結論(30秒でわかる要点)
- 特定技能実習生介護福祉士とは、技能実習や特定技能制度を通じて日本で介護業務に従事し、介護福祉士資格取得を目指す外国人のこと
- 実務経験3年以上+実務者研修受講で介護福祉士国家試験の受験資格を取得可能
- 合格率は外国人の場合30~40%程度で、日本語能力N2レベル以上が実質的に必要
- 介護施設の管理者・人事担当者・外国人介護士本人向けの情報
- 制度は随時更新されるため、最新の厚生労働省資料で詳細を確認することが重要
はじめに
介護業界の深刻な人手不足が続く中、外国人介護人材の受け入れが急速に拡大しています。特に技能実習生や特定技能外国人として来日した方々が、さらなるキャリアアップとして介護福祉士資格の取得を目指すケースが増加しています。
しかし、「どのような制度なのか」「どうすれば資格を取得できるのか」「施設としてどのようなサポートが必要なのか」など、多くの疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事でわかること
- 特定技能実習生介護福祉士の制度概要と受験資格
- 資格取得までの具体的なステップと必要期間
- 合格率の現状と成功のためのポイント
特定技能実習生介護福祉士とは(制度の基礎知識)
用語の定義
「特定技能実習生介護福祉士」とは、技能実習制度や特定技能制度を通じて日本で介護業務に従事し、国家資格である介護福祉士の取得を目指す外国人介護職員のことです。
外国人介護人材受け入れの4つの制度
日本では外国人介護人材の受け入れについて、以下の4つの制度が存在します:
- EPA(経済連携協定): インドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国対象
- 在留資格「介護」: 介護福祉士資格取得者が対象
- 技能実習制度: 2017年11月から介護職種が追加
- 特定技能制度: 2019年4月から介護分野が対象
背景・現状
厚生労働省の統計によると、日本の介護職員は2025年度末には約243万人が必要とされる一方、現在の供給見込みは約211万人で、約32万人の不足が予想されています。
この人手不足を背景に、外国人介護人材の受け入れが拡大しており、特に技能実習生や特定技能外国人として来日した方々が、長期的なキャリア形成として介護福祉士資格の取得を目指すケースが増加しています。
介護福祉士資格取得の方法と要件
受験資格取得のステップ
特定技能実習生が介護福祉士資格を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります:
Step1: 実務経験の積み重ね
- 従業期間: 3年(1,095日)以上
- 従事日数: 540日以上
- 対象業務: 身体介護を中心とした介護業務
Step2: 実務者研修の受講
- 研修時間: 450時間(保有資格により短縮可能)
- 内容: 医療的ケア、介護過程、認知症の理解など
- 費用: 10~20万円程度(地域・機関により異なる)
Step3: 国家試験の受験
- 実施時期: 年1回(1月下旬)
- 試験形式: 筆記試験のみ(実技試験は実務者研修により免除)
- 試験時間: 外国人の場合、1.5倍の延長措置あり
技能実習から特定技能への移行パターン
多くの外国人介護士は以下のようなキャリアパスを辿ります:
- 技能実習3年間 → 特定技能5年間 → 介護福祉士資格取得 → 在留資格「介護」
- 技能実習5年間 → 特定技能5年間 → 介護福祉士資格取得 → 在留資格「介護」
このルートにより、8~10年間日本で経験を積んだ優秀な人材が、永続的に日本で働き続けることが可能になります。
日本語能力の要件
介護福祉士国家試験は専門的な日本語が多用されるため、実質的に以下の日本語能力が必要です:
- 最低レベル: 日本語能力試験N3
- 推奨レベル: 日本語能力試験N2以上
- 特に重要: 介護専門用語の理解
成功事例と実践的なアプローチ
成功事例①:段階的な学習支援
関東のある特別養護老人ホームでは、技能実習生として受け入れた3名のベトナム人職員に対し、以下の支援を実施しました:
- 1年目: 日本語能力向上に集中(N3からN2レベルへ)
- 2年目: 介護技術の習得と専門用語の学習
- 3年目: 実務者研修受講と国家試験対策
結果として、3名中2名が介護福祉士試験に合格し、現在も同施設で活躍しています。
成功事例②:チーム一体での支援体制
九州のあるグループホームでは、フィリピン人技能実習生の資格取得支援において、以下の工夫を行いました:
学習環境の整備
- 専用の学習スペースの確保
- 介護福祉士資格を持つ職員による個別指導
- 月1回の模擬試験実施
モチベーション維持
- 資格取得後の昇進・昇給制度の明確化
- 学習進捗の定期的な面談とフィードバック
- 同僚職員からの応援メッセージ
この結果、該当職員は2回目の受験で見事合格を果たし、現在はリーダー職として活躍しています。
よくある質問(専門家に聞く)
Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?
「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。
一番伝えたいこと
「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」
私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。
それは:
1. 受け入れる側の覚悟
- 最初は時間がかかることを理解する
- 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
- 文化の違いを楽しむ心
2. 外国人介護士のポテンシャル
- 真面目で一生懸命
- 学ぶ意欲が高い
- 利用者様を大切にする心
3. 長期的な視点
- すぐに結果を求めない
- 信頼関係を築くのに時間をかける
- 3年、5年後の姿を一緒に描く
「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」
「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」
最後に
「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」
「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」
Q. 元看護士・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?
「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。
元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:
1. 現場目線での人材選考
- 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
- 技術だけでなく、人柄や適性を重視
- 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ
2. 実践的な教育プログラム
- 現場で本当に必要な技術を優先
- 教科書的な知識より、実際の動きを重視
- 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える
3. 施設側の悩みに寄り添える
- 「受け入れる側」の大変さを理解している
- 現実的なアドバイスができる
- 一緒に問題を解決する姿勢
「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」
制度に関するよくある質問
Q1. 特定技能実習生介護福祉士の受け入れに必要な施設要件はありますか?
A. はい、技能実習生の受け入れには以下の要件があります:
- 原則として設立後3年が経過していること
- 介護福祉士国家試験の受験資格認定において「実務経験」として認められる業務に従事できる事業所であること
- 技能実習生5人に対して1名以上の実習指導員の選任(看護師や介護福祉士などの専門資格者)
- 訪問介護は対象外(病院は可)
Q2. 特定技能実習生介護福祉士の合格率はどの程度ですか?
A. 第37回介護福祉士国家試験(2025年実施)の結果では:
- 全体平均合格率:78.3%
- 特定技能外国人:33.3%
- EPA介護福祉士候補者:37.9%
外国人の合格率は全体平均の約半分程度となっており、日本語能力の向上と専門用語の習得が重要な課題となっています。
Q3. 実務者研修はいつ受講すべきですか?
A. 実務経験3年目の途中から受講を開始することをお勧めします。理由は以下の通りです:
- 実務経験と並行して学習することで理解が深まる
- 国家試験の受験申込み(例年8月頃)までに修了証明書が必要
- 450時間の研修時間を確保するため、余裕を持ったスケジュールが重要
Q4. 介護福祉士資格取得後のキャリアパスはどうなりますか?
A. 介護福祉士資格を取得すると、在留資格「介護」への変更が可能になり、以下のメリットがあります:
- 在留期間の上限なし(更新により永続的な滞在が可能)
- 訪問介護事業所での勤務が可能
- 家族の帯同が認められる
- より幅広い介護業務への従事が可能
Q5. 施設として外国人介護士の資格取得をどのようにサポートすべきですか?
A. 効果的なサポート方法として以下が挙げられます:
学習環境の整備
- 静かな学習スペースの確保
- 参考書や教材の提供
- インターネット環境の整備
人的サポート
- 介護福祉士資格を持つ職員による指導
- 定期的な学習進捗の確認
- モチベーション維持のための面談
制度的サポート
- 実務者研修受講費用の補助
- 学習時間確保のための勤務調整
- 資格取得後の処遇改善の明示
まとめ
特定技能実習生介護福祉士制度について、重要なポイントを以下にまとめます:
- 制度の理解: 技能実習や特定技能制度を通じて来日した外国人が、実務経験3年以上と実務者研修受講により介護福祉士国家試験の受験資格を得られる
- 成功の鍵: 日本語能力N2レベル以上の習得と、施設側の継続的なサポート体制が合格への重要な要因
- 長期的視点: 8~10年かけて育成した優秀な人材が永続的に日本で活躍できる制度として、介護業界の人手不足解決の有力な選択肢
外国人介護人材の受け入れを検討している施設は、まず制度の正しい理解から始め、長期的な人材育成の視点で取り組むことが重要です。また、外国人介護士本人にとっても、計画的な学習と資格取得により、日本での安定したキャリア形成が可能になります。
【YMYL注意】 制度の詳細や要件は随時更新される可能性があるため、実際の受け入れや受験申込みの際は、必ず厚生労働省や関係機関の最新資料で確認し、専門家にご相談ください。
出典・参考
- 厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」…外国人介護人材受け入れ制度の公式情報
- 公益財団法人社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験」…試験概要と合格率データ
- 厚生労働省「第37回介護福祉士国家試験合格発表について」…最新の合格率統計
- 出入国在留管理庁「特定技能制度運用状況」…特定技能外国人の在留状況
- 厚生労働省「介護の特定技能評価試験学習用テキスト」…外国人向け学習教材の提供状況
この記事の監修者
大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。

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