技能実習生の廃止はいつから?育成就労制度への移行スケジュールと変更点を完全解説

目次

結論(30秒でわかる要点)

  • 技能実習制度は2027年4月1日に廃止され、「育成就労制度」へ移行する
  • 重要ポイント①:移行期間(3年間)があり、2030年頃まで両制度が並行して存在する
  • 重要ポイント②:新制度の目的は「国際貢献」から「人材育成・人材確保」へ根本的に転換
  • 重要ポイント③:転籍の自由化・日本語能力要件の新設など、外国人の権利保護が大幅に強化
  • 対象者:技能実習生の受け入れを行っている施設・企業の担当者、外国人採用を検討している方
  • ⚠️ 制度の詳細は今後も更新される可能性があるため、最新の公的資料(出入国在留管理庁・厚生労働省)で必ず確認してください。

はじめに

はじめに|介護現場のイメージ

「技能実習制度が廃止されると聞いたけれど、具体的にいつから?うちの施設への影響は?」

そんな疑問を持つ介護施設の担当者や、外国人採用を検討している企業の方は多いのではないでしょうか。2024年6月に関連法が国会で可決・成立し、技能実習制度の廃止と新制度「育成就労制度」への移行が正式に決定しました。しかし、具体的なスケジュールや変更内容について、まだ十分に理解できていないという声も少なくありません。

この記事でわかること:

  • 技能実習制度がいつ廃止され、何が変わるのかの全体像
  • 育成就労制度の仕組みと技能実習制度との具体的な違い
  • 受け入れ施設・企業が今から準備すべきこと
  • 専門家(看護師・介護福祉士)による現場目線のアドバイス

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技能実習制度が廃止される背景と理由

技能実習制度とは何か:定義と歴史

技能実習制度とは:1993年に始まった、開発途上国の外国人に日本の技術・技能を移転し、国際貢献を目的として最長5年間の就労を認める在留資格制度のことです。

制度開始から30年以上が経過し、受け入れ人数は大幅に増加しました。介護分野だけを見ても、厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」2025年資料によれば、技能実習の在留者数は15,909人(2023年12月末時点)にのぼります。一方で、制度の構造的な問題が長年にわたって指摘されてきました。

廃止に至った3つの構造的問題

問題①:転籍が原則禁止だった

技能実習制度では、劣悪な労働環境であっても受け入れ先を変えることが原則として認められていませんでした。これにより、外国人が職場から逃げ出す「失踪」が相次ぎ、法務省出入国在留管理庁のデータでは2023年に9,753人と過去最多を記録しています。

問題②:多額の借金を抱えての来日

来日前に送り出し機関や仲介者へ手数料を支払うため、実習生の5割以上が借金を抱えた状態で入国するケースが問題視されていました。借金返済のプレッシャーが、劣悪な環境でも我慢せざるを得ない状況を生み出していたのです。

問題③:国際的な批判の高まり

米国務省の年次報告書では、日本の技能実習制度が強制労働を含む可能性があると指摘され、「最低基準を完全に満たしていない」と評価されました。国際社会からの圧力も、制度見直しを加速させた大きな要因のひとつです。

廃止決定までのタイムライン

  • 2022年12月:有識者会議(技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議)が設置される
  • 2023年11月30日:有識者会議が最終報告書を政府に提出。「発展的解消」を提言
  • 2024年3月15日:育成就労制度の創設が閣議決定
  • 2024年6月14日:関連法(育成就労法)が国会で可決・成立
  • 2024年6月21日:改正法が公布(一部規定を除き、施行日は2027年4月1日)
  • 2027年4月1日:育成就労制度が施行開始(技能実習制度は経過措置へ)
  • 2030年頃:技能実習制度が完全廃止予定

育成就労制度の全体像:技能実習との違いを徹底比較

制度目的の根本的な転換

育成就労制度の最大の変化は、制度目的そのものの転換です。

  • 技能実習制度の目的:「開発途上国への技術移転を通じた国際貢献」
  • 育成就労制度の目的:「特定技能1号水準の技能を有する人材の育成」および「育成就労産業分野における人材確保」

つまり、「外国人に技術を教えて帰国させる」から「日本で長く活躍できる人材を育てる」へと、180度方針が転換されています。

技能実習制度と育成就労制度の主な比較

比較項目技能実習制度育成就労制度
制度目的国際貢献・技術移転人材育成・人材確保
在留期間最長5年(1号1年+2号2年+3号2年)原則3年(その後特定技能へ移行)
転籍原則不可一定期間後、本人意向での転籍が可能
対象職種91職種168作業 ※移行対象職種の最新値。育成就労産業分野(17分野)
日本語能力要件入国前の要件なし就労前にA1相当以上(N5等)が必須
特定技能への移行2号良好修了で試験免除技能試験・日本語試験の合格が原則必須
在留資格名技能実習1号・2号・3号育成就労

転籍の自由化:最も大きな変化のひとつ

育成就労制度では、一定の要件を満たせば本人の意向による転籍が認められます。具体的な要件は以下の通りです。

  1. 同一の受け入れ機関で一定期間(分野により1〜2年の範囲で省令設定)就労していること
  2. 技能検定試験基礎級等に合格していること
  3. 日本語能力が分野ごとに設定された水準(A1〜A2の範囲)に達していること

ただし、「3年間ひとつの受け入れ機関での計画的な育成が望ましい」という政府の基本的な考え方も示されています。転籍が自由化されることで、優良な施設への人材集中が進む可能性もあるため、受け入れ側の労働環境整備が一層重要になります。

日本語能力要件の新設

技能実習制度では入国前の日本語能力要件がありませんでしたが、育成就労制度では就労前にA1相当以上(日本語能力試験N5等)の合格が必須となります。

さらに、育成就労1年目終了前には日本語能力A1相当以上の試験受験が義務付けられ、特定技能1号へ移行する際にはA2相当以上(N4等)の合格が必要です。段階的な日本語能力向上を制度として組み込んだ点が、育成就労制度の大きな特徴といえます。

移行スケジュールと受け入れ施設がすべき準備

3つのフェーズで理解する移行スケジュール

フェーズ①:準備期間(現在〜2027年3月)

現行の技能実習制度は引き続き有効です。ただし、2027年4月1日の施行に向けて、監理支援機関の許可申請や育成就労計画の認定申請など、施行日前の準備申請が可能となっています。

フェーズ②:移行期間(2027年4月〜2030年頃)

育成就労制度が施行される一方、激変緩和措置として3年間の移行期間が設けられます。この期間中は技能実習生と育成就労外国人が混在することになります。

フェーズ③:完全移行(2030年頃)

技能実習制度が完全廃止となり、育成就労制度へ一本化されます。

受け入れ施設が今から進めるべき3つの準備

Step 1:対象分野・職種の確認

育成就労制度の対象は、特定技能制度と同じ17分野に限定されます。現在技能実習で受け入れている職種が育成就労の対象分野に含まれるかどうかを確認することが最初のステップです。介護分野は対象に含まれています。

Step 2:日本語教育体制の整備

育成就労では段階的な日本語能力向上が求められます。施設内での日本語学習サポート体制(勉強時間の確保、講師の手配など)を今から整えておくことが重要です。厚生労働省の調査によれば、外国人介護人材が受けた職場からの支援として「施設職員に勉強を教えてもらった」が36%、「日本語の先生に教えてもらった」が26.7%、「勤務時間やシフトの調整」が24.8%となっており(令和6年度老人保健健康増進等事業調査)、早期からの支援体制が定着率に直結します。

Step 3:育成就労計画の策定準備

育成就労制度では、外国人ごとに3年間の「育成就労計画」を作成し、外国人育成就労機構による認定を受けることが義務付けられます。計画と実態に乖離があると是正指導や認定取消しの対象になるため、実態に即した計画策定が不可欠です。

介護分野への影響:外国人介護人材の今と今後

介護分野における外国人人材の現状

介護分野では、深刻な人手不足が続いています。厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によれば、2022年の介護職員実績は215万人ですが、2026年には240万人(2022年比+25万人)、2040年には272万人(同+57万人)が必要とされています。この大きなギャップを埋める手段のひとつとして、外国人介護人材の活用がますます重要になっています。

特定技能「介護」の在留者数は、制度開始の2019年12月末時点でわずか19人でしたが、2024年12月末には44,367人にまで増加しました(厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。約5年で約2,300倍という急成長を遂げており、外国人介護人材の活用は今や不可欠な選択肢となっています。

育成就労制度が介護施設にもたらすメリット

  • 長期定着の実現:育成就労(3年)→特定技能1号(最長5年)→介護福祉士の取得による在留資格「介護」(更新回数の上限なし)という一貫したキャリアパスが描けるようになり、同一人材を長期雇用できる可能性が高まります(介護分野は特定技能2号の対象外のため、長期就労は在留資格「介護」への移行がルートとなります)。
  • 日本語能力の底上げ:入国前からN5相当の日本語能力が求められるため、コミュニケーション面での即戦力化が期待できます。
  • 計画的な人材育成:3年間の育成就労計画に沿って、段階的なスキルアップを施設として設計できます。

注意すべきデメリット・リスク

  • 転籍リスクの増大:一定期間後に本人意向での転籍が可能になるため、労働環境の整備や職場の魅力向上が以前にも増して重要になります。
  • 費用負担の増加:送り出し機関への手数料は月給の2カ月分を上限とし、それを超える分は企業または監理支援機関が負担する方針です。1人あたり年間50〜100万円程度の費用増加が見込まれるとも言われています。
  • 対象職種の縮小:技能実習の91職種から育成就労の17分野へと対象が絞られるため、一部の職種では外国人材の受け入れが難しくなる可能性があります。

よくある質問(専門家に聞く)

介護ケアジャパン・GENSAI Career Consulting Corp代表の大町潤一氏(看護師・介護福祉士)に、現場目線から聞きました。

Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?

「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。

一番伝えたいこと

「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」

私が看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。

それは:

1. 受け入れる側の覚悟

  • 最初は時間がかかることを理解する
  • 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
  • 文化の違いを楽しむ心

2. 外国人介護士のポテンシャル

  • 真面目で一生懸命
  • 学ぶ意欲が高い
  • 利用者様を大切にする心

3. 長期的な視点

  • すぐに結果を求めない
  • 信頼関係を築くのに時間をかける
  • 3年、5年後の姿を一緒に描く

「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」

「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」

最後に

「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」

「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」

Q. 元看護士・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?

「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。

看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:

1. 現場目線での人材選考

  • 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
  • 技術だけでなく、人柄や適性を重視
  • 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ

2. 実践的な教育プログラム

  • 現場で本当に必要な技術を優先
  • 教科書的な知識より、実際の動きを重視
  • 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える

3. 施設側の悩みに寄り添える

  • 「受け入れる側」の大変さを理解している
  • 現実的なアドバイスができる
  • 一緒に問題を解決する姿勢

「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」

技能実習廃止・育成就労制度に関するよくある質問

Q1. 現在受け入れている技能実習生は、2027年以降どうなりますか?

A. 2027年4月1日の施行後も、3年間の移行期間(激変緩和措置)が設けられています。この期間中は、既存の技能実習生は引き続き技能実習制度のルールのもとで在留・就労を続けることができます。ただし、2027年4月1日以降に新たに技能実習の在留資格で外国人を受け入れることはできなくなります。2030年頃の完全廃止までに、育成就労制度への切り替えを進める必要があります。

Q2. 育成就労制度で受け入れられる職種は介護も含まれますか?

A. はい、介護は育成就労制度の対象17分野のひとつに含まれています。現在の特定技能制度の対象分野と原則として一致させる方針のため、特定技能「介護」が認められている介護分野は、育成就労でも受け入れが可能です。なお訪問系サービスについては、2025年4月から技能実習・特定技能の外国人も、介護職員初任者研修の修了や実務経験1年以上などの要件を満たせば従事できるようになっています。

Q3. 育成就労から特定技能1号への移行に試験は必要ですか?

A. はい、技能実習制度と異なり、育成就労制度では原則として試験合格が必須です。具体的には、「技能検定試験3級等または特定技能1号評価試験」と「日本語能力A2相当以上(N4等)」の両方に合格する必要があります。試験に不合格となった場合、同じ受け入れ機関での就労を続ける場合に限り、最長1年の在留継続が認められます。

Q4. 技能実習制度の廃止で、外国人材の採用コストは増えますか?

A. 増加する可能性が高いとされています。育成就労制度では、外国人が送り出し機関に支払う手数料の上限が「月給の2カ月分」と定められており、それを超える分は企業または監理支援機関が負担することになります。また、段階的な日本語教育支援や育成就労計画の策定・管理など、受け入れ側の対応コストも増える見込みです。1人あたり年間50〜100万円程度の費用増加が見込まれるとも指摘されています。

Q5. 育成就労制度の「転籍」は、受け入れ施設にとってリスクになりませんか?

A. 転籍が自由化されることは、受け入れ側にとって人材流出リスクが増すという側面があります。ただし、転籍には「一定期間の就労」「技能試験合格」「日本語能力の到達」という要件が設けられており、入国直後に転籍できるわけではありません。むしろ、この制度変更を機に、職場環境の改善や処遇向上、外国人スタッフが働きやすい職場づくりに取り組むことが、長期定着につながる近道といえます。

まとめ

技能実習制度の廃止と育成就労制度への移行について、重要なポイントを整理します。

  • 廃止のスケジュール:2027年4月1日に育成就労制度が施行。3年間の移行期間を経て、2030年頃に技能実習制度は完全廃止となる
  • 制度の根本的な変化:「国際貢献」から「人材育成・人材確保」へ目的が転換。転籍の自由化・日本語能力要件の新設・特定技能への試験必須化など、外国人の権利保護と長期定着が制度の中心に据えられた
  • 介護施設がすべきこと:対象分野の確認・日本語教育体制の整備・育成就労計画の策定準備を早期に進めることが重要

2027年の施行まで、残り時間はそれほど多くありません。「育成就労制度への対応をどこから始めればいいかわからない」という方は、まず外国人介護人材の受け入れ支援に精通した専門機関への相談から始めてみてください。

【YMYL注意】本記事の内容は執筆時点の情報に基づいています。制度の詳細・要件・スケジュールは今後変更される可能性があります。最終的な判断は、出入国在留管理庁・厚生労働省の最新公表資料、または専門家(行政書士・社会保険労務士等)にご確認ください。

出典・参考

  • 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」(令和7年3月28日)…特定技能「介護」在留者数の推移・国籍別ランキング・受入施設種別データの根拠 https://www.mhlw.go.jp/
  • 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…2026年・2040年の介護職員必要数データの根拠 https://www.mhlw.go.jp/
  • 出入国在留管理庁「育成就労制度の概要(令和7年12月改訂)」…育成就労制度の施行日・制度概要の根拠 https://www.moj.go.jp/
  • 出入国在留管理庁「育成就労制度・特定技能制度Q&A」…制度詳細・移行要件・転籍要件の根拠 https://www.moj.go.jp/
  • 厚生労働省「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)について」…技能実習制度の現行ルール・移行対象職種の根拠 https://www.mhlw.go.jp/
  • 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…日本語レベル別合格率・職場支援の実態データの根拠
  • 技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議「最終報告書」(2023年11月30日)…育成就労制度創設の提言・制度見直し4つの方向性の根拠 https://www.moj.go.jp/

この記事の監修者

大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。

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