訪問介護できる外国人は? 厚生労働省の完全ガイド|制度解禁から採用まで

目次

結論(30秒でわかる要点)

  • 2025年4月より厚生労働省が外国人介護人材による訪問介護を解禁
  • 特定技能・技能実習の外国人が一定条件下で訪問系サービス従事可能
  • 受入事業所は5つの要件(研修・OJT・キャリアプラン・ハラスメント対策・ICT環境整備)を満たす必要
  • 対象者:人手不足に悩む訪問介護事業所の管理者・経営者
  • 注意:制度は更新されるため最新の厚生労働省資料で確認が必要

はじめに

深刻な人手不足が続く訪問介護業界において、2025年4月に歴史的な制度改正が実施されました。厚生労働省が外国人介護人材による訪問系サービスへの従事を解禁し、特定技能・技能実習の在留資格を持つ外国人が利用者の自宅で介護サービスを提供できるようになったのです。

これまで外国人介護人材は施設系サービスに限定されていましたが、この規制緩和により訪問介護事業所は新たな人材確保の選択肢を得ることになりました。しかし、制度の詳細や受入要件、実際の採用プロセスについて十分に理解している事業者はまだ多くありません。

この記事でわかること

  • 厚生労働省が定める外国人訪問介護の制度概要と要件
  • 受入事業所が満たすべき5つの条件と具体的な準備
  • 採用から定着まで成功させるための実践的なポイント

外国人訪問介護解禁の背景と制度概要

用語の定義

「訪問介護 外国人 厚生労働省」とは:厚生労働省が2025年4月に解禁した、特定技能・技能実習の在留資格を持つ外国人介護人材が訪問介護等の訪問系サービスに従事できる制度

制度解禁の背景

厚生労働省の統計によれば、全国の介護職員必要数は2022年実績の2,150,000人から2026年には2,400,000人(+250,000人)、2040年には2,720,000人(+570,000人)まで増加が見込まれています(出典: 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)。

特に訪問介護分野では人手不足が深刻化しており、以下の要因が制度解禁を後押ししました:

  • 一人で利用者宅を訪問することへの不安から就業希望者が少ない
  • 高齢化の進展により在宅介護ニーズが急増
  • 施設系サービスと比較して訪問系サービスの人材確保が困難

対象となる訪問系サービス

厚生労働省が定める対象サービスは以下の通りです:

  • 訪問介護
  • 訪問入浴介護
  • 夜間対応型訪問介護
  • 介護予防訪問入浴介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
  • 訪問型サービス(総合事業)

受入事業所が満たすべき5つの要件

要件1:外国人介護人材への研修実施

厚生労働省が定める研修内容には以下が含まれます:

  • 訪問介護の基本事項
  • 生活支援技術
  • 利用者・家族・近隣とのコミュニケーション(傾聴、受容、共感などのスキル)
  • 日本の生活様式
  • 緊急時対応

研修は単発ではなく、継続的な学習支援体制の構築が重要です。

要件2:同行訪問等によるOJTの実施

原則的な実施期間

  • 実務経験1年以上:事業者が適切に判断する期間
  • 実務経験1年未満:より厳格な条件(日本語能力試験N2相当以上必須)

実務経験1年未満の場合の特別措置

  • 週1回サービス提供の場合:同行訪問を半年実施
  • 利用者・家族同意があれば:3か月の同行訪問+ICTによる常時連絡体制

要件3:キャリアアップ計画の作成

外国人介護人材の意向を丁寧に確認し、以下を含むキャリアプラン策定が必要です:

  • 業務内容の段階的拡大
  • 日本語能力向上の目標設定
  • 介護福祉士国家資格取得支援
  • 定期的な面談による進捗確認

要件4:ハラスメント対策

包括的なハラスメント防止体制の整備が求められます:

  • 対応マニュアルの作成・共有
  • 管理者の役割明確化
  • 発生時の対処ルール策定
  • 相談窓口の設置
  • 利用者・家族への周知

要件5:ICTの活用等による環境整備

外国人介護人材の負担軽減と緊急時対応のため、以下の環境整備が必須です:

  • 介護ソフトやタブレット端末による記録業務支援
  • コミュニケーションアプリの導入
  • 困りごと相談体制の整備
  • 見守りカメラ等の活用(条件により)

成功事例と実践ポイント

成功事例①:段階的な訪問先拡大

関東のある訪問介護事業所では、フィリピン人介護士の受入れに成功しています。同事業所では以下のアプローチを採用しました:

  • 最初の3か月は理解のある利用者様2名のみ担当
  • 日本人職員が必ず同行し、丁寧な指導を実施
  • 利用者様からの評価を定期的に収集
  • 4か月目以降、段階的に担当利用者を拡大

この結果、外国人介護士の定着率が向上し、利用者満足度も高水準を維持しています。

成功事例②:ICT活用による支援体制

九州のある事業所では、ICT機器を積極活用した支援体制を構築しています:

  • タブレット端末による多言語対応マニュアル配備
  • 緊急時の動画通話システム導入
  • 日本語学習アプリの業務時間内利用許可
  • 利用者情報の写真・イラスト化

これらの取り組みにより、外国人介護人材の不安軽減と業務効率化を同時に実現しました。

よくある質問(専門家に聞く)

Q. 訪問介護に外国人介護士を入れるのは、やはり難しいでしょうか?

「訪問介護、確かに難易度は高いですね」と大町は正直に語ります。

難しい理由:

  • 1人で訪問するため、日本語力が特に重要
  • 利用者様の自宅という閉鎖空間での対応
  • 臨機応変な判断が求められる
  • 地理感覚や移動手段の問題

「ただ、不可能ではありません」

成功させるポイント:

  1. 最初は施設で経験を積む: 1〜2年の施設経験後に訪問へ
  2. ペア訪問から始める: 日本人職員と一緒に訪問
  3. 固定利用者から: 理解のある利用者様から徐々に
  4. 密なフォロー体制: 困ったときにすぐ相談できる環境

「いきなり訪問介護から始めるのは難しいですが、段階を踏めば十分可能だと思います」

Q. 日本語レベルは、現場で本当に困らないレベルなのでしょうか?

「日本語の不安、とてもよく分かります」と大町は理解を示します。

現地で選考する段階で、N4レベル以上を基準にしています。

N4レベルとは:

  • 日常的な会話ができる
  • 簡単な介護用語が理解できる
  • 利用者様との基本的なやり取りができる

「ただし、現場特有の言い回しや方言には、最初は慣れが必要です」

入職後の工夫:

  • 専門用語は繰り返し教える
  • イラストや写真を使ったマニュアル
  • 日本人職員との日常会話を増やす

「来日時点で完璧な日本語を求めるより、『伸びる人材』を選び、入職後に一緒に成長させるのが現実的だと思います」

実際、半年〜1年で驚くほど上達する方が多いんです。

制度に関するよくある質問

Q1. 訪問介護で外国人を雇用する際の厚生労働省への申請手続きは?

厚生労働省の制度では、受入事業所は事前に巡回訪問等実施機関(国際厚生事業団)に「訪問系サービスの要件に係る報告書」を提出する必要があります。この報告書では5つの要件を適切に履行できる体制・計画を証明する必要があり、技能実習と特定技能で申請ページが異なるため注意が必要です。

Q2. 外国人介護人材の訪問介護従事に関する厚生労働省の最新ガイドラインは?

厚生労働省は令和7年3月31日付けで「外国人介護人材の訪問系サービス従事における留意点について」を発出しています。このガイドラインには利用者・家族への説明様式、同行訪問チェックシート、キャリアアップ計画様式などが含まれており、事業所運営の具体的指針となっています。

Q3. 訪問介護における外国人雇用の厚生労働省統計データは?

厚生労働省の最新データによると、特定技能1号(介護)の在留者数は44,367人(2024年12月31日時点)、技能実習(介護)は15,909人(2023年12月31日時点)となっています。訪問系サービス解禁により、これらの人材が新たに訪問介護分野で活躍することが期待されています。

Q4. 外国人による訪問介護の厚生労働省認定研修内容は?

厚生労働省が定める研修には、訪問介護の基本事項、生活支援技術、利用者・家族・近隣とのコミュニケーション技術、日本の生活様式理解、緊急時対応が含まれます。特に傾聴・受容・共感などのコミュニケーションスキルは重点項目として位置づけられています。

Q5. 厚生労働省の外国人訪問介護制度で対象となる在留資格は?

厚生労働省の制度では、特定技能1号(介護)と技能実習(介護職種)の在留資格を持つ外国人が対象となります。EPA(経済連携協定)による介護福祉士候補者については、現在厚生労働省で調整中となっています。在留資格「介護」については別途検討が必要です。

まとめ

外国人介護人材による訪問介護の解禁は、人手不足に悩む事業所にとって大きなチャンスです。重要なポイントを以下にまとめます:

  • 制度活用の準備:厚生労働省が定める5つの要件を満たす体制構築が最優先
  • 段階的な導入:いきなり独立訪問ではなく、同行OJTから始める計画的アプローチ
  • 継続的支援:採用後の日本語学習支援とキャリア形成が定着の鍵

まずは自社の受入体制を点検し、必要な環境整備から始めることをお勧めします。制度を適切に活用することで、持続可能な訪問介護事業の運営が可能になるでしょう。

【YMYL注意】 制度の詳細や要件は更新される可能性があるため、実際の導入前には必ず厚生労働省の最新資料や専門家への確認を行ってください。

出典・参考

  • 厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」…外国人介護人材受入れ制度の全体概要
  • 厚生労働省「外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について」…訪問介護解禁の制度詳細
  • 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…介護職員需要予測データ
  • 厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」2025年資料…外国人介護人材の在留者数統計
  • 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…日本語能力と合格率の関係データ
  • 厚生労働省「外国人介護人材の訪問系サービス従事における留意点について(令和7年3月31日付け)」…具体的な運用ガイドライン

この記事の監修者

大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。


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