結論(30秒でわかる要点)
- 特定技能介護の受け入れ可能施設は6つの法的区分で明確に定められている
- 老人福祉法・介護保険法関係が最も多く、特養・デイサービス・グループホームなど約30種類が対象
- 訪問介護は2025年4月より条件付きで解禁され、実務経験1年以上が必要
- 対象者:特定技能外国人の受け入れを検討している介護施設の経営者・人事担当者
- 注意:制度は随時更新されるため、最新の出入国在留管理庁資料で確認が必要
はじめに
介護業界の深刻な人手不足が続く中、「特定技能外国人を受け入れたいが、自分の施設は対象になるのか」という疑問を抱く施設関係者の方は多いのではないでしょうか。
厚生労働省の調査によると、2040年までに新たな介護人材約47万人が必要とされており、外国人材の活用は避けて通れない課題となっています。しかし、特定技能介護の受け入れ可能施設は法的に明確に定められており、すべての介護事業所で受け入れができるわけではありません。
この記事でわかること
- 特定技能介護の受け入れ可能施設の完全一覧
- 施設種別ごとの詳細な対象・非対象の区分
- 2025年4月解禁の訪問介護の最新情報
- 受け入れ要件と申請手続きの流れ
特定技能介護施設種別の基礎知識
用語の定義
特定技能介護施設種別とは:介護福祉士の受験資格要件において実務経験と認められる施設で、かつ介助業務が付随する事業所として法的に定められた施設区分のこと。
制度の背景と現状
特定技能制度は2019年4月に創設され、介護分野は当初から対象分野の一つとして位置づけられています。この制度の背景には、以下の深刻な現状があります。
介護業界の人材不足の現状
- 有効求人倍率:約3.7倍(全職種平均1.3倍の約3倍)
- 離職率:約14.9%(他業界と比較して高水準)
- 2040年度の必要人材:約280万人(現在の約1.5倍)
特定技能制度創設の要因
- 生産性向上や国内人材確保の取組だけでは限界
- 即戦力となる外国人材の受け入れニーズの高まり
- 介護の質を維持しながら人材確保を図る必要性
特定技能介護の受け入れ可能施設一覧
6つの法的区分による施設分類
特定技能介護の受け入れ可能施設は、以下の6つの法的区分で整理されています。
1. 児童福祉法関係の施設・事業
- 肢体不自由児施設または重症心身障害児施設の委託を受けた指定医療機関
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
- 障害児入所施設
- 児童発達支援センター
- 保育所等訪問支援
2. 障害者総合支援法関係の施設・事業
- 短期入所
- 障害者支援施設
- 療養介護
- 生活介護
- 共同生活援助(グループホーム)
- 自立訓練
- 就労移行支援
- 就労継続支援
- 福祉ホーム
- 日中一時支援
- 地域活動支援センター
3. 老人福祉法・介護保険法関係の施設・事業
- 第1号通所事業
- 老人デイサービスセンター
- 指定通所介護(指定療養通所介護を含む)
- 指定地域密着型通所介護
- 指定介護予防通所介護
- 指定認知症対応型通所介護
- 指定介護予防認知症対応型通所介護
- 老人短期入所施設
- 指定短期入所生活介護
- 指定介護予防短期入所生活介護
- 特別養護老人ホーム(指定介護老人福祉施設)
- 指定認知症対応型共同生活介護
- 指定介護予防認知症対応型共同生活介護
- 介護老人保健施設
- 指定通所リハビリテーション
- 指定介護予防通所リハビリテーション
- 指定短期入所療養介護
- 指定介護予防短期入所療養介護
- 指定特定施設入居者生活介護
- 指定介護予防特定施設入居者生活介護
- 指定地域密着型特定施設入居者生活介護
4. 生活保護法関連の施設
- 救護施設
- 更生施設
5. その他の社会福祉施設等
- 地域福祉センター
- 隣保館
- デイサービス事業
- 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園
- ハンセン病療養所
- 原子爆弾被爆者養護ホーム
- 原子爆弾被爆者デイサービス事業
- 原子爆弾被爆者ショートステイ事業
- 労災特別介護施設
6. 病院又は診療所
- 病院
- 診療所
一部のみ対象となる施設
以下の施設は、条件付きで受け入れが可能です。
老人福祉法・介護保険法関係
- 養護老人ホーム(介護業務に従事する場合のみ)
- 軽費老人ホーム(介護業務に従事する場合のみ)
- ケアハウス(介護業務に従事する場合のみ)
- 指定小規模多機能型居宅介護(介護業務に従事する場合のみ)
- 指定介護予防小規模多機能型居宅介護(介護業務に従事する場合のみ)
- 指定複合型サービス(介護業務に従事する場合のみ)
- 有料老人ホーム
※介護保険法上の「指定特定施設入居者生活介護」または
「指定介護予防特定施設入居者生活介護」の指定を受けている施設に限る
受け入れが不可な施設
以下の施設・事業では特定技能外国人の受け入れはできません。
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の住居部分
- 知的障害児施設
- 自閉症児施設
- 盲児施設
- ろうあ児施設
- 障害者デイサービス事業(平成18年9月までの事業)
- 共同生活介護(ケアホーム)
2025年4月解禁:訪問介護の最新情報
訪問介護解禁の背景
訪問介護分野は有効求人倍率が約15倍と極めて深刻な人手不足に陥っており、廃業する事業所も増加しています。この状況を受けて、政府は2025年4月21日より特定技能外国人の訪問介護への従事を条件付きで認めました。
対象となる訪問系サービス
解禁された訪問系サービス
- 訪問介護
- 介護予防訪問介護
- 夜間対応型訪問介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護の訪問介護部分
特定技能外国人が訪問介護に従事するための要件
基本要件
- 介護職員初任者研修課程等を修了していること
- 介護事業所等での実務経験を1年以上積んでいること
- 最低2ヶ月間のOJT(同行訪問)を実施すること
受け入れ施設の遵守事項
- 利用者・家族への事前説明と同意取得
- 緊急時の連絡体制の整備
- 定期的な研修の実施
- 日本語能力の継続的な向上支援
- 利用者の安全確保のための措置
特定技能介護の受け入れ要件と手続き
受け入れ機関が満たすべき基準
1. 適切な雇用契約の締結
- 日本人と同等以上の報酬
- 労働基準法に準拠した労働条件
- フルタイムでの直接雇用(週30時間以上、年間217日以上)
2. 法的コンプライアンスの遵守
- 禁錮以上の刑に処せられた職員がいないこと
- 保証金の徴収や違約金契約の締結をしていないこと
- 労働関係法令を遵守していること
3. 支援体制の整備
- 支援責任者の配置
- 支援計画の作成と実施
- 登録支援機関との連携(委託する場合)
支援計画の10項目
特定技能外国人を受け入れる際は、以下の10項目を含む支援計画を作成する必要があります。
義務的支援項目
- 事前ガイダンス
- 出入国する際の送迎
- 住居確保や生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続き等への同行
- 日本語学習の機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(人員整理等の場合)
- 定期的な面談・行政機関への通報
特定技能協議会への参加
特定技能外国人を受け入れた施設は、特定技能協議会への参加が義務づけられています。協議会では、制度の適正な運用や外国人材の適正な受け入れに関する情報共有が行われます。
成功事例と実践的なポイント
成功事例①:関東の特別養護老人ホーム
関東地方のある特別養護老人ホームでは、フィリピン出身の特定技能外国人2名を受け入れ、以下の取り組みで定着率向上を実現しました。
取り組み内容
- 入職前の3ヶ月間、日本語研修を実施
- メンター制度の導入(日本人職員1名が専属でサポート)
- 月1回の面談で悩みや困りごとを聞き取り
- 文化的な違いを理解するための勉強会を全職員対象に実施
成果
- 2名とも1年以上継続勤務
- 利用者様からの評価も高く、家族からの信頼も獲得
- 他の職員のモチベーション向上にも寄与
成功事例②:西日本のデイサービス事業所
西日本のあるデイサービス事業所では、ベトナム出身の特定技能外国人1名を受け入れ、段階的な業務習得プログラムで成果を上げています。
段階的習得プログラム
- 第1段階(1-2ヶ月):見学と簡単な補助業務
- 第2段階(3-4ヶ月):基本的な介護技術の習得
- 第3段階(5-6ヶ月):利用者様とのコミュニケーション重視
- 第4段階(7ヶ月以降):独立した業務遂行
学びのポイント
- 焦らず段階的に業務を任せることの重要性
- 言語の壁よりも「心の通じ合い」を重視
- 定期的な振り返りとフィードバックの効果
よくある質問(専門家に聞く)
Q1. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?
「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。
一番伝えたいこと
「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」
私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。
それは:
1. 受け入れる側の覚悟
- 最初は時間がかかることを理解する
- 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
- 文化の違いを楽しむ心
2. 外国人介護士のポテンシャル
- 真面目で一生懸命
- 学ぶ意欲が高い
- 利用者様を大切にする心
3. 長期的な視点
- すぐに結果を求めない
- 信頼関係を築くのに時間をかける
- 3年、5年後の姿を一緒に描く
「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」
「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」
最後に
「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」
「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」
Q2. 元看護士・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?
「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。
元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:
1. 現場目線での人材選考
- 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
- 技術だけでなく、人柄や適性を重視
- 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ
2. 実践的な教育プログラム
- 現場で本当に必要な技術を優先
- 教科書的な知識より、実際の動きを重視
- 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える
3. 施設側の悩みに寄り添える
- 「受け入れる側」の大変さを理解している
- 現実的なアドバイスができる
- 一緒に問題を解決する姿勢
「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」
制度に関するよくある質問
Q1. 特定技能介護施設種別の判定で迷った場合はどうすればよいですか?
施設の正式名称や運営する事業内容を確認し、出入国在留管理庁の最新資料と照合することが重要です。同じ法人内でも事業所ごとに対象・非対象が分かれる場合があるため、事業所単位での判断が必要です。判断に迷う場合は、地方出入国在留管理局または登録支援機関に相談することをお勧めします。
Q2. 特定技能介護の受け入れ人数に上限はありますか?
介護分野では、受け入れ人数の上限は設けられていません。ただし、適切な指導体制を確保できる範囲での受け入れが求められます。また、日本人職員との適切な比率を保ち、介護の質を維持することが重要です。
Q3. 訪問介護で特定技能外国人を受け入れる際の注意点は何ですか?
2025年4月に解禁されたばかりの訪問介護では、以下の点に特に注意が必要です:
- 1年以上の実務経験が必須
- 最低2ヶ月間の同行訪問(OJT)の実施
- 利用者・家族への事前説明と同意取得
- 緊急時の連絡体制整備
- 継続的な日本語能力向上支援
Q4. 特定技能外国人の在留期間はどのくらいですか?
介護分野の特定技能1号では、通算で最長5年間の在留が可能です。1年、6ヶ月または4ヶ月ごとの在留期間で更新を行います。なお、一定の要件を満たせば在留資格「介護」への移行も可能で、この場合は在留期間の上限がなくなります。
Q5. 特定技能協議会への参加はいつ行えばよいですか?
特定技能外国人の受け入れ開始後、速やかに協議会への参加手続きを行う必要があります。具体的には、外国人の就労開始から4ヶ月以内に協議会申請システムへの外国人情報入力と必要書類の提出を完了させる必要があります。
まとめ
特定技能介護の施設種別について、以下の重要ポイントを整理します。
- 対象施設の明確な区分:6つの法的区分により受け入れ可能施設が明確に定められており、事前の確認が必須
- 訪問介護の条件付き解禁:2025年4月より実務経験1年以上の条件で解禁され、新たな人材確保の選択肢が拡大
- 段階的な受け入れ体制:成功事例から学ぶ段階的な業務習得と長期的な視点での関係構築の重要性
特定技能外国人の受け入れは、単なる人手不足の解決策ではなく、多様性のある職場環境の構築と介護の質向上につながる重要な取り組みです。まずは自施設が対象となるかを確認し、受け入れ体制の整備から始めてみてはいかがでしょうか。
【YMYL注意】制度の詳細や要件は随時更新される可能性があるため、最終的な判断は最新の出入国在留管理庁資料および専門家への確認を行ってください。
出典・参考
- 出入国在留管理庁「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 -介護分野の基準について-」…特定技能介護の制度概要と対象施設の根拠
- 厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」…介護分野の人材不足データと制度背景
- 厚生労働省「2040年を見据えた介護人材の確保について」…将来の介護人材需要予測の根拠
- 出入国在留管理庁「令和7年4月21日付け告示・通知等の改正について」…訪問介護解禁の法的根拠
この記事の監修者
大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。
