特定技能・技能実習生の介護転職|手続きから定着まで完全ガイド

目次

結論(30秒でわかる要点)

特定技能外国人は同一分野内であれば転職が自由にできる制度設計になっており、介護分野でも同様のルールが適用されます。

  • 特定技能外国人の転職は可能だが、転職のたびに在留資格変更許可申請が必要
  • 技能実習2号を修了すれば、他業種からでも介護特定技能への転職ルートがある
  • 2024年12月末時点で特定技能「介護」在留者は44,367人に達し、今後さらに増加が見込まれる

対象読者:外国人介護士の採用・定着に悩む介護施設の担当者、および介護分野への転職を検討している技能実習修了者

> ⚠️ 本記事の情報は執筆時点のものです。在留資格制度は随時改正されるため、最新情報は出入国在留管理庁・厚生労働省の公式資料を必ずご確認ください。

はじめに

はじめに|介護現場のイメージ

「採用した特定技能の外国人スタッフが転職したいと言い出した」「技能実習を終えた外国人が介護の仕事に興味を持っているが、どうすればいいか」——そんな悩みを抱える介護施設の担当者は、近年急速に増えています。

一方、製造業や農業などで技能実習を修了した外国人の中にも、「介護分野で新たなキャリアを築きたい」と考える方が増えているのが現状です。

この記事では、特定技能・技能実習生の介護転職に関わるすべての疑問に答えます。

この記事でわかること:

  • 特定技能外国人が転職する際の手続きと注意点
  • 他業種の技能実習修了者が介護特定技能を取得する方法
  • 外国人介護士の離職を防ぐための定着支援策
  • 2025年以降の制度変更(訪問介護解禁など)の最新動向
無料診断ツール
特定技能介護 かんたん受け入れ診断
たった3問で貴施設の受け入れ可否がわかる

施設種別・職員数を入力するだけで、特定技能「介護」の受け入れ可否をその場で確認できます。

1施設種別 2職員数 3結果表示
今すぐ無料診断 →

特定技能「介護」転職の基本知識|制度の現状と背景

特定技能「介護」転職の基本知識|制度の現状と背景|介護現場のイメージ

「特定技能介護の転職」とは何か

特定技能「介護」転職とは:特定技能1号の在留資格を持つ外国人が、現在の雇用契約を終了し、同じ介護分野の別の事業所と新たな雇用契約を結ぶことで、引き続き日本で就労を継続する行為を指します。

技能実習制度とは異なり、特定技能制度は労働力確保を目的として設計されているため、同一分野内での転職は原則として認められています。これは制度の根本的な設計思想の違いによるものです。

介護分野の深刻な人手不足が転職市場を押し広げている

なぜ今、特定技能介護の転職が注目されているのでしょうか。その背景には、介護業界が直面する構造的な人手不足があります。

厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によれば、介護職員の必要数は以下のように推計されています。

  • 2022年実績:215万人
  • 2026年必要数:240万人(2022年比+25万人)
  • 2040年必要数:272万人(2022年比+57万人)

(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)

この深刻な不足を補う手段として、外国人介護人材の受け入れが急拡大しています。特定技能「介護」の在留者数は制度開始(2019年12月末)時点でわずか19人でしたが、2025年12月末には67,871人へと急増しました(約3,600倍)。(出典:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」令和7年12月末速報値)

転職が増える主な要因

外国人介護士が転職を検討する背景には、いくつかの共通した要因があります。

  • 待遇・賃金への不満:日本人職員との処遇格差が生じているケース
  • 職場環境のミスマッチ:入職前の説明と実際の業務内容が異なる場合
  • キャリアアップの機会不足:介護福祉士取得への支援体制が整っていない
  • コミュニケーション上の孤立:多国籍スタッフ間の摩擦や日本語サポートの不足
  • 在留資格のステップアップ:技能実習2号修了後に特定技能へ移行するタイミングで転職を選択

特定技能介護の転職手続き|施設担当者が知るべき実務ステップ

特定技能介護の転職手続き|施設担当者が知るべき実務ステップ|介護現場のイメージ

Step1:転職の意思確認から退職手続きまで

特定技能外国人から転職の申し出があった場合、旧受け入れ企業(現在の雇用先)は以下の手続きを行う必要があります。

  1. 退職日の確定と社内手続き:日本人従業員と同様の退職手続きを進める
  2. 「受入れ困難に係る届出」の提出:退職日が確定した時点で出入国在留管理庁へ提出
  3. 「特定技能雇用契約に係る届出」の提出:退職後14日以内に提出
  4. ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」:離職の翌日から起算して10日以内に提出(怠ると30万円以下の罰金の可能性あり)
  5. 社会保険・労働保険関係の手続き:日本人と同様に処理

Step2:新しい受け入れ企業での在留資格申請

重要なポイントは、すでに特定技能の在留資格を持っていても、転職先ごとに新たな在留資格変更許可申請が必要という点です。

特定技能は「1雇用契約1在留資格」の原則があり、指定書に記載された機関でのみ就労が認められます。この指定書はパスポートに貼付されており、転職のたびに取り直しが必要になります。

新しい受け入れ企業側が確認すべき主な要件は以下のとおりです。

  • 介護分野の特定技能受け入れ対象事業所であること(訪問系は2025年4月以降対応)
  • 介護分野の協議会(公益社団法人 全国老人福祉施設協議会等)への加入
  • 外国人支援計画の策定・実施体制の整備
  • 登録支援機関の活用(自社で支援できない場合)

Step3:在留期限がギリギリの場合の対応

転職希望者の在留期限が迫っている場合、申請書類の準備が間に合わないケースがあります。この場合、「特定活動(6ヶ月・就労可)」への変更という選択肢があります。

必要書類は以下の4点のみで対応可能です。

  1. 在留資格変更許可申請書
  2. 受け入れ機関が作成した説明書
  3. 雇用契約書および雇用条件書等の写し
  4. 特定技能評価試験の合格証書または技能実習2号修了証明書

なお、特定活動として活動した期間は特定技能の在留期間(通算5年)に合算される点に注意が必要です。

他業種の技能実習生が介護特定技能へ転職する方法

他業種の技能実習生が介護特定技能へ転職する方法|介護現場のイメージ

なぜ他業種から介護分野への転職が増えているのか

製造業・農業・建設業などの技能実習を3年修了した外国人の中に、「介護分野で働きたい」という声が増えています。その主な理由は次のとおりです。

  • 介護業界の安定した需要:超高齢社会の進行により、介護職は将来的にも安定した雇用が期待できる
  • シフト制による時間の柔軟性:日本語学習や私生活の時間を確保しやすい
  • 資格取得によるキャリアの広がり:介護福祉士を取得すれば日本・海外を問わず活躍の場が広がる
  • 現在の職場環境への不満:過酷な労働環境や低賃金の職種から転換を図りたい

他業種から介護特定技能を取得する具体的なルート

他業種の技能実習2号を修了した外国人が介護特定技能を取得するには、以下の2つの試験に合格する必要があります。

必要な試験:

  1. 介護技能評価試験:介護の基本知識・技術を問う試験。テキストは厚生労働省ホームページから無料ダウンロード可能で、日本語・英語・インドネシア語・ベトナム語など10か国語に対応
  2. 介護日本語評価試験:介護現場で必要な日本語能力を測る試験

2019年4月から2025年1月までの累計合格者数は、介護技能評価試験が120,220人、介護日本語評価試験が113,572人に達しており、国内・海外両方で試験が実施されています。(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)

試験合格に向けた最短ルートと学習のコツ

  • 公式テキストを繰り返し学習する:厚生労働省提供の無料テキストは試験内容に即した構成になっており、母国語版も活用できる
  • 介護現場での実務経験を積む:他業種でも介護ボランティアや施設見学を通じて現場感覚を養う
  • 日本語能力の向上を並行して進める:介護福祉士国家試験のN2保有者合格率は53.4%、N3は25.2%と日本語レベルが合否を大きく左右する(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)

事例から学ぶ|外国人介護士の転職と定着の実際

事例から学ぶ|外国人介護士の転職と定着の実際|介護現場のイメージ

成功事例①:他業種から介護特定技能へのキャリアチェンジ

関東のある介護施設では、食品製造業の技能実習2号を修了した東南アジア出身の20代男性を特定技能「介護」として採用しました。

入職時点では介護の実務経験がゼロでしたが、施設側が公式テキストを使った学習会を週2回開催し、OJTと並行して試験対策を進めた結果、採用から約8か月で介護技能評価試験・介護日本語評価試験の両方に合格。現在は夜勤も担当する中核スタッフとして活躍しています。

成功のポイント:

  • 試験対策の学習時間をシフトに組み込んだ
  • 先輩スタッフがバディとして1対1でサポートした
  • 入職前に住居・生活環境を整備し、安心して働ける環境を作った

成功事例②:転職リスクを定着支援で先回りした施設の取り組み

近畿地方のある特別養護老人ホームでは、特定技能外国人の離職率が高いという課題を抱えていました。そこで、以下の3つの施策を導入した結果、導入後1年間の離職者数がゼロになりました。

  1. キャリアパスの可視化:1年後・3年後・5年後のキャリアプランを入職時に一緒に作成
  2. 文化交流の場づくり:月1回、各国の文化や料理を紹介し合う「多文化ランチ会」を実施
  3. 介護福祉士取得支援:受験費用の全額補助と、勤務時間内に1時間の学習時間を確保

外国人介護人材が国家試験を受けた理由として「日本で介護職として働き続けるため」が68.9%、「日本で長く住み続けたいため」が55.2%という調査結果があります。(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)この意欲を活かした長期的な定着支援が、離職防止の鍵となっています。

よくある質問(専門家に聞く)

介護ケアジャパンおよびGENSAI Career Consulting Corp代表の大町潤一氏(元看護師・介護福祉士)に、外国人介護士の採用・転職に関する疑問をお聞きしました。

Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?

「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。

一番伝えたいこと

「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」

私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。

それは:

1. 受け入れる側の覚悟

  • 最初は時間がかかることを理解する
  • 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
  • 文化の違いを楽しむ心

2. 外国人介護士のポテンシャル

  • 真面目で一生懸命
  • 学ぶ意欲が高い
  • 利用者様を大切にする心

3. 長期的な視点

  • すぐに結果を求めない
  • 信頼関係を築くのに時間をかける
  • 3年、5年後の姿を一緒に描く

「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」

「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」

最後に

「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」

「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」

Q. 元看護師・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?

「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。

元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:

1. 現場目線での人材選考

  • 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
  • 技術だけでなく、人柄や適性を重視
  • 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ

2. 実践的な教育プログラム

  • 現場で本当に必要な技術を優先
  • 教科書的な知識より、実際の動きを重視
  • 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える

3. 施設側の悩みに寄り添える

  • 「受け入れる側」の大変さを理解している
  • 現実的なアドバイスができる
  • 一緒に問題を解決する姿勢

「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」

制度に関するよくある質問

Q1. 特定技能「介護」で転職する場合、在留資格の申請は何度も必要ですか?

A. はい、転職のたびに在留資格変更許可申請が必要です。特定技能は「1雇用契約1在留資格」の原則があり、転職先ごとに出入国在留管理庁への申請が必要になります。申請が許可されるまでの期間、就労できない可能性もあるため、転職のスケジュールは余裕を持って計画することが重要です。在留期限が迫っている場合は「特定活動(6ヶ月・就労可)」への変更という選択肢もあります。

Q2. 技能実習生が介護特定技能に転職するために必要な試験は何ですか?

A. 他業種の技能実習2号修了者が介護特定技能を取得するには、「介護技能評価試験」と「介護日本語評価試験」の2つに合格する必要があります。いずれも厚生労働省が無料で公開しているテキストで学習でき、日本語・英語・インドネシア語・ベトナム語など10か国語に対応しています。なお、介護分野の技能実習2号を修了している場合は、これらの試験が免除されます。

Q3. 特定技能「介護」に2号はありますか?長期在留はどうすればよいですか?

A. 介護分野には特定技能2号はありません。特定技能1号の在留期間は通算5年が上限です。5年を超えて日本で働き続けたい場合は、介護福祉士の国家資格を取得し、在留資格「介護」へ変更することが主なルートになります。介護福祉士の合格率は日本語レベルによって大きく異なり、N2保有者で53.4%、N1保有者で86.7%という調査結果があります。(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)

Q4. 2025年4月から訪問介護でも特定技能外国人を雇えるようになったのですか?

A. はい、2025年4月より特定技能「介護」の対象が訪問系サービスにも拡大されました。訪問介護・訪問入浴介護・夜間対応型訪問介護・定期巡回・随時対応型訪問介護看護などが対象です。ただし、訪問系サービスで働くには「介護事業所等での実務経験が1年以上あること」などの追加要件があります。これまで施設系のみだった受け入れ先が広がったことで、特定技能介護人材の転職先の選択肢も増えています。

Q5. 外国人介護士の離職率は日本人と比べてどうですか?

A. 一般的に外国人介護士の離職率は日本人より低い傾向があります。介護職員全体の離職率が令和4年時点で14.4%であるのに対し、特定技能外国人介護士の離職率は10.6%(2019年4月〜2022年11月の期間)とされています。ただし、今後は特定技能の受け入れ人数拡大(令和6年4月から5年間で135,000人の受け入れ見込み)に伴い、転職先の選択肢が増えることで離職率が上昇する可能性もあります。早めの定着支援策の整備が施設側に求められています。(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)

まとめ

この記事では、特定技能・技能実習生の介護転職に関する制度の仕組みから実務手続き、定着支援まで幅広く解説しました。

3つの重要ポイント:

  • 転職は可能だが手続きが必要:特定技能外国人は同一分野内での転職が認められているが、転職のたびに在留資格変更許可申請が必要。旧受け入れ企業も届出義務を忘れずに対応すること
  • 他業種からの参入ルートがある:製造業・農業などの技能実習2号修了者も、介護技能評価試験と介護日本語評価試験に合格することで介護特定技能へのキャリアチェンジが可能
  • 定着支援が最大の離職防止策:キャリアパスの提示・介護福祉士取得支援・文化交流の機会づくりが、長期定着につながる具体的な施策として効果を発揮している
  • 外食業の新規受入停止(2026年4月13日以降)— 介護は対象外ですが「分野によっては上限到達で受入停止もある」という制度の実例として触れられます。
  • 育成就労制度(技能実習に代わる制度、2027年4月施行予定)— 「技能実習2号」の表記が将来的に変わる可能性があるため、長期的には更新ポイントになります。

次のステップへ:

外国人介護士の採用・転職対応について不安がある場合は、登録支援機関や専門の人材紹介会社への相談を検討してください。手続きの複雑さや文化的なサポートも含めて、専門家と一緒に進めることでリスクを大幅に軽減できます。

> ⚠️【YMYL注意】在留資格制度・協議会加入要件・受け入れ条件は随時改正されます。最終的な判断は、最新の出入国在留管理庁・厚生労働省の公式資料を確認するか、行政書士などの専門家にご相談ください。

出典・参考

  • 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日…特定技能「介護」在留者数の推移・国籍別ランキング・受入上限・試験実施国・施設種別の根拠
  • 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…2022年〜2040年の介護職員必要数データの根拠
  • 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…日本語レベル別合格率・国家試験受験理由・職場支援内容の根拠
  • 出入国在留管理庁「特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧」(出入国在留管理庁公式サイト)…転職時の在留資格変更許可申請手続きの根拠
  • 出入国在留管理庁「所属(契約)機関に関する届出」(出入国在留管理庁公式サイト)…退職後14日以内の届出義務の根拠
  • 全国老人福祉施設協議会「令和4年度外国人介護人材に関する実態調査結果」…外国人受け入れ施設の割合・寮提供率の根拠
  • 厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」2025年資料…特定技能1号・技能実習・在留資格「介護」・EPA在留者数の根拠

この記事の監修者

大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次