介護職員の確保に外国人材を活用するには?制度・採用手順・補助金を解説

目次

結論(30秒でわかる要点)

外国人介護人材の活用は、深刻化する介護職員不足を解消するための現実的な選択肢として、いま急速に広がっています。

  • 重要ポイント①:外国人介護人材の受け入れ制度は「EPA・在留資格介護・技能実習・特定技能」の4種類
  • 重要ポイント②:特定技能1号の在留者数は2024年12月末時点で44,367人に達し、5年で約2,300倍に急増
  • 重要ポイント③:各都道府県が独自の補助金制度を設けており、初期費用の負担軽減が可能

対象読者:介護施設・事業所の管理者・経営者で、外国人介護職員の採用を検討している方

> ⚠️ 本記事に記載の制度・補助金は随時更新されます。最新情報は厚生労働省や各都道府県の公式資料で必ずご確認ください。

はじめに:なぜ今、外国人介護職員の確保が急務なのか

はじめに:なぜ今、外国人介護職員の確保が急務なのか|フィリピン人介護士のイメージ

「求人を出しても応募がない」「ベテランが辞めてしまい現場が回らない」——こうした声は、全国の介護施設から日々届いています。

厚生労働省のデータによれば、2022年時点で約215万人いる介護職員は、2026年には約240万人、2040年には約272万人が必要になると試算されています(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)。単純計算で、今後20年弱で約57万人もの上積みが求められるわけです。

国内の人材確保だけでこのギャップを埋めることは、現実的に難しい状況です。そこで注目されているのが、外国人介護職員の積極的な受け入れです。

この記事でわかること

  • 外国人介護職員を受け入れるための4つの在留資格制度の違い
  • 施設が実際に取り組むべき受け入れ手順とポイント
  • 国・都道府県が用意している補助金・支援制度の概要
  • 専門家(元看護師・介護福祉士)が語る採用・育成の本質
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外国人介護職員の確保が必要な理由:制度の背景と現状

外国人介護職員の確保が必要な理由:制度の背景と現状|フィリピン人介護士のイメージ

「外国人介護人材の受け入れ」とは何か

外国人介護人材の受け入れとは、在留資格制度に基づき、海外から介護職員として日本の介護現場で就労・研修を行う仕組みの総称であり、現在4つの制度が並存している。

対象となる施設・サービス種別(主なもの)

  • 特別養護老人ホーム(最多:7,827件)
  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
  • 特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム等)
  • 介護老人保健施設
  • 病院(医療療養型など)

受け入れ対象外となる主なサービス

  • 訪問介護・訪問入浴などの訪問系サービス(技能実習・特定技能は原則対象外)

介護職員不足の深刻な現状

厚生労働省の推計では、2022年比で2026年には約25万人、2040年には約57万人の介護職員が追加で必要になります(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)。

一方、少子高齢化が進む日本では国内の労働力人口が減少の一途をたどっており、介護業界への国内人材流入だけでは到底まかなえない見通しです。

外国人介護人材が急増している背景

特定技能1号の在留者数を見ると、制度開始直後の2019年12月末にわずか19人だったのが、2024年12月末には44,367人にまで増加しています(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。約5年間で約2,300倍という驚異的な伸びです。

国籍別の内訳(2024年12月末・特定技能1号)は以下のとおりです。

  • 1位:インドネシア 12,242人(全体の27.6%)
  • 2位:ミャンマー 11,717人(全体の26.4%)
  • 3位:ベトナム 8,910人(全体の20.1%)
  • 4位:フィリピン 4,538人(全体の10.2%)
  • 5位:ネパール 3,602人(全体の8.1%)

上位5か国だけで全体の9割以上を占めており、アジア諸国からの受け入れが主流となっています。

外国人介護職員を確保するための4つの制度:違いと選び方

外国人介護職員を確保するための4つの制度:違いと選び方|フィリピン人介護士のイメージ

制度の概要を整理する(Step 1:制度理解)

外国人介護人材を受け入れるルートは、現在4種類あります。それぞれ目的・対象・条件が異なるため、施設の規模や方針に合った制度を選ぶことが重要です。

① EPA(経済連携協定)
インドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国から介護福祉士候補者を受け入れる制度です。候補者は一定期間就労・研修を行いながら介護福祉士国家試験の合格を目指します。マッチングはJICWELS(公益社団法人国際厚生事業団)が担当します。2025年4月1日時点の在留者数は3,180人です。

② 在留資格「介護」
留学ビザで来日し、介護福祉士養成施設で2年以上学んで国家試験に合格した外国人が取得できる在留資格です。介護福祉士として専門性を持って働くことができ、2024年12月末時点の在留者数は12,227人です。

③ 技能実習(介護職種)
日本の技能・技術を母国へ移転することを目的とした制度で、2017年11月から介護職種が追加されました。監理団体(OTIT登録済み)を通じた受け入れが必要です。2023年12月末時点の在留者数は15,909人です。なお、技能実習制度は「育成就労制度」へ移行予定(令和9年4月1日施行予定)です。

④ 特定技能1号(介護分野)
即戦力として介護現場で働くことを目的とした制度で、介護技能評価試験・介護日本語評価試験の合格が要件です。5年間の受け入れ上限は135,000人と設定されています。直接雇用のみが認められており、訪問系サービスへの従事は対象外です。2024年12月末時点の在留者数は44,367人で、4制度の中で最も多くなっています。

受け入れ手順のステップ(Step 2:準備と採用)

Step 1:制度の選定と社内合意形成

  • 施設の規模・サービス種別・採用予算を整理する
  • 管理職・現場スタッフへの説明と理解促進
  • 受け入れ担当者(メンター役)の選定

Step 2:人材確保のルート選択

  • 特定技能:登録支援機関または人材紹介会社を活用
  • 技能実習:監理団体(OTIT登録済み)に相談
  • EPA:JICWELSへのマッチング申請
  • 在留資格「介護」:介護福祉士養成施設との連携

Step 3:受け入れ環境の整備

  • 宿舎・生活環境の確保(住居支援補助金の活用も可)
  • 多言語対応マニュアルの整備
  • 日本語学習支援プログラムの導入(厚労省補助事業「にほんごをまなぼう」を活用)
  • 定期的な面談・相談体制の構築

受け入れ時の注意点とコツ(Step 3:定着支援)

  • 日本語レベルを事前に確認する:介護福祉士国家試験の合格率はN1保有者86.7%に対し、N3保有者は25.2%と大きく差がある(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)
  • 文化的背景への配慮:宗教上の食事制限や礼拝時間への理解が定着率に直結する
  • チームとしての受け入れ意識:特定の担当者だけでなく、施設全体でサポートする体制が重要
  • 長期的な視点を持つ:国家試験合格を目指す外国人の68.9%が「日本で介護職として働き続けたい」と回答しており、定着意欲は高い(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)

外国人介護職員の受け入れ成功事例:現場から学ぶ

成功事例①:特定技能を活用した段階的な戦力化

東北地方のある特別養護老人ホームでは、特定技能1号でインドネシア出身の介護士を受け入れました。入職当初は日本語でのコミュニケーションに不安があったものの、施設側が多言語対応の業務マニュアルを整備し、週1回の日本語学習の時間を業務内に組み込みました。

入職から1年後には、認知症の利用者様との関わり方が特に評価されるようになり、現場スタッフからも「一緒に働いていて刺激になる」という声が上がるようになったといいます。

この事例から学べるポイント

  • 業務マニュアルの多言語化は初期投資として有効
  • 日本語学習の時間を「業務」として位置づけることが定着率向上につながる
  • 利用者様との関係構築は、言語力よりも「人柄と誠実さ」が先行することが多い

成功事例②:介護福祉士国家試験合格までの伴走支援

関西地方のある介護老人保健施設では、技能実習で受け入れたベトナム出身のスタッフが在留資格「介護」への移行を目指し、介護福祉士国家試験に挑戦しました。施設側は「施設職員に勉強を教えてもらった」という支援(令和6年度調査で36%の外国人介護士が経験)を実践し、夜勤明けの時間帯に自主勉強会を開催しました。

試験合格後、そのスタッフは「専門職として認められた」という達成感から、施設への帰属意識が大幅に高まり、後輩の外国人スタッフの良きメンターになっています。

この事例から学べるポイント

  • 国家資格取得支援は「投資」として考えると長期的なコスト削減になる
  • 合格した外国人スタッフが次の受け入れのロールモデルになる好循環が生まれる
  • 試験合格を施設全体で祝う文化が、チームの一体感を生む

よくある質問(専門家に聞く)

介護ケアジャパン・GENSAI Career Consulting Corp代表の大町潤一氏(元看護師・介護福祉士)に、外国人介護職員の採用・育成についての本音を聞きました。

Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?

「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。

一番伝えたいこと

「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」

私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。

それは:

1. 受け入れる側の覚悟

  • 最初は時間がかかることを理解する
  • 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
  • 文化の違いを楽しむ心

2. 外国人介護士のポテンシャル

  • 真面目で一生懸命
  • 学ぶ意欲が高い
  • 利用者様を大切にする心

3. 長期的な視点

  • すぐに結果を求めない
  • 信頼関係を築くのに時間をかける
  • 3年、5年後の姿を一緒に描く

「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」

「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」

最後に

「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」

「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」

Q. 元看護師・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?

「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。

元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:

1. 現場目線での人材選考

  • 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
  • 技術だけでなく、人柄や適性を重視
  • 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ

2. 実践的な教育プログラム

  • 現場で本当に必要な技術を優先
  • 教科書的な知識より、実際の動きを重視
  • 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える

3. 施設側の悩みに寄り添える

  • 「受け入れる側」の大変さを理解している
  • 現実的なアドバイスができる
  • 一緒に問題を解決する姿勢

「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」

制度・補助金に関するよくある質問

Q1. 外国人介護職員を確保するための補助金はありますか?

A. はい、国・都道府県・市区町村の各レベルで複数の補助金制度が設けられています。主なものとして、特定技能外国人の採用初期費用(人材紹介手数料・渡航費・在留資格申請費用・健康診断費など)を対象とした補助金があります。ある都道府県では補助率10分の10、上限5,000千円(法人グループ単位)の制度を設けている事例もあります。また、住居確保支援(敷金・礼金・家賃補助)や日本語学習支援を対象とした補助金を提供している都道府県も複数あります。詳細は各都道府県の担当窓口(高齢者福祉・介護人材担当課)にお問い合わせください。

Q2. 特定技能「介護」の受け入れ上限はどのくらいですか?

A. 特定技能「介護」の5年間の受け入れ見込数(上限)は135,000人と設定されています(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。なお、訪問系サービスへの従事は対象外で、直接雇用のみが認められています。制度の詳細は随時更新されますので、最新の厚生労働省資料をご確認ください。

Q3. 外国人介護職員の日本語レベルはどの程度必要ですか?

A. 特定技能1号の場合、介護日本語評価試験に合格していることが要件です。ただし、介護福祉士国家試験の合格率を見ると、日本語能力試験N1保有者が86.7%であるのに対し、N3保有者は25.2%、N4保有者は25.0%と大きく下がります(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)。採用後も継続的な日本語学習支援を行うことが、長期定着と資格取得につながります。

Q4. 技能実習制度は今後どうなりますか?

A. 外国人技能実習制度は廃止され、新たに「育成就労制度」へ移行する予定です(令和9年4月1日施行予定)。育成就労制度では、人材の育成と確保を目的とした制度設計が行われる見込みです。現在技能実習生を受け入れている施設は、移行に向けた準備を早めに進めることをお勧めします。詳細は厚生労働省の最新情報をご確認ください。

Q5. 外国人介護士が国家試験を受ける理由は何ですか?

A. 令和6年度の調査によれば、外国人介護人材が国家試験を受けた理由(複数回答)は以下のとおりです(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)。

  • 日本で介護職として働き続けるため:68.9%
  • 日本で長く住み続けたいため:55.2%
  • 専門職として介護の知識技術を得るため:51.7%

この数字が示すように、外国人介護士の多くは「日本での長期的なキャリア形成」を強く意識しています。施設側が国家試験取得を支援することは、定着率の向上に直結する投資といえます。

まとめ:外国人介護職員の確保に向けて、今できること

記事の要点整理

  • 制度を理解する:EPA・在留資格「介護」・技能実習・特定技能の4制度があり、施設の状況に応じた選択が必要
  • 数字が示す現実:特定技能1号の在留者数は2024年末で44,367人に達し、外国人介護人材の活用はすでに「特別なこと」ではなくなっている
  • 定着支援が鍵:採用後の日本語学習支援・国家試験取得支援・生活環境の整備が、長期定着と戦力化につながる

次のステップへ

まずは、お住まいの都道府県の介護人材担当窓口に問い合わせ、利用可能な補助金制度を確認することをお勧めします。また、受け入れ経験のある専門機関や登録支援機関への無料相談も有効な第一歩です。外国人介護職員の採用を「人手不足の応急処置」ではなく、施設の長期的な人材戦略として位置づけることが、成功への近道です。

> ⚠️【YMYL注意】本記事に記載の在留資格制度・補助金制度は、法改正や予算措置により随時変更されます。最終的な判断は、厚生労働省・各都道府県の最新公式資料および専門家(行政書士・社会保険労務士等)へのご確認をお願いします。

出典・参考

  • 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日(https://www.mhlw.go.jp/)…特定技能受入上限・国籍別ランキング・在留者数推移・試験実施国の根拠
  • 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」(https://www.mhlw.go.jp/)…2022年・2026年・2040年の介護職員必要数の根拠
  • 厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」2025年資料(https://www.mhlw.go.jp/)…在留資格別(特定技能・技能実習・介護・EPA)在留者数の根拠
  • 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…日本語レベル別合格率・国家試験受験理由・職場支援内容の根拠
  • 厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaikokujin-kaigojinzai/index.html)…4制度の概要・ガイドブック・学習支援コンテンツの根拠
  • 公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)(https://www.jicwels.or.jp/)…EPA介護福祉士候補者のマッチング制度の根拠
  • 外国人技能実習機構(OTIT)(https://www.otit.go.jp/)…技能実習制度・監理団体に関する情報の根拠

この記事の監修者

大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。

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