結論(30秒でわかる要点)
外国人が日本で合法的に働くために必要な在留資格を、総称して「就労ビザ」と呼ぶ。
- 就労ビザには複数の種類(入管法上は就労可能な在留資格が20種類以上)があり、職種・スキル・学歴によって取得できる種類が異なる
- 無許可で外国人を雇用すると、雇用主も「不法就労助長罪」として3年以下の懲役または300万円以下の罰金の対象になる
(2025年6月施行の改正入管法により、育成就労に関連する不法就労助長は5年以下の懲役または500万円以下の罰金に厳罰化) - 申請から取得まで1〜3ヶ月かかるため、採用スケジュールには余裕が必要
対象者:外国人雇用を検討している企業担当者、または日本での就労を考えている外国人の方
⚠️ 注意:在留資格制度は法改正により随時更新されます。最新情報は出入国在留管理庁の公式資料で必ずご確認ください。
はじめに

「外国人を採用したいけど、ビザのことがよくわからない」「就労ビザってどんな種類があるの?」——そんな疑問を持つ方は非常に多いと思います。
日本では人手不足が深刻化しており、厚生労働省の発表によると2040年には介護職員だけで272万人が必要とされています(2022年実績比で57万人増)。外国人労働者の活用は、もはや多くの業界にとって避けられない選択肢になっています。
しかし就労ビザには16種類もの在留資格があり、どれを選べばいいのか、どう申請すればいいのかが分かりにくいのが現実です。
この記事でわかること:
- 就労ビザとは何か、在留資格・ビザとの違い
- 16種類の就労ビザの特徴と選び方
- 申請の流れと不許可になりやすいケース
- 外国人介護士採用に関する専門家のアドバイス
初めて外国人雇用を検討する方でも、この記事を読めば就労ビザの全体像が「簡単に」理解できるよう構成しています。
就労ビザとは何か?基礎から簡単に理解する

用語の定義
就労ビザとは:外国人が日本で合法的に働くことを認める在留資格の総称で、法律上は16種類の在留資格を指す。
正確には「就労ビザ」という名称の在留資格は存在しません。出入国管理及び難民認定法(入管法)に基づく在留資格のうち、就労が認められるものを便宜的に「就労ビザ」と呼んでいます。
ビザ(査証)と在留資格の違い
「ビザ」と「在留資格」は混同されやすいですが、まったく別のものです。
| 項目 | ビザ(査証) | 在留資格 |
|---|---|---|
| 目的 | 日本への入国を許可する証明 | 日本での滞在と特定活動を認める資格 |
| 取得タイミング | 日本入国前 | 入国審査時または日本滞在中の申請 |
| 発行機関 | 在外日本国大使館・領事館 | 出入国在留管理局 |
| 形態 | パスポートに貼付されるシール | 在留カードまたはパスポートの記載 |
つまり「ビザがあれば日本で働ける」というわけではなく、就労可能な在留資格を別途取得する必要があります。観光ビザで来日した外国人がそのまま働くことは、法律上認められていません。
就労ビザが必要な理由・法的位置づけ
就労ビザは、外国人労働者の権利を守るとともに、日本の労働市場の秩序を維持するための制度です。
企業側にとっても重要なポイントがあります。就労ビザを持たない外国人を雇用した場合、雇用主は「不法就労助長罪」として以下の罰則を受けます:
- 3年以下の懲役
- 300万円以下の罰金
- またはその両方
「知らなかった」という言い訳は通用しません。採用前に在留カードで就労可能な在留資格を確認することが、企業の義務です。
就労ビザ16種類を簡単に分類・解説

ホワイトカラー系(専門的・技術的分野)
最も利用頻度が高いのが、以下の在留資格です。
技術・人文知識・国際業務(通称:技人国・ぎじんこく)
- 対象:IT・エンジニア、営業、経理、デザイナー、通訳・翻訳など
- 要件:大学・専門学校の専攻と職務内容の関連性が必要
- 在留期間:5年・3年・1年・3ヶ月
- 注意点:単純作業は対象外。学歴がない場合は3〜10年の実務経験が必要
高度専門職
- 対象:学術研究・技術・経営の各分野で高度な能力を持つ人材
- 特徴:ポイント制(学歴・職歴・年収などで70点以上)で審査
- 在留期間:5年(優遇措置あり)
経営・管理
- 対象:日本で会社を経営・管理する外国人
- 要件:事務所の確保、常勤職員2名以上または資本金500万円以上など
- 在留期間:5年・3年・1年・4ヶ月・3ヶ月
ブルーカラー系(特定技能・技能実習)
特定技能1号
- 対象:介護・建設・農業・飲食料品製造業など19の特定産業分野(2026年1月に3分野追加)
- 要件:技能試験と日本語試験の合格(または技能実習2号修了)
- 在留期間:1年・6ヶ月・4ヶ月(最大5年以内、家族帯同不可)
特定技能2号
- 対象:介護を除く分野(熟練した技能を持つ人材。2023年6月の閣議決定で大幅に拡大)
- 特徴:在留期間の更新に上限なし、家族帯同可能
- 在留期間:3年・1年・6ヶ月
技能実習
- 対象:海外の子会社や監理団体を通じて受け入れる技能実習生
- 目的:日本の技術・技能を母国に持ち帰ることを前提とした制度
- 注意:2024年の法改正により「育成就労制度」への移行が決定
技能
- 対象:料理人(中華・タイ料理など)、スポーツ指導者、パイロットなど
- 要件:日本にない特殊な技能を持つことの証明
- 在留期間:5年・3年・1年・3ヶ月
専門資格系・その他
| 在留資格名 | 主な対象者 | 在留期間 |
|---|---|---|
| 介護 | 介護福祉士の資格を持つ介護士 | 5年・3年・1年(更新回数の上限なし) |
| 医療 | 日本の資格を持つ医師・看護師・薬剤師 | 5年・3年・1年・3ヶ月 |
| 教育 | 小中高の語学教員など | 5年・3年・1年・3ヶ月 |
| 教授 | 大学・大学院の教員・研究者 | 5年・3年・1年・3ヶ月 |
| 研究 | 研究所・調査機関の研究員 | 5年・3年・1年・3ヶ月 |
| 法律・会計業務 | 弁護士・司法書士・公認会計士など | 5年・3年・1年・3ヶ月 |
| 企業内転勤 | 外国の本社から日本支社への転勤者 | 5年・3年・1年・3ヶ月 |
| 報道 | 外国の報道機関の記者・カメラマン | 5年・3年・1年・3ヶ月 |
| 芸術 | 作曲家・画家・小説家など | 5年・3年・1年・3ヶ月 |
| 宗教 | 外国の宗教団体から派遣された宗教家 | 5年・3年・1年・3ヶ月 |
| 興行 | 俳優・歌手・ダンサー・スポーツ選手 | 3年・1年・6ヶ月・3ヶ月・30日 |
就労ビザの申請方法と流れ(ステップ解説)

Step 1:雇用契約の締結
就労ビザの申請は、雇用契約書を結んでから行います。内定通知だけでは申請できないため、先に雇用条件を書面で確定させることが必要です。
Step 2:在留資格認定証明書の申請(新規来日の場合)
海外にいる外国人を日本に呼び寄せる場合、企業が「在留資格認定証明書」を申請します。
申請先:外国人の居住予定地または勤務予定の会社所在地を管轄する地方出入国在留管理庁
主な必要書類:
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 写真(縦4cm×横3cm)
- 返信用封筒(404円分の切手を貼付)
- 雇用契約書・採用理由書
- 会社の登記事項証明書・決算書(直近2期分)
- 外国人の学歴・職歴を証明する書類(卒業証明書・職務経歴書など)
処理期間の目安:標準で1〜3ヶ月。2〜3月は申請が集中するため、さらに時間がかかる場合があります。
Step 3:ビザ申請・入国
在留資格認定証明書が交付されたら、外国人本人が母国の日本国大使館・領事館でビザ申請を行い、入国します。
⚠️ 在留資格認定証明書の有効期間は原則3ヶ月のため、期限内に入国手続きを完了させる必要があります。
Step 4:在留資格変更許可申請(すでに日本にいる場合)
留学生を採用する、または技能実習から特定技能に移行するケースでは、「在留資格変更許可申請」を行います。
申請先:外国人の住所地を管轄する出入国在留管理局
費用:手数料4,000円
審査期間:概ね1〜3ヶ月
Step 5:在留期間の更新
就労ビザには有効期間があり、期限が切れる前に更新が必要です。
- 更新申請は在留期限の3ヶ月前から可能
- 審査中に在留期限を迎えた場合でも、期限内に申請していれば2ヶ月間の特例期間が認められる
申請時の注意点チェックリスト
- ✅ 学歴・専攻と職務内容の関連性を書類で証明できるか
- ✅ 給与水準が日本人と同等以上か
- ✅ 会社の経営状況が安定していることを示せるか(赤字でも事業計画で補完可能)
- ✅ 資格外活動(アルバイトのオーバーワーク)がないか
- ✅ 虚偽申請・誤情報の提出がないか
就労ビザ取得の成功事例と失敗から学ぶポイント

成功事例①:技人国ビザでIT人材を採用したケース
関東のあるIT関連企業では、東南アジア出身のエンジニアを「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で採用しました。
ポイントは、本人の大学での専攻(情報工学)と担当業務(システム開発)の一致を丁寧に書類化したことです。採用理由書に職務内容の詳細を記載し、給与が日本人の同職種と同水準であることも証明。申請から約2ヶ月で許可が下り、スムーズに就労開始となりました。
学び:書類の整合性と給与水準の担保が許可の鍵。
成功事例②:特定技能「介護」で外国人介護士を受け入れたケース
近畿地方のある特別養護老人ホームでは、特定技能1号の在留資格を持つ外国人介護士を複数名受け入れました。
採用前に施設内で日本語学習支援の体制を整え、シフト調整でOJTの時間を確保。入職後3ヶ月で現場に馴染み、1年後には利用者様からの信頼も厚くなったという事例です。
学び:受け入れ体制の整備が定着率を左右する。特定技能外国人の場合、登録支援機関と連携することで支援業務の負担を軽減できます。
よくある質問(専門家に聞く)
外国人介護士の採用・育成に精通する大町潤一氏(元看護師・介護福祉士、GENSAI Career Consulting Corp代表)に、就労ビザと外国人採用についてよく寄せられる疑問を聞きました。
Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?
「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。
「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」
私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。
それは:
1. 受け入れる側の覚悟
- 最初は時間がかかることを理解する
- 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
- 文化の違いを楽しむ心
2. 外国人介護士のポテンシャル
- 真面目で一生懸命
- 学ぶ意欲が高い
- 利用者様を大切にする心
3. 長期的な視点
- すぐに結果を求めない
- 信頼関係を築くのに時間をかける
- 3年、5年後の姿を一緒に描く
「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」
「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」
「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」
「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」
Q. 看護師・介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?
「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。
元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:
1. 現場目線での人材選考
- 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
- 技術だけでなく、人柄や適性を重視
- 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ
2. 実践的な教育プログラム
- 現場で本当に必要な技術を優先
- 教科書的な知識より、実際の動きを重視
- 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える
3. 施設側の悩みに寄り添える
- 「受け入れる側」の大変さを理解している
- 現実的なアドバイスができる
- 一緒に問題を解決する姿勢
「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」
就労ビザに関するよくある質問(制度FAQ)
Q1. 就労ビザを持っていれば、どんな仕事でもできますか?
いいえ、できません。就労ビザはそれぞれ「許可された活動範囲」が決まっており、その範囲外の仕事をすることは「資格外活動」として違法になります。
たとえば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つエンジニアが、飲食店でアルバイトをすることは認められません。ただし、本業と同じ資格の範囲内(例:別会社でのプログラミング業務)であれば副業が可能な場合があります。
Q2. 就労ビザの申請費用はいくらかかりますか?
在留資格変更・更新申請の手数料は4,000円です。在留資格認定証明書の交付申請は無料ですが、行政書士などの専門家に依頼する場合は別途代行費用がかかります(一般的に5万〜20万円程度)。
Q3. 留学生をそのまま正社員として採用できますか?
できますが、在留資格の変更が必要です。留学ビザのままでは就労できないため、卒業後に「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザへ変更許可申請を行う必要があります。申請は卒業前から準備を始めることをおすすめします。
Q4. 就労ビザの更新が不許可になるのはどんなケース?
主な不許可原因は以下の通りです:
- 留学生時代のアルバイトが週28時間を超えていた(オーバーワーク)
- 担当業務が在留資格の活動範囲と一致しない
- 学歴・職歴の虚偽申告
- 雇用企業の経営状況が著しく悪化している
- 在留期間中に3ヶ月以上、許可された活動をしていない
Q5. 特定技能と技人国ビザ、どちらを選べばいいですか?
業務内容と外国人のバックグラウンドによって異なります。
| 比較項目 | 特定技能1号 | 技術・人文知識・国際業務 |
|---|---|---|
| 学歴要件 | 不要(試験合格で可) | 大学・専門学校卒業が基本 |
| 対象業務 | 介護・建設・農業など19分野 | IT・営業・翻訳・デザインなど |
| 家族帯同 | 不可(1号) | 可能 |
| 在留期間上限 | 最大5年(1号) | 更新回数に制限なし |
| 転職の自由度 | 同一分野内は可能 | 同一資格範囲内は可能 |
介護・製造・農業など現場系の人材には特定技能、専門職・事務職には技人国が適しています。
対象業務(2026年1月現在)
まとめ
就労ビザについて、この記事でお伝えしたポイントを整理します:
- 就労ビザは20種類以上あり、職種・学歴・スキルによって取得できる種類が異なる。「自分(または採用したい外国人)に合うビザ」を正確に選ぶことが最初のステップ
- 申請から取得まで1〜3ヶ月かかるため、採用スケジュールには余裕を持って準備を始めることが重要。特に年度末(2〜3月)は審査が混み合う
- 雇用主側にも法的責任がある。就労ビザの確認を怠ると不法就労助長罪の対象になるため、採用前に在留カードで必ず確認する
次のステップとして、まずは採用したい外国人の職種・学歴・スキルを整理し、どの在留資格が適切かを確認することをおすすめします。不明な点は、行政書士や専門の人材支援会社に相談することで、申請ミスや不許可リスクを大幅に減らすことができます。
外国人介護士の採用をお考えの施設様は、介護ケアジャパン(GENSAI Career Consulting Corp)への無料相談もご活用ください。現場経験を持つ専門家が、ビザのことから受け入れ体制まで一緒に考えます。
【YMYL注意】本記事の情報は執筆時点のものです。在留資格制度は法改正により変更される可能性があります。最終判断は出入国在留管理庁の公式情報および行政書士・専門家にご確認ください。
出典・参考
- 出入国在留管理庁「在留資格一覧表」(https://www.moj.go.jp/isa/)…就労可能な在留資格16種類の根拠
- 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…2026年・2040年の介護職員必要数データの根拠
- 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日…特定技能1号の受入上限・在留者数推移・国籍別ランキングの根拠
- 厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」2025年資料…特定技能1号・技能実習・在留資格「介護」・EPAの在留者数データの根拠
- 法務省「出入国管理及び難民認定法」…就労ビザの法的根拠・不法就労助長罪の罰則規定の根拠
- みなと行政書士法人「就労ビザとは?種類と違いを初心者向けにわかりやすく解説」…就労ビザ種類別の特徴・在留期間の参考情報
この記事の監修者
大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。
