結論(30秒でわかる要点)
- 介護分野の外国人材は2024年末時点で約7.5万人、人手不足解決の重要な選択肢
- EPA・在留資格「介護」・技能実習・特定技能の4つの受け入れ制度がある
- 成功のカギは「人材不足の穴埋め」ではなく「一緒に成長する仲間」として迎える姿勢
- 対象者:介護施設経営者・人事担当者・現場管理者
- 注意:制度は更新されるため最新の公的資料で確認が必要
はじめに

介護業界の人手不足は、もはや待ったなしの状況です。厚生労働省のデータによれば、2025年には約32万人、2040年には約69万人の介護職員が不足すると予測されています。この深刻な状況を受け、多くの施設が外国人介護人材の受け入れを検討しています。
しかし、「外国人材を受け入れたいが、どこから始めればいいかわからない」「制度が複雑で理解できない」「受け入れ後の定着が心配」といった声も多く聞かれます。
この記事でわかること
- 介護分野における外国人材受け入れの4つの制度と特徴
- 受け入れ成功のための具体的なステップと注意点
- 実際の成功事例と定着のためのポイント
介護人手不足と外国人材の現状

用語の定義
「介護 人手不足 外国人」とは:介護業界の慢性的な人材不足を解決するため、外国人介護人材を受け入れる制度や取り組みの総称
深刻化する介護人手不足の実態
日本の介護業界が直面する人手不足は、数字で見ると一目瞭然です。厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によると:
- 2022年実績:2,150,000人
- 2026年必要数:2,400,000人(2022年比 +250,000人)
- 2040年必要数:2,720,000人(2022年比 +570,000人)
特に深刻なのが地域格差です。都市部では有効求人倍率が4倍以上に達する一方、地方では2.5倍前後と、地域による偏在も問題となっています。
外国人介護人材の受け入れ状況
厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」2025年資料によると、介護分野で働く外国人材の在留者数は:
- 特定技能1号:44,367人(2024年12月31日時点)
- 技能実習:15,909人(2023年12月31日時点)
- 在留資格「介護」:12,227人(2024年12月31日時点)
- EPA:3,180人(2025年4月1日時点)
合計で約7.5万人の外国人が介護現場で活躍しており、この数は年々増加傾向にあります。
人手不足の根本原因
介護人手不足の背景には、以下の要因があります:
- 急速な高齢化による介護需要の増大
- 労働人口の減少
- 他業種との賃金格差
- 夜勤や身体的負担による離職率の高さ
- 介護職への社会的評価の低さ
外国人介護人材受け入れの4つの制度

EPA(経済連携協定)
EPAは国際連携強化を目的とした制度で、インドネシア、フィリピン、ベトナムから介護福祉士候補者を受け入れます。
特徴:
- 目的:介護福祉士資格取得
- 在留期間:原則4年(資格取得後は制限なし)
- 対象国:インドネシア、フィリピン、ベトナム
- 日本語レベル:N4~N3程度
メリット:
- 高い学習意欲と専門知識
- 資格取得後は長期勤務可能
- 国際貢献にもつながる
デメリット:
- 受け入れ人数に制限
- 候補者のみ採用可能
- 費用負担が比較的高額
在留資格「介護」
介護福祉士の国家資格を有する外国人が対象の就労系在留資格です。
取得要件:
- 介護福祉士の国家資格保有
- 日本の介護施設との雇用契約
- 日本人と同等以上の報酬条件
特徴:
- 在留期間の制限なし
- 家族帯同可能
- 全ての介護サービスで勤務可能
- 即戦力として期待
技能実習
発展途上国への技術移転を目的とした制度で、最長5年間の滞在が可能です。
要件:
- 18歳以上
- 1年目:日本語能力試験N4相当以上
- 2年目:N3相当以上
2024年度の制度改正:
- 開設3年未満の施設でも受け入れ可能(条件付き)
- 就労開始直後から人員配置基準に算入可能
- 2025年4月から訪問系サービスでも勤務可能
特定技能
人手不足解消を目的とした即戦力受け入れ制度です。
要件:
- 介護技能評価試験合格
- 日本語能力試験N4以上または国際交流基金基礎テスト合格
- 18歳以上
受け入れ条件:
- 事業所単位で日本人等常勤職員数を超えない数まで
- 在留期間:最長5年
- 2025年4月から訪問系サービスでも勤務可能
受け入れ成功のための具体的ステップ

Step1:制度選択と準備段階
1. 施設のニーズ分析
- 必要な人員数の把握
- 求める日本語レベルの設定
- 予算の検討
- 受け入れ体制の整備
2. 制度の選択
- 即戦力が必要→在留資格「介護」
- 長期的な人材育成→EPA
- コストを抑えたい→技能実習
- バランス重視→特定技能
3. 社内体制の整備
- 指導責任者の選任
- 研修プログラムの作成
- 住居の確保
- 日本語学習支援体制
Step2:採用プロセス
1. 人材紹介機関の選定
- 実績と信頼性の確認
- サポート体制の充実度
- 費用の透明性
2. 面接・選考
- オンライン面接の活用
- 実技試験の実施
- 人柄や適性の重視
3. 契約・手続き
- 雇用契約書の作成
- 在留資格申請のサポート
- 入国準備
Step3:受け入れ後の定着支援
1. オリエンテーション
- 施設の理念と方針の説明
- 日本の介護文化の紹介
- 基本的なルールの確認
2. 継続的な教育・サポート
- 定期的な面談
- 日本語学習の支援
- 技術指導の充実
3. 職場環境の整備
- 日本人職員との交流促進
- 文化的配慮
- 相談窓口の設置
注意点・コツ
- 段階的な業務移行:最初は簡単な業務から始め、徐々に責任のある業務を任せる
- 文化の違いへの理解:宗教的配慮や食事制限への対応
- コミュニケーション重視:定期的な面談で不安や悩みを把握
- チーム一体感の醸成:歓迎会や交流イベントの開催
成功事例から学ぶ受け入れのポイント

成功事例①:特別養護老人ホームでの特定技能受け入れ
関西のある特別養護老人ホームでは、特定技能で2名のフィリピン人介護士を受け入れました。
取り組み内容:
- 入国前の3か月間、オンライン日本語研修を実施
- 専任の指導員を配置し、マンツーマンでサポート
- 月1回の面談で悩みや要望をヒアリング
- 日本人職員向けの異文化理解研修を実施
成果:
- 1年後の定着率100%
- 利用者様からの評価も高く、家族からの感謝の声
- 他の職員のモチベーション向上にも寄与
成功事例②:グループホームでのEPA受け入れ
東京都内のあるグループホームでは、EPAでインドネシア人候補者を受け入れ、3年目に介護福祉士試験に合格させることに成功しました。
ポイント:
- 勤務時間内に学習時間を確保
- 外部の日本語講師を招いた集中講座
- 試験対策チームを結成し、全職員でサポート
- 合格後は指導的立場として活躍
学び:
- 組織全体でのサポート体制が重要
- 長期的な視点での人材投資
- 成功体験が次の受け入れにつながる
よくある質問(専門家に聞く)
Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?
「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。
一番伝えたいこと
「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」
私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。
それは:
1. 受け入れる側の覚悟
- 最初は時間がかかることを理解する
- 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
- 文化の違いを楽しむ心
2. 外国人介護士のポテンシャル
- 真面目で一生懸命
- 学ぶ意欲が高い
- 利用者様を大切にする心
3. 長期的な視点
- すぐに結果を求めない
- 信頼関係を築くのに時間をかける
- 3年、5年後の姿を一緒に描く
「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」
「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」
最後に
「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」
「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」
Q. 元看護士・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?
「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。
元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:
1. 現場目線での人材選考
- 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
- 技術だけでなく、人柄や適性を重視
- 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ
2. 実践的な教育プログラム
- 現場で本当に必要な技術を優先
- 教科書的な知識より、実際の動きを重視
- 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える
3. 施設側の悩みに寄り添える
- 「受け入れる側」の大変さを理解している
- 現実的なアドバイスができる
- 一緒に問題を解決する姿勢
「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」
制度に関するよくある質問
Q1. 介護 人手不足 外国人の受け入れに必要な資格や条件はありますか?
A. 受け入れ制度によって要件が異なります。共通して必要なのは、適切な指導体制の整備と日本人と同等以上の労働条件の提供です。技能実習では技能実習指導員(介護福祉士等)の配置、特定技能では支援計画の作成が必要です。また、2024年度から就労開始直後の人員配置基準算入が可能になりましたが、安全対策担当者の配置などの要件があります。
Q2. 介護 人手不足 外国人材の受け入れ費用はどのくらいですか?
A. 制度や紹介機関により大きく異なります。一般的に、EPAは年間約100~150万円、技能実習は初年度約80~120万円、特定技能は約60~100万円程度です。これには渡航費、研修費、紹介手数料などが含まれます。ただし、自治体の助成金制度を活用できる場合もあるため、事前に確認することをお勧めします。
Q3. 介護 人手不足 外国人材の日本語能力はどの程度必要ですか?
A. 制度により異なりますが、最低でも日本語能力試験N4レベル(基本的な日本語を理解できる)が求められます。令和6年度老人保健健康増進等事業調査によると、介護福祉士国家試験の合格率は日本語レベルと相関があり、N1保有者で86.7%、N2保有者で53.4%、N3保有者で25.2%となっています。実際の業務では、利用者様とのコミュニケーションを考慮すると、N3以上が望ましいとされています。
Q4. 介護 人手不足 外国人材が従事できない業務はありますか?
A. 在留資格により制限があります。技能実習生は単独での夜勤や服薬介助ができません。ただし、2025年4月から技能実習生と特定技能外国人も訪問系サービスに従事可能になる予定です。在留資格「介護」を持つ介護福祉士は、日本人と同様にすべての介護業務に従事できます。
Q5. 介護 人手不足 外国人材の定着率向上のためにはどうすればよいですか?
A. 令和6年度老人保健健康増進等事業調査によると、外国人介護人材が受けた職場からの支援として、「施設職員に勉強を教えてもらった」(36%)、「日本語の先生に教えてもらった」(26.7%)、「勤務時間やシフトの調整」(24.8%)が挙げられています。定着には、継続的な学習支援、文化的配慮、相談体制の整備、そして何より「仲間として受け入れる」職場風土の醸成が重要です。
まとめ
介護業界の人手不足解決において、外国人材の受け入れは重要な選択肢となっています。成功のポイントは以下の3点です:
- 適切な制度選択:施設のニーズに合った受け入れ制度を選び、必要な準備を整える
- 長期的視点:即戦力を求めるのではなく、一緒に成長するパートナーとして迎える
- 継続的サポート:日本語学習支援、文化的配慮、相談体制の整備を通じた定着支援
外国人介護人材の受け入れは、単なる人手不足の解決策ではなく、多様性豊かな職場環境の構築と、国際貢献にもつながる取り組みです。まずは無料相談から始めて、施設に最適な受け入れ方法を検討することをお勧めします。
【YMYL注意】 制度の詳細や要件は変更される可能性があるため、実際の受け入れ検討時には最新の公的資料や専門家への確認が必要です。
出典・参考
- 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…介護職員の将来必要数データの根拠
- 厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」2025年資料…外国人介護人材の在留者数データの根拠
- 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…日本語レベル別合格率データの根拠
- 全国老施協「令和4年度外国人介護人材に関する実態調査結果」…受け入れ実態調査の根拠
- 公益財団法人介護労働安定センター「令和4年度介護労働実態調査」…介護現場の労働実態データの根拠
この記事の監修者
大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。
