結論(30秒でわかる要点)
外国人ヘルパーは、深刻な人手不足が続く日本の介護現場において、今や欠かせない存在となっています。
- 2025年4月、特定技能・技能実習の外国人が訪問介護に従事できるよう制度が拡大された
- 特定技能「介護」の在留者数は2024年末時点で44,367人に達し、制度開始から約5年で急増している
- 受け入れには「1年以上の実務経験」「同行訓練」「ICT整備」など、事業所側の準備が必要
対象者:外国人ヘルパーの受け入れを検討している介護施設・訪問介護事業所の管理者・経営者の方
> ⚠️ 本記事の制度情報は2025年時点のものです。制度は随時更新されるため、最新情報は厚生労働省の公式資料でご確認ください。
はじめに

「人が集まらない」「高齢化でスタッフが減っていく」——多くの介護事業所が抱えるこの悩みは、年々深刻さを増しています。厚生労働省の推計によれば、2026年には全国で約240万人の介護職員が必要となり、2022年実績(215万人)から25万人もの増員が求められます。さらに2040年には272万人が必要とされており、国内人材だけでその需要を満たすことは困難な状況です(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)。
そうした背景から、外国人ヘルパーへの関心が急速に高まっています。しかし「どんな制度を使えばいいの?」「訪問介護でも雇えるの?」「受け入れに何が必要?」と疑問を持つ方も多いはずです。
この記事でわかること:
- 外国人ヘルパーに関する在留資格の種類と違い
- 2025年4月に解禁された訪問介護への従事要件
- 受け入れ事業所が準備すべき5つの義務事項
- 現場での成功事例と専門家からのアドバイス
外国人ヘルパーとは?制度の基礎知識

用語の定義
外国人ヘルパーとは、日本の介護保険制度に基づく訪問介護などのサービスに従事する外国籍の介護職員のことで、特定技能・技能実習・EPA・在留資格「介護」などの制度を通じて就労する人材を指します。
外国人ヘルパーが注目される背景
介護業界の人手不足は、数字を見るとその深刻さがよくわかります。
- 訪問介護事業所の81.9%が人手不足と回答(令和5年度介護労働実態調査)
- 訪問介護員の平均年齢は54.4歳、65歳以上が全体の24.4%を占める
- 2023〜2024年にかけて、訪問介護事業所の廃止件数が前年比で増加傾向
こうした現状を受け、国は外国人介護人材の活用を積極的に推進しています。特定技能「介護」の在留者数は、制度開始直後の2019年末はわずか19人でしたが、2024年末には44,367人にまで増加しました(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。約5年間で約2,300倍という急成長は、いかに現場のニーズが高いかを物語っています。
外国人ヘルパーが活躍できる在留資格の種類
日本の介護現場で働ける外国人の在留資格は、主に以下の4種類です。
| 在留資格 | 在留期間 | 日本語能力基準 | 介護福祉士資格 | 家族帯同 |
|---|---|---|---|---|
| 特定技能「介護」 | 通算最長5年(延長不可) | JLPT N4以上 | 不要 | 原則不可 |
| 在留資格「介護」 | 1年・3年・5年(更新回数の上限なし) | 介護福祉士の取得が要件(日本語要件の定めなし) | 必要 | 可能 |
| 特定活動(EPA) | 原則4年(延長可) | 訪日前後に日本語研修を実施(N3程度が目安) | 入国後取得 | 一部可能 |
| 技能実習「介護」 | 最長5年(多くは2号までで約3年) | JLPT N4以上(2号移行時N3目安) | 不要 | 不可 |
それぞれの制度には特徴があります。すぐに即戦力として採用したい場合は特定技能が向いており、長期的に日本で働いてもらいたい場合は在留資格「介護」やEPAが選択肢になります。
2025年4月解禁:外国人ヘルパーが訪問介護で働けるようになった

制度改正の概要と施行日
これまで、訪問介護に従事できる外国人の在留資格は「介護」と「特定活動(EPA)」のみでした。しかし2025年4月から、特定技能と技能実習の外国人も訪問介護に従事できるようになりました。
- 技能実習:2025年4月1日施行
- 特定技能:2025年4月21日施行
(出典:厚生労働省「外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について」)
これにより、訪問介護・夜間対応型訪問介護・定期巡回・随時対応サービスなどの訪問系サービスで、4つの在留資格すべてが対応可能となりました。
訪問介護に従事するための要件(外国人側)
外国人ヘルパーが訪問介護に従事するには、以下の要件を原則として満たす必要があります。
- 介護職員初任者研修課程などを修了していること
- 介護事業所等での実務経験が1年以上あること(原則)
なお、実務経験が1年未満の場合でも、日本語能力試験N2相当以上の能力を有するなど一定の要件を満たせば従事が認められる場合があります。その場合も、より丁寧な同行訪問やOJTが求められます。
受け入れ事業所が守るべき5つの義務事項
訪問介護で外国人ヘルパーを受け入れる事業所には、以下の5項目の遵守が義務付けられています。
- 訪問介護等の業務に関する研修の実施
業務の基本事項や安全確認の方法など、訪問系サービス特有の知識を事前に教育する
- 一定期間の同行訪問(OJT)の実施
サービス提供責任者や先輩職員が同行し、利用者宅での実地指導を行う。週1回サービス提供の利用者に対しては原則6か月間の同行が必要
- キャリアアップ計画の作成
外国人介護士本人の意向を確認しながら、資格取得・研修受講・将来のキャリア目標を明記した計画書を作成する
- ハラスメント対応のための相談窓口設置
利用者・家族からのハラスメントに対応できる体制を整備する
- ICT環境の整備
不測の事態が生じた際に事業所と連絡が取れるよう、スマートフォン・タブレット・コミュニケーションアプリなどを活用した情報共有体制を構築する
また、受け入れ開始前に巡回訪問等実施機関(国際厚生事業団)への書類提出も必要です。
外国人ヘルパー活躍の実態:現場から見えてきたこと

事例①:訪問介護で外国人ヘルパーが地域に溶け込む
兵庫県内のある訪問介護事業所では、インドネシア人やミャンマー人の計4名が特定技能でヘルパーとして活躍しています。当初、外国人スタッフのサービスを受け入れた利用者は全体の約3割でしたが、丁寧な対応と誠実な姿勢が評価され、現在では約6割の利用者宅を担当するまでになりました。
利用者の方からは「仕事がとても丁寧で、会話のやり取りもスムーズ。日本人との違いを感じない」という声も上がっています。事業所の責任者は「地域でも人手不足で閉鎖に追い込まれる訪問介護事業所が出てきている。外国人材は一筋の光だ」と語ります。
ポイントとして挙げられるのは以下の3点です。
- 入念な事前研修:日本の調味料の使い方や掃除の仕方、玄関での靴のそろえ方などのマナーを研修で学んだ
- 段階的な独り立ち:責任者との同行期間を経てから、1人での訪問に移行した
- 利用者への事前説明:外国人スタッフが担当することを事前に承諾した利用者宅のみを担当
事例②:文化の違いを強みに変えた動画発信
重度の障害を持つある男性は、バングラデシュ出身のヘルパーとの日常をショート動画でSNSに投稿し、9万人を超えるフォロワーを獲得しています。動画の中では、お刺身を初めて見たヘルパーが「焼かない?マジ?」と驚く場面や、ストーマパウチの交換手順を丁寧に説明する場面などが紹介されています。
「文化の違いをユーモラスに伝える」コンテンツは多くの共感を呼び、介護の現場に対するポジティブなイメージを広める効果も生んでいます。これまでに合計7人の外国人ヘルパーに支えられてきたという経験は、外国人ヘルパーとの関係構築が可能であることを示す一つの事例と言えるでしょう。
学べるポイント:
- 文化の違いは「障壁」ではなく「豊かさ」になりうる
- 外国人ヘルパーの率直な反応が、利用者との自然なコミュニケーションを生む場合もある
- 動画発信など情報共有の工夫が、受け入れ促進につながる
よくある質問(専門家に聞く)
外国人ヘルパーの受け入れについて、元看護師・介護福祉士であり、GENSAI Career Consulting Corp代表の大町潤一氏に伺いました。
Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?
「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。
一番伝えたいこと
「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」
私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。
それは:
1. 受け入れる側の覚悟
- 最初は時間がかかることを理解する
- 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
- 文化の違いを楽しむ心
2. 外国人介護士のポテンシャル
- 真面目で一生懸命
- 学ぶ意欲が高い
- 利用者様を大切にする心
3. 長期的な視点
- すぐに結果を求めない
- 信頼関係を築くのに時間をかける
- 3年、5年後の姿を一緒に描く
「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」
「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」
最後に
「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」
「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」
Q. 元看護師・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?
「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。
元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:
1. 現場目線での人材選考
- 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
- 技術だけでなく、人柄や適性を重視
- 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ
2. 実践的な教育プログラム
- 現場で本当に必要な技術を優先
- 教科書的な知識より、実際の動きを重視
- 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える
3. 施設側の悩みに寄り添える
- 「受け入れる側」の大変さを理解している
- 現実的なアドバイスができる
- 一緒に問題を解決する姿勢
「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」
外国人ヘルパーに関するよくある制度的な質問

Q1. 外国人ヘルパーが訪問介護で働くために必要な資格は何ですか?
A. 介護職員初任者研修課程(旧ホームヘルパー2級)の修了が基本的な要件です。加えて、介護事業所等での1年以上の実務経験が原則として求められます。在留資格「介護」を持つ方は介護福祉士資格も必要ですが、特定技能・技能実習の場合は介護福祉士資格は不要です。なお、訪問する業務の種類(居宅介護・重度訪問介護など)によって必要な研修が異なる場合があります。最新の要件は厚生労働省の通知等でご確認ください。
Q2. 特定技能「介護」の受け入れ人数に上限はありますか?
A. はい、あります。特定技能「介護」の5年間の受入見込数(上限)は135,000人と定められています(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。また、1事業所あたりの受け入れ人数にも制限があり、日本人等の常勤介護職員の総数を超えることはできません。
Q3. 外国人ヘルパーはどの国籍が多いですか?
A. 特定技能「介護」の国籍別では、2024年12月末時点で以下のような内訳となっています(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。
- 1位:インドネシア 12,242人(全体の27.6%)
- 2位:ミャンマー 11,717人(全体の26.4%)
- 3位:ベトナム 8,910人(全体の20.1%)
- 4位:フィリピン 4,538人(全体の10.2%)
- 5位:ネパール 3,602人(全体の8.1%)
上位5か国で全体の9割以上を占めています。
Q4. 外国人ヘルパーが介護福祉士の国家試験に合格する割合はどのくらいですか?
A. 日本語能力によって合格率に大きな差があります(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)。
- N1保有者:86.7%
- N2保有者:53.4%
- N3保有者:25.2%
- N4保有者:25.0%
- N5保有者:12.5%
N2以上の日本語能力を持つ方への手厚いサポートが、資格取得の大きな鍵となります。また、外国人介護人材が国家試験を受けた理由として「日本で介護職として働き続けるため(68.9%)」「日本で長く住み続けたいため(55.2%)」が上位に挙がっており、定着意欲の高さがうかがえます。
Q5. 外国人ヘルパーを受け入れた施設では、どのような職場サポートが行われていますか?
A. 令和6年度の調査によると、外国人介護人材が受けた職場からの支援として、「施設職員に勉強を教えてもらった(36%)」「日本語の先生に教えてもらった(26.7%)」「勤務時間やシフトの調整(24.8%)」が挙げられています(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)。日本語学習支援と現場でのOJTを組み合わせたサポートが、定着につながるポイントといえます。
まとめ
外国人ヘルパーは、日本の介護現場の持続可能性を支える重要な存在として、制度面でも現場でも急速に広がっています。
- 2025年4月から、特定技能・技能実習の外国人が訪問介護に従事可能となり、4つの在留資格すべてで対応できるようになった
- 受け入れ事業所には、研修実施・同行訓練・キャリアアップ計画・ハラスメント対策・ICT整備の5つの義務事項がある
- 成功のカギは「穴埋め採用」ではなく「長期的なパートナーとして迎える」姿勢と、日本語支援を含む丁寧なサポート体制
まずは制度の概要を把握し、自施設の状況に合った在留資格・受け入れ体制を検討することから始めてみてください。専門家への相談や無料セミナーの活用も、第一歩として有効です。
> 【YMYL注意】本記事の制度情報は執筆時点(2025年)のものです。在留資格・訪問介護の要件・受入上限などは随時改定される可能性があります。最終的な判断は、厚生労働省の最新公式資料や、行政書士・社会保険労務士などの専門家にご確認ください。
出典・参考
- 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」(令和7年3月28日)…特定技能受入上限・国籍別ランキング・在留者数推移・都道府県別受入状況の根拠
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaikokujin-kaigo/index.html
- 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…2026年・2040年の介護職員必要数(215万人→240万人→272万人)の根拠
- 厚生労働省「外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について」(令和7年施行)…訪問介護解禁の制度概要・事業所が遵守すべき5項目の根拠
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaikokujin-kaigo/homon.html
- 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…日本語レベル別合格率・国家試験受験理由・職場サポート内容の根拠
- 厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」2025年資料…特定技能・技能実習・在留資格「介護」・EPAの在留者数データの根拠
- 公益財団法人 介護労働安定センター「介護労働実態調査(令和5年度)」…訪問介護事業所の人手不足割合(81.9%)の根拠
この記事の監修者
大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。
