結論(30秒でわかる要点)
特定技能「介護」の基準とは、外国人介護士を受け入れるために施設・外国人双方が満たすべき要件の総称であり、雇用契約・支援計画・試験合格の3つが柱となる。
- 外国人側の要件:介護技能評価試験・介護日本語評価試験・日本語試験(N4以上)の合格が必要(一定条件で免除あり)
- 施設側の要件:適切な雇用契約の締結、支援計画の作成、介護分野の特定技能協議会への加入が必須
- 2025年4月21日より、一定条件を満たす外国人に限り訪問介護への従事が解禁された
対象者:特定技能「介護」の受入れを検討している介護施設の管理者・担当者、および制度を理解したい介護業界関係者向けの記事です。
⚠️ 本記事の情報は公的資料をもとに作成していますが、制度は随時更新されます。最終判断は必ず最新の厚生労働省・出入国在留管理庁の公的資料、または専門家にご確認ください。
はじめに:なぜ今、特定技能「介護」の基準を正確に知る必要があるのか

「外国人介護士を採用したいが、何から始めればよいかわからない」「施設として満たすべき条件が複雑でよく理解できない」——そうした声を、介護施設の担当者から日々耳にします。
厚生労働省の推計によれば、2022年時点で約215万人いた介護職員は、2026年には約240万人、2040年には約272万人が必要になるとされています(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)。この差を埋める手段のひとつとして、特定技能「介護」の活用が急速に広がっています。
2024年12月末時点での特定技能1号の介護在留者数は44,367人に達しており(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)、制度開始の2019年末時点のわずか19人から約5年で約2,300倍という驚異的な伸びを見せています。
更新:67,871人(2025年12月末速報値・約3,600倍)
この記事では、以下の点を詳しく解説します。
- 特定技能「介護」の基準(外国人側・施設側の両方)
- 受入れ可能な施設の種類と対象外施設
- 採用から就労開始までの具体的なステップ
- 2025年4月に解禁された訪問介護への対応
特定技能「介護」の基準とは何か:制度の基礎知識

用語の定義
特定技能「介護」の基準とは、深刻な人材不足に対応するため2019年4月に創設された在留資格「特定技能1号」において、介護分野で外国人を受け入れる際に外国人本人と受入施設の双方が満たすべき法令上の要件のことを指します。
制度の背景と現状
特定技能制度は、国内の生産性向上や人材確保の取組みを行っても人材が不足している産業分野を対象に設けられました(2026年1月の閣議決定で対象は19分野に拡大)。介護分野はその中でも特に人手不足が深刻な分野として位置づけられています。
介護技能評価試験の累計合格者数は、2019年4月から2025年1月までの間に120,220人(国内40,722人・海外79,498人)に達しており、海外での受験者数が国内を大きく上回っていることが特徴です(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。
外国人側が満たすべき基準(試験要件)
特定技能「介護」の在留資格を得るためには、外国人本人が以下の3つの試験に合格する必要があります。
- 介護技能評価試験:介護の知識・技術を問う試験(60分・45問、合格基準は総得点の60%以上)
- 介護日本語評価試験:介護現場で使う専門用語・コミュニケーション・書類に関する試験(30分・15問)
- 国際交流基金日本語基礎テスト、または日本語能力試験(JLPT)N4以上:日常的な日本語能力を問う試験
ただし、以下のいずれかに該当する場合は、試験の一部または全部が免除されます。
- 全試験免除:①介護職種の技能実習2号を良好に修了した方、②介護福祉士養成施設を修了した方、③EPA介護福祉士候補者として3年10ヶ月以上従事し、直近の国家試験で合格基準点の5割以上を得点した方
- 日本語試験のみ免除:介護職種・介護作業以外の技能実習2号を良好に修了した方(介護技能評価試験・介護日本語評価試験は免除対象外)
試験はフィリピン・インドネシア・ベトナム・ミャンマーなど13か国でも実施されており、海外から直接受験して来日するルートが主流になりつつあります。
受入施設・雇用形態の基準:どの施設が対象か

受入れ可能な施設の種類
特定技能「介護」の外国人を受け入れられる施設は、「介護福祉士の受験資格要件において実務経験として認められる施設」かつ「業務内容に介助業務が付随する施設」が基本的な判断軸となります。主な対象施設は以下のとおりです。
老人福祉法・介護保険法関係(主なもの)
- 特別養護老人ホーム(指定介護老人福祉施設)
- 介護老人保健施設
- 指定認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
- 指定特定施設入居者生活介護
- 指定通所介護(デイサービス)
- 老人短期入所施設(ショートステイ)
障害者総合支援法関係(主なもの)
- 障害者支援施設
- 生活介護・共同生活援助(グループホーム)など
病院・診療所も対象に含まれます。
なお、受入施設種別のデータ(2024年7月時点)では、特別養護老人ホームが7,827件で最多、次いで病院2,446件、認知症対応型共同生活介護2,340件と続いています(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。
一部のみ対象となる施設
以下の施設は、一定の条件を満たす部分のみが対象となります。
- 養護老人ホーム・軽費老人ホーム・ケアハウス・有料老人ホーム(※介助業務が付随する場合)
- 指定小規模多機能型居宅介護・指定複合型サービス(※一部条件あり)
受入れが不可な施設・サービス
以下は原則として受入れ対象外です。
- 知的障害児施設・自閉症児施設など一部の児童福祉法関係施設
- 障害者デイサービス事業(平成18年9月以前の事業)など
2025年4月解禁:訪問介護への従事条件
2025年4月21日より、特定技能外国人および技能実習生の訪問介護への従事が認められるようになりました。対象となる訪問系サービスは、訪問介護・訪問入浴介護・夜間対応型訪問介護・定期巡回・随時対応型訪問介護看護などです。
ただし、訪問介護に従事できるのは以下の条件を満たす外国人に限られます。
- 介護職員初任者研修課程等を修了していること
- 介護事業所等での実務経験が1年以上あることを原則とする
- 最低2か月のOJT(同行訪問)を経ること
また、受入施設は利用者・家族への事前説明を行うとともに、5つの遵守事項を守る必要があります。
雇用形態の基準
特定技能「介護」の雇用形態として認められているのは、フルタイムでの直接雇用のみです。具体的には以下の条件を満たす必要があります。
- 労働日数:週5日以上かつ年間217日以上
- 週労働時間:30時間以上
- 派遣雇用は不可
施設側が満たすべき基準:雇用契約・支援計画・協議会加入

ステップ1:適切な雇用契約の締結
受入施設(特定技能所属機関)は、外国人との雇用契約において以下の要件を満たす必要があります。
- 報酬額が日本人と同等以上であること
- 所定労働時間が日本人と同等であること
- 外国人であることを理由とした差別的取扱いをしないこと
- 一時帰国を希望する場合に必要な有給休暇を取得させること
- 保証金の徴収や違約金契約を締結していないこと
- 施設の職員に禁錮以上の刑に処せられた者がいないこと
ステップ2:支援計画の作成と実施
特定技能外国人を受け入れる際には、1号特定技能外国人支援計画を作成し、計画に基づいた支援を実施しなければなりません。支援計画には以下の10項目を記載します。
- 事前ガイダンス
- 出入国の際の送迎
- 住居確保・生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続きのサポート
- 日本語学習の機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(非自発的離職の場合)
- 定期的な面談と行政機関への通報
各項目には「義務的支援」と「任意的支援」があります。支援業務は自社で行うか、登録支援機関に委託することが可能です。また、支援責任者等が外国人およびその上司と3か月に1回以上定期面談を行い、労働基準法違反等があれば行政機関に通報する義務があります。
ステップ3:介護分野の特定技能協議会への加入
受入施設は、介護分野の特定技能協議会に加入する必要があります。就労開始後、協議会申請システムへ外国人情報を入力し、支援計画書などの必要書類を提出することで手続きが完了します。
受入人数の上限
特定技能「介護」の受入見込数は、5年間で135,000人が上限とされています(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。また、施設ごとの受入人数は、日本人等の常勤介護職員の総数を超えないことが条件です。
配置基準への算入
特定技能外国人は、就労と同時に介護および障害福祉サービス等報酬上の配置基準に算入することができます(出典:特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 介護分野の基準について P.13)。技能実習生の場合は配属後6か月間算入不可という制限がありますが、特定技能にはその制限がなく、即戦力として人員配置に組み込める点は大きなメリットです。
特定技能「介護」の活用事例:施設が得た変化

事例①:特別養護老人ホームでの複数名採用
関西のある特別養護老人ホームでは、インドネシア人の特定技能外国人を複数名採用したことで、夜勤体制が安定したという事例があります。特定技能は制度上、入職初日から1人体制での夜勤が可能なため、慢性的な夜勤不足に悩んでいた施設にとって即戦力となりました。
採用から半年後には、外国人介護士が利用者様との信頼関係を築き、「〇〇さんが来るのが楽しみ」と声をかけてもらえるようになったとのことです。文化の違いを超えた人間的なつながりが、施設全体の雰囲気を明るくしたと、ある50代の施設長は語っています。
事例②:グループホームでの段階的な受入れ
東京都内のある認知症対応型共同生活介護(グループホーム)では、最初の1名を受け入れる際に登録支援機関のサポートを活用し、支援計画の作成から日本語学習の機会提供まで丁寧に準備を進めました。
ポイントとなったのは、「受け入れる前の職員向け研修」です。外国人介護士が来る前に、既存スタッフが文化的背景や言語の違いについて学ぶ機会を設けたことで、入職後のトラブルが大幅に減少したといいます。2人目・3人目の受入れもスムーズに進んでいるとのことです。
よくある質問(専門家に聞く)
Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?
「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。
一番伝えたいこと
「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」
私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。
それは:
1. 受け入れる側の覚悟
- 最初は時間がかかることを理解する
- 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
- 文化の違いを楽しむ心
2. 外国人介護士のポテンシャル
- 真面目で一生懸命
- 学ぶ意欲が高い
- 利用者様を大切にする心
3. 長期的な視点
- すぐに結果を求めない
- 信頼関係を築くのに時間をかける
- 3年、5年後の姿を一緒に描く
「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」
「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」
最後に
「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」
「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」
Q. 看護師・介護福祉士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?
「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。
元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:
1. 現場目線での人材選考
- 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
- 技術だけでなく、人柄や適性を重視
- 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ
2. 実践的な教育プログラム
- 現場で本当に必要な技術を優先
- 教科書的な知識より、実際の動きを重視
- 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える
3. 施設側の悩みに寄り添える
- 「受け入れる側」の大変さを理解している
- 現実的なアドバイスができる
- 一緒に問題を解決する姿勢
「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」
特定技能「介護」の基準に関するよくある質問
Q1. 特定技能「介護」に2号はないのですか?
A. 介護分野には特定技能2号は設けられていません。これは、介護分野には在留資格「介護」(介護ビザ)が別途存在し、介護福祉士の資格取得後に長期在留・就労が可能な仕組みが整っているためです。特定技能1号の通算在留期間は5年が上限ですが、その間に介護福祉士国家試験に合格すれば、在留資格「介護」へ移行し、期間の制限なく日本で働き続けることができます。キャリアパスとして明確な道筋が描けるのは、外国人介護士にとっても大きなモチベーションになっています。
Q2. 特定技能「介護」の外国人は配置基準に含められますか?
A. はい、就労と同時に介護および障害福祉サービス等報酬上の配置基準に算入することができます。技能実習生の場合は配属後6か月間は算入できないという制限がありますが、特定技能にはその制限がないため、入職初日から人員配置に組み込むことが可能です。これは人手不足の現場にとって、特定技能を選ぶ大きな理由のひとつです。
Q3. 特定技能「介護」の試験はどこで受けられますか?
A. 試験は国内外で実施されています。国内は47都道府県で受験可能です。海外では、フィリピン(マニラ・セブ・ダバオ)、インドネシア(ジャカルタほか複数都市)、ベトナム(ハノイ・ホーチミン)、ミャンマー(ヤンゴン・マンダレー)、ネパール(カトマンズ・ポカラ)など13か国で実施されています。試験方式はCBT(コンピューター試験)で、受験料はそれぞれ約2,000円です。試験結果は試験終了直後に画面で確認でき、結果通知は試験日から5営業日以内に発行されます。
Q4. 国籍によって採用しやすさに違いはありますか?
A. 国籍によって採用のしやすさが大きく変わるわけではありませんが、現在の受入れ実績を見ると、インドネシア12,242人(27.6%)、ミャンマー11,717人(26.4%)、ベトナム8,910人(20.1%)、フィリピン4,538人(10.2%)、ネパール3,602人(8.1%)と、上位5か国で全体の9割以上を占めています(2024年12月末時点、出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。送り出し国ごとに文化・気質・日本語習得の特徴が異なるため、施設のニーズや既存スタッフとの相性を考慮しながら選ぶことが大切です。
Q5. 特定技能「介護」の受入れにかかるコストはどのくらいですか?
A. 受入れコストは、採用ルートや登録支援機関の利用有無によって異なります。一般的には、海外からの採用の場合、送り出し機関手数料・渡航費・住居準備費などを含めると初期費用として数十万円程度かかることが多いです。また、登録支援機関に支援業務を委託する場合は、月額2〜3万円程度の支援費用が継続的に発生します。一方、日本国内在住の特定技能外国人を採用する場合は、渡航費や送り出し機関費用がかからないため、コストを抑えられる場合があります。具体的な費用は支援機関・紹介会社によって異なるため、複数社に見積もりを依頼することをおすすめします。
まとめ:特定技能「介護」の基準を正しく理解して、受入れを成功させよう
この記事で解説した内容を3点にまとめます。
- 外国人側の要件:介護技能評価試験・介護日本語評価試験・日本語試験(N4以上)の合格が必要。技能実習2号修了者などは試験免除あり
- 施設側の要件:日本人と同等以上の雇用契約・支援計画の作成と実施・協議会加入の3点が柱。フルタイム直接雇用のみ可で、就労初日から配置基準に算入可能
- 2025年4月の制度変更:一定の実務経験(1年以上)とOJTを経た外国人に限り、訪問介護への従事が解禁された
特定技能「介護」の活用は、単なる人手不足の解消にとどまらず、施設の多様性を高め、利用者様や既存スタッフにも良い影響をもたらす可能性があります。まずは登録支援機関や専門家への無料相談から、一歩を踏み出してみてください。
⚠️【YMYL注意】本記事の情報は執筆時点の公的資料をもとにしていますが、制度・基準は随時改正されます。受入れを検討する際は、必ず最新の厚生労働省・出入国在留管理庁の公式資料を確認するか、行政書士などの専門家にご相談ください。
出典・参考
- 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…2022年・2026年・2040年の介護職員必要数データの根拠
- 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日(https://www.mhlw.go.jp/)…特定技能受入上限135,000人・国籍別ランキング・都道府県別受入状況・在留者数推移・試験合格者数の根拠
- 出入国在留管理庁「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 -介護分野の基準について-」…介護分野の上乗せ基準・配置基準算入・訪問介護従事条件の根拠
- 厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117888.html)…介護技能評価試験・介護日本語評価試験の試験概要・合格基準・実施国の根拠
- 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…日本語レベル別介護福祉士国家試験合格率・職場からの支援内容・受験理由データの根拠
- 法務省「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(平成三十一年法務省令第五号)…雇用契約の内容基準・支援計画の基準の根拠
この記事の監修者
大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。
