外国人介護士の現状を完全解説|2025年最新データと受け入れ成功のポイント

目次

結論(30秒でわかる要点)

  • 外国人介護士は約7.5万人が在留し、介護人材不足解決の重要な存在
  • 特定技能・技能実習・EPA・在留資格「介護」の4つの制度で受け入れ可能
  • 2025年4月から訪問介護にも従事可能となり、活用の幅が大幅拡大
  • 全国老施協会員施設の約42%がすでに受け入れ経験あり(令和4年度調査)
  • 受け入れ施設の多くが継続・拡大方針を示しており、定着も進んでいる

はじめに

介護現場で働く外国人介護士の数は年々増加しており、今や日本の介護を支える重要な存在となっています。しかし、「実際にどのくらいの施設が受け入れているの?」「どんな制度で受け入れているの?」「うちの施設でも検討すべき?」といった疑問を持つ施設関係者も多いのではないでしょうか。

本記事では、外国人介護士の現状について、公益社団法人全国老人福祉施設協議会が実施した「令和4年度外国人介護人材に関する実態調査結果」および厚生労働省の公式データを基に詳しく解説します。

この記事でわかること

  • 外国人介護士の在留者数と制度別の特徴
  • 一次資料に基づく受け入れ施設の実態
  • 2025年からの制度変更と今後の展望

外国人介護士の基本的な現状

用語の定義

「外国人介護士 現状」とは:日本の介護現場で働く外国人材の在留状況、制度別の特徴、受け入れ施設の実態を指す総合的な概念

在留者数の現状

厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」2025年資料によると、外国人介護人材の在留者数は以下の通りです:

  • 特定技能1号: 44,367人(2024年12月31日時点)
  • 技能実習: 15,909人(2023年12月31日時点)
  • 在留資格「介護」: 12,227人(2024年12月31日時点)
  • EPA: 3,180人(2025年4月1日時点)

合計で約7.5万人の外国人が介護分野で活躍しており、前年と比較して大幅に増加しています。

介護人材不足の深刻さ

厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によると:

  • 2022年実績: 2,150,000人
  • 2026年必要数: 2,400,000人(2022年比 +250,000人)
  • 2040年必要数: 2,720,000人(2022年比 +570,000人)

今後18年間で57万人もの介護職員が不足する見込みであり、外国人介護士の重要性はますます高まっています。

受け入れ施設の実態(全国老施協 令和4年度調査)

本章のデータは、公益社団法人全国老人福祉施設協議会が令和4年12月〜1月に実施したWEBアンケート調査(有効回答:会員施設775件)に基づいています。

受け入れ状況

令和4年度時点で、会員施設の 41.94%が外国人介護人材を受け入れている と回答しました。令和2年度(29.59%)から約12ポイント増加しており、受け入れが急速に広がっていることがわかります。

受け入れ状況令和2年度令和4年度
受け入れている29.59%41.94%
受け入れていない70.41%49.42%
検討中8.65%

(n:775)

「検討中」の8.65%を含めると、約5割の施設が受け入れ済みまたは検討中 という状況です。

受け入れ在留資格の内訳

受け入れている施設(n:534)における在留資格別の割合は以下の通りです(令和4年度):

在留資格令和4年度令和2年度
EPA10.3%20.6%
在留資格「介護」15.9%20.5%
技能実習28.7%31.5%
特定技能29.0%2.0%
永住者・定住者等16.1%25.3%

令和2年度にはわずか2.0%だった特定技能が、令和4年度には29.0%と急増し、技能実習と並ぶ主要な受け入れ経路となっています。

今後の方針(在留資格別)

受け入れ施設の今後の採用方針(増やしたい/現状維持/減らしたい)は以下の通りです:

在留資格増やしたい現状を維持したい減らしたい
EPA(n:55)43.40%33.96%11.32%
在留資格「介護」(n:85)65.85%24.39%1.22%
技能実習(n:153)39.60%38.93%10.07%
特定技能(n:155)54.19%30.32%1.94%

在留資格「介護」を受け入れている施設の65.85%が「増やしたい」と回答しており、最も高い満足度を示しています。特定技能でも54.19%が「増やしたい」と回答しています。

受け入れ時の困りごと(上位)

外国人介護人材に関する困りごとやトラブル(n:296 複数回答)では、以下が上位に挙がっています:

  1. 経費(給与+α)が予想以上にかかる:103件
  2. 日本語の習熟度が低い:86件
  3. 文化の違い(宗教・慣習):62件
  4. プライベート全般(恋愛・金銭等):47件
  5. 介護福祉士の資格が取得できない:48件

一方で「困りごとやトラブルはない」と回答した施設も95件あり、
適切な受け入れ体制を整えることでトラブルなく機能させている施設も多くあります。

定着のために施設が実施している支援

外国人介護人材の定着に向けて施設が行っている整備・支援(n:308 複数回答)の上位は:

  1. 住宅の供与・紹介:232件
  2. 生活支援・相談:214件
  3. 介護福祉士国家試験取得後も帰国せずに定着するための取り組み(日本の環境で生活できるよう配慮):213件
  4. 日本人同等の待遇(給与面):195件
  5. インターネット環境の整備:185件
  6. 日本語・介護導入研修の実施:184件

住居提供や生活サポートが受け入れの前提となっており、日本語研修や処遇改善も積極的に取り組む施設が多いことがわかります。

4つの在留資格制度とその特徴

EPA(経済連携協定)

EPA介護福祉士候補者制度は、インドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国から人材を受け入れる制度です。

特徴

  • 4年以内に介護福祉士国家試験合格が必要
  • 合格後は永続的に就労可能
  • 受け入れ施設による学習支援体制が必須
  • 高い専門性と日本語能力が期待できる

課題

  • 受け入れ人数に制限がある
  • 初期費用が高額
  • 学習支援の負担が大きい

在留資格「介護」

2017年に新設された、介護福祉士資格保有者を対象とした専門的な在留資格です。

特徴

  • 介護福祉士国家資格が必須
  • 在留期間の更新に制限なし
  • 家族帯同が可能
  • 訪問介護を含む全ての介護サービスに従事可能

受け入れ施設の声(全国老施協調査より)

  • 「専門学校卒の良い人材を雇い入れたい」
  • 「奨学金制度で5年間継続して勤務できる」
  • 「日本語能力・介護知識が高い人材が多い」

「増やしたい」割合が最も高い在留資格であり、長期的な人材確保手段として評価が高まっています。

技能実習制度

開発途上国への技能移転を目的とした制度で、介護分野は2017年から対象となりました。

要件

  • 18歳以上
  • 1年目:日本語能力試験N4相当以上
  • 2年目:N3相当以上

受け入れ施設の声(全国老施協調査より)

  • 「仕事に対する姿勢が素晴らしい」
  • 「3年間は退職しないため安定している」
  • 「技能実習から特定技能に切り替えると即戦力になる」

2027年には「育成就労制度」への移行が予定されており、転職制限の緩和など制度の見直しが進んでいます。

特定技能制度

人材不足解消を目的とした即戦力外国人材を受け入れる制度です。

要件

  • 18歳以上
  • 介護技能評価試験と日本語試験の合格
  • 日本語能力試験N4以上または国際交流基金日本語基礎テストA2相当以上

令和6年3月の閣議決定により、令和6年度から5年間の受入れ見込数が135,000人に再設定されました。

受け入れ施設の声(全国老施協調査より)

  • 「技能実習で3年間介護を経験した人の能力は高く即戦力になっている」
  • 「日本人人材の確保が困難なため活用している」

一方で「転職が可能なため職員の定着が難しい」という課題も挙がっており、待遇改善や居場所づくりが定着のカギとなります。

よくある質問(専門家に聞く)

Q1. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?

「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」

元看護師・介護福祉士として現場で働き、フィリピンで10年以上人材事業を続けてきた経験から言えること:

1. 受け入れる側の覚悟

  • 最初は時間がかかることを理解する
  • 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
  • 文化の違いを楽しむ心

2. 外国人介護士のポテンシャル

  • 真面目で一生懸命
  • 学ぶ意欲が高い
  • 利用者様を大切にする心

3. 長期的な視点

  • すぐに結果を求めない
  • 信頼関係を築くのに時間をかける
  • 3年・5年後の姿を一緒に描く

Q2. 元看護師・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?

現場経験があるからこそできること:

1. 現場目線での人材選考

  • 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
  • 技術だけでなく、人柄や適性を重視

2. 実践的な教育プログラム

  • 現場で本当に必要な技術を優先
  • 日本の介護現場特有の「細やかさ」を伝える

3. 施設側の悩みに寄り添える

  • 「受け入れる側」の大変さを理解している
  • 現実的なアドバイスができる

制度に関するよくある質問

Q3. 2025年に最も注目すべき制度変更は何ですか?

2025年4月から、技能実習生および特定技能外国人が訪問介護に従事可能となりました。これまでは在留資格「介護」またはEPA介護福祉士のみに認められていた業務です。

従事可能となったサービス(例)

  • 訪問介護
  • 訪問入浴介護
  • 夜間対応型訪問介護
  • 定期巡回・随時対応サービス
  • 総合事業の訪問型サービス

Q4. 外国人介護士の離職率はどの程度ですか?

出入国在留管理庁の資料によると、特定技能の外国人介護士の離職率は10.6%です。介護職員全体の離職率14.4%(令和4年時点)と比較すると低い傾向にあります。

一方で、全国老施協の調査では「困りごと」として経費の予想超過や日本語習熟度の問題が上位に挙がっており、受け入れ環境の整備が定着率に大きく影響することがわかります。

Q5. 日本語能力はどの程度必要ですか?

制度により異なりますが、基本的な要件は以下の通りです:

技能実習:1年目はN4相当以上、2年目はN3相当以上

特定技能:日本語能力試験N4以上、または国際交流基金日本語基礎テストA2相当以上

老人保健健康増進等事業の調査によると、介護福祉士国家試験の合格率は日本語レベルにより大きく異なります:

  • N1保有者:86.7%
  • N2保有者:53.4%
  • N3保有者:25.2%

今後の展望と課題

2025年以降の受け入れ拡大

特定技能制度の受入れ見込み数が大幅に拡大されており、今後5年間で135,000人の受け入れが予定されています。これは制度開始時の見込み数の2倍以上に相当します。

育成就労制度への移行

2024年に成立した改正入管法により、技能実習制度は2027年に「育成就労制度」に移行予定です。この制度では:

  • 人材育成と人材確保の両立を明確化
  • 転職制限の緩和
  • より実践的な技能習得の重視

施設が直面する課題と対策

全国老施協の調査結果から見えてきた主な課題と対策をまとめます:

課題①:経費(給与+α)が予想以上にかかる
→ 住宅供与・家賃補助の仕組みを事前に整備する。調査では約64%の施設が寮を設置し、月額1〜2万円程度の家賃を徴収している。

課題②:日本語の習熟度が低い
→ 入職後の日本語・介護導入研修の実施(184件が実施)と、介護福祉士国家試験対策支援(114件が実施)が有効。

課題③:文化の違い(宗教・慣習)
→ 日本人職員向けの多文化理解研修と、外国人職員の居場所づくり(108件が実施)が定着につながる。

まとめ

  • 全国老施協会員施設の約42%が外国人介護人材を受け入れ済み(令和4年度)
  • 令和2年度(約30%)から約12ポイント増加し、受け入れが加速している
  • 特定技能は令和2年度の2%から令和4年度には29%へ急増
  • 在留資格「介護」受け入れ施設の約66%が「増やしたい」と回答
  • 定着のカギは住居提供・日本語研修・適切な処遇・居場所づくり

外国人介護士は今や日本の介護現場に不可欠な存在となっています。正確なデータと制度理解をもとに、自施設の状況に合った受け入れ体制を構築することが成功への第一歩です。

【YMYL注意】 制度や要件は変更される可能性があるため、実際の導入前には最新の公的資料や専門家への確認を必ず行ってください。

出典・参考

  • 公益社団法人全国老人福祉施設協議会「令和4年度外国人介護人材に関する実態調査結果」…受け入れ施設の実態(受け入れ率・在留資格別・困りごと・定着支援)
  • 厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」2025年資料…外国人介護人材の在留者数データ
  • 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…介護職員の将来必要数
  • 老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…日本語能力と合格率の関係
  • 出入国在留管理庁「特定技能制度の受入れ見込み数の再設定」…今後の受け入れ計画
  • 厚生労働省「令和4年度介護労働実態調査」…介護職員全体の離職率データ

この記事の監修者

大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。


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