結論(30秒でわかる要点)
- 介護分野には特定技能2号は設けられておらず、在留資格「介護」が上級資格に該当
- 特定技能1号から介護福祉士資格取得により在留資格「介護」へのステップアップが可能
- 対象者:介護施設の経営者・人事担当者、外国人介護士を検討中の方
- 注意:制度は更新されるため最新の厚労省・出入国在留管理庁資料で確認必要
はじめに

「介護特定技能2号はあるのか?」「外国人介護士のキャリアパスはどうなっているのか?」
介護業界で外国人材の受け入れを検討している施設の皆様から、このような質問を多くいただきます。深刻な人手不足が続く介護現場において、外国人介護士は重要な戦力となっていますが、在留資格の制度については複雑で分かりにくい部分も多いのが現状です。
この記事では、介護分野における特定技能2号の有無、外国人介護士のキャリアパス、そして各在留資格の特徴について詳しく解説します。
この記事でわかること
- 介護特定技能2号の制度上の位置づけ
- 外国人介護士の4つの在留資格とキャリアパス
- 特定技能1号から上級資格への移行方法
介護特定技能2号の現状と制度の背景

用語の定義
「介護特定技能2号」とは:介護分野において熟練した技能を有する外国人が取得する上級在留資格として想定されるが、現在は設けられていない制度
特定技能2号の制度概要
特定技能2号は2019年4月に創設された在留資格で、特定技能1号よりも高度な技能を有する外国人材を対象とした上級資格です。2023年6月の閣議決定により、12の特定産業分野のうち11分野で特定技能2号の受け入れが可能となりました。
特定技能2号の特徴
- 家族帯同が可能
- 在留期間の更新制限なし(実質的な永住への道筋)
- より高度な技能と実務経験が必要
- 熟練した技能を活かした業務に従事可能
介護分野に特定技能2号が設けられていない理由
介護分野が特定技能2号の対象外となっている主な理由は、既存の在留資格「介護」が存在するためです。在留資格「介護」は以下の特徴を持っています:
- 介護福祉士の国家資格が必要
- 在留期間に制限なし
- 家族帯同が可能
- 訪問介護を含む全ての介護業務に従事可能
厚生労働省の方針として、介護分野では在留資格「介護」が特定技能2号相当の上級資格として位置づけられており、重複を避けるため特定技能2号は設けられていません。
外国人介護士の4つの在留資格とキャリアパス

介護分野で働ける4つの在留資格
外国人が介護分野で働くためには、以下4つの在留資格のいずれかを取得する必要があります:
1. 在留資格「介護」
- 介護福祉士の国家資格が必要
- 在留期間:制限なし
- 業務範囲:制限なし(訪問介護含む)
- 家族帯同:可能
2. 特定技能1号「介護」
- 介護技能評価試験・介護日本語評価試験の合格が必要
- 在留期間:通算5年まで
- 業務範囲:一部制限あり(2025年4月より訪問系サービス解禁)
- 家族帯同:不可
3. 技能実習「介護」
- 技能移転を目的とした制度
- 在留期間:最長5年(1号1年、2号2年、3号2年)
- 業務範囲:制限あり
- 家族帯同:不可
- ※2027年4月に育成就労制度に移行予定
4. EPA(経済連携協定)
- 対象国:インドネシア、フィリピン、ベトナム
- 在留期間:原則4年(介護福祉士取得後は制限なし)
- 業務範囲:制限あり
- 家族帯同:不可
特定技能1号から上級資格への移行ルート
特定技能1号「介護」で働く外国人介護士のキャリアパスは、以下のステップで在留資格「介護」への移行が一般的です:
Step1: 介護福祉士国家試験の受験資格取得
- 実務経験3年以上(実働540日以上)
- 実務者研修の修了
Step2: 介護福祉士国家試験の合格
- 筆記試験:11科目群
- 実技試験:介護等に関する専門的技能(実務経験者は実技免除)
Step3: 在留資格「介護」への変更申請
- 介護福祉士登録証の取得
- 雇用契約書の提出
- 在留資格変更許可申請
介護福祉士国家試験の合格率データ
令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」によると、外国人介護人材の日本語レベル別合格率は以下の通りです:
- N1保有者:86.7%
- N2保有者:53.4%
- N3保有者:25.2%
- N4保有者:25%
- N5保有者:12.5%
この数字から、日本語能力の向上が合格率に大きく影響することが分かります。
特定技能「介護」の現状と今後の展望

特定技能「介護」の受入状況
厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」(令和7年3月28日)によると、特定技能「介護」の在留者数は着実に増加しています:
- 制度開始(2019年12月31日):19人
- 2023年12月31日:28,400人
- 2024年6月30日:36,719人
- 2024年12月31日:44,367人
約5年間で約2,300倍の増加を記録しており、介護現場での外国人材への期待の高さが伺えます。
国籍別受入状況
2024年12月31日時点での特定技能「介護」外国人の国籍別ランキング(計44,367人):
- インドネシア:12,242人(27.6%)
- ミャンマー:11,717人(26.4%)
- ベトナム:8,910人(20.1%)
- フィリピン:4,538人(10.2%)
- ネパール:3,602人(8.1%)
上位5か国で全体の92.4%を占めており、東南アジア・南アジア諸国が中心となっています。
受入施設種別
特定技能「介護」外国人の受入施設種別(2024年7月19日時点、上位5位):
- 特別養護老人ホーム:7,827件
- 病院:2,446件
- 認知症対応型共同生活介護:2,340件
- 特定施設入居者生活介護:1,996件
- 介護老人保健施設:1,931件
特別養護老人ホームでの受け入れが最も多く、入所系施設での需要が高いことが分かります。
2025年4月からの制度改正
2025年4月より、特定技能「介護」において訪問系サービスへの従事が解禁されました。対象となるサービスは以下の通りです:
- 訪問介護
- 訪問入浴介護
- 夜間対応型訪問介護
- 介護予防訪問入浴介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 訪問型サービス(総合事業)
ただし、訪問系サービスに従事するためには、介護事業所等での実務経験が1年以上必要という条件があります。
よくある質問(専門家に聞く)
Q. 元看護士・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?
「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。
元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:
1. 現場目線での人材選考
- 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
- 技術だけでなく、人柄や適性を重視
- 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ
2. 実践的な教育プログラム
- 現場で本当に必要な技術を優先
- 教科書的な知識より、実際の動きを重視
- 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える
3. 施設側の悩みに寄り添える
- 「受け入れる側」の大変さを理解している
- 現実的なアドバイスができる
- 一緒に問題を解決する姿勢
「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」
Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?
「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。
一番伝えたいこと

「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」
私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。
それは:
1. 受け入れる側の覚悟
- 最初は時間がかかることを理解する
- 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
- 文化の違いを楽しむ心
2. 外国人介護士のポテンシャル
- 真面目で一生懸命
- 学ぶ意欲が高い
- 利用者様を大切にする心
3. 長期的な視点
- すぐに結果を求めない
- 信頼関係を築くのに時間をかける
- 3年、5年後の姿を一緒に描く
「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」
「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」
最後に

「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」
「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」
制度に関するよくある質問
Q1. 介護特定技能2号がない場合、外国人介護士の長期雇用はどうすれば良いですか?
A. 特定技能1号の在留期間は通算5年ですが、その間に介護福祉士の国家資格を取得することで在留資格「介護」への変更が可能です。在留資格「介護」は在留期間に制限がなく、家族帯同も可能なため、長期的な雇用関係を築くことができます。施設としては、外国人介護士の資格取得支援を行うことが重要です。
Q2. 介護福祉士国家試験の合格率を上げるための支援方法は?
A. 厚労省調査によると、外国人介護人材が受けた職場からの支援として「施設職員に勉強を教えてもらった」(36%)、「日本語の先生に教えてもらった」(26.7%)、「勤務時間やシフトの調整」(24.8%)が挙げられています。特に日本語能力の向上が合格率に直結するため、日本語学習支援と実務指導の両面からのサポートが効果的です。
Q3. 特定技能1号から在留資格「介護」への変更に必要な期間は?
A. 介護福祉士国家試験の受験には実務経験3年以上(実働540日以上)と実務者研修の修了が必要です。特定技能1号の在留期間が通算5年のため、計画的に準備すれば在留期間内での資格取得・変更が可能です。2025年度からは「パート合格」制度も導入され、段階的な合格が可能になります。
Q4. 訪問介護解禁により、特定技能外国人の活用範囲はどう変わりますか?
A. 2025年4月から、介護事業所等での実務経験1年以上の特定技能外国人は訪問系サービスに従事可能となりました。これにより、在宅介護分野での外国人材活用が拡大し、より多様な介護サービスでの雇用機会が生まれています。ただし、1人での訪問には十分な研修と日本語能力が必要です。
Q5. 介護分野の外国人材確保において、今後の見通しはどうですか?
A. 厚労省データによると、介護職員の必要数は2026年に240万人、2040年には272万人と増加が見込まれています(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)。一方、特定技能「介護」の受入見込数は5年間で135,000人となっており、外国人材への依存度は今後も高まることが予想されます。
まとめ
- 介護分野には特定技能2号は設けられておらず、在留資格「介護」が上級資格として位置づけられている
- 特定技能1号から介護福祉士資格取得を経て在留資格「介護」への移行が標準的なキャリアパス
- 2025年4月から訪問系サービスが解禁され、外国人材の活用範囲が拡大
- 外国人介護士の長期定着には、日本語学習支援と資格取得支援が重要
- 施設側は「人手不足の穴埋め」ではなく「一緒に成長する仲間」として受け入れる姿勢が大切
介護特定技能2号の制度理解と外国人介護士のキャリアパス設計により、持続可能な人材確保と質の高い介護サービスの提供が可能になります。まずは制度の正確な理解から始め、長期的な視点での人材育成に取り組むことをお勧めします。
【YMYL注意】最終的な判断や申請手続きについては、最新の厚生労働省・出入国在留管理庁の公式資料および専門家にご確認ください。
出典・参考
- 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」(令和7年3月28日)…特定技能受入上限・国籍別ランキング・都道府県別受入状況の根拠
- 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…全国介護職員必要数データの根拠
- 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…介護福祉士国家試験日本語レベル別合格率・職場支援データの根拠
- 出入国在留管理庁「特定技能制度」公式サイト…制度概要・手続き情報の根拠
- 厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」…試験情報・対象施設の根拠
この記事の監修者
大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。