結論(30秒でわかる要点)
特定技能「介護」で家族帯同を実現するには、在留資格「介護」への変更が現実的な近道です。
- 特定技能1号では原則として家族帯同は不可(例外あり)
- 介護分野には特定技能2号が存在しないため、他分野とは異なるルートが必要
- 在留資格「介護」(介護福祉士資格)への変更が、家族帯同・長期在留の現実的な選択肢
- 対象者:特定技能「介護」で働く外国人材を雇用・支援する施設担当者、および本人
> ⚠️ 本記事の内容は執筆時点の制度情報に基づいています。在留資格・制度は随時更新されるため、最新情報は出入国在留管理庁または厚生労働省の公式資料でご確認ください。
はじめに

「せっかく信頼できる外国人介護士が育ってきたのに、5年で帰国しなければならないの?」
そんな悩みを抱える施設担当者の方は、少なくないと思います。また、日本で介護士として働く外国人本人にとっても、「家族と離れて異国で生活し続けること」への不安は、定着率や仕事への意欲に直結する問題です。
特定技能「介護」の在留者数は、制度開始(2019年12月末)の19人からわずか5年で44,367人(2024年12月末時点)へと急増しています(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。これだけ多くの外国人介護士が日本で働く中、「家族帯同」の問題は施設と本人の双方にとって、ますます切実なテーマになっています。
この記事でわかること:
- 特定技能1号・2号における家族帯同の可否と例外ケース
- 介護分野特有の「特定技能2号なし」問題と現実的な代替ルート
- 在留資格「介護」(介護福祉士)への変更手順と施設側のサポート方法
- 家族帯同申請の具体的な手続きと必要書類
特定技能「介護」と家族帯同|制度の基礎と現状

「特定技能 介護 家族帯同」とは何か
特定技能「介護」における家族帯同とは、介護分野の特定技能在留資格を持つ外国人が、配偶者や子どもを日本に呼び寄せて同居することを指す制度上の概念です。
家族帯同の可否まとめ
| 在留資格 | 家族帯同 | 在留期間 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 特定技能1号(介護) | 原則不可 | 最長5年(更新不可) | 例外あり(後述) |
| 特定技能2号 | 可(配偶者・子のみ) | 上限なし(更新可) | 介護分野は2号対象外 |
| 在留資格「介護」 | 可(配偶者・子のみ) | 上限なし(更新可) | 介護福祉士国家資格が必要 |
| 技能実習 | 不可 | 最長5年 | 特定技能1号と同様 |
なぜ特定技能1号では家族帯同が認められないのか
特定技能1号が「家族帯同不可」とされているのは、制度の設計思想に由来します。特定技能1号は、深刻な人手不足への対策として、一定期間・単身就労を前提に創設された在留資格です。長期滞在や家族帯同を広く認めてしまうと、「事実上の移民受け入れ」になるとの懸念から、在留期間の上限(最長5年)とともに家族帯同禁止が制度に組み込まれました。
出入国在留管理庁のQ&Aにも「特定技能1号では家族帯同は認められない。2号では配偶者・子に限り認められる」と明記されています。
介護分野に特定技能2号が存在しない理由
他分野(建設、宿泊、農業など11分野)では特定技能2号への移行が可能ですが、介護分野は特定技能2号の対象外です。これは、介護分野には「在留資格『介護』」という、特定技能2号と同等以上の処遇が受けられる別の在留資格が存在するためです。
つまり、介護分野で働く外国人が家族帯同・長期在留を目指す場合は、「特定技能2号への移行」という道ではなく、「介護福祉士の国家資格を取得して在留資格『介護』へ変更する」という道を歩む必要があります。
特定技能1号の例外ケースと、家族が日本に滞在できる現実的な方法

特定技能1号で家族と同居できる例外ケース
原則不可とはいえ、以下の限定的なケースでは家族が日本に滞在できる場合があります。
ケース1:特定技能1号に変更する前から配偶者が日本に在留していた場合
もともと「家族滞在」ビザなど別の在留資格で日本にいた配偶者は、本人が特定技能1号に変更した後も「特定活動」ビザで引き続き滞在できる可能性があります。これは新たに海外から呼び寄せるのではなく、すでに日本にいる家族が「そのまま在留を続ける」ケースです。
ケース2:特定技能1号同士の夫婦に日本で子どもが生まれた場合
日本で特定技能1号として働く夫婦の間に子どもが生まれた場合、その子どもは「特定活動」ビザでの在留が認められます。これも人道上の配慮による例外措置です。
> ⚠️ これらはいずれも「最初から家族を呼び寄せられる」わけではなく、極めて限定的な例外です。「特定技能1号でも家族帯同OK」という誤情報には注意が必要です。
配偶者が別の在留資格で来日するという方法
もう一つの現実的なアプローチとして、配偶者が自身の在留資格(留学、技能実習、特定技能1号など)を取得して来日し、夫婦がともに日本で生活するケースもあります。この場合、配偶者は「家族滞在」ではなく独立した在留資格を持つことになります。
在留資格「介護」への変更|家族帯同を実現する現実的なルート

介護福祉士国家資格の取得が必要
特定技能「介護」から家族帯同・長期在留を実現するための最も現実的な道は、介護福祉士の国家資格を取得し、在留資格を「介護」に変更することです。
在留資格「介護」は、2017年に新設された在留資格で、以下の特徴があります。
- 在留期間の上限なし(5年・3年・1年・6か月のいずれかで更新可能)
- 配偶者・子どもの家族帯同が可能
- 将来的な永住申請の要件を満たせる可能性がある
- 訪問介護など、特定技能では制限されていた業務も可能
介護福祉士試験への道|実務経験ルートのステップ
特定技能「介護」から介護福祉士を目指す場合、「実務経験ルート」が主な選択肢です。
Step 1:実務経験3年以上を積む
介護施設での実務経験が3年以上必要です。特定技能「介護」では最長5年の就労が可能なので、この条件はクリアできます。
Step 2:実務者研修を修了する
実務者研修は20科目・450時間で構成され、修了まで平均6か月以上かかります。受験したい介護福祉士試験の実施年度の3月31日までに修了する必要があります。特定技能の在留期間(最長5年)内に実務経験3年+実務者研修を計画的に進めることが不可欠です。
Step 3:介護福祉士国家試験に合格する
試験は日本語で実施されます。日本語能力レベルによって合格率が大きく異なります。
| 日本語能力レベル | 介護福祉士国家試験合格率 |
|---|---|
| N1保有者 | 86.7% |
| N2保有者 | 53.4% |
| N3保有者 | 25.2% |
| N4保有者 | 25% |
| N5保有者 | 12.5% |
(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」)
N2以上の日本語能力を持つ外国人介護士は、合格率が大幅に上がります。施設側のサポートとして、日本語学習支援は特に効果的です。
Step 4:在留資格「介護」への変更申請
介護福祉士登録証を取得後、出入国在留管理庁に在留資格変更許可申請を行います。
施設側が取り組むべき支援内容
外国人介護士が介護福祉士を目指せるよう、施設側がサポートできる内容は以下のとおりです。
- 施設職員による勉強サポート(令和6年度調査:36%の外国人が施設職員に教えてもらったと回答)
- 日本語教師の手配・費用補助(同調査:26.7%が日本語の先生に教えてもらったと回答)
- 勤務時間・シフトの調整(同調査:24.8%が勤務調整の支援を受けたと回答)
- 実務者研修の費用補助
家族帯同申請の手続きと必要書類

在留資格「介護」取得後の家族帯同申請手順
在留資格「介護」を取得した外国人が家族を日本に呼び寄せる場合、配偶者・子どもは「家族滞在」の在留資格で申請します。
- 必要書類の作成・準備
- 出入国在留管理庁への在留資格認定証明書交付申請
- 審査(標準処理期間:1〜3か月程度)
- 在留資格「家族滞在」の交付
- 在留資格認定証明書を母国の家族に送付
- 家族が在外日本大使館・領事館でビザを申請
- ビザ発給・来日
主な必要書類
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 写真(縦4cm×横3cm、6か月以内撮影)
- 返信用封筒(簡易書留用切手貼付)
- 身分関係を証する文書(戸籍謄本、婚姻届受理証明書、出生証明書など)
- 扶養者(本人)の在留カードまたはパスポートの写し
- 扶養者の職業・収入証明書類(在職証明書、住民税の課税・納税証明書など)
家族帯同の対象範囲と注意点
- 対象:法律上の婚姻関係にある配偶者、実子または養子(扶養関係にある未成年)
- 対象外:内縁関係・事実婚の配偶者、両親・兄弟・親族
> ⚠️ 扶養能力の証明が重要です。安定した収入・納税実績がなければ申請が認められない場合があります。
具体的な事例から学ぶ|家族帯同を実現した外国人介護士のケース

事例①:計画的な資格取得で在留資格「介護」へ変更
関西のある特別養護老人ホームに勤務するインドネシア人介護士(30代女性)は、特定技能「介護」で入職後、施設の支援を受けながら日本語学習と実務者研修を並行して進めました。入職から4年目に介護福祉士国家試験に合格し、在留資格を「介護」に変更。その後、母国にいた配偶者と子どもを「家族滞在」ビザで呼び寄せることができました。
この事例のポイント:
- 入職時点から「介護福祉士取得→在留資格変更→家族帯同」というキャリアパスを施設と共有
- 施設側がシフト調整と日本語学習費用を支援
- 日本語能力をN2まで引き上げたことが合格の決め手
事例②:施設全体でのサポート体制が定着率向上に
東京都内のある介護老人保健施設では、複数名のフィリピン人介護士を受け入れ、入職初年度から介護福祉士受験を見据えた学習支援プログラムを導入しました。施設職員が週1回の勉強会を開催し、日本語と介護専門用語を一緒に学ぶ機会を設けた結果、受験した外国人介護士全員が3年以内に合格。在留資格「介護」への変更後も全員が継続勤務しており、定着率の大幅な改善につながっています。
この事例の学び:
- 「家族帯同できる将来」を見せることが、外国人介護士のモチベーション維持に直結する
- 施設側の学習支援投資は、長期的な人材確保コストの削減につながる
- 外国人介護士の定着が、利用者様の安心感にもつながる
よくある質問(専門家に聞く)
Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?
「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。
一番伝えたいこと
「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」
私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。それは:
1. 受け入れる側の覚悟
- 最初は時間がかかることを理解する
- 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
- 文化の違いを楽しむ心
2. 外国人介護士のポテンシャル
- 真面目で一生懸命
- 学ぶ意欲が高い
- 利用者様を大切にする心
3. 長期的な視点
- すぐに結果を求めない
- 信頼関係を築くのに時間をかける
- 3年、5年後の姿を一緒に描く
「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」
「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」
最後に
「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」
「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」
Q. 元看護師・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?
「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。
元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:
1. 現場目線での人材選考
- 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
- 技術だけでなく、人柄や適性を重視
- 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ
2. 実践的な教育プログラム
- 現場で本当に必要な技術を優先
- 教科書的な知識より、実際の動きを重視
- 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える
3. 施設側の悩みに寄り添える
- 「受け入れる側」の大変さを理解している
- 現実的なアドバイスができる
- 一緒に問題を解決する姿勢
「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」
制度に関するよくある質問
Q1. 特定技能「介護」1号で、収入が高ければ家族帯同は認められますか?
A. 認められません。特定技能1号には、収入水準に関わらず家族帯同を許可する規定が存在しません。どれだけ高収入であっても、原則として配偶者や子どもを母国から呼び寄せることはできません。ただし、すでに別の在留資格で日本に在留している配偶者が、本人の在留資格変更後も引き続き在留できる例外ケースはあります。
Q2. 特定技能「介護」から在留資格「介護」への変更に、どのくらいの期間がかかりますか?
A. 実務経験3年以上+実務者研修(約6か月)の修了+国家試験合格が必要なため、最短でも入職から3〜4年程度かかります。特定技能「介護」の在留期間は最長5年のため、入職直後から計画的に進めることが重要です。施設側が早期にキャリアパスを共有し、学習支援を開始することが成功の鍵です。
Q3. 在留資格「介護」で家族帯同できる家族の範囲は?
A. 法律上の婚姻関係にある配偶者と、扶養関係にある子ども(実子・養子)が対象です。内縁関係・事実婚のパートナー、両親、兄弟・姉妹、その他の親族は対象外です。また、成人した子どもでも扶養関係を立証できれば対象になる場合があります。
Q4. 特定技能「介護」の家族帯同について、将来的に制度が変わる可能性はありますか?
A. 日本政府は2024年に特定技能外国人の受入れ上限を大幅に引き上げる方針を閣議決定し、特定技能2号の対象分野拡大も進んでいます。また、技能実習制度を廃止して「育成就労制度」を創設する議論も進行中です。介護分野についても、優秀な人材の定着促進という観点から、将来的に制度が変わる可能性はあります。ただし現時点では、在留資格「介護」への変更が最も確実なルートです。最新情報は出入国在留管理庁の公式サイトで定期的にご確認ください。
Q5. 特定技能「介護」の外国人が介護福祉士試験に合格するためのサポートで、施設が最も効果的にできることは何ですか?
A. 令和6年度の調査によれば、外国人介護士が受けた職場からの支援として「施設職員に勉強を教えてもらった(36%)」「日本語の先生に教えてもらった(26.7%)」「勤務時間やシフトの調整(24.8%)」が上位に挙がっています。特に日本語能力の向上が合格率に直結するため(N2保有者の合格率53.4%、N1保有者86.7%)、日本語学習への支援投資は非常に効果的です。また、外国人介護士が国家試験を受けた理由として「日本で長く住み続けたいため(55.2%)」という回答も多く、家族帯同・長期在留への希望が学習意欲を支えていることがわかります。
まとめ
特定技能「介護」における家族帯同について、重要なポイントを整理します。
- 特定技能1号では原則として家族帯同は不可。例外は「すでに日本に在留している配偶者」や「日本で生まれた子ども」など、人道上の配慮による限定的なケースのみ
- 介護分野には特定技能2号がないため、家族帯同・長期在留を目指すには「介護福祉士国家資格の取得→在留資格『介護』への変更」が最も現実的なルート
- 施設側の学習支援が合否を左右する。日本語学習支援・シフト調整・費用補助が、外国人介護士の定着と資格取得の両方に貢献する
2040年には介護職員の必要数が272万人(2022年比+57万人)に達すると予測される中(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)、外国人介護士の長期定着は施設経営の重要課題です。「家族帯同できる未来」を一緒に描くことが、外国人介護士の定着率向上につながります。
まずは、在籍中の外国人介護士とキャリアパスについて話し合うことから始めてみてください。不安や疑問がある場合は、専門家への無料相談もご活用ください。
> 【YMYL注意】本記事は執筆時点の制度情報に基づいています。在留資格・入管制度は法改正や通達により随時変更されます。実際の申請・手続きに際しては、必ず最新の公的資料(出入国在留管理庁・厚生労働省)または行政書士等の専門家にご確認ください。
出典・参考
- 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日(https://www.mhlw.go.jp/)…特定技能「介護」受入上限・在留者数推移・国籍別ランキング・施設種別データの根拠
- 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…2026年・2040年の介護職員必要数(272万人)の根拠
- 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…日本語レベル別合格率・職場支援内容・受験理由データの根拠
- 出入国在留管理庁「特定技能総合支援サイト」(https://www.moj.go.jp/isa/)…特定技能1号・2号の家族帯同可否、在留資格制度の根拠(13言語対応)
- 出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請(家族滞在)」…家族滞在ビザの必要書類・申請手順の根拠
- 厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」…介護分野の特定技能2号非対象・在留資格「介護」の位置づけの根拠
この記事の監修者
大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。