step3:在留資格の申請と入国手続き

海外から招聘する場合は、出入国在留管理庁への在留資格認定証明書の申請が必要です。交付後は外国人本人が本国の在外公館でビザ申請を行い、証明書交付から3ヶ月以内に入国する流れになります。

すでに国内在留中の外国人(留学生・技能実習修了者など)を採用する場合は、在留資格変更許可申請を行います。

採用・受け入れ時の注意点

  • 訪問介護などの訪問系サービスは、2025年4月21日から一定要件
    (初任者研修修了・実務経験1年以上・事業者の適合確認申請等)を満たせば従事可能
  • 直接雇用のみが認められており、派遣形態での受け入れは不可
  • 5年間の受入見込数の上限は135,000人と設定されている
  • 雇用条件・待遇において日本人との差別的扱いは禁止

特定技能社員の受け入れ事例|どんな施設で活躍しているか

特定技能社員の受け入れ事例|どんな施設で活躍しているか|フィリピン人介護士のイメージ

事例①:清掃・ビルメンテナンス分野での活用(※介護以外の参考事例)

ある企業では、深夜清掃専門部署においてベトナム人の技能実習生・特定技能社員を受け入れ、日本語能力試験合格への奨励や日常生活の環境整備を全力でサポートしています。技能検定試験への挑戦や懇親会の開催など、職場への定着と成長を後押しする取り組みが定着率の向上につながっています。

この事例から学べるポイントは、「業務スキルの習得」と「生活環境の安定」を並行してサポートすることが、特定技能社員の定着に直結するという点です。

事例②:小売業における「特定技能社員」という職位の活用
(※在留資格ではなく社内職位の例。介護以外の参考事例)

国内の大手ホームセンターでは、専門性の高い売り場担当者を「専任社員」として育成し、さらに高い技能を持つ人材を「特定技能社員」という社内職位に位置づけています(※この「特定技能社員」は在留資格とは別の社内呼称)。

この事例では、技能等級が上がるごとに基本日給に技能加給が加算され、「特定技能社員」に昇格すると日給月給制から月給制へと切り替わる仕組みが整備されています。40歳以降の入社が多く、平均年齢約50歳の専任社員層が各売り場の「顔」として活躍しており、専門性を持つ人材を長期的に育てる文化が根付いています。

この取り組みは、外国人介護士の受け入れにも参考になる視点を提供しています。「即戦力として使う」のではなく、「段階的に育て、専門性を認める仕組みを作る」ことが、長期的な定着につながるのです。

よくある質問(専門家に聞く)

看護師・介護福祉士として現場を経験し、現在はGENSAI Career Consulting Corp代表として外国人介護人材の支援を続ける大町潤一氏に、特定技能社員の受け入れについてよくある疑問を聞きました。

Q. 看護師・介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?

「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。

看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:

1. 現場目線での人材選考

  • 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
  • 技術だけでなく、人柄や適性を重視
  • 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ

2. 実践的な教育プログラム

  • 現場で本当に必要な技術を優先
  • 教科書的な知識より、実際の動きを重視
  • 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える

3. 施設側の悩みに寄り添える

  • 「受け入れる側」の大変さを理解している
  • 現実的なアドバイスができる
  • 一緒に問題を解決する姿勢

「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」

Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?

「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。

一番伝えたいこと

「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」

私が看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。

それは:

1. 受け入れる側の覚悟

  • 最初は時間がかかることを理解する
  • 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
  • 文化の違いを楽しむ心

2. 外国人介護士のポテンシャル

  • 真面目で一生懸命
  • 学ぶ意欲が高い
  • 利用者様を大切にする心

3. 長期的な視点

  • すぐに結果を求めない
  • 信頼関係を築くのに時間をかける
  • 3年、5年後の姿を一緒に描く

「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」

「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」

最後に

「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」

「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」

制度に関するよくある質問

Q1. 特定技能社員は正社員として雇用できますか?

A. はい、可能です。在留資格「特定技能」は就労ビザの一種であり、正社員・契約社員・パートタイムなど、さまざまな雇用形態での採用が認められています。ただし、日本人と同等以上の報酬・待遇を確保することが法令上の要件となっています。介護分野は特定技能2号の対象外のため、5年を超えて長期雇用する場合は、介護福祉士資格の取得による在留資格「介護」への移行が長期正社員雇用のルートになります。

Q2. 特定技能社員を受け入れるための費用はどのくらいかかりますか?

A. 費用は受け入れ方法によって異なります。主なコストとしては、登録支援機関への委託費用(月額2〜5万円程度が目安)、在留資格申請にかかる手数料、住居確保・生活支援にかかる初期費用などが挙げられます。海外から招聘する場合は渡航費・ビザ取得費用も発生します。人材紹介会社を利用する場合は紹介手数料が別途かかるケースもあります。具体的な金額は登録支援機関や紹介会社に直接確認することをおすすめします。

Q3. 特定技能社員は介護福祉士の国家試験を受けられますか?

A. 受けることができます。在留資格「介護」を取得するためのルートのひとつとして、特定技能1号で一定期間就労後に介護福祉士国家試験に合格し、在留資格「介護」へ移行するケースが増えています。日本語能力レベル別の合格率を見ると、N1保有者86.7%、N2保有者53.4%、N3保有者25.2%と、日本語力が合格率に大きく影響します(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)。施設側の学習支援が合否を左右する重要な要素です。

Q4. 特定技能社員の受け入れで、施設側に義務はありますか?

A. あります。受け入れ機関(施設)には、1号特定技能外国人支援計画の策定・実施が義務づけられています。具体的には、生活オリエンテーションの実施、住居確保の支援、日本語学習機会の提供、相談・苦情対応窓口の設置、定期的な面談などが含まれます。これらを自社で対応できない場合は、登録支援機関に委託することが可能です。義務を怠ると在留資格の更新や新規採用に影響が出る場合があるため、しっかりと体制を整えることが大切です。

Q5. 特定技能社員は訪問介護でも働けますか?

A. 以前は対象外でしたが、2025年4月21日から、一定の要件を満たせば特定技能外国人も訪問系サービスに従事できるようになりました。要件は、外国人本人が介護職員初任者研修を修了し実務経験1年以上あること、受け入れ事業者が適合確認申請・同行訪問・利用者への事前説明などを行うことなどです。訪問系を主とする事業所は、これらの要件を満たせるか事前に確認しておく必要があります(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。

まとめ

特定技能社員とは、在留資格「特定技能」を持つ外国人を正社員・契約社員等として雇用した労働者のことです。介護分野では2024年12月末時点で44,367人が在留しており、施設の人手不足解消に向けた重要な選択肢となっています。

この記事の3つの要点

  • 特定技能1号は最大5年間の就労が可能で、介護技能評価試験・介護日本語評価試験の合格が要件。訪問系サービスは対象外、直接雇用のみ
  • 受け入れ施設には支援計画の策定・実施が義務づけられており、生活面のサポート体制を整えることが定着率向上につながる
  • 外国人介護士を「人手不足の穴埋め」ではなく「一緒に成長する仲間」として迎え入れる姿勢が、長期的な成功のカギ

制度を正しく理解し、適切なサポート体制を整えることで、特定技能社員は施設の大切な戦力となります。まずは登録支援機関や専門家への無料相談から、一歩を踏み出してみてください。

> ⚠️【YMYL注意】本記事の内容は執筆時点の情報に基づいています。在留資格・制度要件は法改正により変更される場合があります。採用・雇用の最終判断は、出入国在留管理庁の公式資料および専門家(行政書士・登録支援機関等)にご確認ください。

出典・参考

  • 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日(https://www.mhlw.go.jp/)…特定技能1号在留者数推移・国籍別ランキング・受入施設種別・試験合格者数・受入上限の根拠
  • 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…2026年・2040年の介護職員必要数データの根拠
  • 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…介護福祉士国家試験の日本語レベル別合格率・職場支援内容の根拠
  • 出入国在留管理庁「特定技能ガイドブック」(https://www.moj.go.jp/)…特定技能制度の概要・申請手続きに関する公式情報
  • 厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」2025年資料…在留資格別の外国人介護人材在留者数(技能実習・EPA・在留資格「介護」含む)の根拠

この記事の監修者

大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。

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