結論(30秒でわかる要点)
- 特定技能1号は最長5年で在留期間が終了し、その後は5つの進路から選択
- 条件を満たせば、技能実習と特定技能を組み合わせることで最長約10年の在留が可能
- 特定技能2号は在留期間上限がなく家族帯同が可能
※永住許可は別途要件あり - 企業は5年後を見据えた戦略的な人材育成計画が重要
- 制度は更新されるため最新の出入国在留管理庁資料で確認が必要
はじめに
特定技能1号で外国人材を受け入れている企業の多くが直面する課題が「5年後どうなるのか」という不安です。せっかく仕事に慣れ、戦力として活躍してくれる人材を手放すのは惜しい。しかし制度上の制約もあり、どのような選択肢があるのか分からないという声をよく耳にします。
本記事では、特定技能実習生の5年後について、考えられる全ての進路と企業側の対応策を詳しく解説します。
この記事でわかること
- 特定技能1号終了後の5つの進路パターン
- 最長10年雇用を実現する具体的な方法
- 企業が取るべき長期雇用戦略
特定技能1号終了後の基礎知識(制度の概要と現状)
用語の定義
特定技能1号外国人の5年後とは:特定技能1号の在留資格で日本に滞在する外国人材が、最長5年の在留期間満了を迎えた後の進路や選択肢を指す状況のこと。
特定技能1号の在留期間制限
特定技能1号は2019年4月に創設された在留資格で、深刻な人手不足を解消するために16の特定産業分野で外国人材を受け入れる制度です。しかし、在留期間には明確な上限があります。
- 通算在留期間:最長5年
- 更新単位:1年、6か月、4か月のいずれか
- 転職:同一分野内で可能
- 家族帯同:原則不可
5年後に直面する現実
多くの企業が5年という期間について「短すぎる」と感じています。特に以下のような理由からです。
- 1〜2年目:言語習得・業務習得期間
- 3〜4年目:戦力として活躍開始
- 5年目:ようやく安心して任せられる状態
つまり、本格的に戦力として活用できる期間は実質2〜3年程度となってしまうのが現状です。
特定技能実習生5年後の5つの進路パターン
Step1:帰国パターンの理解
最も多い選択肢:母国への帰国
統計的に最も多いのが5年満了での帰国です。主な理由は以下の通りです。
- 家族の意向(結婚、親の介護など)
- 母国でのキャリア活用
- 円安による経済的メリットの減少
- 日本での生活に対する疲れ
企業側としては残念ですが、外国人材にとって日本での就労は「人生の一部」であり、帰国も自然な選択です。
Step2:特定技能2号への移行
長期雇用の最有力候補
特定技能2号の対象分野は2023年6月9日の閣議決定で拡大済
特定技能2号の特徴
- 在留期間の更新に上限はなく、長期在留が可能
- 家族帯同可能(配偶者・子ども)
- 特定技能2号は在留期間の上限がなく、長期在留が可能になります。
※永住権の取得要件自体が自動的に短縮されるわけではありません。 - 同一分野内での転職が可能
移行要件
- 各分野の技能試験合格
- 実務経験の蓄積
- 日本語能力の向上
2023年6月9日の閣議決定により、介護分野を除きほぼ全ての特定産業分野が対象となりました。
Step3:他の在留資格への変更
技術・人文知識・国際業務ビザ
大学卒業などの学歴要件を満たす場合、技人国ビザへの変更が可能です。
- 在留期間:上限なし
- 家族帯同:可能
- 業務範囲:より広範囲
配偶者ビザ
日本人または永住者との結婚により配偶者ビザを取得するケースも増えています。
- 就労制限:なし
- 永住権:取得しやすい
- 家族:当然帯同可能
介護福祉士資格取得
介護分野の場合、介護福祉士国家資格の取得により「介護」の在留資格を得ることができます。
- 受験要件:3年以上の実務経験
- 資格取得後:在留期間制限なし
- 転職:介護分野内で自由
技能実習からの移行で最長10年雇用を実現する方法
技能実習→特定技能の連続雇用戦略
技能実習制度と特定技能制度を組み合わせることで、最長10年の雇用が可能になります。
パターン1:技能実習3年→特定技能5年
- 合計:8年間の雇用
- メリット:比較的実現しやすい
- 注意点:転職リスクあり
パターン2:技能実習5年→特定技能5年
優良認定を受けた場合に限り技能実習5年が可能であり、特定技能5年と合わせて最長10年の在留が可能
- 合計:10年間の雇用
- 条件:優良認定企業のみ
- メリット:最長期間の確保
成功事例:関西の製造業での取り組み
ある製造業では、技能実習生として受け入れたベトナム人材3名が特定技能に移行し、現在7年目を迎えています。
成功のポイント
- 早期からの日本語教育支援
- 技能検定合格への組織的サポート
- 生活面でのきめ細かいフォロー
- 将来設計の共有
この企業では「10年計画」として人材育成を位置づけ、3年目から特定技能移行準備を開始。現在では現場のリーダー的存在として活躍しています。
成功事例:九州の介護施設での長期雇用
九州のある特別養護老人ホームでは、フィリピン人介護士2名が技能実習から特定技能に移行後、介護福祉士資格を取得しました。
取り組み内容
- 日本語学習の業務時間内実施
- 介護福祉士試験対策の費用負担
- 家族との面会サポート
- 地域コミュニティへの参加促進
現在は「介護」の在留資格で継続雇用中で、利用者様からも「頼りになる職員」として信頼されています。
よくある質問(専門家に聞く)
これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?
「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。
一番伝えたいこと
「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」
私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。
それは:
1. 受け入れる側の覚悟
- 最初は時間がかかることを理解する
- 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
- 文化の違いを楽しむ心
2. 外国人介護士のポテンシャル
- 真面目で一生懸命
- 学ぶ意欲が高い
- 利用者様を大切にする心
3. 長期的な視点
- すぐに結果を求めない
- 信頼関係を築くのに時間をかける
- 3年、5年後の姿を一緒に描く
「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」
「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」
最後に
「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」
「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」
元看護士・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?
「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。
元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:
1. 現場目線での人材選考
- 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
- 技術だけでなく、人柄や適性を重視
- 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ
2. 実践的な教育プログラム
- 現場で本当に必要な技術を優先
- 教科書的な知識より、実際の動きを重視
- 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える
3. 施設側の悩みに寄り添える
- 「受け入れる側」の大変さを理解している
- 現実的なアドバイスができる
- 一緒に問題を解決する姿勢
「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」
制度に関するよくある質問
Q1. 特定技能実習生5年後の進路で最も現実的な選択肢は何ですか?
現在最も現実的なのは以下の順序です:
- 特定技能2号への移行(対象分野の場合)
- 介護福祉士資格取得(介護分野の場合)
- 技術・人文知識・国際業務ビザ(学歴要件を満たす場合)
- 配偶者ビザ(結婚の場合)
- 帰国
ただし、本人の意向と企業の方針が最も重要な判断要素となります。
Q2. 特定技能実習生5年後も継続雇用するための準備期間はどのくらい必要ですか?
推奨準備期間:3年前から
- 3年前:将来設計の話し合い開始
- 2年前:必要な試験・資格の確認
- 1年前:具体的な手続き準備
- 6か月前:書類準備・申請開始
早期からの準備が成功の鍵となります。
Q3. 特定技能実習生5年後の選択で企業が負担する費用はどのくらいですか?
選択肢別の概算費用
- 特定技能2号移行:10〜30万円(試験対策・手続き費用)
- 介護福祉士資格取得:20〜50万円(研修・受験費用)
- 技人国ビザ変更:5〜15万円(手続き費用)
- 帰国支援:10〜20万円(帰国費用・引き継ぎ)
長期的な投資として考えることが重要です。
Q4. 特定技能実習生5年後に転職されるリスクを防ぐ方法はありますか?
転職防止の取り組み
- 給与・待遇の定期見直し
- キャリアアップ機会の提供
- 生活面でのサポート継続
- 職場環境の改善
- 将来設計の共有
ただし、転職は外国人材の権利であり、完全に防ぐことはできません。むしろ「選ばれる企業」になることが重要です。
Q5. 特定技能実習生5年後の制度変更の可能性はありますか?
今後の制度変更予想
- 特定技能2号対象分野の拡大
※介護分野は2号対象外(制度上、介護は介護福祉士資格への移行対象) - 在留期間上限の見直し
- 家族帯同要件の緩和
- 永住権取得要件の変更
政府は外国人材の長期定着を促進する方向で検討を進めており、制度はより柔軟になる可能性が高いです。
まとめ
特定技能実習生の5年後について、以下の3点が重要なポイントです:
- 多様な選択肢:帰国から永住まで5つの進路があり、本人の意向と企業の方針で決定
- 戦略的準備:3年前からの計画的な取り組みが成功の鍵
- 長期的視点:技能実習との組み合わせで最長10年の雇用継続が可能
企業は「5年で終わり」ではなく、「5年後も見据えた人材育成」の視点で外国人材と向き合うことが求められます。まずは現在受け入れている外国人材との将来設計について話し合うことから始めてみてはいかがでしょうか。
【YMYL注意】制度の詳細や最新の要件については、出入国在留管理庁の公式資料や専門家への確認を必ず行ってください。
出典・参考
- 出入国在留管理庁「特定技能制度」…特定技能1号・2号の制度概要と要件
- 厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」…外国人労働者の統計データ
- 法務省「技能実習制度の現状」…技能実習から特定技能への移行実績
- 内閣府「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」…政府の外国人材政策方針
この記事の監修者
大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。
