育成就労と特定技能の違いと比較 2027年新制度の目的・在留期間・移行条件

目次

結論(30秒でわかる要点)

育成就労と特定技能の違いは、「人材を育てる制度か、即戦力を活かす制度か」という目的の違いに集約されます。

  • 育成就労:2027年4月施行予定。3年間で特定技能1号水準まで育成することを目的とした新制度
  • 特定技能:2019年から運用中。技能試験・日本語試験に合格した即戦力外国人を受け入れる制度
  • キャリアパス:育成就労(原則3年)→ 特定技能1号(通算最長5年)への移行を見据えた制度設計。
    介護分野では特定技能2号の対象外のため、長期就労を目指す場合は、
    介護福祉士を取得して在留資格「介護」へ変更するルートが中心

この記事は、外国人材の受け入れを検討している施設・企業の担当者、人事責任者、施設長の方を主な対象としています。

⚠️ 本記事の内容は2026年時点の情報をもとにしています。育成就労制度の詳細は政省令・告示により今後変更される可能性があります。最新情報は出入国在留管理庁・厚生労働省の公式資料でご確認ください。

はじめに:「どの制度を使えばいいのか」が分からない方へ

はじめに:「どの制度を使えばいいのか」が分からない方へ|介護現場のイメージ

「技能実習が廃止されると聞いたけど、育成就労と特定技能は何が違うの?」「うちの施設には、どちらの制度が合っているのだろう?」

こうした疑問を持つ施設担当者の方は、今とても多いと思います。2027年4月に育成就労制度が施行されることで、これまでの技能実習制度は廃止となり、外国人材の受け入れ方法が大きく変わります。制度の名前は聞いたことがあっても、具体的に何がどう変わるのかを整理できていない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、以下の点をわかりやすく解説します。

  • 育成就労と特定技能、それぞれの制度目的と基本的な違い
  • 在留期間・転籍・日本語要件など実務上の重要な比較ポイント
  • 自施設・自社にはどちらの制度が向いているかの判断基準
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育成就労と特定技能の違いを理解するための基礎知識

育成就労と特定技能の違いを理解するための基礎知識|介護現場のイメージ

「育成就労・特定技能の違い」とは何か:40字定義

育成就労は「3年かけて特定技能1号水準の人材を育成する制度」、特定技能は「試験合格済みの即戦力人材を受け入れる制度」です。

技能実習制度廃止の背景

1993年に始まった技能実習制度は、「開発途上国への技術移転・国際貢献」を目的として設計されました。しかし実態として、外国人を「実習生」として位置づけながら労働力として活用するという制度上の矛盾が長年指摘されてきました。

主な問題点を整理すると、以下のとおりです。

  • 原則として本人意向による転籍(転職)が認められず、劣悪な環境でも離れられない構造
  • 毎年5,000人以上の失踪者が発生し続けた(令和6年は6,510人)
  • 国際機関・海外メディアから人権面での批判が相次いだ
  • 特定技能制度との職種ミスマッチにより、修了後に同じ分野で働けないケースが生じた

こうした課題を受け、2024年6月に改正出入国管理法が可決。技能実習制度は廃止され、2027年4月1日より育成就労制度へ移行することが決定しました。

3つの制度が描くキャリアラダー

現行制度と新制度の流れを比較すると、次のように整理できます。

【現行】
技能実習1号 → 2号 → 3号 → 特定技能1号 → 特定技能2号

【新制度(2027年以降)】
育成就労(3年) → 特定技能1号(最長5年) → 特定技能2号(更新制・上限なし)

育成就労は「特定技能1号水準への到達」を明確なゴールとして設計されており、特定技能制度と地続きのキャリアパスを形成している点がこれまでとの最大の違いです。

※介護分野は特定技能2号の対象外です。介護分野で長期的に日本で働き続けるには、介護福祉士を取得し、在留資格「介護」へ変更するルートが中心になります。

育成就労と特定技能の違い:6つの重要ポイント

育成就労と特定技能の違い:6つの重要ポイント|介護現場のイメージ

実務で特に影響が大きい6つの観点から、育成就労・特定技能を比較します。

①制度の目的:「国際貢献」から「人材確保・育成」へ

制度目的外国人の位置づけ
技能実習(廃止予定)開発途上国への技術移転・国際貢献実習生
育成就労人材育成・人手不足分野への定着育成中の労働者
特定技能1号即戦力人材の受け入れ・人手不足解消即戦力労働者
特定技能2号高度技能人材の長期定着熟練労働者

育成就労は「育てること」が制度の本旨であり、受け入れ機関には3年間を通じた教育・支援が求められます。一方、特定技能は採用時点で業務に従事できる即戦力であることが前提です。

②在留期間:育成就労は3年、特定技能は最長5年〜上限なし

  • 育成就労:原則3年。修了後は特定技能1号への移行を前提とした設計
  • 特定技能1号:通算最長5年(更新制)
  • 特定技能2号:在留期間の更新回数に上限なし。家族帯同も認められる

介護分野を例にとると、育成就労(3年)→ 特定技能1号(最長5年)→ 介護福祉士取得による在留資格「介護」への変更、という長期定着のルートが描けます。厚生労働省の調査によれば、特定技能「介護」の在留者数は2024年12月末時点で44,367人に達しており(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)、2019年の制度開始時(19人)から約5年で大幅に増加しています。

③転籍(転職)ルール:育成就労では条件付きで転籍が可能に

技能実習制度では、原則として本人意向による転籍は認められていませんでした。これが人権侵害の温床として最も強く批判された点のひとつです。

育成就労では、一定の要件を満たした場合に転籍が認められます。現在示されている主な要件は以下のとおりです。

  • 転籍前の機関での就労期間が1年以上(分野により2年以上の場合あり)であること
  • 分野ごとに定められた日本語能力水準を満たしていること
  • 技能検定基礎級等に合格していること
  • 転籍先が同一業務区分で、適正な受け入れ基準を満たしていること
  • ハローワークや監理支援機関など、適切なルートを通じた転籍であること

特定技能では、制度上転籍(転職)は認められており、採用時から転職の自由があります。ただし、転職後も同一分野・業務区分内であることが必要です。

④日本語要件:育成就労は入国時からN5相当が必要

制度・タイミング日本語要件
技能実習(入国時)原則不要。ただし、介護分野など一部職種では日本語要件あり
育成就労(就労開始前)A1相当以上の試験合格、または相当する日本語講習の受講
育成就労(特定技能1号への移行時)A2相当以上の日本語試験合格
特定技能1号(採用時)技能試験と日本語試験の合格が原則必要。ただし、技能実習2号を良好に修了した場合などは免除される場合あり
特定技能2号(移行時)分野により要件が異なる。※介護分野は特定技能2号の対象外

育成就労では、入国前に最低限の日本語能力が求められるようになります。さらに3年間の育成期間中に、受け入れ機関は外国人がA2相当の日本語能力を習得できるよう機会を提供する義務を負います。日本語教育の支援体制を整えることが、受け入れ機関にとっての重要な準備事項のひとつです。

⑤対象分野・職種:技能実習から大幅に整理・統合

  • 技能実習:94職種171作業(細かく限定的な作業単位)
  • 育成就労:17分野(特定技能と同じ分野単位で幅広い業務が可能)
  • 特定技能1号:19分野

育成就労の対象となる「育成就労産業分野」は、介護・建設・農業・漁業・製造業・飲食料品製造・外食業など17分野が想定されています。技能実習では特定技能への移行時に職種ミスマッチが生じるケースがありましたが、育成就労では特定技能と分野を揃えることで、3年後にスムーズに移行できる設計になっています。

⑥サポート体制:監理団体から「監理支援機関」へ

  • 技能実習:「監理団体」が指導・監督
  • 育成就労:「監理支援機関」(新設)が支援。監理支援機関には2者以上の育成就労実施者を監理すること、常勤役職員1人あたり育成就労実施者8者未満・育成就労外国人40人未満などの要件が設けられる
  • 特定技能:企業自ら、または委託を受けた「登録支援機関」が支援

育成就労・特定技能、どちらを選ぶべきか:施設・企業別の判断基準

「育成就労」が向いているケース

  • 時間をかけて自施設の文化・ケア方法を教え込みたい:入職から3年間、OJTを通じて自施設のやり方を丁寧に伝えられる
  • 将来の特定技能・介護福祉士候補を若いうちから確保したい:育成就労→特定技能1号→介護福祉士という長期キャリアを一緒に描ける
  • ゼロから育てることに意義を感じる施設:日本語教育・技能教育の体制を整えられる施設に向いている

「特定技能」が向いているケース

  • すぐに現場に入れる即戦力が必要:試験合格済みのため、採用後比較的早期に独立した業務が可能
  • 教育体制をゼロから構築する余裕がない:登録支援機関に支援を委託しながら受け入れができる
  • 海外現場経験者を採用したい:特定技能試験は海外でも実施されており(13か国で展開)、母国で経験を積んだ人材を直接採用できる

なお、介護分野における特定技能試験(介護技能評価試験)の累計合格者数は120,220人(2019年4月〜2025年1月)に達しており、国内・海外合わせて幅広い人材プールが形成されています(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。

すでに技能実習生を受け入れている施設の場合

育成就労制度施行後も、以下の場合は技能実習を継続できます。

  1. 施行日(2027年4月1日)時点で在留している技能実習1号・2号の実習生
  2. 施行日までに技能実習計画の認定申請を行い、2027年6月30日までに技能実習を開始する場合

ただし、新規の技能実習生受け入れは将来的にできなくなるため、育成就労・特定技能への移行を前提に人材戦略を組み直すことが求められます。

よくある質問(専門家に聞く)

介護ケアジャパン・GENSAI Career Consulting Corp代表の大町潤一氏(元看護師・介護福祉士)に、外国人介護人材の受け入れに関する実務的な疑問をお聞きしました。

Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?

「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。

一番伝えたいこと

「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」

私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。

それは:

1. 受け入れる側の覚悟

  • 最初は時間がかかることを理解する
  • 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
  • 文化の違いを楽しむ心

2. 外国人介護士のポテンシャル

  • 真面目で一生懸命
  • 学ぶ意欲が高い
  • 利用者様を大切にする心

3. 長期的な視点

  • すぐに結果を求めない
  • 信頼関係を築くのに時間をかける
  • 3年、5年後の姿を一緒に描く

「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」

「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」

最後に

「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」

「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」

Q. 元看護師・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?

「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。

元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:

1. 現場目線での人材選考

  • 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
  • 技術だけでなく、人柄や適性を重視
  • 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ

2. 実践的な教育プログラム

  • 現場で本当に必要な技術を優先
  • 教科書的な知識より、実際の動きを重視
  • 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える

3. 施設側の悩みに寄り添える

  • 「受け入れる側」の大変さを理解している
  • 現実的なアドバイスができる
  • 一緒に問題を解決する姿勢

「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」

制度に関するよくある質問

Q1. 育成就労から特定技能1号へ移行するには何が必要ですか?

A. 育成就労を修了して特定技能1号へ移行するには、以下の2つの要件を満たす必要があります。

  1. 技能試験の合格:特定技能1号評価試験または技能検定3級等(分野により異なる)
  2. 日本語試験の合格:JLPT N4またはJFT-Basicへの合格(CEFR A2相当)

技能実習制度では、技能実習2号を良好に修了した場合、同分野への移行で技能試験・日本語試験が免除されていました。しかし育成就労では、原則として両試験への合格が必要となります。受け入れ機関は、育成就労の開始時点から試験合格を見据えた計画的な教育支援を行うことが重要です。

Q2. 育成就労制度の施行後、技能実習生の受け入れはどうなりますか?

A. 2027年4月1日の施行後も、一定の経過措置が設けられています。施行日時点で在留している技能実習1号・2号の実習生は引き続き技能実習を継続できます。また、施行日までに技能実習計画の認定申請が行われ、2027年6月30日までに技能実習を開始する場合も同様です。ただし、新規の技能実習生を受け入れることは将来的にできなくなるため、育成就労・特定技能への移行を前提に計画を立てることをお勧めします。

Q3. 育成就労と特定技能では、受け入れ人数に上限はありますか?

A. どちらの制度にも受け入れ見込数(受け入れ上限数)が設定されています。
特定技能「介護」の5年間の受け入れ見込数は135,000人とされています。

なお、特定技能「介護」は直接雇用が原則です。
訪問系サービスについては、2025年4月21日以降、一定の要件を満たす場合に従事できるようになりました。
具体的には、介護職員初任者研修課程等の修了、介護事業所等での実務経験、訪問業務に関する研修、同行訓練、緊急時対応体制などが求められます。

受け入れ見込数を超えることが見込まれる場合は、在留資格認定証明書の交付等が一時停止されることがあります。最新の在留者数と上限の状況は、出入国在留管理庁・厚生労働省の公式情報で随時確認してください。

Q4. 育成就労制度では家族帯同はできますか?

A. 育成就労では、原則として家族帯同は認められていません。特定技能1号でも、原則として家族帯同は認められていません。

特定技能2号の対象分野では家族帯同が認められますが、介護分野は特定技能2号の対象外です。そのため、介護分野で長期的に家族と一緒に日本で生活したい場合は、介護福祉士を取得し、在留資格「介護」へ変更するルートが中心になります。

Q5. 育成就労と特定技能では、採用コストはどちらが高いですか?

A. A. 採用コストは、国、送り出し機関、監理支援機関、登録支援機関の利用有無、教育体制、渡航費や住居準備費の負担範囲によって大きく異なります。

育成就労では、3年間の育成期間中に日本語教育・技能教育の体制整備が必要になるため、採用後の教育コストを含めて考える必要があります。一方、特定技能は採用時点で技能試験・日本語試験に合格している人材を受け入れる制度ですが、登録支援機関への委託費用や生活支援費用が発生する場合があります。

どちらが安い・高いと一律に判断するのではなく、採用から定着までのトータルコストで比較することが重要です。

まとめ

育成就労と特定技能の違いを整理すると、次の3点が核心です。

  • 目的の違い:育成就労は「育てる制度」、特定技能は「即戦力を活かす制度」。どちらが優れているではなく、自施設の状況・人材戦略に合わせて選ぶことが重要
  • キャリアパスの連続性:育成就労(原則3年)→ 特定技能1号(通算最長5年)へ移行しやすい制度設計になっている。介護分野では特定技能2号の対象外のため、長期定着には介護福祉士取得後に在留資格「介護」へ変更するルートを見据えることが重要
  • 受け入れ機関への要求の変化:育成就労では日本語教育・技能育成の体制構築が事実上必須となり、「採用して終わり」ではなく「育てて定着させる」発想への転換が求められる

2040年には介護職員の必要数が272万人に達すると見込まれており(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)、外国人材の活用は多くの施設・企業にとって避けられない課題となっています。まずは自施設の業務が「育成就労産業分野」または「特定産業分野」に該当するかを確認し、どちらの制度が自社の人材戦略に合うかを専門家とともに検討することから始めてみてください。

⚠️ YMYL注意:本記事の制度情報は執筆時点のものです。育成就労制度は政省令・告示により詳細が変更される可能性があります。採用・受け入れの最終判断は、出入国在留管理庁・厚生労働省の最新公的資料および専門家(行政書士・社会保険労務士等)にご確認ください。

出典・参考

  • 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日…特定技能「介護」受入上限(135,000人)・在留者数推移・国籍別ランキング・施設種別データの根拠
  • 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…2026年・2040年の介護職員必要数(240万人・272万人)の根拠
  • 出入国在留管理庁「育成就労制度の概要(令和7年12月改訂)」…育成就労制度の施行日・対象分野・転籍要件・日本語要件の根拠
  • 出入国在留管理庁「特定技能制度及び育成就労制度について(令和6年3月27日)」…両制度の目的・在留期間・支援体制の比較根拠
  • e-GOV法令検索「令和九年四月一日施行 出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律(令和六年法律第六十号)」…育成就労制度施行日・技能実習廃止の法的根拠
  • 厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」2025年資料…介護技能評価試験・介護日本語評価試験の累計合格者数・実施国データの根拠
  • JITCO(公益財団法人 国際人材協力機構)「育成就労制度とは」…育成就労制度の概要・監理支援機関要件の参考情報

この記事の監修者

大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。

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