結論(30秒でわかる要点)
特定技能ビザ「介護」を取得するには、技能試験と日本語試験の2種類に合格することが最短ルートです。
- 重要ポイント①:介護技能評価試験(45問・60分)と介護日本語評価試験(15問・30分)の両方に合格が必要
- 重要ポイント②:合格基準はどちらも総得点の60%以上。CBT方式で国内外で随時受験できる
- 重要ポイント③:介護分野には特定技能2号がなく、キャリアアップは在留資格「介護」(介護福祉士)が目標となる
対象者:外国人介護士の採用を検討している施設担当者、および特定技能ビザ取得を目指す外国人本人
> ⚠️ 本記事の情報は執筆時点のものです。制度・試験要件は随時更新されるため、最新情報は厚生労働省・出入国在留管理庁の公式サイトでご確認ください。
はじめに:介護業界が今、外国人材に注目する理由

「外国人介護士を採用したいが、どんな試験に合格すれば特定技能ビザが取れるのかわからない」——そんな声が施設担当者から多く届いています。一方で、特定技能ビザを目指す外国人側からも「試験の種類が多くて混乱している」という相談が後を絶ちません。
厚生労働省の発表によると、2026年には介護職員が2022年比で25万人不足し、2040年にはさらに57万人の追加確保が必要とされています(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)。こうした深刻な人材不足を背景に、特定技能「介護」の在留者数は2019年末のわずか19人から2024年末には44,367人へと急増しています(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。
この記事でわかることは、以下の3点です。
- 特定技能ビザ「介護」に必要な試験の種類・内容・合格基準
- 受験申込の手順と注意事項(国内・海外別)
- 試験合格後にビザを取得するまでの流れと、介護福祉士へのキャリアアップ
施設担当者も、受験を目指す外国人本人も、ぜひ最後までお読みください。
特定技能ビザ「介護」と試験制度の基礎知識

「特定技能ビザ介護試験」とは何か
定義:特定技能ビザ「介護」試験とは、外国人が日本の介護施設で就労するための在留資格「特定技能1号(介護)」を取得するために受験が義務づけられた、介護技能評価試験および介護日本語評価試験の総称です。
試験が免除されるケース
すべての外国人が試験を受けなければならないわけではありません。以下に該当する場合は、試験免除となります。
- 介護分野の第2号技能実習を良好に修了した方
- EPA(経済連携協定)介護福祉士候補者として在留期間を満了した方
- 介護福祉士の国家資格を保有している方
上記に該当しない場合は、技能試験・日本語試験の両方に合格することが必須です。
介護分野の特定技能が他分野と異なる点
介護分野には、他の特定技能分野にはない独自のルールがいくつかあります。
- 日本語試験が2種類必要:通常の日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT N4以上)に加え、介護専門の「介護日本語評価試験」への合格が求められる
- 特定技能2号が存在しない:2023年の制度拡大後も介護分野は2号の対象外。キャリアアップは在留資格「介護」(介護福祉士取得)が目標となる
- 訪問系サービスへの従事:令和7年4月から、介護職員初任者研修を修了し実務経験1年以上を有する場合に限り、訪問介護等への従事が認められるようになった
試験の種類・内容・合格基準を徹底解説

必要な試験は最大3種類
特定技能ビザ「介護」を取得するために必要な試験は、次のとおりです。
- 介護技能評価試験(技能試験)
- 介護日本語評価試験(介護専門の日本語試験)
- 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)またはJLPT N4以上(一般日本語試験)
このうち①と②は同日に受験することも可能です。
介護技能評価試験の詳細
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 問題数 | 45問(学科40問+実技5問) |
| 試験時間 | 60分 |
| 試験科目 | 介護の基本(10問)、こころとからだのしくみ(6問)、コミュニケーション技術(4問)、生活支援技術(20問)、実技試験(5問) |
| 実施方法 | CBT(コンピューター・ベースド・テスティング)方式 |
| 受験手数料 | 約2,000円(2025年4月1日以降改定) |
| 合格基準 | 総得点の60%以上 |
| 試験言語 | 日本語・英語・ベトナム語・インドネシア語・タイ語・ビルマ語・モンゴル語・ネパール語・クメール語・中国語・ウズベク語・ベンガル語・ウルドゥー語(13言語) |
実技試験はCBT方式で行われ、実際に体を動かす試験ではなく、画面上で状況を判断する形式です。
介護日本語評価試験の詳細
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 問題数 | 15問 |
| 試験時間 | 30分 |
| 試験科目 | 介護のことば(5問)、介護の会話・声かけ(5問)、介護の文書(5問) |
| 実施方法 | CBT方式 |
| 受験手数料 | 約2,000円(2025年4月1日以降改定) |
| 合格基準 | 総得点の60%以上 |
| 試験言語 | 日本語のみ |
介護日本語評価試験は日本語のみでの出題となるため、日常会話レベルの日本語力(N4程度)が事前に身についていることが望ましいです。
一般日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT)
| 試験名 | 合格基準 | 受験料 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| JFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト) | 総合得点200点以上 | 7,000円 | CBT方式、随時受験可能 |
| JLPT N4 | 180点満点中90点以上かつ各パート基準点以上 | 6,500円 | 年2回実施(7月・12月) |
JFT-BasicはCBT方式で随時受験できるため、試験のタイミングを柔軟に設定しやすいというメリットがあります。
受験申込の手順と注意事項(Step別解説)

Step 1:プロメトリックIDを作成する
介護技能評価試験・介護日本語評価試験は、プロメトリック株式会社が運営しています。受験には専用のプロメトリックIDが必要です。
- 公式サイトからID作成ページにアクセス
- メールアドレスを登録し、パスワードを設定
- パスポート情報(またはインドネシアの場合はe-KTP情報)を正確に入力
- 1人で複数のIDを取得することは禁止。重複取得は受験結果が無効になる場合があります
Step 2:試験を予約する
IDを取得したら、試験の予約を行います。
- 試験日の59日前から最短3営業日前の23:59(日本時間)まで予約可能
- 試験日が土日・祝日の場合は4営業日前まで
- 国内受験の場合は顔写真のアップロードが必要
- 支払い方法を選択して予約完了
Step 3:当日の準備と注意事項
当日に必要なものと注意点は以下のとおりです。
- 持参するもの:確認書(マイページから印刷)+本人確認書類(パスポートまたは在留カード原本)
- 入場開始:試験開始の45分前から。試験開始30分前までに必ず会場へ到着すること
- 本人確認書類のスマートフォン画面やコピーは不可
- 本人確認書類の氏名・パスポート番号・生年月日がプロメトリックIDの登録情報と一致していること
Step 4:合否確認と再受験ルール
- 試験終了後、画面上で合否が表示される
- 結果通知書は受験翌日〜5営業日以内にマイページで確認可能
- 不合格の場合、試験日翌日から45日間は同じ試験の再受験不可
- 言語が異なっても科目が同じであれば同一試験とみなされる点に注意
試験の実施状況と合格者数の現状

急増する合格者数
厚生労働省の公表データによると、介護技能評価試験の累計合格者数は2019年4月〜2025年1月の間に120,220人に達しています。そのうち国内合格者が40,722人、海外合格者が79,498人と、海外受験者が約2倍を占めます(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。
介護日本語評価試験の累計合格者数は同期間で113,572人(国内40,553人、海外73,019人)となっており、令和4年度から令和5年度にかけて海外合格者が約2倍に増加しています。
試験が実施される国と地域
試験は日本国内(47都道府県)のほか、以下の13か国で実施されています。
- フィリピン(マニラ・セブ・ダバオ)
- カンボジア(プノンペン)
- ネパール(カトマンズ・ポカラ)
- インドネシア(ジャカルタほか複数都市)
- モンゴル(ウランバートル)
- タイ(バンコク)
- ミャンマー(ヤンゴン・マンダレー)
- インド(グルグラムほか)
- スリランカ(コロンボ)
- ウズベキスタン(タシケント)
- バングラデシュ(ダッカ)
- ベトナム(ハノイ・ホーチミン)
現在、特定技能「介護」在留者の国籍上位はインドネシア(12,242人・27.6%)、ミャンマー(11,717人・26.4%)、ベトナム(8,910人・20.1%)の順で、上位5か国で全体の9割以上を占めます(2024年12月31日時点、出典:同上)。
試験合格後のビザ取得と介護福祉士へのキャリアパス

試験合格からビザ取得までの流れ
試験に合格しても、自動的に特定技能ビザが付与されるわけではありません。在留資格の認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請を経て、初めてビザが取得できます。
- 介護技能評価試験・介護日本語評価試験・一般日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT N4以上)の全試験に合格
- 受け入れ施設(特定技能所属機関)との雇用契約を締結
- 出入国在留管理庁へ在留資格の申請
- 審査通過後、在留資格「特定技能1号(介護)」を取得
特定技能1号の在留期間と上限
特定技能1号の通算在留期間は最長5年です。介護分野には特定技能2号がないため、引き続き日本で働くには在留資格「介護」(介護福祉士)の取得を目指すことになります。
介護福祉士国家試験と日本語レベルの関係
介護福祉士国家試験の合格率は、日本語能力と密接に関係しています。
| 日本語能力レベル | 合格率 |
|---|---|
| N1保有者 | 86.7% |
| N2保有者 | 53.4% |
| N3保有者 | 25.2% |
| N4保有者 | 25.0% |
| N5保有者 | 12.5% |
(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」)
N2以上の日本語力があれば合格率が大幅に向上することがわかります。特定技能1号として働きながら、日本語学習を継続することが長期的なキャリア形成の鍵です。
パート合格制度による在留期間延長(2025年以降の新制度)
令和8年1月21日付の厚生労働省通知により、介護福祉士国家試験のパート合格(合格パートの受験免除)制度を利用した在留期間延長措置が導入されました。
- 5年の通算在留期間に達する前の最終年度の国家試験で、1パート以上合格かつ合格基準点(64点)の8割以上(52点以上)を得点していることが条件
- 申請は特定技能所属機関が厚生労働省へ郵送で提出(持参・メール不可)
- 在留期限が到来する前に申請を完了させることが必要
この制度により、国家試験に一発合格できなかった場合でも、一定の条件を満たせば在留期間を延長して再挑戦できるようになりました。
よくある質問(専門家に聞く)
GENSAI Career Consulting Corp代表・大町潤一氏(元看護師・介護福祉士)に、施設担当者からよく寄せられる疑問をぶつけました。
Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?
「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。
一番伝えたいこと
「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」
私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。
それは:
1. 受け入れる側の覚悟
- 最初は時間がかかることを理解する
- 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
- 文化の違いを楽しむ心
2. 外国人介護士のポテンシャル
- 真面目で一生懸命
- 学ぶ意欲が高い
- 利用者様を大切にする心
3. 長期的な視点
- すぐに結果を求めない
- 信頼関係を築くのに時間をかける
- 3年、5年後の姿を一緒に描く
「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」
「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」
最後に
「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」
「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」
Q. 元看護師・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?
「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。
元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:
1. 現場目線での人材選考
- 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
- 技術だけでなく、人柄や適性を重視
- 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ
2. 実践的な教育プログラム
- 現場で本当に必要な技術を優先
- 教科書的な知識より、実際の動きを重視
- 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える
3. 施設側の悩みに寄り添える
- 「受け入れる側」の大変さを理解している
- 現実的なアドバイスができる
- 一緒に問題を解決する姿勢
「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」
制度に関するよくある質問
Q1. 特定技能ビザ「介護」の試験は、何歳から受験できますか?
A. 試験日に満17歳以上であれば受験できます。ただし、インドネシア国籍の方は試験日に満18歳以上であることが条件です。また、日本国籍を持つ方は受験できません。国内試験の場合は在留資格を有していることが必要ですが、「短期滞在」の在留資格でも受験可能です。不法残留者は受験できません。
Q2. 試験に合格すれば、特定技能ビザは自動的に取得できますか?
A. いいえ、試験合格はあくまでビザ申請の要件の一つです。合格後も、受け入れ施設との雇用契約の締結、出入国在留管理庁への在留資格申請・審査を経て初めてビザが取得できます。試験合格がビザ付与を保証するものではない点にご注意ください。
Q3. 不合格だった場合、すぐに再受験できますか?
A. 不合格の場合、試験日の翌日から起算して45日間は同じ試験を受験できません。なお、試験言語が異なっても科目が同じであれば同一試験とみなされます。45日以内に再受験して合格したことが判明した場合、合格が取り消される可能性があるため注意が必要です。
Q4. 特定技能「介護」で訪問介護の仕事はできますか?
A. 従来は訪問系サービスは対象外でしたが、令和7年4月から条件付きで認められるようになりました。介護職員初任者研修課程を修了し、介護事業所での実務経験が1年以上ある場合に限り、訪問介護等への従事が可能です。受け入れ事業者は事前に利用者・家族への説明や、研修・同行訓練などの体制整備が必要です。
Q5. 特定技能1号の5年間が終わった後、日本に残るにはどうすればよいですか?
A. 介護分野には特定技能2号がないため、在留資格「介護」(介護福祉士)の取得が主なキャリアアップルートです。介護福祉士の国家資格を取得すれば、在留期間の上限なく日本で働き続けることができます。また、2025年以降は介護福祉士国家試験のパート合格制度を利用した在留期間延長措置も導入されており、一定条件を満たせば5年を超えて在留できる場合があります。
まとめ
特定技能ビザ「介護」の取得には、以下の3点が重要なポイントです。
- 試験は最大3種類:介護技能評価試験・介護日本語評価試験・一般日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT N4以上)のすべてに合格することが必要。技能実習2号修了者などは免除あり
- 試験はCBT方式で随時受験可能:国内47都道府県および海外13か国で実施。不合格後は45日間の再受験制限があるため、計画的な受験スケジュールを立てることが大切
- 合格後もビザ取得には手続きが必要:試験合格はビザ申請の要件の一つ。在留資格の申請・審査を経て初めてビザが取得できる
外国人介護士の採用を検討している施設担当者の方は、まず試験制度の全体像を把握したうえで、受け入れ体制の整備を並行して進めることをお勧めします。介護ケアジャパン・GENSAI Career Consulting Corpでは、試験対策から採用後のフォローまで、現場を知る専門家が一緒にサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。
> ⚠️【YMYL注意】本記事の内容は執筆時点の情報に基づいています。特定技能制度・試験要件・在留資格の運用は法令改正等により変更される場合があります。最終的な判断は、厚生労働省・出入国在留管理庁の最新公的資料および専門家(行政書士・社会保険労務士等)にご確認ください。
出典・参考
- 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日…特定技能「介護」在留者数の推移・国籍別ランキング・試験実施国・受入上限の根拠
- 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…2026年・2040年の介護職員必要数データの根拠
- 厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」(厚労省公式サイト)…試験制度の概要・対象施設・受験資格の根拠
- 厚生労働省「介護福祉士国家試験のパート合格(合格パートの受験免除)による在留期間延長措置について」(社援発0121第10号、令和8年1月21日)…在留期間延長措置の手続き・条件の根拠
- 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…日本語レベル別介護福祉士国家試験合格率の根拠
- 出入国在留管理庁「在留資格『特定技能』に係る申請手続」(出入国在留管理庁公式サイト)…在留資格申請手続きの根拠
- プロメトリック株式会社「介護技能評価試験・介護日本語評価試験」公式サイト…受験申込手順・ID作成・試験予約・合否確認の根拠
この記事の監修者
大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。
