結論(30秒でわかる要点)
- 福岡県では2026年までに8,409人の介護職員不足が見込まれ、外国人介護士採用が急務
- 特定技能「介護」、EPA、技能実習、在留資格「介護」の4つの受入制度を活用可能
- 福岡県独自の補助金制度により、採用費用の最大500万円まで支援を受けられる
- 対象者:福岡県内の介護施設・事業所で外国人介護士採用を検討する経営者・人事担当者
- 注意:制度は更新されるため最新の公的資料で確認が必要
はじめに

福岡県の介護現場では、深刻な人手不足が続いています。厚生労働省の統計によると、福岡県では2022年実績86,049人から2026年には94,458人の介護職員が必要となり、8,409人の新たな確保が急務となっています(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)。
このような状況の中、外国人介護士の採用は有効な解決策の一つです。しかし「どの制度を選べばよいのか」「採用後の支援はどうするか」「費用はどの程度かかるのか」といった疑問を抱える施設も多いのではないでしょうか。
この記事でわかること
- 福岡県で利用可能な外国人介護士受入制度の詳細
- 採用プロセスと必要な手続きの具体的な流れ
- 福岡県独自の補助金制度と活用方法
外国人介護士採用の基礎知識(制度と現状)

用語の定義
外国人介護士採用とは、日本の介護施設・事業所が海外人材を介護職員として雇用する取組で、4つの在留資格制度を通じて実現される人材確保策です。
福岡県の介護人材不足の現状
福岡県の高齢化率は2023年現在28.5%で、2050年には35.1%まで上昇する見込みです(出典:内閣府「令和6年版高齢社会白書」)。この急速な高齢化に対し、介護職員の確保が追いつかない状況が続いています。
特に深刻なのは以下の要因です:
- 介護職員の離職率の高さ
- 新規入職者数の減少
- 労働人口全体の減少
- 他業種との賃金格差
外国人介護士受入の4つの制度
福岡県では以下の4つの制度を活用できます:
- 特定技能「介護」:即戦力として最大5年間雇用可能
- EPA(経済連携協定):インドネシア、フィリピン、ベトナムからの候補者
- 技能実習制度:3年間の技能移転を目的とした制度
- 在留資格「介護」:介護福祉士資格取得者の長期雇用
外国人介護士採用の具体的な方法とプロセス

Step1:制度選択と要件確認
まず、施設の状況に応じて適切な制度を選択します:
特定技能「介護」が適している場合
- 即戦力が必要
- 比較的短期間での戦力化を期待
- 介護技能評価試験合格者を希望
EPAが適している場合
- 長期的な人材育成を重視
- 介護福祉士資格取得をサポート可能
- 4年間の研修期間を設けられる
技能実習が適している場合
- 技能移転の理念に共感
- 3年間の育成プログラムを提供可能
- 監理団体との連携体制がある
Step2:受入準備と環境整備
外国人介護士の受入には以下の準備が必要です:
住環境の整備
- 社宅または住居の確保
- 生活必需品の準備
- 通勤手段の検討
職場環境の調整
- 多言語対応の準備
- 文化的配慮の検討
- 指導体制の構築
法的手続きの準備
- 在留資格申請書類の準備
- 雇用契約書の作成
- 労働条件の明確化
Step3:採用活動の実施
人材紹介会社の活用
- 専門的な知識とネットワークを持つ業者を選択
- 面接から入国まで一貫したサポートを受ける
- アフターフォローの充実度を確認
直接採用の場合
- 送出機関との直接契約
- 現地での面接実施
- ビザ申請手続きの自社対応
注意点とコツ
- 言語サポート:日本語学習支援体制の構築が重要
- 文化理解:宗教的配慮や食事制限への対応
- 長期的視点:3年以上の継続雇用を前提とした計画策定
- チーム体制:既存職員の理解と協力体制の構築
- 定期的なフォロー:月1回以上の面談実施
福岡県の成功事例と実践的な活用法
成功事例①:特別養護老人ホームでの定着促進
九州地方のある特別養護老人ホームでは、フィリピン人介護士2名を特定技能で受け入れました。成功の要因は以下の通りです:
導入前の準備
- 職員向けの異文化理解研修を実施
- 日本語指導担当者を配置
- 住居環境を事前に整備
導入後のサポート
- 週1回の日本語学習会を開催
- 月1回の個別面談を実施
- 地域のフィリピン人コミュニティとの交流機会を提供
結果
- 2年間の定着率100%を達成
- 他の職員のモチベーション向上
- 利用者様からの評価も良好
成功事例②:グループホームでのチーム力向上
関西地方のあるグループホームでは、ベトナム人介護士1名をEPAで受け入れ、施設全体の介護力向上を実現しました:
ポイント・学び
- 個別指導の重要性:マンツーマンでの技術指導を徹底
- 文化交流の効果:ベトナム料理教室を開催し、職員間の親睦を深化
- 長期的な視点:4年間で介護福祉士資格取得をサポート
- 地域との連携:地域のベトナム人会との交流で孤立感を解消
これらの事例から、外国人介護士の成功には「受入準備」「継続的なサポート」「文化理解」の3要素が重要であることが分かります。
よくある質問(専門家に聞く)
Q1. 元看護士・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?
「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。
元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:
1. 現場目線での人材選考
- 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
- 技術だけでなく、人柄や適性を重視
- 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ
2. 実践的な教育プログラム
- 現場で本当に必要な技術を優先
- 教科書的な知識より、実際の動きを重視
- 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える
3. 施設側の悩みに寄り添える
- 「受け入れる側」の大変さを理解している
- 現実的なアドバイスができる
- 一緒に問題を解決する姿勢
「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」
Q2. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?
「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。
一番伝えたいこと
「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」
私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。
それは:
1. 受け入れる側の覚悟
- 最初は時間がかかることを理解する
- 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
- 文化の違いを楽しむ心
2. 外国人介護士のポテンシャル
- 真面目で一生懸命
- 学ぶ意欲が高い
- 利用者様を大切にする心
3. 長期的な視点
- すぐに結果を求めない
- 信頼関係を築くのに時間をかける
- 3年、5年後の姿を一緒に描く
「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」
「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」
最後に
「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」
「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」
福岡県独自の支援制度に関するよくある質問
Q1. 福岡県外国人介護人材確保強化事業費補助金はどのような制度ですか?
福岡県では、4法人以上で構成される法人グループを対象に、海外での人材確保活動に対して最大500万円(補助率10分の10)の補助金を提供しています。対象となる活動は以下の通りです:
- 送出し国でのマーケティング活動
- 海外現地の学校や送出し機関との関係構築
- 現地での採用活動や広報活動
- 介護の日本語学習支援(必須)
- その他海外での人材確保取組
Q2. 外国人介護人材受入れ施設等環境整備事業費補助金の内容は?
この補助金は、外国人介護職員の受入環境整備に要した経費の一部を助成する制度です:
対象経費
- 住居確保費用(敷金・礼金等)
- 生活必需品購入費(家電製品等)
- 日本語学習支援費用
- 初任者研修・実務者研修受講費用
補助額
- 1人あたり上限30万円
- 複数名受入の場合は人数分支給
Q3. 外国人留学生奨学金等支援事業費補助金とは?
介護福祉士養成施設に通う外国人留学生を対象とした支援制度です:
対象者
- 県内の介護福祉士養成施設に在学する外国人留学生
- 卒業後、県内の介護施設等で就労予定の者
補助内容
- 学費支援
- 生活費支援
- 住居費支援
Q4. 外国人介護職員介護技能等向上研修について教えてください
福岡県内で就労している外国人介護職員を対象とした技能向上研修です:
研修概要
- 全5日間の集合研修
- 福岡・北九州・筑豊・筑後の4地区で開催
- 公益社団法人国際厚生事業団が実施
- 受講料無料
対象者
- 福岡県内の介護施設等で就労する外国人介護職員
- EPA、特定技能、技能実習、在留資格「介護」の全制度対象
Q5. 福岡県で外国人介護士採用にかかる費用はどの程度ですか?
制度により異なりますが、一般的な費用は以下の通りです:
特定技能「介護」の場合
- 人材紹介料:50万円〜100万円
- 在留資格申請費用:10万円〜20万円
- 住居確保費用:20万円〜50万円
- 初期生活費支援:10万円〜30万円
EPA(経済連携協定)の場合
- JICWELS紹介料:約30万円
- 研修費用:年間約100万円
- 住居・生活支援:年間約150万円
ただし、福岡県の補助金制度を活用することで、これらの費用の一部または全部をカバーできる場合があります。
まとめ
福岡県における外国人介護士採用は、深刻な人材不足解決の有効な手段です。重要なポイントを以下にまとめます:
- 制度選択:特定技能、EPA、技能実習、在留資格「介護」から施設の状況に応じて選択
- 福岡県独自支援:最大500万円の補助金制度を活用し、採用コストを大幅に軽減可能
- 長期的視点:人手不足の穴埋めではなく、一緒に成長する仲間として受け入れることが成功の鍵
外国人介護士の採用を検討している施設は、まず福岡県の補助金制度の詳細を確認し、専門的な支援を受けながら計画的に進めることをお勧めします。
【YMYL注意】 制度の詳細や申請要件は変更される可能性があるため、最終的な判断は最新の公的資料や専門家への確認を必ず行ってください。
出典・参考
- 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…福岡県の介護職員必要数データの根拠
- 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日…特定技能受入上限・国籍別ランキング・都道府県別受入状況の根拠
- 内閣府「令和6年版高齢社会白書(全体版)」…福岡県の高齢化率データの根拠
- 福岡県庁ホームページ「外国人介護人材」…福岡県独自の補助金制度に関する情報
- 福岡県庁ホームページ「令和7年度福岡県外国人介護人材確保強化事業費補助金」…補助金制度の詳細情報
この記事の監修者
大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。
