結論(30秒でわかる要点)
令和9年度介護報酬改定に向けた要望書とは、介護サービスに関わる業界団体・職能団体が、次期改定(2027年度)に向けて、現場の実態や課題を踏まえた報酬・制度の見直しを国へ求める文書のことです。
- 重要ポイント①:2026年6月以降、日本看護協会や訪問看護3団体、全国老人保健施設協会など介護関係17団体が相次いで要望書を提出。9月には社会保障審議会介護給付費分科会で、関係団体等意見交換会が3回開かれた
- 重要ポイント②:要望の柱は「基本報酬の十分な引き上げ」「全産業と遜色のない賃金水準に向けた毎年の賃金改善」「物価高騰への毎年の対応」
- 重要ポイント③:背景には、2040年に272万人が必要とされる深刻な人材不足と、2025年に過去最多の176件となった介護事業者の倒産がある
- 重要ポイント④:要望書から見える制度の課題は、3年に1度の改定と物価・賃金上昇のズレ、平均値と実態の乖離、処遇改善加算の複雑さ、人員配置基準と安全性の両立など
対象者:介護事業者・施設管理者・ケアマネジャー・看護職員・介護報酬改定の動向を把握したい方
> ⚠️ 本記事は2026年10月時点の情報です。令和9年度改定の内容は審議中で、今後変わる可能性があります。最新の内容は厚生労働省の公式資料でご確認ください。
はじめに

「令和9年度の介護報酬改定で、現場はどうなるのか」「2026年6月に改定があったばかりなのに、なぜまた要望書が相次いでいるのか」——そんな疑問を持つ介護関係者は多いのではないでしょうか。
介護報酬は、事業所の収入、職員の給与、利用者が受けるサービスの質に直結します。その見直しに向けて業界団体が出す「要望書」には、現場が何に困っているのか、制度のどこに無理が生じているのかが具体的に書かれています。要望書を読み解くことは、介護業界の今を理解する近道です。
この記事でわかること:
- 要望書とは何か、誰がどこに提出しているのか
- 要望が相次ぐ業界の背景(人手不足・倒産・物価高騰)
- 要望書の主な内容と、そこから見える制度の問題点
- 現場の事業者がこの動向をどう活用すべきか
令和9年度介護報酬改定に向けた要望書の基礎知識

用語の定義
令和9年度介護報酬改定に向けた要望書とは、介護サービスに関わる業界団体・職能団体が、次期(令和9年度)の介護報酬改定に向けて、現場の実態を踏まえた報酬・制度の改善要望を、厚生労働省などへ文書で提出するものです。要望書はあくまで各団体の立場からの提言であり、その内容がそのまま改定に反映されるとは限りません。
2026年の主な動き|誰が・どこに・いつ提出したのか
令和9年度改定に向けた2026年の主な動きを時系列で整理します。
| 日付 | 提出者・場 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 6月8日 | 日本看護協会 → 厚生労働省老健局長 | 訪問看護・看護小規模多機能型居宅介護・介護施設など、在宅・施設領域の看護提供体制の強化と看護職員の処遇改善 |
| 7月13日 | 日本看護協会・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会(3団体連名)→ 老健局長 | すべての訪問看護師の処遇改善と、訪問看護事業所の安定運営を支える介護報酬の確保 |
| 8月〜 | 社会保障審議会介護給付費分科会 | 令和9年度改定に向けた論点ごとの審議が本格化(8月28日は「介護人材の確保に向けた処遇改善等」などが議題) |
| 9月10日・14日・16日 | 同分科会(第265〜267回)の関係団体等意見交換会 | 各団体の代表が意見を陳述。第265回は訪問介護・定期巡回・居宅介護支援・福祉用具・高齢者住まい・介護DXなど12団体 |
| 10月6日 | 全国老人保健施設協会など介護関係17団体 → 内閣官房長官 | 基本報酬の十分な引き上げ、毎年の賃金改善、物価高騰への毎年の対応 |
| 10月9日 | 同分科会(第269回) | 定期巡回・夜間対応型・小規模多機能型・認知症グループホームなど、地域密着型サービスの見直し案を審議 |
10月6日の17団体には、全国老人保健施設協会、全国老人福祉施設協議会、日本認知症グループホーム協会、日本看護協会、日本介護福祉士会などが名を連ねています。サービス種別を超えた団体が共同で、内閣官房長官に直接要望した点が特徴です。
介護報酬改定はどう決まるのか
介護報酬は、介護サービスの対価として国が定める公定価格で、原則3年ごとに改定されます。改定の内容は、厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会で議論されます。分科会の委員には、事業者団体だけでなく、保険者、労働組合、利用者団体なども含まれます。
通例、改定率(報酬全体の引き上げ・引き下げ幅)は年末にかけて政府の予算編成の中で決まり、その後、年明けにかけて個々の単位数や算定要件が固まります。また、令和8年度は通常の3年サイクルを待たず、2026年6月に臨時改定(改定率+2.03%、うち処遇改善分+1.95%)が施行されました。
要望書が相次ぐ主な要因
- 改定サイクルへの対応:改定の前年に、各団体が実態調査をもとに要望活動を行う
- 現場と統計のギャップ:国の統計(平均値)と、各事業所が感じる経営実態に乖離が生じやすい
- サービス種別ごとの課題の違い:訪問介護・定期巡回・施設・訪問看護など、サービスごとにコスト構造が異なる
- 共同提出による影響力:複数団体が連名で出すことで、訴求力を高める
業界の背景|なぜ今、これほど要望が相次ぐのか

数字で見る介護現場の現状
| 項目 | 数字 | 出典 |
|---|---|---|
| 介護職員の必要数 | 2022年215万人 → 2026年240万人 → 2040年272万人 | 厚生労働省 |
| 訪問介護員の有効求人倍率 | 2023年度14.14倍(2022年度は過去最高の15.53倍) | 厚生労働省(介護給付費分科会資料) |
| 介護事業者の倒産 | 2025年176件(2年連続で過去最多)。うち訪問介護91件、人手不足倒産29件 | 東京商工リサーチ |
| 休廃業・解散 | 2025年653件(過去最多) | 東京商工リサーチ |
| 2026年1〜5月の倒産 | デイサービス27件(上半期として過去最多)、訪問介護31件(前年同期38件から5年ぶりに減少) | 東京商工リサーチ |
| 特養・老健の赤字施設割合(2024年度) | 従来型特養45.2%、ユニット型特養31.5%、老健31.3% | 福祉医療機構(WAM) |
| 訪問介護事業所が1か所もない自治体 | 116町村(2025年12月末) | 国会答弁(2026年3月) |
| 訪問看護事業所の赤字割合 | 約4割 | 日本看護協会など3団体の要望 |
3つの構造的な要因
- 人手不足と他産業との賃金差:政府は処遇改善加算による賃上げ支援を進めていますが、他産業の賃上げペースに追いつけない状況が指摘されています。訪問看護の分野でも、賃金の差が拡大して人材が流出することが懸念されています
- 物価・光熱費・燃料費の高騰:デイサービスの倒産が過去最多ペースになった背景には、光熱費や送迎の燃料費の高騰、人手不足があるとされています
- 公定価格のため、コスト上昇を価格に転嫁できない:介護サービスの価格は報酬で決まっているため、事業者が自由に値上げすることができません
改定が続いても、要望が止まらない理由
令和6年度改定では訪問介護の基本報酬が引き下げられ、その後も物価高騰と賃金上昇が続きました。令和8年6月の臨時改定では、介護従事者全体を対象に月額1.0万円(3.3%)、生産性向上などに取り組む事業所はさらに月額0.7万円の上乗せとなり、定期昇給分を含めて最大月1.9万円の賃上げが見込まれています。
それでも17団体は、令和9年度改定で「基本報酬の十分な引き上げ」を求めています。2026年に入って訪問介護の倒産が5年ぶりに減ったのは、賃上げ支援の効果とみられる一方、経営の厳しい事業所の淘汰が進んだ結果という見方もあり、経営環境そのものが改善したとは言い切れない状況です。
要望書の主な内容|団体別・テーマ別に整理
団体別の主な要望
| 団体 | 主な要望・指摘 |
|---|---|
| 介護関係17団体 | ①経営基盤を確保するための基本報酬の十分な引き上げ ②全産業と遜色のない賃金水準に向けた毎年の賃金改善と人材確保支援 ③物価動向を踏まえた毎年の対応と、前回改定以降の物価上昇への対応・支援。事業者アンケートでは、十分な引き上げがなければ次の3年間の事業継続は難しいとの回答が約6割 |
| 全国ホームヘルパー協議会・日本ホームヘルパー協会 | 訪問介護の基本報酬引き上げを最重要要望に。アンケートでは令和7年度の収支で約6割の事業所が赤字、75%がサービス継続に不安、80%が人材不足と回答。中山間地域や離島には、基本報酬の引き上げに加えて地域の実情に応じた加算が必要 |
| 全国定期巡回・随時対応型訪問介護看護協議会 | 国が示す令和6年度決算の収支差率13.4%・1事業所当たり月額82.5万円が実態と乖離していると指摘。平均値だけでなく、事業所ごとの収支分布、地域性、24時間体制のコストなどを多面的に検証するよう要望 |
| 全国介護事業者連盟 | 物価・賃金上昇を踏まえた、過去に例のない規模のプラス改定を要望。処遇改善加算は制度が複雑で分かりにくいとして抜本的な見直しを求め、職員への配分が確実に行われる仕組みが必要と指摘 |
| 日本看護協会 | 在宅・施設領域の看護提供体制の強化と看護職員の処遇改善。介護サービス事業所では看護職員の離職率が最も高いと指摘 |
| 訪問看護推進連携会議(3団体) | すべての訪問看護師の処遇改善と、訪問看護事業所の安定運営を支える報酬の確保。他産業との賃金差の拡大と、事業所の約4割が赤字であることを指摘 |
| 高齢者住まい事業者団体連合会 | 職員の処遇を全産業平均の水準まで改善すること、基本報酬の引き上げ、登録制の導入に伴う柔軟な人員配置基準など |
共通して訴えられている3つのテーマ
- 基本報酬の引き上げ:加算に頼らず、事業所の経営基盤そのものを安定させること
- 処遇改善・賃金:全産業と遜色のない賃金水準を実現し、人材の流出を防ぐこと
- 物価高騰への対応:光熱費・燃料費・食材費などの上昇を、報酬に反映させること
このほか、介護DX・介護テクノロジーの導入後までの支援、要介護1・2の方への支援のあり方、福祉用具制度の見直し、居宅介護支援(ケアマネジメント)の報酬など、サービスごとの個別の要望も出されています。
要望書から見える制度の問題点

ここからは、要望書や分科会での発言から読み取れる「制度の課題」を6つに整理します。いずれも業界団体や委員が指摘している論点で、立場によって評価が分かれるものも含まれます。
問題点①:3年に1度の改定が、物価・賃金の上昇に追いつかない
介護報酬は原則3年ごとの改定です。その間に物価や賃金が急に上がっても、報酬には反映されません。17団体が「毎年の対応」を求めているのは、この時間差への危機感の表れです。令和8年度に通常のサイクルを待たず臨時改定が行われたこと自体、3年に1度の仕組みだけでは対応しきれなくなっていることを示しています。
留意点:毎年見直す仕組みにすると、利用者負担や保険料・税財源への影響が大きくなるため、財源とのバランスが論点になります。
問題点②:平均値の統計が、現場の実態を映しきれない
全国定期巡回・随時対応型訪問介護看護協議会は、国の調査で示された収支差率13.4%・月額82.5万円という数字が、実態と乖離していると指摘しています。この数字は、事業規模、利用者数、地域、開設年数、運営形態が異なる事業所を一括した平均値だからです。同協議会は、利用者が15人未満では赤字、30人以上では黒字になるなど、規模や集合住宅型かどうかで収支が大きく変わると説明しています。
ポイント:平均値が「黒字」でも、小規模・開設初期・人口の少ない地域の事業所は赤字、ということが起こります。報酬の設計には、平均だけでなく収支の分布を見る必要があります。
問題点③:処遇改善が「加算」頼みで、複雑で届きにくい
賃上げの主な手段は、基本報酬ではなく「介護職員等処遇改善加算」です。全国介護事業者連盟は、この加算が複雑になり、現場の職員・利用者・自治体にとって分かりにくくなっているとして、抜本的な見直しを求めました。処遇改善分を基本報酬に組み込むことも現実的な選択肢の一つとしつつ、職員への配分が確実に行われる仕組みが必要としています。分科会でも、加算体系を分かりやすくし、事務負担を軽減すべきだという意見が出ています。
東京商工リサーチは、加算をうまく活用できない小・零細事業者が脱落することへの懸念も指摘しています。加算の要件を満たす事務処理能力や人員体制の余力は、事業所の規模によって差が出るためです。
問題点④:サービス形態・地域によってコスト構造が大きく違う
訪問介護では、地域を面的に支える事業所と、集合住宅を中心にサービスを提供する事業所とで、移動時間や経費の構造が大きく異なります。ホームヘルパー団体は、サービス提供の形態に応じた実態把握を求めています。中山間地域や離島については、基本報酬の引き上げと、地域の実情に応じた加算の両方が必要だと説明しています。
訪問介護事業所が1か所もない自治体は、2025年12月末時点で116町村に上ります。全国一律の報酬体系では、人口の少ない地域でサービスを維持しにくいことが、制度上の課題として認識されています。
問題点⑤:人員配置基準の緩和か、安全・質の確保か
人材不足を背景に、人員配置基準を柔軟にする案が出ています。2026年10月9日の分科会では、定期巡回の新規開設時の配置基準の見直しや、認知症グループホームの夜勤職員の配置の見直しが提案されました。事業の継続を支えるとして支持する意見がある一方、労働組合の委員は、人員配置基準は利用者の安全とサービスの質を担保する最低基準であり、利用者確保が難しいことを理由に安易に緩和すべきではないと主張しました。利用者団体の委員も、職員の負担が増えて、かえって人材確保が難しくなることを懸念しています。
ポイント:人手不足への対応として基準を緩めると、安全やケアの質、職員の負担に影響が及ぶ可能性があり、見守り機器などのテクノロジー活用とあわせた慎重な検証が求められています。
問題点⑥:報酬を上げるほど、利用者負担と財源の問題が重くなる
基本報酬を引き上げると、事業者の経営と職員の処遇は支えられますが、利用者の自己負担や保険料・税財源の負担は増えます。分科会では、利用者団体の委員が、基本報酬の引き上げが利用者負担の増加につながる点を指摘し、低所得者への配慮を求めています。17団体の要望書が「十分な財源の確保」を求めているのは、この点を踏まえたものです。
ポイント:要望書は事業者・専門職の立場からの提言です。実際の改定では、事業者の経営、職員の処遇、利用者負担、財源という4つのバランスが問われます。
要望書から読み解く現場事例
事例①:定期巡回・随時対応型の「数字と実態の乖離」
全国定期巡回・随時対応型訪問介護看護協議会は、国の調査が示す収支差率13.4%・月額82.5万円という数字が実態と乖離していると感じる会員が多いことを、意見交換会で説明しました。24時間365日の提供体制を維持するための固定費は、利用者が少ない開設初期や人口密度の低い地域では重くのしかかります。
同協議会は、事業所ごとの収支分布、事業継続の可能性、物価・賃金の上昇、24時間体制のコストなどを多面的に検証するよう求めています。
この事例のポイント:平均値の裏にある事業所ごとのばらつきを、自らのデータで示すことが、要望の説得力につながります。
事例②:訪問介護の会員アンケートで見えた「継続への不安」
全国ホームヘルパー協議会と日本ホームヘルパー協会は、会員アンケートの結果を意見交換会で示しました。令和7年度の収支は約6割の事業所が赤字で、75%が今後のサービス継続に不安を感じ、80%が人材不足を訴えています。令和6年度の基本報酬引き下げの後も、物価高騰・賃金上昇・人材不足が続いている、というのが両団体の認識です。
この事例のポイント:会員へのアンケートが、そのまま要望の根拠になっています。事業者の回答が、制度の議論を動かす材料になるということです。
事例③:17団体が示した「3年耐えられない」という声
17団体が2026年10月6日に内閣官房長官へ提出した要望書には、事業者アンケートの結果が添えられました。十分な引き上げがなければ次の3年間の事業継続は難しい、と答えた事業者が約6割を占めています。全国老人保健施設協会の会長は、すでに一部で介護の現場が機能しなくなっているとの危機感を示しました。
この事例のポイント:サービス種別を超えた17団体が一つの要望書にまとまったこと自体が、現場の危機感の強さを表しています。
現場の事業者はこの動向をどう活用すべきか

Step1:自事業所の数字を把握する
稼働率・人件費率・離職率・収支を毎月確認し、国の公表する平均値や所属団体の調査結果と比べて、自事業所の位置を把握します。平均値と自事業所にずれがある場合、その差を具体的な数字で説明できることが、団体を通じた要望にも役立ちます。
Step2:所属団体の調査・アンケートに協力する
要望書の根拠となる実態調査(日本看護協会の訪問看護実態調査、ホームヘルパー団体や17団体のアンケートなど)は、会員事業所の回答でつくられています。回答に協力することが、現場の声を制度に届ける最も確実な方法です。
Step3:処遇改善加算の取得状況を見直し、審議の動向を確認する
令和8年6月の臨時改定で、介護職員等処遇改善加算には新しい区分(Ⅰロ・Ⅱロ)が加わりました。自事業所の取得区分と、上位区分の要件を確認しましょう。令和9年度改定の審議は、厚生労働省のホームページで分科会の資料が公開されています。サービスごとの論点が出る時期に、自事業所に関わる資料を確認しておくと、準備がしやすくなります。
Step4:報酬改定を待たず、人材確保と生産性向上を進める
- 外国人介護人材の活用:特定技能「介護」の在留者数は2025年12月末時点で67,871人。2025年4月からは、一定の要件を満たせば訪問系サービスにも従事できるようになりました
- ICT・介護テクノロジーの導入:デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)、介護テクノロジー導入支援事業、地域医療介護総合確保基金などの活用を検討する
- 職場環境の整備:離職の主な原因である人間関係・待遇への不満を減らす取り組みを続ける
よくある質問(専門家に聞く)
人材確保の選択肢として、外国人介護人材の受け入れを検討する施設も増えています。看護師・介護福祉士であり、GENSAI Career Consulting Corp代表の大町潤一氏に、受け入れの考え方を聞きました。
Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?
「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。
一番伝えたいこと
「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」
私が看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。
それは:
1. 受け入れる側の覚悟
- 最初は時間がかかることを理解する
- 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
- 文化の違いを楽しむ心
2. 外国人介護士のポテンシャル
- 真面目で一生懸命
- 学ぶ意欲が高い
- 利用者様を大切にする心
3. 長期的な視点
- すぐに結果を求めない
- 信頼関係を築くのに時間をかける
- 3年、5年後の姿を一緒に描く
「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」
「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」
最後に
「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」
「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」
Q. 看護師・介護福祉士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?
「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。
看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:
1. 現場目線での人材選考
- 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
- 技術だけでなく、人柄や適性を重視
- 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ
2. 実践的な教育プログラム
- 現場で本当に必要な技術を優先
- 教科書的な知識より、実際の動きを重視
- 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える
3. 施設側の悩みに寄り添える
- 「受け入れる側」の大変さを理解している
- 現実的なアドバイスができる
- 一緒に問題を解決する姿勢
「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」
令和9年度介護報酬改定に関するよくある質問
Q1. 令和9年度介護報酬改定はいつ施行されますか?
A. 令和9年度(2027年度)の改定として、2027年度から適用される見込みです。たとえば、夜間対応型訪問介護の定期巡回・随時対応型訪問介護看護への統合は、2027年4月の予定とされています。ただし、個別の施行時期は今後の審議で決まります。前回の令和6年度改定でも、サービスによって施行が4月と6月に分かれました。最新のスケジュールは厚生労働省の公式サイトでご確認ください。
Q2. 要望書は誰でも提出できますか?
A. 要望書の提出は、一般的に業界団体・職能団体・事業者団体などの組織が行います。個人での提出は一般的ではありませんが、所属する団体のアンケートや調査に回答することで、意見を反映させることができます。また、改定に伴う省令・告示の案については、国のパブリックコメント(意見公募)を通じて、個人・法人を問わず意見を出せる機会があります。
Q3. 要望書の内容は必ず改定に反映されますか?
A. 要望書はあくまで「提言」であり、すべてが反映されるわけではありません。分科会には、事業者団体のほか、保険者、労働組合、利用者団体、医療関係団体などの委員が参加しており、利用者負担、財源、安全性などの観点から、慎重な意見が出ることもあります。最終的な改定内容は、こうした議論を経て決まります。
Q4. 介護報酬改定は、現場の職員の給与にどう影響しますか?
A. 職員の給与への主な経路は、介護職員等処遇改善加算です。令和8年6月の臨時改定では、介護従事者全体を対象に月額1.0万円(3.3%)、生産性向上などに取り組む事業所には月額0.7万円の上乗せ、定期昇給分を含めて最大月1.9万円の賃上げが見込まれています。ただし、実際の配分は事業所ごとの運用によります。17団体は、令和9年度改定でも、全産業と遜色のない水準に向けて毎年の賃金改善を図ることを求めています。
Q5. 夜間対応型訪問介護はどうなりますか?
A. 夜間対応型訪問介護は、2026年度末で廃止され(3年の経過措置あり)、2027年4月から定期巡回・随時対応型訪問介護看護に統合される予定です。2026年10月9日の分科会で、厚生労働省は、24時間の通報・相談対応機能を確保する事業所に新たな報酬上の評価を設ける案を示しました。国の調査では、夜間対応型事業所の95.5%が24時間通報対応加算を取得しており、統合後の報酬体系が事業継続を左右する可能性が指摘されています。
Q6. 外国人介護人材は訪問系サービスに従事できますか?
A. 2025年4月21日以降、特定技能「介護」の外国人が、一定の要件を満たすことで訪問系サービスに従事できるようになりました。主な要件は、初任者研修等の修了、介護事業所での原則1年以上の実務経験、JICWELS(国際厚生事業団)による適合確認の3点です。訪問介護員の有効求人倍率が高い水準にある中、訪問系の人材確保の選択肢の一つになっています。最新の制度情報は厚生労働省の公式資料でご確認ください。
> ⚠️ 制度は随時更新されます。最新情報は必ず厚生労働省の公式資料でご確認ください。
まとめ
令和9年度介護報酬改定に向けた要望書は、介護現場の実態を行政に届けるための政策提言です。この記事の内容を3点に整理します。
- 要望書とは:業界団体が、現場の実態データをもとに、基本報酬の引き上げ・賃金改善・物価対応などを国に求める文書。2026年6月以降、17団体を含む多くの団体が提出し、9月には分科会で意見交換会が開かれた
- 業界の背景:人手不足、過去最多の倒産、物価高騰、公定価格のためコストを転嫁できない構造が重なり、令和8年6月の臨時改定後も、経営の厳しさが訴えられている
- 制度の問題点:3年に1度の改定と物価・賃金上昇のズレ、平均値と実態の乖離、処遇改善加算の複雑さ、地域・サービス形態ごとのコスト差、人員配置基準と安全性の両立、利用者負担・財源とのバランスが論点になっている
次のステップとして、所属団体の要望書・調査に目を通し、自事業所の数字を整理しておくことをおすすめします。厚生労働省の分科会資料は公開されているため、自事業所のサービスに関わる回の資料を確認しておくと、改定への備えにつながります。人材確保が課題の事業所は、外国人介護人材の受け入れも選択肢として検討してみてください。
> 【YMYL注意】介護報酬改定に関する情報は随時更新されます。令和9年度改定の内容は審議中で、確定したものではありません。経営判断・制度対応については、必ず最新の厚生労働省公式資料および専門家(社会保険労務士・行政書士など)にご確認ください。
出典・参考
- 厚生労働省「社会保障審議会(介護給付費分科会)」第262〜269回 開催案内・資料…令和9年度改定の審議スケジュール・関係団体等意見交換会の根拠
- 社会保険研究所「第265回社会保障審議会介護給付費分科会(2026年9月10日)」…訪問介護・定期巡回・処遇改善などに関する各団体の意見陳述の内容の根拠
- 社会保険研究所「第269回社会保障審議会介護給付費分科会(2026年10月9日)」…夜間対応型訪問介護の統合・人員配置基準の見直しをめぐる議論の根拠
- 全国老人保健施設協会ほか17団体「令和9年度介護報酬改定に向けた要望書」(2026年10月6日、内閣官房長官宛て)…基本報酬・賃金改善・物価対応の要望内容の根拠
- 日本看護協会「令和9年度介護報酬改定に関する要望書」(2026年6月8日)…看護職員の処遇改善・看護提供体制強化の要望の根拠
- 訪問看護推進連携会議(日本看護協会・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会)「令和9年度介護報酬改定に関する要望書」(2026年7月13日)…訪問看護の処遇改善・報酬確保の要望の根拠
- 東京商工リサーチ「2025年『老人福祉・介護事業』倒産動向」(2026年1月9日)、「2026年1-5月『デイサービス事業者』倒産動向」(2026年6月12日)…介護事業者の倒産件数・休廃業の根拠
- 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…2022年・2026年・2040年の介護職員必要数の根拠
- 独立行政法人福祉医療機構(WAM)「2024年度 特別養護老人ホームの経営状況について」「2024年度 介護老人保健施設の経営状況について」…特養・老健の赤字施設割合の根拠
- 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定」…2026年6月施行の臨時改定(+2.03%)・処遇改善加算の拡充の根拠
- 出入国在留管理庁「特定技能制度運用状況」…特定技能「介護」在留者数67,871人(2025年12月末時点)の根拠
- 厚生労働省「外国人介護人材の訪問系サービス従事における留意点について」(社援発0331第40号・老発0331第12号、2025年3月31日付)…2025年4月21日施行の訪問系サービス従事要件の根拠
この記事の監修者
大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。