結論(30秒でわかる要点)
- 外国人介護士受け入れ施設は、EPA・在留資格「介護」・技能実習・特定技能の4制度で運営可能
- 特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・グループホームなど施設系サービスが中心
- 受け入れには支援計画作成・日本語教育・住居確保などの環境整備が必要
- 対象者:外国人介護士の採用を検討している介護施設の経営者・人事担当者
- 注意:制度は随時更新されるため、最新の厚生労働省資料で詳細を確認してください
はじめに
介護業界の深刻な人手不足により、多くの施設が外国人介護士の受け入れを検討しています。しかし「どんな施設が受け入れ可能なのか」「何から始めればよいのか」「成功させるポイントは何か」といった疑問を抱く経営者や人事担当者は少なくありません。
外国人介護士受け入れ施設は、単なる人手不足の解決策ではなく、多様性のある職場環境を構築し、サービスの質向上を図る重要な戦略です。
この記事でわかること
- 外国人介護士受け入れ可能な施設種別と要件
- 4つの在留資格制度の特徴と選び方
- 受け入れ準備から定着までの具体的手順
外国人介護士受け入れ施設の基礎知識
用語の定義
「外国人介護士受け入れ施設」とは:EPA・在留資格「介護」・技能実習・特定技能のいずれかの制度を活用して外国人介護職員を雇用する介護保険施設等のことです。
受け入れ対象施設
- 指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
- 指定地域密着型介護老人福祉施設
- 認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム)
- 養護老人ホーム
- 軽費老人ホーム
受け入れ対象外
- 訪問介護事業所(2025年4月より一定条件下で解禁)
- 通所介護事業所の一部業務
外国人介護士受け入れの背景・現状
厚生労働省の調査によると、2019年1月時点でEPA介護福祉士候補者だけでも累計4,302人が808の施設で受け入れられています。在留資格「介護」では、制度創設から3年で592人が資格を取得(2019年12月時点)しており、外国人介護士の活躍の場は確実に広がっています。
受け入れが進む主な要因
1. 深刻な人材不足
- 日本人介護士の募集に応募者が集まらない
- 配置基準を満たすための緊急対応
- 介護報酬減算回避の必要性
2. 政府の制度拡充
- 2008年:EPA制度開始
- 2016年:在留資格「介護」創設
- 2017年:技能実習制度に介護職追加
- 2019年:特定技能制度開始
3. 受け入れ施設の実績蓄積
- 先進施設での成功事例の共有
- 業界団体による推奨・支援体制の整備
外国人介護士受け入れの制度と手順
4つの在留資格制度の特徴
Step1:制度選択
EPA(経済連携協定)
- 対象国:インドネシア・フィリピン・ベトナム
- 期間:4年間(介護福祉士取得で永続可能)
- 特徴:高い日本語能力、手厚いサポート体制
在留資格「介護」
- 対象:介護福祉士養成校卒業者
- 期間:制限なし
- 特徴:即戦力、長期雇用可能
技能実習
- 期間:最大5年
- 特徴:段階的技能習得、比較的導入しやすい
- 注意:技能移転が目的
特定技能1号
- 期間:通算5年
- 特徴:即戦力、フルタイム直接雇用のみ
- 要件:介護技能評価試験・介護日本語評価試験合格
Step2:受け入れ準備
施設側の要件確認
- 介護保険法に基づく事業所指定
- 労働関係法令の遵守体制
- 外国人指導体制の整備
Step3:支援体制構築
必要な支援計画(10項目)
- 事前ガイダンス
- 出入国時の送迎
- 住居確保・生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続き等への同行
- 日本語学習の機会提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(人員整理等の場合)
- 定期的な面談・行政機関への通報
受け入れ時の注意点・成功のコツ
コミュニケーション促進
- 多言語翻訳機の導入
- 介護業務マニュアルの翻訳
- 日本語学習支援の継続実施
文化理解の推進
- 既存職員向け異文化理解研修
- 宗教・食事への配慮
- 定期的な交流イベント開催
住環境の整備
- 住居費補助制度の活用
- 生活必需品の準備支援
- 地域コミュニティとの連携
成功事例と効果的な取り組み
成功事例①:施設系サービスでの定着促進
関東のある特別養護老人ホームでは、フィリピン人技能実習生2名を受け入れ、3年間で定着率100%を達成しました。成功要因は以下の通りです。
取り組み内容
- 入職前の3か月間集中日本語研修
- 先輩職員によるメンター制度導入
- 月1回の個別面談実施
- 家族との定期的なビデオ通話環境提供
変化・効果
- 利用者満足度の向上(多様なコミュニケーション)
- 既存職員のモチベーション向上
- 夜勤体制の安定化
成功事例②:地域密着型施設での多国籍チーム形成
関西のあるグループホームでは、ベトナム人・インドネシア人・フィリピン人の計3名を段階的に受け入れ、多国籍チームを構築しました。
ポイント・学び
- 国籍の違いを活かした多角的ケアアプローチ
- 外国人同士の支え合いネットワーク形成
- 利用者家族からの高い評価獲得
- 地域の国際交流拠点としての役割発揮
定着率向上の要因
- 複数名同時受け入れによる孤立感解消
- 各国の文化を尊重した職場環境づくり
- 介護福祉士資格取得への計画的支援
よくある質問(専門家に聞く)
Q1. 元看護士・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?
「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。
元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:
1. 現場目線での人材選考
- 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
- 技術だけでなく、人柄や適性を重視
- 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ
2. 実践的な教育プログラム
- 現場で本当に必要な技術を優先
- 教科書的な知識より、実際の動きを重視
- 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える
3. 施設側の悩みに寄り添える
- 「受け入れる側」の大変さを理解している
- 現実的なアドバイスができる
- 一緒に問題を解決する姿勢
「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」
Q2. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?
「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。
一番伝えたいこと
「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」
私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。
それは:
1. 受け入れる側の覚悟
- 最初は時間がかかることを理解する
- 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
- 文化の違いを楽しむ心
2. 外国人介護士のポテンシャル
- 真面目で一生懸命
- 学ぶ意欲が高い
- 利用者様を大切にする心
3. 長期的な視点
- すぐに結果を求めない
- 信頼関係を築くのに時間をかける
- 3年、5年後の姿を一緒に描く
「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」
「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」
最後に
「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」
「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」
制度に関するよくある質問
Q3. 外国人介護士受け入れ施設に必要な資格や許可はありますか?
外国人介護士受け入れ施設には、特別な資格や許可は不要ですが、以下の要件を満たす必要があります。
- 介護保険法に基づく指定事業所であること
- 労働基準法等の関係法令を遵守していること
- 外国人への適切な指導体制が整備されていること
- 支援責任者・支援担当者の配置
Q4. 外国人介護士受け入れ施設の運営費用はどのくらいかかりますか?
受け入れ費用は制度により異なりますが、主な費用項目は以下の通りです。
初期費用
- 人材紹介料:50万円〜100万円程度
- 住居確保費用:敷金礼金等
- 生活用品準備費:10万円〜20万円
継続費用
- 日本語教育費:月2万円〜5万円
- 住居費補助:月3万円以内(自治体補助制度活用可能)
- 支援業務委託費:月3万円〜10万円
多くの自治体で環境整備事業の補助金制度があり、上限20万円程度の支援を受けられます。
Q5. 外国人介護士受け入れ施設での訪問介護従事は可能ですか?
2025年4月21日より、一定条件下で特定技能外国人および技能実習生の訪問介護従事が認められています。
従事可能な条件
- 介護職員初任者研修課程等を修了していること
- 介護事業所等での実務経験1年以上
- 利用者・家族への事前説明と同意
- 適切な指導体制の確保
ただし、在留資格「介護」とEPA介護福祉士は従来通り訪問介護に従事可能です。
まとめ
- 外国人介護士受け入れ施設は、4つの在留資格制度を活用して多様な人材確保が可能
- 施設系サービスが中心だが、2025年4月より訪問介護も一部解禁
- 成功の鍵は「人手不足の穴埋め」ではなく「一緒に成長する仲間」として受け入れる姿勢
外国人介護士の受け入れは、単なる労働力確保を超えて、施設の国際化・サービス向上・職員の意識改革につながる重要な取り組みです。まずは自施設に適した制度の検討から始め、専門機関への相談を通じて具体的な準備を進めることをお勧めします。
【YMYL注意】制度の詳細や最新の要件については、厚生労働省の公式資料や専門機関で必ず確認してください。
出典・参考
- 厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」…外国人介護士受け入れ制度の全体像
- 厚生労働省「外国人介護職員の雇用に関する介護事業者向けガイドブック」…受け入れ施設の実践的指針
- 出入国在留管理庁「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-介護分野の基準について-」…特定技能制度の詳細要件
- 公益社団法人国際厚生事業団「EPA介護福祉士候補者受入実績」…EPA制度の実績データ
- 沖縄県「令和7年度外国人介護人材受入施設等環境整備事業」…自治体補助制度の具体例
- 大阪府「令和7年度外国人介護人材受入施設等環境整備事業」…環境整備支援の実施例
- 北海道「外国人介護人材の施策について」…自治体レベルでの支援体制
この記事の監修者
大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。

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