結論(30秒でわかる要点)
- 特定技能外国人の離職率は約16.1%、主な原因はサポート不足と将来への不安
- 海外直接採用の定着率85%に対し、国内転職採用は60%と大きな差
- 継続的なコミュニケーションと明確なキャリアパス提示が定着の鍵
- 登録支援機関の活用により企業負担を軽減しながら高い定着率を実現可能
- 制度は随時更新されるため、最新の公的資料での確認が必要
はじめに

「せっかく採用した特定技能外国人が、3ヶ月で辞めてしまった」「教育投資が回収できない」――このような悩みを抱える企業が増加しています。
出入国在留管理庁のデータによると、特定技能外国人の離職率は約16.1%に上り、6人に1人が早期退職している現実があります。しかし一方で、適切なサポート体制を整えた企業では85%以上の高い定着率を実現しているケースも存在します。
この記事でわかること:
- 特定技能外国人が辞める具体的な理由と背景
- 定着率を劇的に改善する実践的な対策方法
- 成功企業の具体的な取り組み事例
特定技能外国人の離職実態と背景

用語の定義
「特定技能 すぐ辞める」とは、特定技能1号の在留資格で就労開始後、数ヶ月から1年程度の短期間で自己都合退職する現象を指します。
離職率の現状データ
出入国在留管理庁の公表データ(令和4年11月末時点)によると、制度開始以降の特定技能1号在留者123,146人のうち、自己都合による離職者は19,899人(16.1%)となっています。
離職後の状況は以下の通りです:
- 帰国:31.4%(6,061人)
- 特定技能での転職:30.3%(5,852人)
- その他の在留資格への変更:38.3%
海外採用と国内転職の定着率格差
登録支援機関の調査によると、採用ルートによって定着率に大きな差が生じています:
- 海外からの直接採用:85%の高い定着率
- 国内での転職採用:約60%の定着率
この25ポイントの差は、来日前の期待値設定や事前準備の違いが影響していると考えられます。
特定技能外国人がすぐ辞める4つの主要原因

言語・コミュニケーション不足
日本語能力試験N4レベル相当の語学力では、実際の業務における細かなニュアンスや指示を理解することが困難です。特に以下の場面で問題が顕在化します:
- 安全に関わる緊急指示の理解不足
- 同僚との日常会話についていけない
- 業務マニュアルの専門用語が理解できない
- 上司への相談や報告が適切にできない
文化的ギャップと生活面のストレス
宗教的配慮や食生活の違いなど、日本の職場文化への適応に時間がかかることが離職要因となります:
- 宗教上の祈りの時間や服装への理解不足
- 食事制限(ハラル食品等)への配慮不足
- 職場の暗黙のルールや慣習の理解困難
- 残業や飲み会などの職場文化への戸惑い
労働条件と期待値のミスマッチ
来日前に抱いていた労働条件や給与水準と実際の職場環境に乖離があるケースが多く見られます:
- 募集時の給与額と実際の手取り額の差
- 残業時間や休日出勤の頻度
- 昇進・昇格の機会の不透明さ
- 住居環境や生活コストの想定外の高さ
サポート体制の不備
企業側の受け入れ体制が不十分で、外国人労働者が孤立してしまうケースが頻発しています:
- 定期的な面談や相談機会の不足
- 日本語学習支援の欠如
- 生活面でのサポート不足
- 職場での人間関係構築への配慮不足
定着率を高める5つの実践的対策

段階的コミュニケーション体制の構築
月1回以上の定期面談を実施し、業務面・生活面両方の課題を早期発見することが重要です。
具体的な取り組み:
- 母国語対応可能なスタッフの配置
- 翻訳アプリや多言語マニュアルの活用
- 簡潔で分かりやすい指示方法の統一
- 「危険」「停止」など緊急時用語の徹底教育
多文化共生の職場環境整備
全社員への異文化理解研修を実施し、外国人労働者が働きやすい環境を整備します。
実践例:
- 宗教的配慮(祈りの時間・場所の確保)
- 食事制限への対応(社員食堂メニューの工夫)
- 母国の祝日への理解と配慮
- 日本人社員向けの多様性研修の実施
明確なキャリアパスの提示
特定技能2号への移行支援や昇進・昇格の道筋を明確に示すことで、長期的な就労意欲を向上させます。
支援内容:
- 特定技能2号試験の受験サポート
- 日本語能力向上のための学習支援
- 技能向上研修の定期実施
- 先輩外国人労働者との交流機会の提供
登録支援機関の戦略的活用
専門機関に支援業務を委託することで、企業の負担を軽減しながら質の高いサポートを提供できます。
委託可能な支援内容:
- 生活オリエンテーション(交通機関、病院等の利用方法)
- 行政手続き(住民登録、年金、保険加入)の代行
- 母国語での24時間相談対応
- 日本語学習プログラムの提供
継続的な日本語学習支援
業務に必要な専門用語や日常会話能力の向上を継続的にサポートします。
学習支援の具体例:
- 業務特化型の日本語教材の提供
- eラーニングシステムの導入
- 日本語教室への通学費用補助
- 社内での日本語学習時間の確保
成功事例に学ぶ定着支援の実践
建設業での成功事例
関西のある建設会社では、以下の取り組みにより90%以上の定着率を実現しています:
安全管理の徹底
- 「危険」「停止」など緊急時用語の多言語表示
- 安全教育における母国語資料の活用
- 経験豊富な職人による個別指導体制
職場コミュニケーションの改善
- 「叩かない・怒らない・怒鳴らない」の徹底
- 道具や資材の呼び方統一
- 休日の交流イベント開催
製造業での定着支援事例
東京都内のある製造業では、以下の工夫により定着率85%を達成:
評価制度の透明化
- 多言語での評価基準説明書作成
- 月次評価面談の実施
- 成果に応じた明確な昇給システム
生活支援の充実
- 住居確保のサポート
- 生活必需品購入の同行支援
- 医療機関受診時の通訳サービス
よくある質問(専門家に聞く)
Q1. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?
「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。
一番伝えたいこと
「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」
私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。
それは:
1. 受け入れる側の覚悟
- 最初は時間がかかることを理解する
- 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
- 文化の違いを楽しむ心
2. 外国人介護士のポテンシャル
- 真面目で一生懸命
- 学ぶ意欲が高い
- 利用者様を大切にする心
3. 長期的な視点
- すぐに結果を求めない
- 信頼関係を築くのに時間をかける
- 3年、5年後の姿を一緒に描く
「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」
「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」
最後に
「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」
「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」
Q2. 元看護士・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?
「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。
元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:
1. 現場目線での人材選考
- 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
- 技術だけでなく、人柄や適性を重視
- 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ
2. 実践的な教育プログラム
- 現場で本当に必要な技術を優先
- 教科書的な知識より、実際の動きを重視
- 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える
3. 施設側の悩みに寄り添える
- 「受け入れる側」の大変さを理解している
- 現実的なアドバイスができる
- 一緒に問題を解決する姿勢
「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」
制度に関するよくある質問
Q1. 特定技能外国人が辞めた場合、企業はどのような手続きが必要ですか?
特定技能外国人が退職した場合、企業は退職後14日以内に出入国在留管理庁に「契約機関に関する届出」を提出する必要があります。また、退職理由の把握と記録、円満退職に向けた配慮も重要です。
Q2. 特定技能の定着率を高めるために、どの程度の費用が必要ですか?
定着支援にかかる費用は企業規模や支援内容により異なりますが、登録支援機関への委託費用(月額2-5万円程度)、日本語学習支援費用(月額1-3万円程度)、住居支援費用などが主な項目です。初期投資は必要ですが、離職による採用コストの削減効果を考慮すると投資対効果は高いと言えます。
Q3. 特定技能2号への移行支援はどのように行えばよいですか?
特定技能2号への移行には、各分野で定められた技能試験の合格が必要です。企業は試験情報の提供、学習時間の確保、受験費用の支援、合格者への処遇改善などを通じて移行をサポートできます。
Q4. 海外採用と国内転職、どちらが定着率が高いですか?
一般的に海外からの直接採用の方が定着率が高い傾向にあります(85%対60%)。これは、来日前の期待値設定が適切で、長期的な就労意欲が高いことが理由と考えられます。
Q5. 特定技能外国人の転職を防ぐことはできますか?
転職自体は制度上認められた権利のため防ぐことはできませんが、適切な労働条件の提供、継続的なコミュニケーション、キャリア支援により転職意欲を低下させることは可能です。
まとめ
特定技能外国人の早期離職問題は、適切な対策により大幅に改善できる課題です。重要なポイントは以下の通りです:
- 継続的なコミュニケーションと相談体制の整備
- 多文化共生の職場環境づくりと異文化理解の促進
- 明確なキャリアパスの提示と特定技能2号への移行支援
成功企業の事例からも明らかなように、「人手不足の穴埋め」ではなく「一緒に成長する仲間」として外国人労働者を受け入れる姿勢が、高い定着率実現の鍵となります。
登録支援機関の活用により、企業の負担を軽減しながら専門的なサポートを提供することも可能です。まずは現状の受け入れ体制を見直し、外国人労働者が安心して働き続けられる環境づくりから始めることをお勧めします。
【重要】制度や要件は随時更新される可能性があるため、最新の情報は出入国在留管理庁や各分野の所管省庁の公式資料で必ず確認してください。
出典・参考
- 出入国在留管理庁「特定技能制度の現状について」…離職率データの根拠
- 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…介護人材需要データの根拠
- 出入国在留管理庁「外国人介護人材の確保・定着」2025年資料…在留者数データの根拠
- 法務省「特定技能制度運用要領」…制度概要と手続きの根拠
- 総務省「労働力調査」…建設業就業者数データの根拠
この記事の監修者
大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。
