結論(30秒でわかる要点)
2026年10月15日、NHKは「厚生労働省が訪問介護の介護報酬の枠組みを抜本的に見直す方向で検討している」と報じました。利用者が分散して住む地域でのヘルパーの移動コストなどを、報酬に適切に反映させることが狙いです。
- 重要ポイント①:厚生労働省は、訪問介護の報酬を、サービス内容と時間で決まる一律の枠組みから、移動コストなど提供実態を反映した体系へ見直す方向で検討していると報じられた
- 重要ポイント②:戸別に住宅を訪問する場合は、移動にかかるコストを考慮することが検討されている
- 重要ポイント③:現時点では検討段階で、具体的な内容は今後の審議会の議論を踏まえ、来年度(2027年度)の改定に向けて決まる見込み
- 重要ポイント④:訪問介護の要望の多くは「基本報酬の引き上げ」と「地域加算」で、報道された方向は、それより一段踏み込んだ枠組み自体の見直し
対象者:訪問介護事業者・施設管理者・ケアマネジャー・介護報酬改定の動向を把握したい方
⚠️ 本記事は2026年10月15日時点の報道に基づく情報です。内容は確定しておらず、今後変わる可能性があります。最新の内容は厚生労働省の公式資料でご確認ください。
はじめに
「訪問介護の報酬が見直されると聞いたが、何がどう変わるのか」「うちの事業所には有利なのか、不利なのか」——2026年10月15日の報道を受けて、そう感じた訪問介護の関係者は多いのではないでしょうか。
訪問介護は、介護が必要な高齢者が地域で暮らし続けるために欠かせないサービスですが、事業者の経営は厳しい状況が続いています。今回の報道は、その経営の課題に、報酬の仕組みそのものから向き合おうとする動きです。
この記事でわかること:
- 何が報じられたのか(検討されている見直しの方向)
- 現行の報酬の仕組みの、どこが問題とされているのか
- 要望書や分科会の議論との関係
- 事業者が今から準備できること
何が報じられたのか

NHKは2026年10月15日、訪問介護の介護報酬について、厚生労働省が今の枠組みを抜本的に見直す方向で検討していると報じました。利用者が分散している場合、ヘルパーの移動に時間がかかって効率的なサービス提供が難しく、事業者の経営を圧迫している、という問題意識が背景にあります。
報道によると、検討されている方向は次のとおりです。
- 一律の報酬の枠組みに代えて、サービスの提供実態をより適切に反映した報酬体系にする
- 戸別に住宅を訪問する場合には、移動にかかるコストを考慮する
- 専門家による審議会での議論を踏まえ、来年度の介護報酬改定に向けて具体的な内容を決める
これはNHKの報道であり、厚生労働省が公式に発表した内容ではありません。具体的な算定方法や単位数は、現時点では明らかになっていません。
現行の仕組みの何が問題なのか
現在の訪問介護の基本報酬は、1回当たりのサービス内容や提供時間によって一律に決まります。この仕組みでは、訪問先の分布によって、経営の負担に差が出ます。
| 事業所のタイプ | 移動コスト | 報酬との関係 |
|---|---|---|
| 有料老人ホームなど集合住宅中心 | 少ない | 短い移動で多くのサービスを提供でき、報酬を得やすい |
| 戸別訪問が中心(利用者が分散) | 大きい | 移動時間が収益にならず、効率的な提供が難しい |
| 中山間地域 | 特に大きい | 同じ報酬でも負担が重く、経営を圧迫しやすい |
訪問介護事業所が1か所もない自治体は、2025年12月末時点で116町村に上ります(国会答弁、2026年3月)。全国一律の報酬では、人口の少ない地域でサービスを維持しにくいことが、制度上の課題として認識されています。
要望書や分科会の議論との関係
2026年の要望活動や審議では、訪問介護について次のような声が出ていました。要望書の全体像は、令和9年度介護報酬改定に向けた要望書とは?背景・内容・活用法で解説しています。
- 全国ホームヘルパー協議会・日本ホームヘルパー協会は、訪問介護の基本報酬引き上げを最重要要望とした。中山間地域や離島には、基本報酬の引き上げに加えて、地域の実情に応じた加算が必要と説明している
- 同じ2団体は、サービス提供の形態に応じた実態把握を求めた
- 2026年6月29日の介護給付費分科会(第259回)では、訪問回数だけでなく移動時間を考慮した評価を求める意見が多く出た
要望書と今回の報道を比べると、次のような違いがあります。
| 要望書の中心 | 今回の報道 | |
|---|---|---|
| 方向性 | 基本報酬の引き上げ+地域加算 | 報酬の枠組み自体の見直し |
| 移動コストの扱い | 地域の実情に応じた加算で対応 | 報酬体系に反映することを検討 |
要望書と今回の報道が直接つながっているとは確認できません。ただ、現場から出ていた課題と、国が検討している方向は重なっています。
事業者への影響(現時点の見通し)
以下は報道内容からの見通しで、確定した制度ではありません。算定方法が出るまでは、断定できない点が多くあります。
- 戸別訪問が中心の事業所:移動コストが評価されれば、収支が改善する可能性がある
- 集合住宅中心の事業所:現行の報酬体系で有利な面があったため、見直しの影響を受ける可能性がある
- 中山間地域の事業所:地域の実情が報酬に反映されれば、事業継続の追い風になる可能性がある
今から準備できること
Step1:自事業所のデータを整える
訪問1件当たりの移動時間・移動距離、集合住宅と戸別訪問の比率、時間帯別の稼働状況を記録しておきます。報酬体系が変わった場合の試算や、団体を通じた要望の根拠に役立ちます。
Step2:収支を訪問先のタイプ別に把握する
事業所全体の平均だけでなく、集合住宅と戸別訪問、エリア別に収支を見ておくと、見直しの影響を具体的に考えやすくなります。
Step3:所属団体の調査に協力し、分科会の資料を確認する
移動実態のデータは、要望や審議の材料になります。また、厚生労働省のホームページでは、介護給付費分科会の資料が公開されています。訪問系が議題になる回の資料で、具体案が出てくる見込みです。
Step4:報酬改定を待たず、人材確保の選択肢を検討する
報酬の見直しが進んでも、訪問介護員の人材確保は引き続き課題です。2025年4月21日から、特定技能「介護」の外国人は、次の要件を満たせば訪問系サービスにも従事できるようになりました。
- 初任者研修等の修了
- 介護事業所での原則1年以上の実務経験
- JICWELS(国際厚生事業団)による適合確認
制度は随時更新されるため、受け入れを検討する際は、厚生労働省の最新の資料をご確認ください。
よくある質問
Q1. いつから変わりますか?
A. NHKは「来年度の介護報酬の改定に向けて具体的な内容を決める」としています。2027年度の改定が一つの区切りになる見込みですが、施行時期や内容は今後の審議で決まります。最新のスケジュールは厚生労働省の公式サイトでご確認ください。
Q2. もう決まった内容ですか?
A. いいえ。報道の時点では検討段階で、厚生労働省が正式に決定したものではありません。審議会での議論を経て、内容が変わる可能性があります。
Q3. 加算で対応する案とは何が違いますか?
A. 加算は、今の報酬体系に上乗せする仕組みです。今回報じられているのは、報酬の組み立て自体を、移動コストなどの提供実態を反映した形に変える方向です。どちらの形になるかは、今後の審議で決まります。
まとめ
この記事の内容を3点に整理します。
- 報道の内容:厚生労働省は、訪問介護の報酬を、移動コストなど提供実態を反映した体系に見直す方向で検討していると報じられた
- 背景:現行の一律報酬では、集合住宅中心の事業所と、戸別訪問・中山間地域の事業所とで、経営の負担に差が出ていた
- 今後:要望書は加算を中心にしていたが、報道された方向は枠組み自体の見直しを含む。内容は確定しておらず、分科会の資料で具体案が出る見込み
次のステップとして、自事業所の移動時間・距離・訪問先のタイプ別の数字を整理しておくことをおすすめします。人材確保が課題の事業所は、外国人介護人材の受け入れも選択肢として検討してみてください。
【YMYL注意】介護報酬に関する情報は随時更新されます。訪問介護の報酬見直しは検討段階で、確定したものではありません。経営判断・制度対応については、必ず最新の厚生労働省公式資料および専門家(社会保険労務士・行政書士など)にご確認ください。
出典・参考
- NHKニュース「訪問介護の介護報酬の枠組み 抜本的見直しで検討 厚生労働省」(2026年10月15日)…検討されている見直しの方向性の根拠
- 厚生労働省「社会保障審議会(介護給付費分科会)」…令和9年度改定の審議状況の根拠
- 日経メディカル「訪問介護で回数だけでなく移動時間を考慮した評価求める意見多数」…2026年6月29日の分科会での意見の根拠
- 社会保険研究所「第265回社会保障審議会介護給付費分科会(2026年9月10日)」…全国ホームヘルパー協議会・日本ホームヘルパー協会の意見陳述の内容の根拠
- 国会答弁(2026年3月)…訪問介護事業所が1か所もない自治体116町村の根拠
- 厚生労働省「外国人介護人材の訪問系サービス従事における留意点について」(社援発0331第40号・老発0331第12号、2025年3月31日付)…2025年4月21日施行の訪問系サービス従事要件の根拠
