結論(30秒でわかる要点)
- 外国人介護士の採用相談は、制度選択・受入体制整備・支援窓口活用の3ステップで進めるのが成功の近道
- 重要ポイント①:特定技能・技能実習・EPA・在留資格「介護」の4ルートがあり、施設の状況に合った選択が必要
- 重要ポイント②:2024年12月末時点で特定技能1号の介護人材は44,367人に達し、受入実績は急速に拡大中
- 重要ポイント③:都道府県や公益法人の無料相談窓口を活用することで、初期費用を抑えながら準備を進められる
- 対象者:外国人介護士の採用を検討しているが「何から始めればいいかわからない」と感じている介護施設の管理者・経営者
- ⚠️ 本記事の制度情報は執筆時点のものです。制度は随時更新されるため、最新情報は厚生労働省や各都道府県の公式資料で必ずご確認ください。
はじめに:「採用したいけど、何から相談すればいい?」という方へ

「人手不足は深刻なのに、外国人介護士の採用はどこに相談すればいいのかわからない」「制度が複雑すぎて、一歩踏み出せない」——そんな声を、介護施設の管理者の方からよく耳にします。
実際、厚生労働省の試算によれば、2022年に約215万人だった介護職員の必要数は、2040年には約272万人まで増加する見込みです(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)。国内人材だけでこの差を埋めることは現実的に難しく、外国人介護士の採用は今や「選択肢のひとつ」ではなく「必要な経営判断」になりつつあります。
この記事でわかること:
- 外国人介護士を採用するための4つのルートと、それぞれの特徴
- 採用相談から受入れまでの具体的な手順
- 公的・民間の相談窓口の使い方と活用事例
- 専門家が語る「受入れ成功のための心構え」
難しく見える制度も、順番に整理すれば必ず理解できます。一緒に確認していきましょう。
外国人介護士 採用相談の前に知るべき基礎知識

「外国人介護士 採用相談」とは何か
「外国人介護士 採用相談」とは、特定技能・技能実習・EPA・在留資格「介護」などの制度を通じて外国人介護士を雇用するにあたり、制度選択・手続き・受入体制整備について専門機関や支援窓口に助言を求めるプロセスのことです。
採用できる対象・できない対象
外国人介護士を採用できる施設・できない施設は、在留資格の種類によって異なります。
採用できる主な施設・サービス種別:
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護老人保健施設(老健)
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
- 特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム等)
- 病院・診療所(介護業務に限る)
採用できない・制限がある場合:
- 訪問介護など「訪問系サービス」は、2025年4月21日から一定条件下で特定技能1号も従事可能
(介護職員初任者研修の修了・実務経験1年以上・受入事業所の適合確認申請などが必要。従来は対象外) - 技能実習は「直接雇用」が原則で、派遣形態は不可
- 施設の規模・体制によっては受入れ上限がある
外国人介護士を取り巻く現状
特定技能1号の介護人材は、制度開始直後の2019年12月末にはわずか19人でしたが、2024年12月末には44,367人にまで増加しています(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。約5年間で約2,300倍という急増は、現場での需要の高まりを端的に示しています。
国籍別では、インドネシア(12,242人・全体の27.6%)、ミャンマー(11,717人・26.4%)、ベトナム(8,910人・20.1%)が上位3か国を占め、上位5か国だけで全体の9割以上を占めます(出典:同上)。
受入れ施設種別では、特別養護老人ホームが7,827件でトップ、次いで病院(2,446件)、認知症対応型共同生活介護(2,340件)と続いており、規模や種別を問わず受入れが広がっていることがわかります(出典:同上)。
採用が増えている背景・要因
外国人介護士の採用が急増している背景には、複数の構造的な要因があります。
- 深刻な人材不足:2040年に向けて2022年度比で約57万人多くの人材確保が必要とされている(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)
- 試験の整備と合格者の増加:介護技能評価試験の累計合格者は128,567人(2019年4月〜2025年3月)に達し、海外での試験実施も13か国に拡大(出典:厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」2025年資料)
- 外国人介護士自身の高いモチベーション:「日本で介護職として働き続けるため」に国家試験を受験した人が68.9%、「日本で長く住み続けたいため」が55.2%(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)
- 受入上限の拡大:特定技能「介護」の5年間受入見込数は135,000人に設定されており、制度的な受け皿も整備されている
外国人介護士 採用相談の進め方:4つのルートと手順

Step1:自施設に合った在留資格(ルート)を選ぶ
外国人介護士を採用するルートは大きく4つあります。それぞれの特徴を理解した上で、自施設の状況に合ったものを選ぶことが最初のステップです。
| 在留資格 | 主な特徴 | こんな施設に向いている |
|---|---|---|
| 特定技能1号 | 即戦力として採用可能。試験合格が条件。5年間の受入上限あり(135,000人)。訪問系も2025年4月から条件付きで従事可 | すぐに戦力が欲しい施設。直接雇用を希望する施設 |
| 技能実習 | 最長5年間。OJTを通じた技能移転が目的。監理団体を通じた受入れが必要 | 育成に時間をかけられる施設。長期的な関係を築きたい施設 |
| EPA(経済連携協定) | インドネシア・フィリピン・ベトナムから受入れ。4年間就労しながら介護福祉士国家試験合格を目指す | 国家資格取得を支援できる体制がある施設 |
| 在留資格「介護」 | 介護福祉士国家資格を取得した留学生が対象。長期就労が可能 | 介護福祉士として即戦力を確保したい施設 |
Step2:相談窓口に連絡する
ルートの方向性が決まったら、次は相談窓口への連絡です。公的窓口と民間窓口を上手に組み合わせることで、制度理解から採用実務まで幅広いサポートを受けられます。
公的・公益法人の相談窓口(主なもの):
- 公益社団法人 国際厚生事業団(JICWELS):外国人介護人材受入れ環境整備事業の相談窓口を運営。外国人介護職員・受入施設の両方からの相談に対応(Tel: 03-6206-1262)
- 各都道府県の介護人材確保担当窓口:都道府県ごとに補助金・セミナー・コーディネーター派遣などの支援を提供
- ハローワーク・外国人雇用サービスセンター:外国人雇用に関する法的手続きの相談が可能
民間の相談窓口(人材紹介・登録支援機関):
- 特定技能の「登録支援機関」に相談することで、ビザ申請・生活支援・日本語研修などのサポートが受けられる
- 介護現場経験のある専門家が関与する機関を選ぶと、現場目線のアドバイスが得られる
Step3:受入体制を整える
採用が決まってからでは遅い準備があります。相談と並行して、以下の受入体制を整えておきましょう。
受入体制チェックリスト:
- [ ] 担当スタッフ(メンター・指導者)の選定
- [ ] 多言語対応マニュアル・業務手順書の整備
- [ ] 住居・生活サポート体制の確認(住居費補助の活用も検討)
- [ ] 日本語学習支援の仕組みづくり(施設内・外部講師の活用)
- [ ] 文化・宗教への配慮事項の確認(食事・礼拝等)
- [ ] 介護福祉士国家試験受験支援の計画(長期的な場合)
都道府県によっては、コミュニケーション支援ツールの導入費用や住居費などを補助する「外国人介護人材受入れ施設等環境整備事業補助金」が利用できる場合があります。相談窓口で確認してみましょう。
採用相談時の注意点・よくある落とし穴
- 制度の混同に注意:特定技能と技能実習は別制度。手続きや費用、受入条件が異なります
- 訪問系サービスは追加要件が必要:2025年4月21日から特定技能1号も訪問介護等に従事できますが、初任者研修の修了・実務経験1年以上・受入事業所の適合確認申請・同行訓練など、施設介護にはない追加要件があります
- 支援費用の見積もりを複数社で比較する:登録支援機関の費用は機関によって異なるため、比較検討が重要です
- 言語サポートを過小評価しない:N3レベルの日本語能力でも、介護福祉士国家試験の合格率は25.2%。職場での学習支援が定着率に直結します(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)
外国人介護士 採用相談から受入れへ:事例から学ぶポイント

成功事例①:段階的な受入れで定着率を高めた施設
ある関東圏の特別養護老人ホームでは、最初の1名を「試験的な受入れ」として採用し、半年かけて受入体制を整備してから2名目・3名目と段階的に拡大する方針をとりました。
この施設が工夫したのは、以下の3点です。
- 専任メンターの設置:日本人スタッフの中から「外国人介護士担当」を選任し、日々の業務指導と生活相談を一本化
- やさしい日本語マニュアルの作成:業務手順書を平易な日本語と図解で作り直し、外国人・日本人スタッフ双方が使いやすい形に整備
- 月1回の振り返りミーティング:施設長・担当スタッフ・外国人介護士が集まり、課題を早期に共有する場を設けた
その結果、採用から3年が経過した時点で離職者はゼロ。外国人介護士が利用者様と信頼関係を築き、「あの人がいてくれると安心」という声が家族からも聞かれるようになったといいます。
成功事例②:公的補助金を活用してコストを抑えた事例
近畿圏のある介護老人保健施設では、都道府県の「外国人介護人材受入れ施設等環境整備事業補助金」を活用し、多言語対応タブレット端末の導入費用と日本語講師の派遣費用を補助金で賄いました。
この事例のポイントは、採用決定前から都道府県の担当窓口に相談を始めたことです。補助金の申請期限や対象経費は年度ごとに変わるため、「採用が決まってから調べる」では間に合わないケースがあります。早めに窓口に連絡し、スケジュールを確認することが重要です。
また、この施設では職場内での学習支援として「施設職員に勉強を教えてもらう」体制を整備。厚生労働省の調査でも、外国人介護人材が受けた職場からの支援として「施設職員に勉強を教えてもらった」が36%でトップとなっており(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)、職場内の相互学習が定着を後押しすることが確認されています。
よくある質問(専門家に聞く)
元看護師・介護福祉士であり、フィリピンで10年以上にわたり介護人材事業を手がけてきた大町潤一氏(GENSAI Career Consulting Corp代表)に、外国人介護士の採用相談でよく寄せられる疑問にお答えいただきました。
Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?
「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。
一番伝えたいこと
「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」
私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。
それは:
1. 受け入れる側の覚悟
- 最初は時間がかかることを理解する
- 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
- 文化の違いを楽しむ心
2. 外国人介護士のポテンシャル
- 真面目で一生懸命
- 学ぶ意欲が高い
- 利用者様を大切にする心
3. 長期的な視点
- すぐに結果を求めない
- 信頼関係を築くのに時間をかける
- 3年、5年後の姿を一緒に描く
「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」
「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」
最後に
「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」
「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」
Q. 看護師・介護福祉士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?
「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。
元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:
1. 現場目線での人材選考
- 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
- 技術だけでなく、人柄や適性を重視
- 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ
2. 実践的な教育プログラム
- 現場で本当に必要な技術を優先
- 教科書的な知識より、実際の動きを重視
- 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える
3. 施設側の悩みに寄り添える
- 「受け入れる側」の大変さを理解している
- 現実的なアドバイスができる
- 一緒に問題を解決する姿勢
「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」
制度に関するよくある質問
Q1. 外国人介護士の採用相談は、どこに問い合わせれば最初の一歩として適切ですか?
A. 最初の相談先として最もハードルが低いのは、各都道府県の介護人材担当窓口または公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)の相談窓口です。どちらも無料で対応しており、制度の基礎から受入手続きまで幅広く相談できます。「まず何から始めればいいか」という段階からでも丁寧に対応してもらえるので、遠慮なく問い合わせてみましょう。制度選択に迷っている場合は、複数のルートを比較した上で方針を決めるのがおすすめです。
Q2. 外国人介護士の採用にかかる費用はどのくらいですか?
A. ルートや利用する機関によって大きく異なります。特定技能の場合、登録支援機関への委託費用・ビザ申請費用・渡航費などを合わせると、1名あたり数十万円から100万円前後が目安とされることが多いです。ただし、都道府県の補助金(住居費・多言語対応ツール導入費等)を活用することで実質的な負担を軽減できる場合があります。複数の登録支援機関・人材紹介会社に見積もりを依頼し、費用の内訳を比較することを強くおすすめします。
Q3. 特定技能と技能実習、どちらを選べばいいですか?
A. 「即戦力がほしい」「なるべく早く現場に入ってほしい」という場合は特定技能1号が向いています。一方、「時間をかけて育てたい」「将来的に介護福祉士資格の取得を支援したい」という場合は技能実習や留学ルートも選択肢になります。ただし、技能実習は2024年に法改正が成立し、2027年4月から育成就労制度へ移行予定、制度の変化に注意が必要です。最新の制度情報を確認した上で、相談窓口に具体的な状況を伝えながら選択することをおすすめします。
Q4. 日本語能力が低い外国人介護士でも採用できますか?
A. 特定技能1号では、介護技能評価試験と介護日本語評価試験の両方に合格していることが条件のひとつです。ただし、国家試験合格率のデータが示すように、日本語能力レベルによってその後のキャリアアップに差が出ることは事実です。N3保有者の介護福祉士国家試験合格率は25.2%、N2保有者は53.4%、N1保有者は86.7%と、日本語力が高いほど合格率が上がります(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)。採用後の日本語学習支援の体制を整えることが、長期的な定着と活躍につながります。
Q5. 外国人介護士の採用で失敗しないための最大のポイントは何ですか?
A. 「採用して終わり」にしないことです。採用後のサポート体制——日本語学習支援・メンター制度・定期的な面談・文化への配慮——が定着率を大きく左右します。厚生労働省の調査では、職場からの支援として「施設職員に勉強を教えてもらった」が36%、「勤務時間やシフトの調整」が24.8%など、職場全体での関わりが外国人介護士の安定就労を支えていることがわかっています(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)。採用前から「どう育てるか」を施設全体で考えておくことが、成功への最大のポイントといえます。
まとめ:外国人介護士の採用相談、まず一歩を踏み出そう
この記事のポイントを3つに整理します。
- 制度は4ルートある:特定技能・技能実習・EPA・在留資格「介護」のそれぞれの特徴を理解し、自施設の状況に合ったルートを選ぶことが出発点
- 相談窓口を積極的に活用する:都道府県窓口・JICWELS・登録支援機関など、無料で使える公的リソースが充実している。補助金の活用も視野に入れ、早めに相談を始めることが重要
- 採用後のサポートが定着率を決める:日本語学習支援・メンター制度・文化配慮など、受入体制の整備が外国人介護士の長期就労と活躍を支える
「何から始めればいいかわからない」と感じている方は、まず都道府県の介護人材担当窓口またはJICWELSに問い合わせることから始めてみてください。制度の基礎から丁寧に説明してもらえます。
また、現場経験のある専門家によるサポートを希望する場合は、介護ケアジャパン・GENSAI Career Consulting Corpのような現場出身者が関与する支援機関への相談も選択肢のひとつです。
【YMYL注意】 本記事の制度情報・統計データは執筆時点のものです。在留資格・受入条件・補助金制度は随時更新されます。最終判断の前に、必ず厚生労働省や各都道府県の最新の公式資料をご確認いただくか、専門家(行政書士・社会保険労務士等)にご相談ください。
出典・参考
- 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…2022年〜2040年の介護職員必要数(215万人・272万人)の根拠
- 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日…特定技能1号の在留者数推移・国籍別ランキング・受入施設種別・受入上限(135,000人)の根拠
- 厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」2025年資料…特定技能1号(44,367人)・技能実習(15,909人)・在留資格「介護」(12,227人)・EPA(3,180人)の在留者数の根拠
- 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…日本語能力レベル別合格率・国家試験受験理由・職場からの支援内容の根拠
- 公益社団法人 国際厚生事業団(JICWELS)公式サイト(https://jicwels.or.jp/)…外国人介護人材受入れ相談窓口・EPAマッチング支援の根拠
- 厚生労働省「外国人介護職員の雇用に関する介護事業者向けガイドブック」…受入手続き・注意事項の参考資料
この記事の監修者
大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。
