結論(30秒でわかる要点)
- 外国人介護士の主な問題点は言語の壁・文化的摩擦・定着率の低さの3つ
- 解決には段階的な受け入れ体制と継続的なサポート体制の構築が必要
- 制度理解と適切な指導により、多くの問題は改善可能
- 介護施設の管理者・人事担当者・現場職員向けの実践的な対策ガイド
- 注意:制度は更新されるため最新の厚生労働省資料で確認してください
はじめに
「外国人介護士を受け入れたいけれど、どんな問題が起こるのか不安」
「実際に受け入れてみたら想定外のトラブルが続出している」
「他の施設ではどんな課題があって、どう解決しているのか知りたい」
このような悩みを抱える介護施設の管理者や人事担当者の方は多いのではないでしょうか。
厚生労働省のデータによると、2040年までに介護職員は570,000人の追加確保が必要とされており(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)、外国人介護人材の活用は避けて通れない課題となっています。
しかし、実際の受け入れには様々な問題点があるのも事実です。
この記事でわかること
- 外国人介護士受け入れで起こりがちな具体的な問題点
- 問題の根本原因と効果的な解決策
- 成功している施設の実践事例と改善ポイント
外国人介護士の問題点とは(背景と現状)
用語の定義
外国人介護士 問題点とは:外国人介護人材の受け入れ・雇用・定着において介護施設が直面する言語・文化・制度面での課題群を指します。
外国人介護人材受け入れの現状
現在、日本では4つの制度を通じて外国人介護人材を受け入れています:
- EPA(経済連携協定):3,180人(2025年4月1日時点)
- 在留資格「介護」:12,227人(2024年12月31日時点)
- 技能実習:15,909人(2023年12月31日時点)
- 特定技能1号:44,367人(2024年12月31日時点)
(出典:厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」2025年資料)
問題が発生する主な原因
外国人介護士の受け入れで問題が発生する根本的な原因は以下の通りです:
- 制度理解の不足
- 各制度の特徴や制約を十分に理解せずに受け入れ
- 期待値と現実のギャップが大きい
- 受け入れ体制の準備不足
- 言語サポート体制の未整備
- 文化的配慮への認識不足
- 長期的視点の欠如
- 即戦力を期待しすぎる
- 育成に必要な時間とコストを軽視
- コミュニケーション不足
- 日本人職員との連携不足
- 利用者・家族への説明不足
具体的な問題点と解決策

Step1:言語の壁への対処法
主な問題
- 専門用語の理解不足による業務ミス
- 利用者との意思疎通困難
- 記録・報告書作成の負担
解決策
- 段階的な日本語教育プログラム
- 入職前:基礎的な介護用語集の配布
- 入職後1ヶ月:現場で使用頻度の高い表現の集中学習
- 3ヶ月後:記録作成支援と添削指導
- 視覚的サポートツールの活用
- イラスト付きマニュアルの作成
- 多言語対応の業務手順書
- タブレット翻訳アプリの導入
- バディシステムの導入
- 日本人職員1名を専任サポーターに指定
- 定期的な面談とフィードバック
- 困った時の相談窓口を明確化
Step2:文化的摩擦の軽減方法
主な問題
- 宗教的配慮への理解不足
- 食事・休憩時間の文化的違い
- 利用者・家族からの偏見や抵抗
解決策
- 多文化理解研修の実施
- 全職員対象の異文化理解セミナー
- 宗教的配慮事項の共有
- 偏見解消のためのワークショップ
- 環境整備
- 宗教的配慮が必要な場合の祈祷スペース確保
- ハラル食材対応の検討
- 母国の祝日への配慮
- 利用者・家族への事前説明
- 外国人職員受け入れの意義説明
- 具体的なメリットの提示
- 不安や疑問への丁寧な対応
Step3:定着率向上のための取り組み
主な問題
- 国家試験合格への不安
- キャリアパスの不透明さ
- 生活面でのサポート不足
解決策
- 国家試験対策の充実
- 介護福祉士国家試験対策講座の開催
- 日本語レベル別の学習プログラム
- 模擬試験と個別指導の実施
実際に、日本語能力試験N1保有者の合格率は86.7%、N2保有者は53.4%となっており(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)、適切な日本語教育が合格率向上の鍵となります。
- キャリア支援体制
- 個別キャリア面談の定期実施
- 昇進・昇格の明確な基準設定
- 専門性向上のための研修機会提供
- 生活サポート
- 住居確保の支援
- 生活相談窓口の設置
- 同国出身者同士のネットワーク構築
成功事例から学ぶ改善ポイント

成功事例①:段階的受け入れによる定着率向上
関東地方のある特別養護老人ホームでは、一度に複数名を受け入れるのではなく、1名ずつ段階的に受け入れる方式を採用しました。
具体的な取り組み
- 1人目の外国人職員が慣れてから2人目を受け入れ
- 先輩外国人職員がメンター役を担当
- 日本人職員の負担を分散
結果
- 3年間で5名を受け入れ、全員が継続勤務
- 日本人職員からの評価も高い
- 利用者満足度も向上
成功事例②:地域連携による包括的サポート
九州地方のグループホームでは、地域の日本語学校や国際交流団体と連携したサポート体制を構築しました。
具体的な取り組み
- 週1回の日本語教室を施設内で開催
- 地域住民との交流イベント実施
- 緊急時の通訳サポート体制
結果
- 日本語能力の着実な向上
- 地域コミュニティとの良好な関係構築
- 離職率の大幅な改善
よくある質問(専門家に聞く)
Q1. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?
「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。
一番伝えたいこと
「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」
私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。
それは:
1. 受け入れる側の覚悟
- 最初は時間がかかることを理解する
- 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
- 文化の違いを楽しむ心
2. 外国人介護士のポテンシャル
- 真面目で一生懸命
- 学ぶ意欲が高い
- 利用者様を大切にする心
3. 長期的な視点
- すぐに結果を求めない
- 信頼関係を築くのに時間をかける
- 3年、5年後の姿を一緒に描く
「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」
「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」
最後に
「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」
「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」
Q2. 元看護士・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?
「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。
元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:
1. 現場目線での人材選考
- 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
- 技術だけでなく、人柄や適性を重視
- 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ
2. 実践的な教育プログラム
- 現場で本当に必要な技術を優先
- 教科書的な知識より、実際の動きを重視
- 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える
3. 施設側の悩みに寄り添える
- 「受け入れる側」の大変さを理解している
- 現実的なアドバイスができる
- 一緒に問題を解決する姿勢
「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」
制度に関するよくある質問
Q1. 外国人介護士の受け入れに必要な資格や条件はありますか?
受け入れ制度によって要件が異なります:
EPA(経済連携協定)
- 対象国:インドネシア、フィリピン、ベトナム
- 要件:看護師資格または介護士資格を保有
- 日本語能力:N5程度以上
特定技能1号
- 介護技能評価試験の合格
- 介護日本語評価試験の合格
- 日本語能力試験N4以上
技能実習
- 送出機関との契約
- 入国前講習の受講
- 基礎的な日本語能力
Q2. 外国人介護士受け入れの費用はどのくらいかかりますか?
制度や支援内容により大きく異なりますが、一般的な目安:
初期費用
- 紹介手数料:30万円〜100万円
- 住居確保費用:20万円〜50万円
- 研修費用:10万円〜30万円
継続費用
- 日本語教育費:月額2万円〜5万円
- 生活サポート費:月額1万円〜3万円
- 各種手続き費用:年額10万円〜20万円
Q3. 外国人介護士の業務範囲に制限はありますか?
制度により業務範囲が異なります:
技能実習
- 身体介護、生活援助が中心
- 一人夜勤は原則不可
- 服薬介助は制限あり
特定技能1号
- 身体介護、生活援助
- 一人夜勤可能(一定条件下)
- 服薬介助可能
在留資格「介護」
- 介護福祉士と同等の業務範囲
- 制限なし
Q4. 国家試験に合格できなかった場合はどうなりますか?
制度により対応が異なります:
EPA
- 原則として帰国
- 再受験の機会は限定的
技能実習から特定技能への移行
- 特定技能1号への移行可能
- 継続して日本で就労可能
在留資格「介護」取得者
- 既に介護福祉士資格保有のため影響なし
Q5. 外国人介護士の定着率を向上させるポイントは?
厚生労働省の調査によると、外国人介護人材が国家試験を受けた理由として「日本で介護職として働き続けるため」が68.9%を占めています(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)。
定着率向上のポイント
- キャリアパスの明確化
- 昇進・昇格の基準を明示
- 専門性向上の機会提供
- 継続的な学習支援
- 日本語教育の継続
- 専門知識・技術の向上支援
- 生活面でのサポート
- 住居・生活相談
- 同国出身者との交流機会
- 職場環境の整備
- 多文化理解の促進
- 差別・偏見の排除
まとめ
外国人介護士の受け入れにおける問題点は確かに存在しますが、適切な準備と継続的なサポートにより多くの課題は解決可能です。
重要なポイント
- 言語の壁は段階的な教育とサポートツールで克服可能
- 文化的摩擦は相互理解と環境整備で軽減できる
- 定着率向上には長期的視点でのキャリア支援が必要
次のステップ
まずは自施設の受け入れ体制を見直し、外国人介護人材が活躍できる環境づくりから始めましょう。専門的なサポートが必要な場合は、経験豊富な人材紹介会社への相談も有効です。
YMYL注意:介護制度や外国人雇用に関する法令は随時更新されるため、最新の厚生労働省資料や専門家への確認をお勧めします。
出典・参考
- 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…介護職員必要数の根拠データ
- 厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」2025年資料…外国人介護人材の在留者数データ
- 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…国家試験合格率と受験理由のデータ
- 厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況」2021年…外国人労働者全体の動向データ
この記事の監修者
大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。
