結論(30秒でわかる要点)
外国人介護士の採用は、在留資格の種類を正しく理解したうえで、受け入れ体制を整えることが成功の鍵です。
- ポイント①:介護分野で使える在留資格は主に4種類(EPA・技能実習・特定技能・介護ビザ)
- ポイント②:特定技能1号が最も採用しやすく、2024年末時点で44,367人が在留中
- ポイント③:受け入れ後の言語サポート・文化理解・教育体制が定着率を左右する
対象者:外国人介護士の採用を検討している介護施設の経営者・採用担当者
> ⚠️ 本記事の制度情報は執筆時点のものです。在留資格の要件や受入上限数は変更される場合があるため、最新の公的資料(厚生労働省・出入国在留管理庁)および専門家にご確認ください。
はじめに

「外国人介護士を採用したいけれど、どこから手をつければいいかわからない」——そんな声を、介護施設の経営者や採用担当者から日々耳にします。
厚生労働省の推計によれば、介護職員の必要数は2022年度の約215万人に対し、2040年度には約272万人へと増加が見込まれています。つまり2022年度比で約57万人多くの人材を確保する必要があるということです。日本人だけで人材を確保することが年々難しくなる中、外国人介護士の採用は現実的かつ重要な選択肢となっています。
しかし、在留資格の種類が複数あること、受け入れ手続きが煩雑であること、そして文化・言語の違いへの対応など、不安要素も少なくありません。
この記事では、以下の点をわかりやすく解説します。
- 外国人介護士が働ける4つの在留資格とその特徴
- 採用時に押さえるべき注意点と具体的な手順
- 受け入れ成功のための環境整備のポイント
- 専門家によるFAQと現場目線のアドバイス
外国人介護士 採用の基礎知識|在留資格と制度の全体像

「外国人介護士 採用 注意点」とは何か
外国人介護士の採用における注意点とは、在留資格ごとの要件・制限・手続きを正確に把握し、受け入れ後の教育・生活支援まで含めた体制を整えることで、法令違反や早期離職を防ぐための実践的な知識の総体を指します。
介護分野で使える在留資格は4種類
現在、外国人が介護職として日本で働くための在留資格は、主に以下の4種類です。身分・地位に基づく在留資格(永住者・定住者など)を持つ方は業種・職種の制限なく働けるため、採用対象として忘れずに含めておきましょう。
| 在留資格 | 特徴 | 在留上限 | 採用難易度 |
|---|---|---|---|
| EPA(経済連携協定) | フィリピン・ベトナム・インドネシアから受入。候補者段階では未経験者が多い | 合格後は更新可能 | やや難しい |
| 技能実習(育成就労へ移行予定) | 技能習得が目的。2027年までに育成就労制度へ移行 | 最長5年 | 中程度 |
| 特定技能1号 | 即戦力として採用可能。採用しやすく人材母数も最多 | 通算5年(上限) | 比較的容易 |
| 在留資格「介護」 | 介護福祉士資格が必要。高スキルで長期就労可能 | 更新回数無制限 | 人材が少ない |
特定技能1号が「最も採用しやすい」理由
特定技能1号は、2019年4月の制度創設以来、急速に在留者数を増やしています。制度開始直後(2019年12月末)はわずか19人だった在留者数が、2024年12月末時点では44,367人にまで増加しました(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。
採用しやすい主な理由は以下の通りです。
- 要件のハードルが低い:介護技能評価試験・介護日本語評価試験・日本語能力試験N4以上の3試験に合格すれば取得可能
- 学歴要件なし:外国人本人の最終学歴は問われない
- 人材母数が多い:試験の累計合格者数は128,567人(介護技能評価試験、2019年4月〜2025年3月)
- 夜勤・同法人内転籍も可能:施設運営上の柔軟性が高い
国籍別では、インドネシア(12,242人・27.6%)、ミャンマー(11,717人・26.4%)、ベトナム(8,910人・20.1%)の上位3か国で全体の約74%を占めています。
外国人介護士 採用の注意点と具体的な手順

Step1:自施設に合った在留資格を選ぶ
採用を始める前に、自施設の状況を整理することが重要です。
- 新設施設の場合:EPAと技能実習は受け入れ要件が厳しく、新設施設では受け入れができないケースがあります。特定技能1号から検討するのが現実的です。
- 即戦力が必要な場合:特定技能1号か在留資格「介護」が適しています。
- 長期的な育成を重視する場合:EPAや技能実習(育成就労)で「一から育てる」という選択肢もあります。
- 訪問介護事業所の場合:2025年4月21日以降、特定技能外国人も一定条件下で訪問介護に従事可能になりました(後述)。
Step2:採用フローを把握する
特定技能1号(海外在住者)を採用する場合の大まかな流れは以下の通りです。
- 求める人材像の整理(国籍・性別・日本語レベルなど)
- 人材紹介会社または登録支援機関へ依頼
- オンライン面接の実施(通訳が必要な場合は手配)
- 内定後、健康診断・必要書類の準備(約1か月)
- 在留資格認定・証明書交付申請(入管申請)(約3か月)
- 現地領事館でのビザ発行手続き(約1か月)
- 入国・住居確保・就労開始
海外からの採用は、問い合わせから就労開始まで概ね5〜6か月かかると見込んでおくことが大切です。
Step3:受け入れ後の支援体制を整える
採用後の定着率を高めるために、以下の支援体制が求められます。
- 支援計画の作成:特定技能外国人には、10項目にわたる支援計画の策定が義務付けられています
- 定期面談の実施:支援責任者が3か月に1回以上、外国人本人とその上司と面談
- 社会保険の加入手続き:厚生年金・健康保険は日本年金機構、雇用保険・労災保険は労働基準監督署へ届出
- 外国人雇用届出書の提出:雇用保険の被保険者でない外国人は、雇入れ翌月10日までにハローワークへ提出
採用時に特に注意すべきポイント
① 日本語能力の確認
介護現場では、利用者様との会話・申し送り・記録など、日本語でのコミュニケーションが不可欠です。特定技能1号の要件はN4相当ですが、実際の現場では「N3〜N2程度」の能力があると業務がスムーズに進みます。
介護福祉士国家試験の合格率を見ると、N1保有者86.7%、N2保有者53.4%、N3保有者25.2%と、日本語レベルによって大きな差があります(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)。長期就労を見据えるなら、入職後の日本語学習支援も計画に入れましょう。
② 転職リスクへの対応
特定技能1号は、介護福祉士と同様に転職が可能です。人材確保競争が激しい現在、採用後の定着率を高める工夫が欠かせません。
- 給与・待遇を日本人職員と同水準にする
- キャリアアップ計画を一緒に描く
- 生活面(住居・生活用品・銀行口座開設など)のサポートを行う
③ 文化・宗教への配慮
インドネシア・ミャンマー・フィリピンなど、主要な送り出し国ごとに宗教・生活習慣が異なります。たとえばイスラム教徒の多いインドネシア人材には、礼拝時間の確保や食事への配慮が必要な場合があります。小さな配慮が信頼関係の構築につながります。
④ 訪問介護での追加要件(2025年4月〜)
2025年4月21日以降、特定技能外国人が訪問介護に従事できるようになりましたが、施設介護とは異なる追加要件があります。
- 介護職員初任者研修の修了
- 介護事業所等での実務経験1年以上(原則)
- 受入事業所による適合確認申請の実施
さらに受入事業所は以下の5項目を遵守する必要があります。
- 訪問介護の基本事項に関する研修の実施
- サービス提供責任者等による同行訓練
- キャリアアップ計画の作成
- ハラスメント対策(マニュアル作成・相談窓口設置)
- ICTを活用した連絡体制の整備
外国人介護士 採用の成功事例から学ぶポイント
成功事例①:特定技能1号を複数名採用した関西の施設
関西のある特別養護老人ホームでは、特定技能1号のインドネシア人材を複数名採用したことで、慢性的な夜勤人員不足が解消されました。
成功の背景にあったのは、「最初の3か月は業務よりも信頼関係づくりを優先する」という方針です。日本語が完全でない段階でも、身振り手振りや翻訳アプリを活用しながら利用者様との関係を丁寧に築いていきました。入職から半年後には、利用者様からも「あの子がいると安心する」という声が聞かれるようになったといいます。
学び:即戦力を求めすぎず、最初の適応期間を施設全体で支える姿勢が定着率を高める。
成功事例②:EPA候補者を長期育成した東北の施設
東北のある介護老人保健施設では、EPA候補者を受け入れ、4年間かけて介護福祉士国家試験合格を支援しました。
施設が取り組んだのは、「勤務時間やシフトの調整」「施設職員による勉強サポート」の2点です。厚生労働省の調査でも、外国人介護人材が受けた職場からの支援として「施設職員に勉強を教えてもらった(36%)」「勤務時間やシフトの調整(24.8%)」が上位に挙がっており、この施設の取り組みは理にかなったものでした。
合格後は在留資格「介護」に変更し、更新回数無制限で長期就労が実現。「一から育てた人材が施設の柱になった」と施設長は語ります。
学び:長期育成の視点を持ち、国家試験合格を組織全体でサポートすることが、長期定着につながる。
よくある質問(専門家に聞く)
元看護師・介護福祉士であり、フィリピンで10年以上の人材事業経験を持つGENSAI Career Consulting Corp代表の大町潤一氏に、現場目線のリアルな疑問に答えていただきました。
Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?
「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。
一番伝えたいこと
「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」
私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。それは:
1. 受け入れる側の覚悟
- 最初は時間がかかることを理解する
- 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
- 文化の違いを楽しむ心
2. 外国人介護士のポテンシャル
- 真面目で一生懸命
- 学ぶ意欲が高い
- 利用者様を大切にする心
3. 長期的な視点
- すぐに結果を求めない
- 信頼関係を築くのに時間をかける
- 3年、5年後の姿を一緒に描く
「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」
「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」
最後に
「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」
「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」
Q. 看護師・介護福祉士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?
「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。
元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:
1. 現場目線での人材選考
- 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
- 技術だけでなく、人柄や適性を重視
- 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ
2. 実践的な教育プログラム
- 現場で本当に必要な技術を優先
- 教科書的な知識より、実際の動きを重視
- 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える
3. 施設側の悩みに寄り添える
- 「受け入れる側」の大変さを理解している
- 現実的なアドバイスができる
- 一緒に問題を解決する姿勢
「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」
制度に関するよくある質問
Q1. 外国人介護士の採用に、施設側の資格や認定は必要ですか?
特定技能1号の場合、施設側に特別な資格は不要ですが、支援計画の作成と実施が義務付けられています。支援を自社で行うか、登録支援機関に委託するかを選択できます。一方、EPAや技能実習は受け入れ要件が厳しく、施設の開設年数や規模に関する条件があるため、事前に確認が必要です。
Q2. 外国人介護士の採用にかかる費用はどのくらいですか?
在留資格の種類によって大きく異なります。EPAは受け入れ機関への支払いが約36万円(税込)のほか、教育費・住居費が別途発生します。特定技能1号は人材紹介会社経由の場合、紹介手数料が発生するのが一般的です。技能実習は管理組合への費用が発生します。また、いずれの場合も、入職後の日本語学習支援・生活サポートなどのランニングコストを見込んでおくことが重要です。
Q3. 特定技能1号は5年で帰国しなければならないのですか?
特定技能1号の在留期間は通算5年が上限ですが、介護福祉士国家試験に合格すれば在留資格「介護」に変更でき、更新回数無制限で長期就労が可能になります。外国人介護人材が国家試験を受けた理由として「日本で介護職として働き続けるため(68.9%)」「日本で長く住み続けたいため(55.2%)」が上位に挙がっており、長期定着を希望する外国人材は少なくありません(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)。
Q4. 訪問介護で外国人介護士を受け入れる場合、何が必要ですか?
2025年4月21日以降、特定技能外国人が訪問介護に従事できるようになりましたが、外国人本人に「介護職員初任者研修の修了」と「介護事業所での実務経験1年以上(原則)」が必要です。また受入事業所は適合確認申請を事前に行い、研修・同行訓練・ハラスメント対策・ICT環境整備など5項目を遵守する必要があります。
Q5. 外国人介護士が国家試験に合格できるよう、施設としてどんな支援ができますか?
厚生労働省の調査によると、外国人介護人材が受けた職場からの支援で効果的だったのは「施設職員に勉強を教えてもらった(36%)」「日本語の先生に教えてもらった(26.7%)」「勤務時間やシフトの調整(24.8%)」の3点です。勉強時間を確保できるシフト調整、学習費用の補助、日本語学習の機会提供などを組み合わせることで、合格率を高めることができます。
まとめ
外国人介護士の採用を成功させるためのポイントを整理します。
- 在留資格の選択:まず特定技能1号を検討し、施設の状況や育成方針に応じてEPA・技能実習・介護ビザを組み合わせる
- 受け入れ体制の整備:支援計画の作成、定期面談、生活サポートなど、採用後のフォローが定着率を左右する
- 長期的な視点:介護福祉士国家試験合格を支援し、在留資格「介護」への移行を見据えた育成計画を描く
外国人介護士の採用は、手続きの複雑さや文化の違いへの不安がつきものですが、正しい知識と体制があれば、施設にとっても外国人材にとっても良い結果をもたらす可能性があります。
まずは登録支援機関や人材紹介会社への相談から始め、自施設に合った採用方法を一緒に検討してみてください。介護ケアジャパン・GENSAI Career Consulting Corpでは、元介護福祉士・元看護師の視点から、施設に寄り添ったサポートを提供しています。まずはお気軽にご相談ください。
> ⚠️【YMYL注意】本記事の制度情報・数値データは執筆時点のものです。在留資格の要件・受入上限・手続き方法は法改正等により変更される場合があります。採用の最終判断は、最新の公的資料および行政書士・社会保険労務士などの専門家にご確認ください。
出典・参考
- 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日…特定技能1号の在留者数推移・国籍別ランキング・受入施設種別・受入上限(135,000人)の根拠
- 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…2022年実績215万人・2040年必要数272万人の根拠
- 厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」2025年資料…特定技能1号・技能実習・在留資格「介護」・EPAの在留者数データの根拠
- 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…日本語レベル別国家試験合格率・受験理由・職場支援内容の根拠
- 出入国在留管理庁「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 -介護分野の基準について-」…訪問介護従事要件・適合確認申請に関する根拠
- 公益財団法人 国際厚生事業団(JICWELS)公式サイト…EPA介護福祉士候補者の受け入れ手続きに関する参考情報
この記事の監修者
大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。
