結論(30秒でわかる要点)
外国人介護士のビザ更新は、介護福祉士資格の保持と継続的な介護業務への従事が確認できれば、更新回数の制限なく行える。
- 在留資格「介護」は1年・3年・5年単位で付与され、更新に回数制限なし
- 更新の核心は「介護福祉士資格の維持」と「雇用継続の証明」の2点
- 特定技能ビザは最長5年が上限。長期就労には介護福祉士取得と在留資格変更が必要
対象者:外国人介護士を雇用している施設担当者、および日本での長期就労を目指す外国人介護職員
> ⚠️ 在留資格に関する制度は法改正により変更されることがあります。最新情報は出入国在留管理庁や厚生労働省の公式資料で必ず確認してください。
はじめに

「外国人スタッフのビザ更新、何を準備すればいいの?」「特定技能と介護ビザ、どちらが更新しやすい?」――そんな疑問を抱えている施設担当者や外国人介護士の方は多いのではないでしょうか。
日本の介護現場では、少子高齢化による人材不足が深刻化しています。厚生労働省のデータによれば、2022年時点で約215万人いる介護職員は、2040年には約272万人が必要になると推計されています(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)。この差を埋める存在として、外国人介護士への期待はますます高まっています。
しかし、ビザの更新手続きを正しく理解していないと、せっかく育てた人材を手放すことになりかねません。この記事では、以下の点をわかりやすく解説します。
- 在留資格「介護」(介護ビザ)の更新条件と手順
- 特定技能ビザとの違い・移行ルート
- 更新時の注意点と施設側が準備すべきこと
外国人介護士のビザ更新とは?制度の基礎知識

用語の定義
外国人介護士のビザ更新とは、日本の在留資格「介護」または「特定技能」を持つ外国人が、在留期間満了前に引き続き日本で介護業務に従事するために在留期間の延長を申請する手続きのことです。
介護分野の在留資格は4種類ある
日本で外国人が介護職に就ける在留資格は、現在以下の4種類です。
- 在留資格「介護」(介護ビザ):介護福祉士の国家資格を持つ外国人が取得できる就労資格。更新回数の制限なし
- 特定技能1号「介護」:介護技能評価試験・日本語評価試験に合格した外国人が取得できる在留資格。最長5年
- 技能実習:技能移転を目的とした制度。最長5年。原則として転職(実習先変更)はできないが、実習実施者の倒産・経営難やハラスメント等のやむを得ない事情がある場合は変更が認められる(2027年4月からは育成就労制度へ移行し、一定条件下で転籍が可能になる予定)
- EPA(経済連携協定):インドネシア・フィリピン・ベトナムの3カ国対象。介護福祉士取得後は在留資格「介護」へ移行可能
それぞれ更新の考え方が異なるため、自社が雇用している外国人がどの在留資格に該当するかを最初に確認することが重要です。
なぜ今、ビザ更新の理解が重要なのか
特定技能「介護」の在留者数は、制度開始(2019年)から約5年で急増し、2024年12月末時点で44,367人に達しています(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。
国籍別では、インドネシア(12,242人・27.6%)、ミャンマー(11,717人・26.4%)、ベトナム(8,910人・20.1%)が上位3カ国を占めており、上位5カ国で全体の9割以上を占めます。これほど多くの外国人介護士が在留している今、ビザ更新の手続きを正しく理解することは、施設運営の安定に直結します。
在留資格「介護」のビザ更新手順と条件

Step1:更新の申請タイミングを把握する
在留期間の満了日の3カ月前から申請可能です。満了日を過ぎてしまうと不法滞在となるため、早めに準備を始めることが大切です。在留カードの有効期限を施設側でも管理し、更新時期が近づいたらスタッフに声をかける体制を整えておきましょう。
Step2:更新に必要な書類を準備する
在留資格「介護」の更新申請に一般的に必要な書類は以下のとおりです。
- 在留期間更新許可申請書
- 有効なパスポートおよび在留カード
- 介護福祉士登録証のコピー
- 雇用契約書のコピー(業務内容・給与・労働時間が明記されたもの)
- 在職証明書または雇用証明書
- 住民税の課税(非課税)証明書・納税証明書
- 身分を証する文書等(施設担当者が申請代行する場合)
書類に不備があると審査が長引く場合があります。行政書士や社会保険労務士に代行を依頼することも選択肢の一つです。
Step3:出入国在留管理庁へ申請する
必要書類が揃ったら、管轄の出入国在留管理庁(入管)に申請します。申請はオンラインでも可能になっており、手続きの利便性が向上しています。審査期間は通常2週間〜1カ月程度ですが、繁忙期や書類の不備によって長引くこともあります。
更新が認められる主な条件
在留資格「介護」の更新が認められるためには、以下の条件を継続的に満たしていることが求められます。
- 介護福祉士の資格を引き続き保持していること
- 介護業務に従事する雇用契約が継続していること
- 日本人と同等以上の報酬を受けていること
- 法令違反がないこと(不法行為・税金の未納など)
在留資格「介護」は、これらの要件を満たし続ける限り、更新回数に制限がなく、事実上永続的に日本で働き続けることができます。また、5年以上の就労と10年以上の在留実績があれば、永住権申請の要件を満たす可能性もあります。
注意点・よくある落とし穴
- 転職時は手続きが必要:同じ「介護」の在留資格であっても、転職した場合は「就労資格証明書」の取得や、場合によっては在留資格の変更申請が必要になることがあります
- 業務内容の確認が入る:更新審査では、実際に介護業務に従事しているかどうかが確認されます。介護と無関係な業務をさせていると不許可になるリスクがあります
- 報酬条件の維持:日本人スタッフと同等以上の給与水準を維持していることが求められます
特定技能ビザから介護ビザへの移行ルート

特定技能「介護」の在留期間は最長5年
特定技能1号「介護」は、通算で最長5年間の就労が認められていますが、それ以上の延長はできません。なお2025年9月30日の運用要領改正により、1回に付与される在留期間が「1年以内」から「3年以内」に拡大され、更新の頻度・事務負担は軽減されています(通算5年の上限は変わりません)。長期的に日本で介護職として働き続けたい外国人、そして長く一緒に働きたいと考える施設にとって、介護福祉士国家試験の合格と在留資格「介護」への移行が重要な選択肢になります。
移行のための3つのルート
| ルート | 入口 | 介護福祉士取得の方法 | 移行後の在留資格 |
|---|---|---|---|
| 養成施設ルート | 留学生として来日 | 2年以上の養成校卒業+国家試験合格 | 在留資格「介護」 |
| 実務経験ルート | 特定技能・技能実習 | 3年以上の実務経験+実務者研修+国家試験合格 | 在留資格「介護」 |
| EPAルート | EPA候補者として来日 | 4年以内に国家試験合格 | 在留資格「介護」 |
※「3年以上の実務経験」正確には、従業期間3年(1,095日)以上かつ従事日数540日以上
介護福祉士国家試験の合格率と日本語レベルの関係
介護福祉士国家試験はすべて日本語で行われるため、日本語能力が合格率に大きく影響します。令和6年度の調査研究によると、日本語能力試験(JLPT)の保有レベル別の合格率は以下のとおりです(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)。
- N1保有者:86.7%
- N2保有者:53.4%
- N3保有者:25.2%
- N4保有者:25.0%
- N5保有者:12.5%
N2以上の日本語力があると合格率が大幅に高まることがわかります。施設側が国家試験取得を支援する際には、日本語学習のサポートが合否を左右する重要な要素です。
同調査では、外国人介護人材が国家試験を受けた理由(複数回答)として、「日本で介護職として働き続けるため(68.9%)」「日本で長く住み続けたいため(55.2%)」「専門職として介護の知識技術を得るため(51.7%)」が上位に挙がっており、長期定着への強い意欲がうかがえます。
施設が実践すべきビザ更新サポートの具体策

成功事例①:日本語学習支援で国家試験合格→長期定着
関西地方のある介護施設では、特定技能で採用した外国人スタッフに対して、勤務時間やシフトの調整を行い、日本語学習の時間を確保しました。施設職員が勉強を教えるサポート体制を整えた結果、入職から3年目に介護福祉士国家試験に合格。在留資格「介護」への移行を果たし、現在も同施設で活躍を続けています。
令和6年度の調査では、職場からの支援として「施設職員に勉強を教えてもらった(36%)」「日本語の先生に教えてもらった(26.7%)」「勤務時間やシフトの調整(24.8%)」が多く挙げられており(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)、施設側の積極的な関与が定着率向上に寄与していることがわかります。
成功事例②:在留資格の移行を見越した採用計画
東北地方のある特別養護老人ホームでは、技能実習生の採用当初から「3年後の介護福祉士試験受験」を見据えた育成計画を立てていました。入職後すぐに日本語クラスへの参加を促し、現場でのOJTと並行して受験対策を実施。実習期間終了前に国家試験に合格し、スムーズに在留資格「介護」へ移行することができました。採用から5年以上が経過した現在も、中堅スタッフとして施設の中核を担っています。
学びのポイント:ビザ更新・移行を成功させる施設に共通しているのは、「採用時から長期的なキャリアプランを描いている」ことです。「とりあえず採用」ではなく、国家試験取得までのロードマップを外国人スタッフと一緒に作ることが、定着率向上の鍵になります。
よくある質問(専門家に聞く)
元看護師・介護福祉士であり、GENSAI Career Consulting Corp代表の大町潤一氏に、外国人介護士の受け入れとビザ更新に関する疑問についてお答えいただきました。
Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?
「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。
一番伝えたいこと
「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」
私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。
それは:
1. 受け入れる側の覚悟
- 最初は時間がかかることを理解する
- 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
- 文化の違いを楽しむ心
2. 外国人介護士のポテンシャル
- 真面目で一生懸命
- 学ぶ意欲が高い
- 利用者様を大切にする心
3. 長期的な視点
- すぐに結果を求めない
- 信頼関係を築くのに時間をかける
- 3年、5年後の姿を一緒に描く
「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」
「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」
最後に
「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」
「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」
Q. 元看護師・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?
「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。
元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:
1. 現場目線での人材選考
- 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
- 技術だけでなく、人柄や適性を重視
- 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ
2. 実践的な教育プログラム
- 現場で本当に必要な技術を優先
- 教科書的な知識より、実際の動きを重視
- 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える
3. 施設側の悩みに寄り添える
- 「受け入れる側」の大変さを理解している
- 現実的なアドバイスができる
- 一緒に問題を解決する姿勢
「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」
制度に関するよくある質問
Q1. 在留資格「介護」のビザ更新に回数制限はありますか?
A. 在留資格「介護」には、更新回数の制限はありません。介護福祉士の資格を保持し、介護業務に継続して従事していることが確認できれば、要件を満たす限り何度でも更新が可能です。在留期間は1年・3年・5年のいずれかで付与されることが多く、申請内容や審査状況によって異なります。実質的に定年まで日本で働き続けることができる点が、在留資格「介護」の大きなメリットです。
Q2. 特定技能「介護」ビザの更新(延長)はできますか?
A. 特定技能1号「介護」は、通算で最長5年間の在留が認められています。5年を超えての延長はできないため、長期就労を希望する場合は、介護福祉士国家試験に合格して在留資格「介護」へ移行することが必要です。なお、特定技能2号は介護分野には設けられていないため、移行先は在留資格「介護」のみとなります。
Q3. 外国人介護士が転職した場合、ビザの手続きはどうなりますか?
A. 在留資格「介護」を持つ外国人が転職した場合、新しい雇用先での業務が「介護」の在留資格の範囲内であれば、在留資格の変更申請は不要です。ただし、転職後14日以内に出入国在留管理庁への「所属機関等に関する届出」が必要です。また、転職先での業務内容が介護業務と異なる場合は、在留資格の変更が必要になります。就労資格証明書を取得しておくと、転職先での雇用確認がスムーズになります。
Q4. ビザ更新の申請中に在留期限が切れそうな場合はどうすればいいですか?
A. 在留期間満了日までに更新申請を行っていれば、審査中であっても在留期間が満了した日から最長2カ月間、または許可・不許可の処分を受けるまでの間、引き続き日本に在留できます(特例期間)。ただし、この期間中も就労は継続できます。申請が遅れると不法滞在となるリスクがあるため、満了日の3カ月前を目安に早めに準備を始めることを強くお勧めします。
Q5. 施設側がビザ更新のためにできるサポートはありますか?
A. 施設側ができる主なサポートは以下のとおりです。
- 在留カードの有効期限を施設でも管理し、更新時期を本人に事前通知する
- 更新申請に必要な雇用証明書・在職証明書を速やかに発行する
- 行政書士への相談費用を会社として負担する
- 介護福祉士国家試験の受験に向けた学習支援(シフト調整・教材費補助など)を行う
- 住民税の納付漏れがないよう、給与から適切に天引きする体制を整える
外国人スタッフ一人ひとりのビザ状況を把握し、施設全体で更新をサポートする体制を整えることが、長期定着につながります。
まとめ
外国人介護士のビザ更新について、重要なポイントを整理します。
- 在留資格「介護」(介護ビザ)は更新回数に制限がなく、介護福祉士資格の保持と介護業務への継続従事が確認できれば長期就労が可能
- 特定技能「介護」は最長5年が上限。長期定着を目指すなら、介護福祉士国家試験の合格と在留資格「介護」への移行を早期から計画することが重要
- 施設側のサポート(シフト調整・日本語学習支援・書類発行)が、外国人介護士の定着率と国家試験合格率を大きく左右する
2040年には約272万人の介護職員が必要とされる中、外国人介護士の存在はますます重要になっています。ビザ更新を「手続きの手間」と捉えるのではなく、「長期的なパートナーシップの継続」として前向きに取り組むことが、施設と外国人スタッフ双方の未来につながります。
まずは現在雇用している外国人スタッフの在留資格と在留期限を確認し、必要であれば専門家(行政書士・社会保険労務士)や人材支援機関への相談から始めてみてください。
> ⚠️【YMYL注意】在留資格・ビザに関する制度は法改正により変更されることがあります。本記事の情報は執筆時点のものです。最終的な判断は、出入国在留管理庁の公式資料または行政書士などの専門家にご確認ください。
出典・参考
- 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…2022年・2026年・2040年の介護職員必要数の根拠
- 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日(https://www.mhlw.go.jp/)…特定技能「介護」在留者数推移・国籍別ランキング・受入上限135,000人の根拠
- 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…日本語レベル別合格率・職場支援内容・受験理由の根拠
- 出入国在留管理庁「在留資格別 在留外国人数の推移」…在留資格「介護」在留者数の根拠(https://www.moj.go.jp/)
- 厚生労働省「外国人介護人材受入れの仕組み」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaikokujin-kaigojinzai/index.html)…4制度(EPA・介護・技能実習・特定技能)の概要・比較の根拠
- 厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」2025年資料…特定技能1号・技能実習・在留資格「介護」・EPA各在留者数の根拠
- 公益社団法人日本介護福祉士会「専門性を活かして在留資格『介護』で働く外国人介護職員活躍のためのガイドブック」…在留資格「介護」の活用事例・キャリア形成の参考
この記事の監修者
大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。
