特定技能「介護」の送迎業務は可能?免許・費用・ルールを徹底解説

目次

結論(30秒でわかる要点)

特定技能「介護」の外国人が利用者の送迎業務に従事できるかどうかは、「どの送迎か」によって答えが異なります。

  • 空港・港からの入国時送迎:受入機関に義務付けられた支援の一環であり、特定技能外国人本人が行う業務ではない
  • デイサービス等の利用者送迎(運転):日本の運転免許を取得すれば従事可能だが、主たる業務ではなく「関連業務」として扱われる
  • 訪問介護への対応:2025年4月21日の制度改正により、一定要件を満たせば従事可能になった

対象読者:特定技能「介護」の受け入れを検討している介護施設の管理者・担当者の方

⚠️ 本記事の情報は執筆時点のものです。制度は随時更新されるため、最新情報は厚生労働省・出入国在留管理庁の公式資料で必ずご確認ください。

はじめに

はじめに|介護現場のイメージ

「特定技能の外国人スタッフに、デイサービスの送迎を担当してもらえるの?」

「空港への出迎えは誰がやればいい?費用はどこが負担するの?」

こうした疑問を抱える介護施設の担当者は、少なくありません。特定技能「介護」の業務範囲は意外と複雑で、「送迎」という言葉一つをとっても、入国時の空港送迎利用者の送迎業務では、まったく異なるルールが適用されます。

この記事でわかること:

  • 特定技能「介護」外国人が関わる「送迎」の種類と法的位置づけ
  • 利用者送迎(運転業務)に従事するための条件と注意点
  • 空港送迎の義務・費用負担のルール
  • 2025年4月の制度改正による訪問介護解禁の影響

人手不足が深刻化する介護現場において、特定技能外国人の活用は今や欠かせない選択肢です。厚生労働省のデータによると、2024年12月末時点で特定技能「介護」の在留者数は44,367人に達しており(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)、2019年末のわずか19人から約5年で約2,300倍に増加しています。

正しい知識を持って受け入れ体制を整えることが、施設と外国人スタッフ双方にとって最善の結果をもたらします。

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特定技能「介護」と送迎業務の基礎知識

特定技能「介護」と送迎業務の基礎知識|介護現場のイメージ

「送迎」には2種類ある

特定技能「介護」の文脈で「送迎」という言葉が使われる場面は、大きく2つに分かれます。

① 入国時の空港・港からの送迎(支援義務)

特定技能所属機関(受入施設)には、外国人が入国する際に空港や港まで出迎え、事業所または住居まで送り届けることが義務的支援として定められています。これは特定技能外国人本人が行う「業務」ではなく、受け入れ側が提供しなければならない「支援」です。

② デイサービス等での利用者送迎(業務)

通所介護(デイサービス)などで、利用者を自宅と施設の間で送り迎えする業務です。こちらは特定技能外国人が従事できるかどうかが問われる「業務」の話であり、条件が異なります。

特定技能「介護」の業務範囲とは

特定技能「介護」の定義を整理すると、以下のとおりです。

主な業務(身体介護):入浴・食事・排泄介助、移乗・移動介助、機能訓練の補助、レクリエーションの実施など

関連業務(付随的に可能):掲示物の管理、物品の補充、掃除・洗濯・調理補助などの生活援助、そして運転を伴う送迎業務も関連業務に含まれる場合があります

重要なのは、関連業務のみに専従することは認められないという点です。特定技能「介護」に「何割まで」という明確な数値基準はありませんが、あくまで身体介護が主業務であり、送迎などの関連業務が中心にならないよう運用することが求められます(日本人スタッフが通常従事する範囲であることが目安です)。

利用者送迎(運転業務)に従事するための条件と注意点

日本の運転免許取得が必須

特定技能「介護」の外国人がデイサービス等の利用者送迎(車両運転)を担当するためには、日本の運転免許証を取得していることが前提条件となります。

国際運転免許証を持っている場合でも、日本国内での有効期限や適用範囲には制限があるため、長期的に送迎業務を担当させたい場合は、日本の自動車教習所で取得させる方法が最も確実です。

手順の目安は以下のとおりです。

  1. 在留資格の確認:特定技能1号として在留中であれば、日本の運転免許取得の申請資格がある
  2. 教習所への入校:日本語でのコミュニケーションが必要なため、日本語能力(N4以上)が求められる
  3. 学科・技能試験の合格:外国語対応が可能な教習所を選ぶと安心
  4. 免許取得後の業務開始:施設の車両保険・安全確認の手順も整備する

送迎業務は「主な業務」ではなく「関連業務」

注意すべき点として、利用者の送迎(運転)業務は、特定技能「介護」の主な業務(身体介護)ではなく、関連業務として位置づけられます。

したがって、送迎専任ドライバーとして特定技能外国人を雇用することはできません。あくまで身体介護を主業務としながら、付随的に送迎を担当する形が適切な運用です。

施設側が整えるべき環境

  • 車両の定期点検・安全確認体制の整備
  • 緊急時の連絡体制(GPS付きスマートフォンの活用なども有効)
  • 同乗指導期間の設定(特に着任初期)
  • 言語サポート(ナビゲーションの言語設定など)

入国時の空港送迎:義務・方法・費用の全解説

空港送迎は受入機関の「義務」

特定技能外国人が入国する際、受入機関(施設)は空港または港まで出迎え、事業所または住居まで送り届けることが義務的支援として定められています(1号特定技能外国人支援に関する運用要領に基づく)。

これは登録支援機関に委託することも可能ですが、最終的な責任は受入機関にあります。

空港送迎を成功させる5つのポイント

  1. 事前にSNSで繋がっておく:FacebookやLINEなど、外国人が使い慣れたツールで連絡手段を確保する
  2. 顔写真の事前共有:担当者と外国人双方が顔を把握しておくことで、空港での合流がスムーズになる
  3. 出発前に一報をもらう:飛行機への搭乗確認と到着時間の把握のため、乗る直前に連絡してもらう
  4. 名前・会社名を書いたボードを持参:出口付近で目立つボードを掲げて待つことで、外国人が見つけやすくなる
  5. 空港Wi-Fiの接続方法を案内:到着後すぐに連絡できるよう、日本の空港でのWi-Fi接続方法を事前に伝えておく

送迎費用は受入機関が全額負担

空港・港と事業所(または住居)の間の送迎に要する費用は、義務的支援の費用として受入機関が負担することが明確に定められています。

費用の内訳としては、交通費(バス・電車・タクシー・社用車の燃料費など)のほか、同行スタッフの交通費も含まれます。外国人本人に負担させることは認められていません。

送迎方法の選択肢

送迎方法メリットデメリット・注意点
社用車時間の融通が利く・荷物が多くても対応可運転担当者の確保が必要
タクシー手軽・担当者の負担が少ない費用が高め・言語対応に注意
電車・バス費用が安い荷物が多い場合は不向き・乗り換え案内が必要
登録支援機関に委託施設の負担を軽減できる委託費用が発生・言語対応の確認が必要

2025年4月改正:訪問介護解禁と送迎への影響

制度改正の概要

2025年4月21日より、特定技能外国人および技能実習生が、一定の要件を満たすことで訪問介護に従事できるようになりました。従来、訪問系サービスは在留資格「介護」(介護福祉士)やEPA介護福祉士などが担い、技能実習生・特定技能外国人は対象外でしたが、これが特定技能外国人にも開放されたことは、業界にとって大きな転換点です。

訪問介護に従事するための要件

外国人側に求められる主な要件は以下のとおりです。

  • 介護事業所での実務経験が1年以上(日本語能力N2相当以上など一定の要件を満たす場合は1年未満でも可)
  • 介護職員初任者研修課程等の修了
  • 日本語能力N4以上(または国際交流基金日本語基礎テストA2以上)

訪問介護での移動手段と送迎の課題

訪問介護では、利用者宅への移動手段の確保が実務上の大きな課題です。考えられる対応策は以下の3つです。

  1. 公共交通機関の利用:バスや電車を使えば単独移動が可能だが、移動時間がかかる場合がある
  2. 自転車・原付の活用:近距離の訪問先であれば現実的な選択肢
  3. 日本の運転免許を取得させる:訪問先まで車で移動できるため最も効率的。教習所での取得を施設がサポートするケースが増えている

訪問介護で車を運転するケースでは、GPS付きスマートフォンの配布や、ビデオ通話による緊急時サポート体制の整備が事業者に求められています。

訪問介護解禁に伴う事業者側の義務

  • 適合確認申請(介護分野における特定技能協議会への申請)
  • 研修計画書・指導体制の整備
  • ハラスメント防止体制の構築
  • 利用者・家族への説明と同意取得
  • 巡回訪問への対応(公益社団法人 国際厚生事業団による定期確認)

よくある質問(専門家に聞く)

元看護師・介護福祉士であり、GENSAI Career Consulting Corp代表の大町潤一氏に、外国人介護士の受け入れについて伺いました。

Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?

「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。

一番伝えたいこと

「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」

私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。

それは:

1. 受け入れる側の覚悟

  • 最初は時間がかかることを理解する
  • 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
  • 文化の違いを楽しむ心

2. 外国人介護士のポテンシャル

  • 真面目で一生懸命
  • 学ぶ意欲が高い
  • 利用者様を大切にする心

3. 長期的な視点

  • すぐに結果を求めない
  • 信頼関係を築くのに時間をかける
  • 3年、5年後の姿を一緒に描く

「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」

「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」

最後に

「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」

「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」

Q. Q. 看護師・介護福祉士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?

「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。

元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:

1. 現場目線での人材選考

  • 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
  • 技術だけでなく、人柄や適性を重視
  • 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ

2. 実践的な教育プログラム

  • 現場で本当に必要な技術を優先
  • 教科書的な知識より、実際の動きを重視
  • 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える

3. 施設側の悩みに寄り添える

  • 「受け入れる側」の大変さを理解している
  • 現実的なアドバイスができる
  • 一緒に問題を解決する姿勢

「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」

制度に関するよくある質問

Q1. 特定技能「介護」の外国人に送迎業務だけを担当させることはできますか?

A. できません。特定技能「介護」の主な業務は身体介護であり、送迎(運転)はあくまで関連業務として付随的に行うものです。送迎専任ドライバーとして雇用することは、在留資格の業務範囲を逸脱するため認められません。身体介護を中心に行いながら、付随的に送迎を担当する形が適切な運用です。

Q2. 特定技能外国人の入国時の空港送迎費用は、外国人本人に負担させてもよいですか?

A. いいえ、認められていません。空港・港から事業所または住居までの送迎費用は、義務的支援の一環として受入機関(施設)が全額負担することが定められています。外国人本人に費用を転嫁することは制度違反となります。

Q3. 国際運転免許証があれば、日本の免許がなくても送迎業務に従事できますか?

A. 国際運転免許証には日本国内での有効期限があり、長期的な業務には対応できません。継続的に送迎業務を担当させたい場合は、日本の自動車教習所で運転免許を取得させることを強くお勧めします。施設側が教習所の費用をサポートするケースも増えています。

Q4. 訪問介護で特定技能外国人が車を運転して利用者宅を訪問することはできますか?

A. 日本の運転免許を取得していれば可能です。ただし、訪問介護で特定技能外国人を雇用するには、適合確認申請や研修体制の整備など、事業者側が満たすべき要件があります。また、GPS機能付きスマートフォンの配布やビデオ通話による緊急サポート体制の整備も求められています。

Q5. 送迎を登録支援機関に委託することはできますか?

A. 入国時の空港・港からの送迎については、登録支援機関に委託することが可能です。ただし、委託先が外国人の言語に対応できるかどうか、緊急時の対応体制が整っているかを事前に確認することが重要です。委託費用は受入機関が負担します。

具体的な受け入れ事例から学ぶ

事例①:デイサービスでの送迎業務導入

関東のあるデイサービスでは、特定技能「介護」で受け入れたフィリピン出身の介護士が、入職から約半年後に日本の運転免許を取得。その後、身体介護を主業務としながら、週に数回の利用者送迎を担当するようになりました。

施設側が工夫したポイントは以下のとおりです。

  • 入職直後から日本語学習と運転免許取得を並行して支援
  • 免許取得後は2週間の同乗研修期間を設け、ルートや利用者の状況を把握
  • 車内でのコミュニケーション(声かけの言葉)を日本語でロールプレイ練習

利用者からは「明るくて話しかけやすい」という声が多く、送迎時間が利用者にとっての楽しみになったという声もあったとのことです。

事例②:入国時送迎の体制整備

近畿地方のある特別養護老人ホームでは、初めて特定技能外国人を受け入れるにあたり、入国時の空港送迎を自社で対応しました。

事前準備として実施したこと:

  • 入国2週間前からSNS(LINE)で担当者と外国人が繋がり、顔写真を交換
  • 空港でのWi-Fi接続方法をあらかじめ文書で案内
  • 施設名・担当者名・外国人の名前を記載したボードを作成

当日はスムーズに合流でき、その後の信頼関係構築にも良い影響があったと担当者は振り返っています。入国当日の対応が、外国人スタッフの「日本での第一印象」を左右するという点で、丁寧な準備が重要です。

まとめ

特定技能「介護」と送迎業務の関係を整理すると、以下の3点が核心です。

  • 入国時の空港送迎は受入機関の義務であり、費用も受入機関が全額負担する
  • 利用者の送迎(運転)業務は日本の運転免許取得を条件に関連業務として従事可能だが、送迎専任は不可
  • 2025年4月の制度改正で訪問介護も解禁され、一定要件を満たせば訪問先への移動を含む業務が可能になった

人材不足が深刻化する介護現場において、特定技能外国人の活用は今後さらに重要性を増すでしょう。2040年には272万人の介護職員が必要とされる中(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)、正しい制度理解と受け入れ体制の整備が、施設の持続的な運営を支える鍵となります。

まずは専門家への相談から始めることをお勧めします。制度の詳細や個別の状況に応じた対応については、行政書士や登録支援機関、または介護分野に精通した人材支援機関にご相談ください。

【YMYL注意】本記事の内容は執筆時点の情報に基づいています。制度改正により内容が変更される場合があります。実際の運用にあたっては、必ず最新の公的資料を確認し、専門家にご相談ください。

出典・参考

  • 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」(令和7年3月28日)…特定技能「介護」在留者数の推移・国籍別ランキング・受入上限(135,000人)の根拠
  • 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…2026年・2040年の介護職員必要数(272万人)の根拠
  • 厚生労働省「介護人材確保の現状について」(令和7年5月9日)…訪問介護の人手不足状況・有効求人倍率の根拠
  • 出入国在留管理庁「特定技能運用要領」(1号特定技能外国人支援に関する運用要領)…空港送迎の義務・費用負担ルールの根拠
  • 国際厚生事業団(JICWELS)「令和8年度外国人介護人材受入・定着支援等事業よくあるご質問」…特定技能「介護」の業務範囲・夜勤・関連業務に関するQ&Aの根拠
  • 厚生労働省「介護分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」…訪問介護解禁(2025年4月21日)・適合確認申請要件の根拠
  • 介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」…介護事業所の職員不足感(65.2%)の根拠

この記事の監修者

大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。

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