結論(30秒でわかる要点)
- 介護士の採用単価は平均10万円〜100万円、人材紹介では60万円〜120万円が相場
- 採用単価上昇の主因は人手不足による採用競争激化と早期離職率の高さ
- 効果的な削減方法は自社採用サイト構築、リファラル採用、助成金活用の組み合わせ
- 対象者:介護施設の経営者・採用担当者・人事責任者
- 注意:制度や助成金は更新されるため最新の公的資料で確認が必要
はじめに

介護業界の人材不足が深刻化する中、「採用にかかる費用がどんどん高くなっている」「予算内で質の高い人材を確保したい」と悩む施設経営者や採用担当者は少なくありません。
厚生労働省の調査によれば、2026年には2,400,000人の介護職員が必要とされる一方(出典: 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)、現実的な確保は困難な状況が続いています。このような売り手市場において、採用単価の適正化は施設運営の重要な課題となっています。
この記事でわかること
- 介護士採用単価の正確な相場と計算方法
- 採用コスト上昇の根本原因と業界特有の課題
- 実践的な採用単価削減方法と成功事例
介護士採用単価の基礎知識

用語の定義
介護士採用単価とは、一人の介護士を採用するために要した総費用を指し、求人広告費・人材紹介手数料・採用担当者の人件費・面接交通費などすべてのコストを含む指標です。
採用単価の計算方法
採用単価は以下の計算式で算出されます:
採用単価 = 採用にかかった総費用 ÷ 実際の採用人数
例えば、年間400万円の採用費用をかけて4人を採用した場合、採用単価は100万円となります。しかし、そのうち2人が早期離職した場合、実質的な採用人数は2人となり、採用単価は200万円に跳ね上がります。
採用方法別の相場
1. 掲載課金型求人
- 求人サイト掲載費:10万円〜100万円
- 新聞折込広告:1万円〜20万円
- 求人雑誌:3万円〜5万円
2. 成功報酬型求人
- 応募課金型:数千円〜3万円(応募1件あたり)
- 採用課金型:1万円〜10万円(採用1名あたり)
3. 人材紹介会社
- 紹介手数料:年収の25%〜40%(相場35%)
- 年収300万円の場合:約90万円〜120万円
4. 無料サービス
- ハローワーク:無料
- 自社ホームページ:維持費のみ
- 知人紹介:インセンティブ費用のみ
採用単価上昇の原因と背景

人手不足による採用競争の激化
介護業界では、限られた求職者を多数の施設が奪い合う構造的な問題があります。厚生労働省のデータによれば、2022年実績で2,150,000人の介護職員に対し、2026年には2,400,000人が必要とされており、250,000人の人材不足が予測されています(出典: 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)。
この売り手市場において:
- 求人広告の掲載期間が長期化
- 複数媒体への同時出稿が必要
- 給与・待遇の引き上げ競争が激化
- 人材紹介会社への依存度が上昇
早期離職による採用コストの無駄
介護業界の離職率は全産業平均と比較して高水準にあり、特に勤続年数1年未満での離職が38.8%、1年以上3年未満が26.4%と、合計65.2%が3年以内に離職しています。
早期離職が採用単価に与える影響:
- 投資回収不能:採用にかけた費用が回収できない
- 追加採用費用:欠員補充のための再募集コスト
- 機会損失:既存職員への負担増加と連鎖離職リスク
求職者主体の採用市場
介護職の有効求人倍率は3.64倍(令和3年時点)と、全職業平均の1.03倍を大きく上回っています。この状況下では:
- 求職者が複数の内定を獲得
- より良い条件を求めて転職を繰り返す
- 施設側が求職者に合わせた条件提示を強いられる
採用単価を抑える実践的方法
自社採用サイトの構築と活用
自社採用サイトは中長期的な採用コスト削減に最も効果的な手法です。
構築のポイント
- 施設の理念と働く職員の声を掲載
- 具体的な業務内容と1日の流れを紹介
- 研修制度とキャリアパスを明示
- 定期的な更新による情報の鮮度維持
SEO対策の重要性
- 「地域名 + 介護士 求人」での検索上位表示
- Googleマイビジネスとの連携
- 口コミ・評判の管理
リファラル採用制度の導入
既存職員からの紹介による採用は、最も費用対効果の高い手法の一つです。
制度設計のポイント
- 紹介者・被紹介者双方へのインセンティブ設定
- 紹介したくなる職場環境の整備
- 紹介後のフォロー体制の構築
成功要因
- 職員満足度の向上が前提
- 紹介制度の周知徹底
- 公正な評価プロセスの確立
助成金の積極的活用
厚生労働省が提供する各種助成金を活用することで、実質的な採用コストを大幅に削減できます。
主要な助成金
1. 特定求職者雇用開発助成金
- 高齢者(60歳以上65歳未満):60万円
- 高年齢者(65歳以上):70万円
2. 65歳超雇用推進助成金
- 65歳以上の離職者採用時に適用
- 条件:ハローワーク等の紹介、1年以上雇用予定
3. トライアル雇用助成金
- 3ヶ月間の試用期間中の助成
- 月額最大4万円の支給
採用プロセスの効率化
面接プロセスの最適化
- 書類選考基準の明確化
- Web面接の積極的活用
- 複数回面接の必要性見直し
ミスマッチ防止策
- 職場見学会の実施
- 体験勤務制度の導入
- 詳細な業務説明と期待値設定
成功事例と具体的な改善例

事例1:自社サイト活用による採用単価半減
関東のある特別養護老人ホームでは、自社採用サイトの構築により年間採用単価を150万円から75万円に削減しました。
実施内容
- 職員インタビュー動画の制作
- 1日の業務フローの詳細紹介
- 研修制度と昇進実績の可視化
結果
- 直接応募率が40%向上
- 面接辞退率が30%減少
- 採用後6ヶ月定着率が85%に向上
事例2:リファラル制度による質の高い採用
関西のグループホームでは、リファラル制度の導入により採用単価を60%削減しながら、定着率を大幅に改善しました。
制度内容
- 紹介者に5万円のインセンティブ
- 被紹介者の6ヶ月定着で追加3万円
- 年間最優秀紹介者への特別表彰
成果
- 年間採用の70%がリファラル経由
- 1年定着率が95%に向上
- 職員満足度の向上による好循環
よくある質問(専門家に聞く)
Q1. 元看護士・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?
「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。
元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:
1. 現場目線での人材選考
- 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
- 技術だけでなく、人柄や適性を重視
- 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ
2. 実践的な教育プログラム
- 現場で本当に必要な技術を優先
- 教科書的な知識より、実際の動きを重視
- 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える
3. 施設側の悩みに寄り添える
- 「受け入れる側」の大変さを理解している
- 現実的なアドバイスができる
- 一緒に問題を解決する姿勢
「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」
Q2. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?
「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。
一番伝えたいこと
「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」
私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。
それは:
1. 受け入れる側の覚悟
- 最初は時間がかかることを理解する
- 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
- 文化の違いを楽しむ心
2. 外国人介護士のポテンシャル
- 真面目で一生懸命
- 学ぶ意欲が高い
- 利用者様を大切にする心
3. 長期的な視点
- すぐに結果を求めない
- 信頼関係を築くのに時間をかける
- 3年、5年後の姿を一緒に描く
「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」
「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」
最後に
「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」
「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」
制度に関するよくある質問
Q3. 介護士採用で使える助成金の申請は複雑ですか?
助成金の申請は確かに複雑な面がありますが、社会保険労務士や専門コンサルタントのサポートを受けることで、適切に申請できます。主要な助成金の申請要件は以下の通りです:
- ハローワークまたは認定職業紹介事業者からの紹介
- 雇用保険・社会保険の適用
- 継続雇用の意思確認
- 必要書類の適切な準備と提出
Q4. 採用単価を下げすぎると人材の質が落ちませんか?
採用単価の削減と人材の質確保は両立可能です。重要なのは「無駄なコストの削減」と「効果的な投資」の使い分けです。自社採用サイトやリファラル制度は、コストを抑えながら質の高い人材にアプローチできる手法です。
Q5. 外国人介護士の採用単価は日本人と比べてどうですか?
外国人介護士の採用単価は、人材紹介会社を利用する場合、日本人と同程度かやや高めになる傾向があります。しかし、定着率の高さを考慮すると、長期的には費用対効果が良好なケースが多く見られます。
まとめ
介護士の採用単価削減は、単なるコストカットではなく、持続可能な人材確保戦略の構築が重要です。
重要なポイント
- 採用単価の相場を把握し、自施設の現状を客観視する
- 自社採用サイト・リファラル制度・助成金活用の組み合わせで効果を最大化する
- 早期離職防止による実質的な採用単価改善に注力する
次のステップ
まずは現在の採用単価を正確に計算し、最も効果的な改善策から段階的に実施することをお勧めします。外国人介護士の活用も含めて、多角的なアプローチを検討してみてください。
【YMYL注意】最終的な採用戦略や助成金申請については、最新の公的資料や専門家に確認の上、個別の状況に応じた判断を行ってください。
出典・参考
- 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…介護職員必要数の根拠データ
- 厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」2025年資料…外国人介護人材の在留者数データ
- 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…介護福祉士国家試験合格率データ
- 介護労働安定センター「2017年度介護労働実態調査」…離職率・勤続年数の統計データ
- 内閣府「令和4年版高齢社会白書(全体版)」…高齢化率の推移データ
この記事の監修者
大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。
