結論(30秒でわかる要点)
特定技能外国人が一時帰国する際は、「みなし再入国許可」の手続きが必須であり、帰国中の期間も通算在留期間(上限5年)にカウントされる。
重要ポイント3つ
- 一時帰国の申し出があった場合、企業は有給休暇の取得を配慮する義務がある
- みなし再入国許可の有効期限は出国日から1年以内(在留期限が先に来る場合はその日まで)
- 帰国中の日数も在留期間に含まれるため、5年の上限管理を慎重に行う必要がある
対象者:特定技能外国人を受け入れている、または受け入れを検討している施設・企業の担当者
> ⚠️ YMYL注意:本記事は公開時点の情報をもとに作成しています。制度は随時改正されるため、最新の内容は出入国在留管理庁や厚生労働省の公式資料、または専門家にご確認ください。
はじめに

「一時帰国を申し出られたけど、どう対応すればいいの?」「帰国中も在留期間にカウントされるって本当?」——特定技能外国人を受け入れている施設の担当者から、こうした声をよく耳にします。
特定技能1号の在留期間は最長5年。その間、外国人スタッフが一時帰国を希望するのは自然なことであり、家族に会いたい、冠婚葬祭に出席したいといった理由は十分に尊重されるべきです。しかし、手続きを誤ると在留資格が消滅するリスクもあり、受け入れ側も正しい知識を持っておくことが不可欠です。
この記事でわかること
- 特定技能一時帰国期間の基本ルールと在留期間への影響
- みなし再入国許可の手続き方法と注意すべきポイント
- 帰国費用・有給休暇・脱退一時金など、よくある疑問への回答
特定技能一時帰国期間の基礎知識

「特定技能一時帰国期間」とは
特定技能一時帰国期間とは、特定技能の在留資格を持つ外国人が、在留期間中に一時的に母国へ帰国し、その後日本に再入国するまでの期間のことを指す。
対象となる主なケース
- 家族への面会・冠婚葬祭への出席
- 宗教上の行事や長期休暇を利用したリフレッシュ
- 身内の急病・不幸など予期せぬ緊急事態
- 国によっては母国政府が定めた手続きのための帰国(例:フィリピンのPOLO手続き)
対象とならないケース(みなし再入国許可が使えない場合)
- 在留期間が3か月以下の外国人
- 「短期滞在」の在留資格で在留している外国人
- 出国の日から1年以内に再入国しない予定の外国人
一時帰国は権利として認められている
特定技能外国人から一時帰国の申し出があった場合、受け入れ企業・施設は原則として帰国を認めなければなりません。これは特定技能制度の運用要領に基づくものであり、やむを得ない事情がある場合を除き、有給休暇を活用して帰国できるよう配慮することが義務付けられています。
また、有給休暇の申請を拒否することは労働基準法上も認められていません。事業の正常な運営を著しく妨げる場合には時季変更権を行使することは可能ですが、その行使には「代替人員の確保が本当に不可能である」という明確な理由が必要です。
在留期間への影響:帰国中も5年のカウントは進む
これは特に重要なポイントです。特定技能1号の通算在留期間(上限5年)は、一時帰国中であっても進行し続けます。
具体例で確認してみましょう。
- 特定技能1号の在留資格取得:2022年4月1日
- 在留期間開始から1年後(2023年4月1日)に10日間一時帰国
- この場合の通算在留期間:「1年+10日間」としてカウントされる
つまり、帰国していた10日間も「日本にいた期間」と同様に在留期間としてカウントされます。5年の上限を超えると不法滞在となり、企業・外国人双方に罰則が科せられる可能性があるため、在留期間の管理は慎重に行ってください。
みなし再入国許可の手続きと注意点

みなし再入国許可とは何か
特定技能の在留資格を持つ外国人が一時帰国する際、通常は「再入国許可」を取得する必要があります。しかし、出国の日から1年以内に再入国する予定であれば、「みなし再入国許可」を利用することで、改めて再入国許可を取得する手続きを省略できます。
みなし再入国許可が認められると、在留資格を維持したまま一時帰国が可能になります。逆に、この手続きを忘れて出国してしまうと、在留資格そのものが消滅し、再入国するためには在留資格を取り直す必要が生じます。
みなし再入国許可の手続き:ステップ別解説
Step 1:必要書類を準備する
みなし再入国許可の手続きは出国時に空港で行います。以下の3点を必ず持参するよう、外国人スタッフに事前に伝えておいてください。
- 再入国出入国記録(EDカード)
- 在留カード
- パスポート(旅券)
Step 2:EDカードに正しくチェックを入れる
EDカードの「再入国する予定」欄(または「一時的な出国である」旨の欄)に必ずチェックを入れます。このチェックを忘れると、みなし再入国許可が得られません。担当者として、出国前に外国人スタッフへ丁寧に説明しておくことが重要です。
Step 3:出国審査時に入国審査官へ提出する
EDカード・パスポート・在留カードをまとめて入国審査官に提示します。これで手続きは完了です。特別な申請書類や事前予約は不要ですが、受け入れ企業側がこの手続きに直接関与することはできません。あくまで本人が行う手続きです。
注意点:みなし再入国許可の有効期限
みなし再入国許可の有効期限は出国の日から1年以内です。ただし、1年が経過する前に在留期限を迎える場合は、在留期限の日がみなし再入国許可の有効期限となります。
たとえば、在留期限まで残り8か月の状態で一時帰国した場合、有効期限は「出国から8か月後(在留期限日)」となります。この点を見落とすと、帰国中に在留期限が切れてしまい、再入国できなくなるリスクがあります。在留期限が迫っている場合は、帰国前に在留期間更新許可申請を行うか、あらかじめ正式な再入国許可を取得するなどの対応が必要です。
みなし再入国許可を忘れた場合の対処法
万が一、みなし再入国許可の手続きをせずに出国してしまった場合、在留資格は消滅します。この場合、外国人は改めて在留資格認定証明書の交付申請などの手続きを経て、在留資格を取得し直さなければなりません。手間と時間が大幅にかかるため、出国前の確認を徹底することが何より重要です。
一時帰国に関する実務上のポイント

有給休暇が消化済みの場合の対応
一時帰国を希望しているが、すでに有給休暇を全て使い切っているケースもあります。この場合でも、無給での休暇を与えるなどの配慮が受け入れ企業に求められています。有給がないからといって帰国を一切認めないという対応は、特定技能制度の趣旨に反する可能性があります。
実務上は、無給休暇を認めつつ、社会保険の手続きや給与計算を適切に行うことが重要です。
帰国費用(渡航費)の負担について
基本的に、一時帰国にかかる渡航費(飛行機代など)は外国人本人の自己負担が原則です。受け入れ企業に費用負担の法的義務はありません。
ただし、建設分野においては、一般社団法人建設技能人材機構(JAC)が一時帰国支援を実施しており、対象者1人につき1回あたり8万円(累計2回まで)の支援を行っています(令和8年6月1日以降は1回あたり5万円に変更予定)。介護分野でも同様の支援制度が設けられているケースがあるため、所属する協議会や業界団体に確認することをお勧めします。
なお、施設として余裕がある場合は、渡航費の一部を補助することで外国人スタッフのモチベーション維持や定着率向上につながることも期待できます。
フィリピン人スタッフの帰国には特別な注意が必要
特定技能外国人の国籍別在留者数(2024年12月31日時点)を見ると、インドネシア12,242人(27.6%)、ミャンマー11,717人(26.4%)、ベトナム8,910人(20.1%)、フィリピン4,538人(10.2%)と続きます(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。
フィリピン人スタッフの場合、一時帰国の際にはPOLO(駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所)への届出や入国許可証の取得が必要となります。この手続きを経ずに帰国すると、フィリピンからの出国ができず、日本への再入国が困難になる場合があります。フィリピン人を雇用している場合は、必ずこの点を事前に確認・周知してください。
脱退一時金の受け取りについて
一時帰国中であっても、以下の条件をすべて満たす場合は脱退一時金を受け取ることができます。
- 国民年金または厚生年金に6か月以上加入している
- 老齢年金の受給資格(10年間)を満たしていない
- 年金の被保険者でなくなった日から2年以上経過していない
- 日本に住所を持たなくなった出国時から2年以内
ただし、脱退一時金を受け取ると、それまでの年金加入期間がリセットされる点に注意が必要です。受け取るべきかどうかは、将来の就労継続意向なども踏まえて慎重に判断するよう、外国人スタッフに情報提供することが望ましいです。
技能実習から特定技能への移行時の一時帰国
移行時に一時帰国は不要
技能実習2号または3号を良好に修了し、特定技能1号へ在留資格を変更する場合、一時帰国をする必要はありません。日本国内にいながら、在留資格変更許可申請を行うことができます。
これは、技能実習2号から3号へ移行する際に1か月程度の帰国が求められていたのとは異なる点です。特定技能への移行では帰国不要であることを、外国人スタッフや社内担当者にしっかり周知しておきましょう。
移行できなかった場合は一時帰国が必要
一方、技能実習の在留期間中に特定技能1号への移行手続きが完了しなかった場合は、一旦帰国した上で改めて在留資格を取得する必要があります。技能実習2号への移行には「2年10か月以上の修了」が条件となるため、実習計画期間の管理を怠らないようにしましょう。
よくある質問(専門家に聞く)
元看護師・介護福祉士であり、GENSAI Career Consulting Corp代表の大町潤一氏に、外国人介護士の受け入れに関する率直な疑問をぶつけました。
Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?
「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。
一番伝えたいこと
「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」
私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。
それは:
1. 受け入れる側の覚悟
- 最初は時間がかかることを理解する
- 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
- 文化の違いを楽しむ心
2. 外国人介護士のポテンシャル
- 真面目で一生懸命
- 学ぶ意欲が高い
- 利用者様を大切にする心
3. 長期的な視点
- すぐに結果を求めない
- 信頼関係を築くのに時間をかける
- 3年、5年後の姿を一緒に描く
「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」
「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」
最後に
「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」
「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」
Q. 元看護師・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?
「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。
元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:
1. 現場目線での人材選考
- 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
- 技術だけでなく、人柄や適性を重視
- 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ
2. 実践的な教育プログラム
- 現場で本当に必要な技術を優先
- 教科書的な知識より、実際の動きを重視
- 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える
3. 施設側の悩みに寄り添える
- 「受け入れる側」の大変さを理解している
- 現実的なアドバイスができる
- 一緒に問題を解決する姿勢
「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」
制度に関するよくある質問
Q1. 特定技能一時帰国期間中も、在留期間の5年上限はカウントされますか?
A. はい、カウントされます。特定技能1号の在留期間は、上陸許可または変更許可が下りた時点から起算され、一時帰国中であっても進行し続けます。たとえば、在留期間開始から1年後に2週間帰国した場合、その2週間も通算在留期間に含まれます。5年の上限を超えると不法滞在となるリスクがあるため、担当者は在留期間の残日数を常に把握しておくことが重要です。
Q2. みなし再入国許可を忘れて出国してしまった場合、どうなりますか?
A. みなし再入国許可の手続きを経ずに出国した場合、在留資格は消滅します。この場合、改めて在留資格を取得し直す必要があり、手続きに時間と費用がかかります。出国前に必ずEDカードへのチェックを確認するよう、外国人スタッフへ繰り返し周知することが大切です。
Q3. 特定技能一時帰国期間に制限(日数の上限)はありますか?
A. 法律上、一時帰国の日数に明確な上限は定められていません。ただし、みなし再入国許可の有効期限(出国から1年以内)を超えると在留資格が失効します。また、在留期間の上限(5年)に帰国中の日数も含まれるため、長期帰国は在留可能期間を圧迫します。実務上は最長10日〜2週間程度の帰国が多いとされています。
Q4. 有給休暇を使い切っている外国人スタッフが帰国したい場合、企業はどう対応すべきですか?
A. 有給休暇が残っていない場合でも、無給休暇を認めるなどの配慮が受け入れ企業に求められています。有給がないことを理由に帰国を一切拒否することは、特定技能制度の趣旨に反する可能性があります。無給休暇を付与する際は、社会保険や給与計算の処理を適切に行いましょう。
Q5. 技能実習から特定技能1号に移行する際、一時帰国は必要ですか?
A. 原則として不要です。技能実習2号または3号を良好に修了した場合、日本国内にいながら在留資格変更許可申請を行うことができます。ただし、技能実習の在留期間内に移行手続きが完了しなかった場合は、一旦帰国して在留資格を取得し直す必要があります。実習計画の期間管理を徹底することが重要です。
まとめ
特定技能一時帰国期間について、この記事で押さえておきたいポイントをまとめます。
3つの重要ポイント
- みなし再入国許可は必須:EDカードへのチェックを忘れると在留資格が消滅する。出国前に必ず外国人スタッフへ周知を
- 帰国中も在留期間はカウントされる:特定技能1号の上限5年は帰国中も進行するため、残日数の管理を怠らない
- 有給・無給の対応と費用負担を事前に整理する:有給消化済みでも無給休暇での配慮が求められ、渡航費は原則本人負担
一時帰国は外国人スタッフにとって精神的なリフレッシュや家族との絆を保つ大切な機会です。受け入れ施設・企業として、スムーズに対応できる体制を整えておくことが、長期的な定着率の向上にもつながります。
まずは社内の対応フローを整備し、不明点があれば登録支援機関や専門家に相談することをお勧めします。
> ⚠️ 【YMYL注意】 本記事の情報は公開時点のものです。特定技能制度に関するルールは随時改正される可能性があります。最終判断は出入国在留管理庁・厚生労働省の最新公式資料、または行政書士等の専門家にご確認ください。
出典・参考
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」…みなし再入国許可の要件・手続き・通算在留期間の計算方法の根拠
(https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/tokutei_nouryoku.html)
- 出入国在留管理庁「特定技能1号の通算在留期間について」…通算在留期間のカウント方法・5年上限の詳細の根拠
- 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日…特定技能介護分野の国籍別在留者数・受入施設種別・制度概要の根拠
- 一般社団法人建設技能人材機構(JAC)「一時帰国支援」…建設分野における一時帰国費用支援制度(1人1回8万円、累計2回)の根拠
(https://jac-skill.or.jp/)
- 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…2026年・2040年の介護職員必要数データの根拠
- 法務省「みなし再入国許可制度について」…みなし再入国許可の対象者・有効期限・手続き方法の根拠
この記事の監修者
大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。
