結論(30秒でわかる要点)
- 介護分野の特定技能外国人は原則として全ての国籍から採用可能(イラン・トルコを除く)
- インドネシア・ミャンマー・ベトナム・フィリピン・ネパールが上位5か国で全体の9割以上
- 国別に送り出し機関の利用義務や手続きが大きく異なるため事前確認が必須
- 対象者:介護施設経営者・人事担当者・外国人介護士採用検討中の方
- 注意:制度は更新されるため最新の厚生労働省資料で確認してください
はじめに

介護現場の深刻な人手不足を背景に、特定技能外国人の採用を検討する施設が急増しています。しかし、「どの国の人材を採用すればよいのか」「国別にどんな違いがあるのか」といった疑問を抱く施設関係者も多いのではないでしょうか。
特定技能制度は2019年の開始以降、介護分野では44,367人(2024年12月末時点)まで急拡大し、約5年で2,300倍の成長を遂げています。この記事では、国別の採用動向から手続きの違い、成功事例まで、介護特定技能の国別情報を完全解説します。
この記事でわかること
- 介護特定技能で採用可能な国と制限のある国
- 国別の採用人数ランキングと特徴
- 各国の手続きや注意点の違い
介護特定技能の基礎知識と国別の現状

用語の定義
介護特定技能の国別とは、特定技能1号「介護」の在留資格で日本の介護施設で働く外国人の出身国による分類と、各国特有の採用手続きや制度の違いを指します。
制度の背景と現状
日本の介護現場では深刻な人手不足が続いており、厚生労働省の調査によれば、2022年の介護職員数215万人に対し、2040年には272万人が必要とされ、57万人の不足が見込まれています(出典: 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)。
この状況を受けて創設された特定技能制度では、介護分野の受入見込数を5年間で135,000人と設定。2024年12月末時点で既に44,367人が在留しており、制度開始から継続的に増加しています(出典: 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。
採用可能な国の原則
特定技能外国人の採用は、原則として国籍による制限はありません。ただし、以下の例外があります:
採用不可の国
- イラン:帰国命令への対応困難
- トルコ:退去強制手続きの実効性確保困難
採用可能な国の条件
- 特定技能試験(介護技能評価試験・介護日本語評価試験)に合格
- 日本語能力試験N4以上またはJFT-Basic合格
- 技能実習「介護」修了者は試験免除
国別採用データと選び方のポイント

介護 国別ランキングと特徴
厚生労働省の最新データ(2024年12月31日時点)による特定技能「介護」外国人の国籍別ランキングは以下の通りです:
上位5か国(全44,367人中)
- インドネシア:12,242人(27.6%)
- ミャンマー:11,717人(26.4%)
- ベトナム:8,910人(20.1%)
- フィリピン:4,538人(10.2%)
- ネパール:3,602人(8.1%)
これら上位5か国だけで全体の92.4%を占めており、介護特定技能の主要な供給源となっています。
各国の特徴と選び方
インドネシア(1位)
- 看護学校出身者や介護施設研修経験者が多い
- 真面目で責任感が強い国民性
- イスラム教徒が多く、宗教的配慮が必要な場合がある
ミャンマー(2位)
- 2024年6月から12月にかけてベトナムを抜いて2位に上昇
- 仏教文化で日本の高齢者に親しみやすい
- 学習意欲が高く、技術習得が早い傾向
ベトナム(3位)
- 技能実習制度での実績が豊富
- 勤勉で向上心が強い
- 家族を大切にする文化で利用者様への思いやりが深い
フィリピン(4位)
- 英語が公用語で日本語習得に活用できる
- ホスピタリティ精神が高い
- カトリック教徒が多く、奉仕の心を持つ
ネパール(5位)
- 温厚で優しい国民性
- 高齢者を敬う文化が根付いている
- 山岳地帯出身者は体力に優れる傾向
試験実施状況と採用のしやすさ
介護技能評価試験の実施状況(2019年4月~2025年1月)では、累計合格者120,220人のうち、海外での合格者が79,498人と全体の66%を占めています。
主要実施国と都市
- インドネシア:8都市(ジャカルタ、スラバヤ、バンドンなど)
- フィリピン:3都市(マニラ、セブ、ダバオ)
- ベトナム:2都市(ハノイ、ホーチミン)
- ミャンマー:2都市(ヤンゴン、マンダレー)
- ネパール:2都市(カトマンズ、ポカラ)
成功事例と国別の活用方法

インドネシア人材の成功事例
関東のある特別養護老人ホームでは、看護学校出身のインドネシア人介護士2名を採用。母国での医療知識を活かし、利用者様の体調変化にいち早く気づく能力を発揮しています。「真面目で責任感が強く、夜勤も安心して任せられる」と50代の施設長は語ります。
宗教的配慮として礼拝時間の確保とハラル食材の提供を行った結果、定着率が向上。3年後には介護福祉士国家試験にも挑戦予定で、長期的な人材育成に成功しています。
ミャンマー人材の活用ポイント
関西のグループホームでは、ミャンマー人介護士3名が認知症ケアで活躍。仏教文化に基づく「慈悲の心」が利用者様との関係構築に効果を発揮しています。
「利用者様が落ち着かない時も、ミャンマー人スタッフが寄り添うと自然と穏やかになる」という現象が見られ、家族からの評価も高まりました。言語の壁は最初の6か月で解消し、現在は日本人職員との連携も円滑です。
多国籍チームの成功事例
九州のある介護老人保健施設では、ベトナム2名、フィリピン2名、ネパール1名の多国籍チームを構築。それぞれの文化的背景を活かした役割分担により、利用者様に多様なケアを提供しています。
「国際色豊かな環境が施設全体を活性化させ、日本人職員の意識も変わった」と施設関係者は振り返ります。離職率は前年比30%減少し、職員満足度も向上しました。
よくある質問(専門家に聞く)
元看護士・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?
「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。
元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:
1. 現場目線での人材選考
- 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
- 技術だけでなく、人柄や適性を重視
- 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ
2. 実践的な教育プログラム
- 現場で本当に必要な技術を優先
- 教科書的な知識より、実際の動きを重視
- 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える
3. 施設側の悩みに寄り添える
- 「受け入れる側」の大変さを理解している
- 現実的なアドバイスができる
- 一緒に問題を解決する姿勢
「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」
これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?
「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。
一番伝えたいこと
「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」
私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。
それは:
1. 受け入れる側の覚悟
- 最初は時間がかかることを理解する
- 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
- 文化の違いを楽しむ心
2. 外国人介護士のポテンシャル
- 真面目で一生懸命
- 学ぶ意欲が高い
- 利用者様を大切にする心
3. 長期的な視点
- すぐに結果を求めない
- 信頼関係を築くのに時間をかける
- 3年、5年後の姿を一緒に描く
「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」
「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」
最後に
「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」
「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」
制度に関するよくある質問
Q1. 介護特定技能の国別採用で最も重要な選択基準は何ですか?
A. 国籍よりも個人の適性と施設の受入体制が重要です。ただし、各国の文化的背景を理解し、宗教的配慮(イスラム教、仏教、キリスト教など)や食事制限への対応可能性を事前に検討することが成功の鍵となります。
Q2. 介護特定技能で国別の採用コストに違いはありますか?
A. 送り出し機関の利用が必要な国(ベトナム、フィリピンなど)では仲介手数料が発生しますが、インドネシアのように個人での応募が可能な国もあります。ただし、現地手続きの複雑さを考慮すると、専門機関の活用が現実的です。
Q3. 介護特定技能の国別で日本語能力に差はありますか?
A. 国別の傾向として、フィリピンは英語教育の影響で文法理解が早く、ベトナムは漢字文化圏のため漢字習得に優位性があります。ただし、個人差が大きく、入国前の日本語学習期間や学習環境の方が重要な要因です。
Q4. 介護特定技能で国別の定着率に違いはありますか?
A. 厚生労働省の公式な国別定着率データは公表されていませんが、文化的適応力、家族の来日可能性、母国との経済格差などが影響します。重要なのは受入施設の支援体制と職場環境の整備です。
Q5. 介護特定技能の国別手続きで最も複雑なのはどの国ですか?
A. フィリピンは東京・大阪での英語面接が必須で、ベトナムはDOLABでの推薦者表取得に1か月程度要するため、手続きが複雑です。一方、インドネシアは比較的シンプルですが、IPKOLシステムの活用が推奨されています。
まとめ
介護特定技能の国別採用において重要なポイントを整理すると:
- 採用可能国は原則自由:イラン・トルコを除く全ての国から採用可能で、上位5か国(インドネシア・ミャンマー・ベトナム・フィリピン・ネパール)が全体の9割以上を占める
- 国別の特徴を理解:各国の文化的背景、宗教、国民性を理解し、施設の方針と合致する人材を選択することが成功の鍵
- 手続きの違いに注意:送り出し機関の利用義務、政府認定の必要性、面接の有無など、国別に大きく異なる手続きを事前に把握する
介護現場の人手不足解決と質の高いケア提供の両立を目指し、まずは専門機関への相談から始めることをお勧めします。国際的な介護チームの構築により、利用者様により豊かなサービスを提供できる可能性が広がります。
【YMYL注意】制度の詳細や最新の手続きについては、厚生労働省の公式資料や専門家に確認してください。
出典・参考
- 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日…特定技能受入上限・国籍別ランキング・都道府県別受入状況の根拠
- 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…全国介護職員必要数データの根拠
- 厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」2025年資料…外国人介護人材在留者数データの根拠
- 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等」…特定技能制度全般の統計データ
- 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…日本語レベル別合格率・職場支援データの根拠
この記事の監修者
大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。
