介護事業所の外国人雇用方法|在留資格の選び方・受入手順・必要な支援を解説

目次

結論(30秒でわかる要点)

介護事業所が外国人を雇用するには、EPA・在留資格「介護」・技能実習・特定技能の4制度を正しく理解し、自施設の状況に合った制度を選ぶことが最初の一歩です。

  • 即戦力を求めるなら「特定技能1号」が現時点で最も現実的な選択肢
  • 長期育成を重視するなら「EPA」または「技能実習」が向いている
  • 雇用後は在留資格管理・社会保険手続き・日本語支援の3点が定着のカギ

対象者:外国人介護士の受入れを初めて検討している介護施設の管理者・採用担当者

> ⚠️ 本記事で紹介する制度は随時更新されます。最終判断は厚生労働省・出入国在留管理庁の最新公的資料、または専門家にご確認ください。

はじめに:なぜ今、外国人雇用が介護事業所の重要課題なのか

はじめに:なぜ今、外国人雇用が介護事業所の重要課題なのか|フィリピン人介護士のイメージ

「求人を出しても日本人スタッフがなかなか集まらない」「このままでは現場が回らない」——そんな切実な声が、全国の介護事業所から聞こえてきます。

厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によれば、2022年時点で215万人だった介護職員は、2026年には240万人、2040年には272万人が必要になると試算されています。この25万人〜57万人という不足数を、国内人材だけで埋めることは構造的に難しい状況です。

そのような背景から、外国人介護人材の活用は「検討事項」ではなく「経営上の必須課題」になりつつあります。

この記事でわかること

  • 介護事業所が利用できる4つの在留資格制度の特徴と違い
  • 特定技能外国人を受け入れるための具体的な手順(ステップ別)
  • 雇用後の定着を高めるための支援ポイント
  • 専門家が語る「受入れで本当に大切なこと」
無料診断ツール
特定技能介護 かんたん受け入れ診断
たった3問で貴施設の受け入れ可否がわかる

施設種別・職員数を入力するだけで、特定技能「介護」の受け入れ可否をその場で確認できます。

1施設種別 2職員数 3結果表示
今すぐ無料診断 →

介護事業所における外国人雇用の現状と背景

介護事業所における外国人雇用の現状と背景|フィリピン人介護士のイメージ

「外国人介護人材の受入れ」とは何か

介護事業所における外国人雇用とは、EPA・在留資格「介護」・技能実習・特定技能の4制度を通じて、一定の要件を満たした外国人を介護職員として受け入れ、共に現場を担う仕組みのことです。

外国人介護人材の受入れ状況:数字で見る現在地

厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」(令和7年3月28日)によると、特定技能1号の在留者数は2024年12月31日時点で44,367人に達しています。制度が始まった2019年12月末時点ではわずか19人でしたから、約5年間で約2,300倍という驚異的な増加です。

在留資格別の現在の受入れ人数は以下のとおりです。

在留資格人数基準時点
特定技能1号44,367人2024年12月31日
技能実習15,909人2023年12月31日
在留資格「介護」12,227人2024年12月31日
EPA3,180人2025年4月1日

(出典:厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」2025年資料)

特定技能外国人の国籍は、インドネシア(27.6%・12,242人)、ミャンマー(26.4%・11,717人)、ベトナム(20.1%・8,910人)、フィリピン(10.2%・4,538人)、ネパール(8.1%・3,602人)の順で多く、上位5か国で全体の9割以上を占めています。

人手不足が深刻化している構造的な理由

  • 少子高齢化の加速:2040年には介護職員272万人が必要とされる一方、生産年齢人口は減少し続けている
  • 採用競争の激化:同業他社との競合に加え、他産業との人材獲得競争も激しくなっている
  • 離職率の高さ:身体的・精神的負担の大きさから、国内人材の定着に課題が残る
  • 地方部での採用難:都市部に比べ求人への応募が少なく、地方の事業所ほど外国人材への期待が高まっている

4つの在留資格制度の特徴と選び方

4つの在留資格制度の特徴と選び方|フィリピン人介護士のイメージ

制度ごとの比較:自施設に合った方法を選ぶ

制度在留期間必要な日本語レベル主な特徴
特定技能1号通算5年N4程度以上(試験で確認)即戦力・幅広い業務・人員配置基準に即日算入可
技能実習最長5年N4〜N3程度本国への技能移転が目的・監理団体が必要
在留資格「介護」制限なし(更新可)介護福祉士資格が必要長期就労可・専門性が高い・養成施設卒業が要件
EPA4年(合格後は継続可)N3〜N2程度インドネシア・フィリピン・ベトナムのみ・育成型

Step別:特定技能外国人の受入れ手順

現在最も活用されている「特定技能1号」の受入れ手順を、国内在住者と海外在住者に分けて整理します。

■ 国内在住者の場合(目安:3〜4か月)

  1. Step1:候補者が日本語能力試験(N4以上)と介護技能評価試験に合格していることを確認する
  2. Step2:雇用条件の提示・労働契約の締結
  3. Step3:出入国在留管理庁へ在留資格変更許可申請を提出
  4. Step4:許可取得後、入職・支援計画の開始

■ 海外在住者の場合(目安:5〜7か月)

  1. Step1:現地で介護技能評価試験・介護日本語評価試験・日本語能力試験に合格
  2. Step2:在留資格認定証明書の交付申請を行う
  3. Step3:証明書を候補者に送付し、現地の日本大使館でビザ申請
  4. Step4:来日・入職・支援計画の実施

受入れ機関(事業所)が行う10の支援義務

特定技能外国人を雇用する場合、受入れ機関には以下の支援を行う義務があります。支援計画書の作成と実施が必須です。

  1. 事前ガイダンス(労働条件・入国手続きの説明)
  2. 出入国時の送迎
  3. 住居確保・生活に必要な契約支援
  4. 生活オリエンテーション(8時間以上)
  5. 公的手続き等への同行
  6. 日本語学習の機会の提供
  7. 相談・苦情への対応(母国語対応)
  8. 日本人との交流促進
  9. 転職支援(雇用側の都合による解雇の場合)
  10. 定期的な面談・行政機関への通報(3か月に1回以上)

これらの支援は、登録支援機関に委託することも可能です。初めて受け入れる事業所は、専門の登録支援機関を活用することで、手続きの負担を大幅に軽減できます。

雇用後に必要な行政手続きのチェックリスト

  • ✅ 厚生年金保険・健康保険の加入(日本年金機構へ)
  • ✅ 雇用保険・労災保険の加入(労働基準監督署へ)
  • ✅ 外国人雇用状況の届出(ハローワークへ、雇入れ翌月10日まで)
  • ✅ 在留カードの確認(在留資格・在留期限の確認)
  • ✅ 在留期限1か月前までの更新申請(出入国在留管理庁へ)

受入れ成功に向けた職場環境づくりの実践例

受入れ成功に向けた職場環境づくりの実践例|フィリピン人介護士のイメージ

成功事例①:日本語支援と業務マニュアルの整備

関東のある特別養護老人ホームでは、特定技能外国人を複数名受け入れるにあたり、業務マニュアルを母国語に翻訳するとともに、週1回の日本語学習の時間をシフトに組み込みました。

厚生労働省の調査(令和6年度老人保健健康増進等事業)によれば、外国人介護人材が職場から受けた支援として「施設職員に勉強を教えてもらった」が36%、「日本語の先生に教えてもらった」が26.7%、「勤務時間やシフトの調整」が24.8%という結果が出ています。

この施設でも同様に、日常業務の中で自然に日本語を学べる環境を整えたことで、入職から6か月後には利用者様とのコミュニケーションが大きく改善したといいます。

学びのポイント

  • 翻訳ツールや多言語マニュアルは「最初の壁」を下げる有効な手段
  • 勉強時間をシフトに組み込むことで、学習継続率が上がる
  • 「わからないことを聞ける雰囲気」が定着率を左右する

成功事例②:長期的な視点でのキャリア支援

近畿地方のある介護老人保健施設では、技能実習から特定技能へ移行した外国人スタッフに対し、介護福祉士国家試験の受験支援を実施しました。

厚生労働省の調査によると、外国人介護人材が国家試験を受けた理由として「日本で介護職として働き続けるため」が68.9%、「日本で長く住み続けたいため」が55.2%に上ります。つまり、外国人スタッフ自身が長期的なキャリアを描いていることがわかります。

また、介護福祉士試験の合格率は日本語能力と強い相関があり、N1保有者は86.7%、N2保有者は53.4%、N3保有者は25.2%(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)。日本語支援が国家資格取得に直結することが数字でも示されています。

学びのポイント

  • 「試験を一緒に目指す」姿勢が、スタッフのモチベーションを高める
  • N2レベルの日本語力を目標に設定することで、合格率が大きく改善する
  • キャリアパスを示すことが、長期定着の最大の動機づけになる

よくある質問(専門家に聞く)

介護ケアジャパン・GENSAI Career Consulting Corp代表の大町潤一氏(元看護師・介護福祉士)に、外国人介護士の受入れを検討する施設がよく抱える疑問についてお答えいただきました。

Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?

「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。

一番伝えたいこと

「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」

私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。

それは:

1. 受け入れる側の覚悟

  • 最初は時間がかかることを理解する
  • 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
  • 文化の違いを楽しむ心

2. 外国人介護士のポテンシャル

  • 真面目で一生懸命
  • 学ぶ意欲が高い
  • 利用者様を大切にする心

3. 長期的な視点

  • すぐに結果を求めない
  • 信頼関係を築くのに時間をかける
  • 3年、5年後の姿を一緒に描く

「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」

「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」

最後に

「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」

「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」

Q. 元看護師・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?

「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。

元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:

1. 現場目線での人材選考

  • 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
  • 技術だけでなく、人柄や適性を重視
  • 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ

2. 実践的な教育プログラム

  • 現場で本当に必要な技術を優先
  • 教科書的な知識より、実際の動きを重視
  • 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える

3. 施設側の悩みに寄り添える

  • 「受け入れる側」の大変さを理解している
  • 現実的なアドバイスができる
  • 一緒に問題を解決する姿勢

「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」

制度に関するよくある質問

Q1. 特定技能外国人は訪問介護でも働けますか?

A. 2025年4月より、それまで認められていなかった特定技能外国人の訪問系サービスへの従事が解禁されました。ただし、技能実習生については訪問系サービスへの従事に関して別途要件があります。最新の厚生労働省通知をご確認ください。なお、特定技能の受入れは直接雇用のみが認められており、派遣雇用は対象外です。

Q2. 特定技能「介護」の受入れ人数に上限はありますか?

A. 特定技能「介護」の5年間の受入見込数(上限)は135,000人と設定されています(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。なお、1事業所あたりの受入れ人数に関しては、事業所の規模や常勤職員数に応じた基準が設けられています。詳細は最新の公的資料でご確認ください。

Q3. 外国人介護士の雇用にかかる費用はどのくらいですか?

A. 費用は制度や採用ルートによって大きく異なります。登録支援機関への委託費用、人材紹介会社への紹介手数料(海外在住者の場合は現地送り出し機関への費用も含む)、入職後の日本語研修費用などが主な項目です。一般的に、海外から招聘する場合は国内転職者を採用するよりも初期費用が高くなる傾向があります。自治体によっては日本語研修費用やICT機器購入費に対する助成金制度を設けている場合もあるため、事業所所在地の自治体窓口に確認することをお勧めします。

Q4. 外国人介護士を受け入れるとき、日本人スタッフへの説明はどうすればいいですか?

A. 受入れ前に日本人スタッフへの説明会を開くことが、職場全体のスムーズな受入れにつながります。文化的な背景の違い(宗教上の食事制限、礼拝時間など)を事前に共有し、「一緒に働く仲間として迎える」という姿勢を職場全体で統一することが大切です。外国人労働者を常時10人以上雇用する場合は、「外国人労働者雇用管理責任者」の専任も必要になります。

Q5. 技能実習と特定技能、どちらを選べばいいですか?

A. 即戦力として早期に現場で活躍してほしい場合は「特定技能1号」が適しています。特定技能外国人は現場配属初日から人員配置基準に算入できるため、シフト編成への影響が少ない点が大きなメリットです。一方、段階的に育成しながら技能を身につけさせたい場合は「技能実習」も選択肢になります。ただし、技能実習制度は2027年4月に「育成就労制度」へ移行予定(令和9年4月1日施行予定)のため、最新情報の確認が必要です。

まとめ:外国人雇用の方法を整理して、一歩を踏み出そう

この記事で解説した内容を、3つのポイントに絞ってまとめます。

  • 制度を正しく理解する:EPA・在留資格「介護」・技能実習・特定技能の4制度はそれぞれ目的・期間・要件が異なる。自施設の状況に合った制度を選ぶことが第一歩
  • 手続きと支援義務を把握する:在留資格の変更申請から社会保険手続き、10項目の支援計画まで、雇用後の義務を事前に確認しておく
  • 定着のカギは「職場の受入れ態勢」:日本語支援・業務マニュアルの整備・キャリアパスの提示が、長期定着と利用者サービスの質向上につながる

外国人介護士の受入れは、準備が整えば整うほど、施設にとっても外国人スタッフにとっても良い結果につながります。まずは制度の概要を把握し、登録支援機関や専門家への相談から始めてみてください。

> ⚠️【YMYL注意】本記事で紹介した制度・手続きは変更される場合があります。最終的な判断は、厚生労働省・出入国在留管理庁の最新公的資料、または行政書士・社会保険労務士などの専門家にご確認ください。

出典・参考

  • 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」(令和7年3月28日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaikokujin_kaigo/ …特定技能受入上限・国籍別ランキング・在留者数推移・都道府県別受入状況の根拠
  • 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」https://www.mhlw.go.jp/ …2026年・2040年の介護職員必要数(240万人・272万人)の根拠
  • 厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」(2025年資料)https://www.mhlw.go.jp/ …特定技能1号・技能実習・在留資格「介護」・EPAの在留者数データの根拠
  • 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…日本語レベル別合格率・国家試験受験理由・職場支援内容の根拠
  • 厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」(制度概要ページ)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaikokujin_kaigo/ …EPA・在留資格「介護」・技能実習・特定技能の4制度概要の根拠
  • 公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)https://www.jicwels.or.jp/ …EPA介護福祉士候補者の受入れ調整機関に関する情報の根拠
  • 出入国在留管理庁「外国人雇用状況の届出制度」https://www.moj.go.jp/ …外国人雇用状況届出・在留資格管理手続きに関する根拠

この記事の監修者

大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次