特定技能介護は5年後に延長できる?通算6年まで働ける条件・手続きを解説

目次

結論(30秒でわかる要点)

特定技能1号(介護)は原則5年が上限だが、2026年1月実施の第38回介護福祉士国家試験から、パート合格制度の導入に伴い、一定の要件を満たせば最長1年間(通算6年まで)の在留延長が可能になった。

重要ポイント3つ

  • 延長には「全パート受験」「1パート以上合格」「合格基準点の8割以上の得点」の3条件を同時に満たす必要がある
  • 厚生労働省への確認依頼書と学習計画の提出期限は、受験年の4月末日(消印有効)
  • 本措置は特定技能1号のみが対象であり、技能実習・EPA等は対象外

対象者: 特定技能1号(介護)で在留中の外国人を受け入れている施設の担当者・支援責任者、および当事者の外国人介護士本人

> ⚠️ 本記事で紹介する制度・手続きは、公表時点の情報に基づいています。制度は随時更新されるため、最終的な判断は厚生労働省・出入国在留管理庁の最新公的資料および専門家にご確認ください。

はじめに

はじめに|介護現場のイメージ

「5年で帰国させなければいけないのか」「もう少し一緒に働けないか」——特定技能1号(介護)で外国人介護士を受け入れている施設の担当者から、こうした声を聞くことが増えています。

2040年には介護職員が272万人必要とされる一方(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)、現場で着実に成長してきた人材が5年で離れてしまうことへの惜しむ声は切実です。

そこで大きな転換点となったのが、2026年1月実施の第38回介護福祉士国家試験から始まった「パート合格制度」と、それに連動した特定技能1号(介護)の在留期間延長措置です。

この記事でわかること:

  • パート合格制度の仕組みと、在留延長との関係
  • 延長を受けるための具体的な3つの要件と手続きの流れ
  • 施設側が準備すべきこと・注意すべきポイント
  • よくある疑問(FAQ)への専門家の回答
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特定技能介護の在留期間延長とは何か

特定技能介護の在留期間延長とは何か|介護現場のイメージ

用語の定義

「特定技能介護の在留期間延長」とは、特定技能1号(介護)で在留する外国人が、介護福祉士国家試験のパート合格制度の要件を満たした場合に、通算5年の在留期間を最長1年間(通算6年まで)延長できる措置のことを指す。

背景と現状:なぜ延長措置が必要になったのか

特定技能1号は、深刻な人材不足が続く分野で外国人を受け入れるための在留資格です。介護分野では2019年12月末の受入開始時点でわずか19人だった特定技能1号の在留者数が、2024年12月末時点で44,367人にまで増加しています(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。約5年で約2,300倍という急増ぶりです。

ところが、特定技能1号には通算在留期間5年という上限があります。他の分野では「特定技能2号」に移行することで期間の制限がなくなりますが、介護分野には特定技能2号がありません。介護分野で長期的に在留するには、介護福祉士国家試験に合格して在留資格「介護」へ変更する必要があります。

しかし現実には、5年以内に国家試験に合格できないケースも少なくありません。日本語レベル別の合格率を見ると、N2保有者でも53.4%、N3では25.2%にとどまります(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)。合格に向けて真剣に取り組んでいるにもかかわらず、在留期限が先に来てしまう——そのような外国人介護士と施設の双方が困る状況を解消するために、今回の延長措置が整備されました。

パート合格制度の導入が在留延長の鍵になった理由

2026年1月25日実施の第38回介護福祉士国家試験から、試験科目が複数のパート(科目群)に分けられ、一定の合格水準に達したパートについては翌々年まで受験免除となる「パート合格制度」が導入されました。

この制度の導入を受けて、厚生労働省は令和8年1月21日付通知(社援発0121第10号)を発出し、一定の要件を満たした特定技能1号外国人について在留期間延長が可能となる仕組みを整えました。つまり、パート合格制度と在留延長措置はセットで理解する必要があります

在留期間延長を受けるための3つの要件と手続きの流れ

在留期間延長を受けるための3つの要件と手続きの流れ|介護現場のイメージ

Step1:延長要件の確認(試験結果の確認)

在留延長の対象となるのは、通算在留期間5年に達する前の最終年度に実施される介護福祉士国家試験の結果が以下の条件をすべて満たす場合です。

  1. 全パートを受験していること(不合格パートのみの受験では不可)
  2. 1パート以上合格していること
  3. 総得点に対する合格基準点の8割以上の得点があること

第38回(2026年)の試験では、合格基準点64点の8割以上、すなわち52点以上の得点が必要です(年度ごとに基準点が異なるため、毎年確認が必要)。

注意点:「8割以上」は満点の8割ではない

よく誤解されるのが「8割以上」の基準です。これはその年度の合格基準点の8割以上を指します。満点の8割ではないため、年度ごとの合格基準点を必ず確認してください。

また、前年度にパート合格済みの場合でも、最終年度は全パートを受験する必要があります。前年合格パートを免除して不合格パートのみ受験しても、延長要件を満たしません。

Step2:本人の誓約確認

延長を申請するには、外国人本人が以下の事項を誓約している必要があります。

  • 翌年度の介護福祉士国家試験を受験すること
  • 国家試験に合格した場合、速やかに在留資格「介護」への変更申請を行うこと
  • 国家試験に不合格だった場合、速やかに帰国すること
  • 在留申請時点で出国している場合は、出国日から1年以内に入国すること

施設担当者は、試験結果が出たら速やかに本人と面談し、翌年度の受験意思と上記誓約の確認を行いましょう。

Step3:厚生労働省への確認依頼書類の提出

要件を満たしていると確認できたら、特定技能所属機関(施設・事業所)が以下の書類をとりまとめ、厚生労働省に郵送します。

  • 確認依頼書(別紙様式1)
  • 試験結果の写し
  • 在留カードの写し
  • 学習計画(別紙様式2)※支援責任者の自署が必要

提出先:
〒100-8916 東京都千代田区霞ヶ関1-2-2
厚生労働省社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室 資格・試験係
※郵送のみ受付。持ち込み・メール不可。

提出期限:受験年の4月末日(消印有効)

登録支援機関に支援を委託している場合、学習計画の「支援責任者」は登録支援機関の支援責任者を記載します。ただし、確認依頼書の提出は特定技能所属機関がとりまとめて厚生労働省に送付する必要があります。

Step4:出入国在留管理庁への在留期間更新申請

厚生労働省から「結果確認通知書」が発行されたら、それを添えて出入国在留管理庁へ在留期間更新許可申請を行います。最終的な在留期間更新の可否は入管が判断します。許可が下りた場合、最長1年間(通算6年まで)の在留継続が可能です。

重要:在留期限前に申請が必要

在留期限が到来する前に申請を完了させることが原則です。国家試験の合格発表後、直ちに厚生労働省への確認依頼を行い、在留期限ギリギリにならないよう事前に書類を準備しておきましょう。

万一、在留期限前に手続きが間に合わなかった場合でも、帰国日から1年以内であれば帰国後に申請できる場合があります。ただし、その場合も速やかな手続きが必要です。

施設側が今すぐ取り組むべき実践的ポイント

在留延長を見据えた学習支援体制の構築

延長申請には「翌年度合格を目指す具体的な学習計画」の提出が必要です。単に「勉強します」では不十分で、以下のような内容を明記することが求められます。

  • 国家試験対策講座の受講予定(受講機関名・頻度・時間数)
  • 日本語学習計画(JLPT取得目標・学習方法)
  • 支援責任者との面談実施状況・予定

合格率を高めるうえで特に重要なのが日本語力です。N2保有者の合格率53.4%に対し、N3では25.2%と大きな差があります(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)。日本語支援は国家試験対策の根幹といえます。

合格発表前から準備を始める

国家試験の合格発表は例年3月下旬です。在留期限が近い外国人介護士がいる施設は、合格発表前から以下の準備を進めておきましょう。

  • 別紙様式1(確認依頼書)・様式2(学習計画)の書式入手と記入準備
  • 支援責任者による事前面談の実施
  • 4月末の提出期限に間に合うスケジュールの確認

「合格発表を見てから動く」では間に合わないケースがあります。

施設種別ごとの受入状況を把握する

特定技能1号(介護)の受入施設は、特別養護老人ホームが7,827件と最多で、次いで病院(2,446件)、認知症対応型共同生活介護(2,340件)と続きます(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。自施設の種別に応じた他施設の取り組み事例を参考にしながら、支援体制を整えることが大切です。

よくある質問(専門家に聞く)

元看護師・介護福祉士であり、GENSAI Career Consulting Corp代表の大町潤一氏に、外国人介護士の受け入れに関する現場目線の疑問にお答えいただきました。

Q. 元看護師・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?

「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。

元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:

1. 現場目線での人材選考

  • 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
  • 技術だけでなく、人柄や適性を重視
  • 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ

2. 実践的な教育プログラム

  • 現場で本当に必要な技術を優先
  • 教科書的な知識より、実際の動きを重視
  • 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える

3. 施設側の悩みに寄り添える

  • 「受け入れる側」の大変さを理解している
  • 現実的なアドバイスができる
  • 一緒に問題を解決する姿勢

「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」

Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?

「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。

一番伝えたいこと

「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」

私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。

それは:

1. 受け入れる側の覚悟

  • 最初は時間がかかることを理解する
  • 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
  • 文化の違いを楽しむ心

2. 外国人介護士のポテンシャル

  • 真面目で一生懸命
  • 学ぶ意欲が高い
  • 利用者様を大切にする心

3. 長期的な視点

  • すぐに結果を求めない
  • 信頼関係を築くのに時間をかける
  • 3年、5年後の姿を一緒に描く

「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」

「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」

最後に

「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」

「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」

制度に関するよくある質問

Q1. 特定技能介護の在留期間延長は、何年まで可能ですか?

A. 最長1年間の延長が可能で、通算6年が上限です。それ以上の延長はできません。6年の在留継続期間中に介護福祉士国家試験に合格した場合は、在留資格「介護」への変更申請を速やかに行うことが求められています。なお、合格できなかった場合は速やかに帰国することを誓約する必要があります。

Q2. 4年目にパート合格している場合、5年目は不合格パートだけ受験すればよいですか?

A. いいえ、5年目(最終年度)は全パートを受験する必要があります。前年度のパート合格による受験免除を使って不合格パートのみ受験した場合は、延長要件を満たしません。「1パート以上合格」「合格基準点の8割以上の得点」の判定は、5年目の全パート受験の結果で行われます。4年目のパート合格はあくまでも積み上げとして活用できますが、5年目の全パート受験は必須です。

Q3. 在留期限の直前に国家試験の結果が出る場合、どうすればよいですか?

A. 合格発表後、直ちに厚生労働省への確認依頼手続きを進めてください。在留期限前に入管への申請が間に合わない場合でも、帰国日から1年以内であれば帰国後に申請できる場合があります。ただし、この場合も厚生労働省・出入国在留管理庁への申請を速やかに行う必要があります。なお、帰国後に発行された結果確認通知書は海外への発送は行われないため、国内の特定技能所属機関または登録支援機関の住所を返送先として記載してください。

Q4. 本措置はEPA介護福祉士候補者や技能実習生にも適用されますか?

A. いいえ、特定技能1号のみが対象です。技能実習、EPA(経済連携協定)介護福祉士候補者、その他の在留資格に係る申請は本措置の対象外となります。在留資格ごとに異なる制度が適用されるため、それぞれの制度を個別に確認してください。

Q5. 登録支援機関に支援を委託している場合、手続きはどこが行いますか?

A. 学習計画(別紙様式2)の「支援責任者」は登録支援機関の支援責任者を記載します。ただし、確認依頼書類の厚生労働省への提出は特定技能所属機関(雇用している施設・事業所)がとりまとめて行います。登録支援機関が直接提出することはできません。施設と登録支援機関が連携して、4月末の提出期限に間に合うよう準備を進めることが重要です。

まとめ

特定技能介護の在留期間延長について、ポイントを整理します。

  • 延長の3条件: 最終年度の国家試験で「全パート受験」「1パート以上合格」「合格基準点の8割以上の得点」をすべて満たすこと
  • 手続きの流れ: 試験結果の確認→本人の誓約確認→厚生労働省へ確認依頼書・学習計画を4月末までに提出→入管への在留期間更新申請
  • 施設が今すぐできること: 合格発表前から書類準備・面談実施・日本語支援体制の整備を進める

外国人介護士の在留延長は、施設にとって「帰国予定だった大切な人材をもう1年確保できる」可能性を意味します。一方で、手続きには期限が厳格に定められており、準備不足では対応できません。早めの情報収集と体制整備が、大切な仲間との継続的な就労につながります。

不安なことがあれば、一人で抱え込まず、登録支援機関や専門家に相談することをおすすめします。

> ⚠️【YMYL注意】本記事の情報は公表時点のものです。制度・手続きは随時改正される可能性があります。最終的な判断は、厚生労働省・出入国在留管理庁の最新公的資料を確認するか、専門家にご相談ください。

出典・参考

  • 厚生労働省「介護福祉士国家試験のパート合格(合格パートの受験免除)による介護分野で『特定技能1号』の在留資格をもって本邦に在留する外国人の通算在留期間の延長に関する措置について」(社援発0121第10号、令和8年1月21日)…在留期間延長の要件・手続き・提出書類・Q&Aの根拠
  • 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」(令和7年3月28日)…特定技能1号在留者数の推移・国籍別ランキング・受入施設種別・受入上限の根拠
  • 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…2026年・2040年の介護職員必要数データの根拠
  • 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…日本語レベル別合格率・職場からの支援内容データの根拠
  • 出入国在留管理庁「特定技能制度」…在留期間更新許可申請の手続き・提出書類に関する根拠(https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/tokutei_ginou.html)
  • 介護分野における特定技能協議会「介護福祉士国家試験のパート合格による在留期間延長に関するお知らせ」(2026年1月23日)…制度の概要・誓約事項の確認

この記事の監修者

大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。

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