結論(30秒でわかる要点)
特定技能「介護」の受け入れ人数は、事業所ごとに「日本人等の常勤介護職員の総数」が上限となるルールが設けられている。
- 重要ポイント①:技能実習生・EPA介護福祉士候補者・留学生は「常勤介護職員の総数」に含まれない
- 重要ポイント②:国全体の受け入れ上限は5年間(2024〜2028年度)で13万5,000人に設定されている
- 重要ポイント③:2024年12月末時点で44,367人が在留しており、制度開始から約5年で約2,300倍に増加した
対象読者:特定技能「介護」の受け入れを検討している施設長・人事担当者、および制度の詳細を確認したい方
> ⚠️ 本記事の制度情報は2025年時点のものです。制度は随時更新されるため、最新の公的資料(厚生労働省・出入国在留管理庁)を必ずご確認ください。
はじめに

「特定技能で外国人を受け入れたいけれど、何人まで雇えるの?」「うちの施設の上限はどう計算すればいい?」——こうした疑問を持つ介護施設の担当者は非常に多いです。
特定技能「介護」は、2019年の制度開始以降、急速に普及してきました。しかし、他の分野と異なり、介護分野には事業所ごとの人数制限が設けられているため、採用計画を立てる前にルールをしっかり把握しておく必要があります。
この記事では、以下のポイントを徹底的に解説します。
- 特定技能「介護」の受け入れ人数ルールと計算方法
- 「常勤介護職員」に含まれる人・含まれない人の具体的な区別
- 2024年末時点の最新受け入れ状況(国籍別・施設種別)
- 専門家による採用成功のためのアドバイス
特定技能「介護」の受け入れ人数ルールとは

用語の定義
特定技能「介護」の受け入れ人数制限とは、事業所ごとに受け入れ可能な1号特定技能外国人の数を「日本人等の常勤介護職員の総数」以内に制限するルールのことです(厚生労働省「介護分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」より)。
介護分野だけに人数制限がある理由
特定技能制度が適用される16分野のうち、企業・事業所単位で受け入れ人数に制限があるのは「介護」と「建設」の2分野のみです。その他の分野では、原則として企業ごとの受け入れ上限は設けられていません。
介護分野に人数制限が設けられている主な理由は以下のとおりです。
- 利用者の安全・ケアの質を維持するため、十分な指導体制が必要
- 外国人介護士が孤立せず、適切な業務支援を受けられる環境を確保するため
- 日本語や介護技術の習熟に時間がかかるため、日本人職員によるサポートが不可欠
人数制限の具体的なルール
厚生労働省の運用要領では、以下のように規定されています。
> 「事業所で受け入れることができる1号特定技能外国人は、事業所単位で、日本人等の常勤介護職員の総数を上限とすること」
つまり、「会社全体」ではなく「事業所ごと」に人数を計算する点が重要です。複数の施設を運営する法人であれば、各施設ごとに上限を計算します。
「常勤介護職員の総数」の正しい計算方法

常勤介護職員に「含まれる」人
上限の算定基準となる「日本人等の常勤介護職員」には、日本人だけでなく一部の外国人も含まれます。
含まれる人(カウントできる人)
- 日本人の常勤介護職員
- 介護福祉士国家試験に合格したEPA介護福祉士(特定活動ビザ)
- 在留資格「介護」を持つ外国人(介護ビザ)
- 永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者など、身分・地位に基づく在留資格で在留する外国人
- 医療機関において、看護師・准看護師の指導のもと療養生活上の世話を行う診療報酬上の看護補助者
常勤介護職員に「含まれない」人
以下の方々は、上限の算定基準に含まれません。この点は特に注意が必要です。
含まれない人(カウントできない人)
- 技能実習生(育成就労生)
- EPA介護福祉士候補者(国家試験合格前)
- 留学生
- 特定技能1号の外国人(受け入れ対象者自身)
- 事務職員・就労支援を行う職員
- 看護業務を行う看護師・准看護師(一般的な看護業務のみの場合)
計算例でわかる受け入れ上限
【例】ある特別養護老人ホームのケース
| 職員区分 | 人数 | 算定対象 |
|---|---|---|
| 日本人常勤介護職員 | 30名 | ✅ 含む |
| 在留資格「介護」の外国人 | 5名 | ✅ 含む |
| 技能実習生 | 8名 | ❌ 含まない |
| EPA介護福祉士候補者 | 2名 | ❌ 含まない |
この場合、常勤介護職員の総数は 35名(30名+5名) となり、特定技能1号外国人の受け入れ上限は 最大35名 です。
国全体の受け入れ上限と最新の受け入れ状況
日本全体の受け入れ見込み数(上限)
事業所レベルの人数制限とは別に、日本全体でも分野ごとの受け入れ見込み数が設定されています。
2024年3月29日の閣議決定により、2024年度から2028年度の5年間で介護分野の受け入れ見込み数は13万5,000人と設定されました(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。
これは全16分野の中で3番目に多い数字であり、製造業・飲食料品製造業に次ぐ規模です。政府が介護分野における外国人材確保をいかに重要視しているかが読み取れます。
急増する特定技能「介護」の在留者数
特定技能「介護」の在留者数は、制度開始以来一貫して増加しています。
| 時点 | 在留者数 |
|---|---|
| 2019年12月末(制度開始直後) | 19人 |
| 2023年12月末 | 28,400人 |
| 2024年6月末 | 36,719人 |
| 2024年12月末 | 44,367人 |
(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)
約5年間で約2,300倍という驚異的な増加ペースです。現在も受け入れ見込み数(13万5,000人)には大きな余裕があり、今後も増加が続くと見られています。
国籍別ランキング:インドネシアがトップ
2024年12月末時点(計44,367人)の国籍別内訳は以下のとおりです。
- インドネシア:12,242人(全体の27.6%)
- ミャンマー:11,717人(全体の26.4%)
- ベトナム:8,910人(全体の20.1%)
- フィリピン:4,538人(全体の10.2%)
- ネパール:3,602人(全体の8.1%)
(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)
上位5か国で全体の9割以上を占めており、東南アジア・南アジアからの人材が中心です。なお、2024年6月から12月にかけてミャンマーとベトナムが順位を入れ替えるなど、国籍別の動向も変化しています。
受け入れ施設の種別(上位5位)
2024年7月時点のデータによると、特定技能「介護」外国人の受け入れ施設種別(上位5位)は以下のとおりです(複数回答可、合計21,886件)。
- 特別養護老人ホーム:7,827件
- 病院:2,446件
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム):2,340件
- 特定施設入居者生活介護:1,996件
- 介護老人保健施設:1,931件
上位5施設で全体の75.6%を占めており、特に特別養護老人ホームでの受け入れが突出して多いことがわかります。
(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)
特定技能「介護」の受け入れを成功させる3つのステップ
Step1:自施設の受け入れ可能人数を正確に把握する
まず、自施設の「日本人等の常勤介護職員の総数」を正確に算出しましょう。
- 職員名簿から常勤の介護職員を抽出する
- 技能実習生・EPA候補者・留学生を除外する
- 在留資格「介護」保有者やEPA介護福祉士(合格済み)は含める
- 事務職員・看護師(一般業務のみ)は除外する
この計算を誤ると、上限を超えた受け入れとなり、在留資格の審査に影響する可能性があります。
Step2:支援体制と受け入れ環境を整備する
特定技能「介護」外国人を受け入れる際は、登録支援機関の活用を検討しましょう。登録支援機関は、入国後の生活支援・相談対応・各種手続きのサポートを担います。
受け入れ環境として整備すべき主なポイントは以下のとおりです。
- 日本語学習支援(業務時間内の学習機会の確保)
- 生活オリエンテーション(住居・銀行・交通機関の案内)
- 相談窓口の設置(母国語対応が望ましい)
- 職場内の多文化理解促進(既存スタッフへの研修)
Step3:長期的な定着を見据えたキャリア設計
特定技能1号の在留期間は通算5年が上限です。しかし、介護分野で3年以上の実務経験を積み、介護福祉士国家試験に合格すれば、在留資格「介護」への変更が可能となり、長期就労・定着につながります。
介護福祉士国家試験の合格率は、日本語能力レベルによって大きく異なります(令和6年度老人保健健康増進等事業調査)。
- N1保有者:86.7%
- N2保有者:53.4%
- N3保有者:25.2%
- N4保有者:25.0%
- N5保有者:12.5%
日本語能力の向上支援が、長期定着への最も効果的な投資といえます。
具体的な受け入れ事例から学ぶ成功のポイント
事例①:段階的な受け入れで定着率を高めたケース
関東地方のある特別養護老人ホームでは、最初の年は2名の特定技能外国人を受け入れ、翌年に4名、3年目に6名と段階的に増やしていきました。
一度に多くの人材を受け入れるのではなく、少人数からスタートして受け入れノウハウを蓄積するアプローチが、職員全体の負担軽減と外国人介護士の定着率向上につながったとのことです。
特に効果があったのは、「先輩外国人介護士がメンターとなって新入りをサポートする体制」の構築でした。言語や文化的背景が近い先輩の存在が、新たに入職した外国人介護士の不安を大幅に軽減しました。
事例②:日本語支援を充実させて国家試験合格者を輩出したケース
近畿地方のある介護老人保健施設では、勤務シフトの調整により週1回の日本語学習時間を確保し、外部の日本語教師を招いた勉強会を定期開催しました。
令和6年度老人保健健康増進等事業の調査によると、外国人介護人材が職場から受けた支援として「施設職員に勉強を教えてもらった」が36%、「日本語の先生に教えてもらった」が26.7%、「勤務時間やシフトの調整」が24.8%という結果が出ています。
同施設の取り組みは、まさにこのデータを裏付けるものであり、組織的な学習支援が介護福祉士国家試験の合格率向上に直結することを示しています。
よくある質問(専門家に聞く)
介護ケアジャパン・GENSAI Career Consulting Corp代表の大町潤一氏(元看護師・介護福祉士)に、特定技能「介護」の受け入れに関する現場目線の疑問をお聞きしました。
Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?
「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。
一番伝えたいこと
「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」
私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。
それは:
1. 受け入れる側の覚悟
- 最初は時間がかかることを理解する
- 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
- 文化の違いを楽しむ心
2. 外国人介護士のポテンシャル
- 真面目で一生懸命
- 学ぶ意欲が高い
- 利用者様を大切にする心
3. 長期的な視点
- すぐに結果を求めない
- 信頼関係を築くのに時間をかける
- 3年、5年後の姿を一緒に描く
「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」
「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」
最後に
「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」
「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」
Q. 元看護師・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?
「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。
元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:
1. 現場目線での人材選考
- 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
- 技術だけでなく、人柄や適性を重視
- 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ
2. 実践的な教育プログラム
- 現場で本当に必要な技術を優先
- 教科書的な知識より、実際の動きを重視
- 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える
3. 施設側の悩みに寄り添える
- 「受け入れる側」の大変さを理解している
- 現実的なアドバイスができる
- 一緒に問題を解決する姿勢
「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」
制度に関するよくある質問
Q1. 特定技能「介護」の受け入れ人数の上限は、会社全体で計算するのですか?
A. いいえ、事業所ごとに計算します。複数の施設を運営する法人であっても、各施設の常勤介護職員数をそれぞれ算出し、施設ごとに上限が設定されます。「A施設の余裕分をB施設に回す」といった運用はできません。
Q2. 特定技能「介護」で訪問介護の業務はできますか?
A. 従来は訪問系サービスが対象外でしたが、2025年4月21日に特定技能外国人による訪問介護が解禁されました。ただし、一定の要件(介護職員初任者研修修了など)を満たす必要があります。最新の厚生労働省の通知を必ずご確認ください。
Q3. 特定技能1号の外国人が介護福祉士試験に合格した場合、人数制限はどうなりますか?
A. 介護福祉士試験に合格し、在留資格を「介護」に変更した場合、その方は「日本人等の常勤介護職員」としてカウントされるようになります。つまり、上限の算定基準に含まれる側に移行し、新たな特定技能1号の受け入れ枠が生まれます。長期的な採用計画を立てる上で、この仕組みを活用することが重要です。
Q4. 特定技能「介護」の試験はどこで受けられますか?
A. 介護技能評価試験・介護日本語評価試験は、国内47都道府県に加え、海外13か国(フィリピン・インドネシア・ミャンマー・ベトナム・ネパール・カンボジア・モンゴル・タイ・インド・スリランカ・ウズベキスタン・バングラデシュ)でも実施されています。2019年4月〜2025年1月の累計合格者数は、介護技能評価試験が120,220人、介護日本語評価試験が113,572人に達しています(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。
Q5. 特定技能「介護」を受け入れる際、施設側に費用はかかりますか?
A. 採用にかかる費用は、紹介会社・登録支援機関の利用料、在留資格申請に関する行政書士費用、入国後の生活支援費用などが主なものです。技能実習と比較すると、監理団体への加入が不要なため、5年間の総コストは特定技能の方が割安になるケースが多いとされています。具体的な費用は支援機関によって異なるため、複数社に見積もりを依頼することをおすすめします。
まとめ
特定技能「介護」の受け入れ人数について、重要なポイントを整理します。
- 事業所ごとの上限:日本人等の常勤介護職員の総数が上限。技能実習生・EPA候補者・留学生は含まれない
- 国全体の上限:2024〜2028年度の5年間で13万5,000人。2024年12月末時点で44,367人が在留中
- 長期定着の鍵:介護福祉士国家試験合格により在留資格「介護」へ移行でき、日本語支援が合格率向上に直結する
まずは自施設の常勤介護職員数を正確に把握し、受け入れ可能人数を算出することが第一歩です。制度の詳細や個別ケースの判断については、登録支援機関や行政書士などの専門家にご相談ください。
> 【YMYL注意】本記事の内容は公開時点の情報に基づいています。制度の詳細・最新情報は厚生労働省・出入国在留管理庁の公式資料をご確認のうえ、個別の判断は専門家(行政書士・社会保険労務士等)にご相談ください。
出典・参考
- 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」(令和7年3月28日)…特定技能受入上限(13万5,000人)・国籍別ランキング・在留者数推移・施設種別受入状況の根拠
- 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…2022年実績・2026年・2040年の介護職員必要数(220万人・240万人・272万人)の根拠
- 厚生労働省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 介護分野の基準について」…事業所単位の人数制限・常勤介護職員の算定基準の根拠
- 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…日本語能力レベル別国家試験合格率・職場からの支援内容の根拠
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」…企業ごとの受け入れ上限に関する公式見解の根拠
- 出入国在留管理庁「特定技能の受入れ見込数の再設定及び対象分野等の追加について(令和6年3月29日閣議決定)」…分野別受け入れ見込み数(2024〜2028年度)の根拠
- 厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」(公式ページ)…介護技能評価試験・介護日本語評価試験の概要・試験実施国・合格者数の根拠
この記事の監修者
大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。
