特定技能「介護」と技能実習の比較|4制度の違いと選び方を徹底解説

目次

結論(30秒でわかる要点)

特定技能「介護」と技能実習は、どちらも外国人を介護現場で受け入れられる制度だが、目的・在留期間・業務範囲・コストが大きく異なる。

  • 特定技能は「即戦力採用」向け:試験合格者を直接雇用でき、夜勤も初日から可能
  • 技能実習は「育成型採用」向け:国際貢献が目的で段階的に業務範囲が広がる(※2027年4月に育成就労制度へ移行予定)
  • 長期定着を目指すなら:特定技能から介護福祉士取得→在留資格「介護」へのキャリアパスが明確

対象読者:外国人介護士の受け入れを検討している施設長・人事担当者、制度の違いを整理したい方

> ⚠️ 本記事の情報は執筆時点のものです。制度は随時更新されるため、最新の内容は厚生労働省・出入国在留管理庁の公式資料でご確認ください。

はじめに:「どの制度を使えばいいのか分からない」という声に答えます

はじめに:「どの制度を使えばいいのか分からない」という声に答...|フィリピン人介護士のイメージ

「外国人介護士を採用したいけれど、特定技能と技能実習のどちらを選べばいいのか分からない」

そんな声を、介護施設の担当者から日々いただきます。制度の名前は聞いたことがあっても、具体的な違いや選び方まで把握している方は多くありません。

厚生労働省の推計によれば、2026年には介護職員が約240万人必要とされており、2022年実績の215万人から約25万人の上積みが求められます(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)。国内人材だけでは到底まかなえない状況の中、外国人介護士の受け入れは今や「選択肢のひとつ」ではなく「必要な戦略」になりつつあります。

この記事でわかること

  • 特定技能「介護」と技能実習の目的・在留期間・業務範囲の違い
  • 施設のニーズに合わせた制度の選び方
  • 受け入れ後の具体的なキャリアパスと定着のポイント
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特定技能「介護」と技能実習の基礎知識:制度の目的から理解する

特定技能「介護」と技能実習の基礎知識:制度の目的から理解する|フィリピン人介護士のイメージ

用語の定義

特定技能「介護」とは:深刻な介護人材不足の解消を目的として2019年に創設された在留資格で、一定の技能・日本語能力を持つ外国人が介護施設で直接雇用される制度。

技能実習「介護」とは:日本の介護技術を発展途上国へ移転することによる国際貢献を目的として、2017年に介護職種が追加された在留資格制度(2027年4月に「育成就労制度」へ移行予定)。

この「目的の違い」が、制度設計のあらゆる差異を生み出しています。特定技能は「日本の人手不足解消」、技能実習は「相手国への技術移転」という根本的な方向性の違いがあるため、受け入れ施設への求められる役割も自然と変わってきます。

介護分野で受け入れられる在留資格の全体像

外国人を介護職員として雇用する場合、主に以下の4つの在留資格があります。

  1. 特定技能「介護」:人材不足解消が目的。試験合格者を直接雇用。
  2. 技能実習「介護」:国際貢献が目的。監理団体を通じた受け入れ。
  3. 在留資格「介護」:介護福祉士国家資格保有者向け。在留期間の上限なし。
  4. 特定活動EPA:インドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国限定。介護福祉士取得を目指す。

本記事では、最も問い合わせの多い「特定技能」と「技能実習」の比較を中心に解説します。

4制度の主要項目を一覧で確認

比較項目特定技能「介護」技能実習「介護」在留資格「介護」特定活動EPA
制度の目的人材不足の解消国際貢献(技術移転)専門人材の就業支援経済連携の強化
在留期間通算最長5年最長5年(1号〜3号)制限なし(更新可)原則4年
介護福祉士の要否不要不要必要不要(取得目標)
日本語要件N4以上+介護日本語評価試験入国時N4以上/2号移行時はN3が原則(経過措置あり)実質N2程度N5〜N3(国籍による)
夜勤(1人体制)初日から可能2年目以降・複数体制のみ制限なし6か月以上経過後
訪問系サービス可(2025年4月〜)可(2025年4月〜)可(2025年4月〜・条件付き)
転職同職種なら可原則不可(新制度で緩和予定)
家族帯同不可不可
対象国籍制限なし制限なし制限なしインドネシア・フィリピン・ベトナムのみ

特定技能「介護」を選ぶメリットと受け入れのポイント

特定技能「介護」を選ぶメリットと受け入れのポイント|フィリピン人介護士のイメージ

特定技能が「即戦力採用」と言われる理由

特定技能「介護」で採用できる外国人は、すでに以下の試験に合格しています。

  • 介護技能評価試験:身体介護などの基本的な介護技術を問う試験
  • 介護日本語評価試験:介護現場での声かけや文書理解を問う試験
  • 日本語能力試験N4以上(または国際交流基金日本語基礎テスト)

試験の累計合格者数は、介護技能評価試験が120,220人、介護日本語評価試験が113,572人(いずれも2019年4月〜2025年1月、出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)に達しており、採用候補となる人材プールは着実に拡大しています。

技能実習の場合、入国時点では「ほぼゼロの状態から育成」が前提となるため、介護業務をスムーズにこなせるようになるまでに一定の時間がかかります。一方、特定技能は試験合格が入国条件であるため、配属後すぐに人員配置基準へ算入できる点も現場にとって大きなメリットです。

特定技能「介護」の3つの主要メリット

  1. 夜勤が初日から1人体制で可能

技能実習では2年目以降かつ複数体制でなければ夜勤に入れません。特定技能は制度上、最初から1人体制での夜勤が認められており、人手不足の現場ですぐに戦力として機能します。

  1. 2025年4月から訪問介護も対象に

これまで訪問系サービスへの従事は認められていませんでしたが、2025年4月より解禁されました。ただし、訪問介護に従事するには「介護事業所等での実務経験が1年以上あること」が原則として求められます。

  1. 明確なキャリアパスで長期定着を実現

特定技能(最長5年)→介護福祉士国家試験合格→在留資格「介護」(上限なし)という段階的なキャリアパスが整備されています。外国人介護士が「日本で長く働き続けるため」に国家試験を受けた割合は68.9%にのぼり(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業調査)、定着意欲の高さが数字にも表れています。

受け入れ施設が準備すべき3つのステップ

Step 1:支援計画の策定
特定技能外国人を受け入れる場合、施設は「1号特定技能外国人支援計画」を策定する義務があります。住居確保・生活相談・日本語学習支援などが含まれます。対応が難しい場合は、登録支援機関への委託も可能です。

Step 2:在留資格の申請
国内在留者の場合は在留資格変更許可申請、海外からの新規入国者の場合は在留資格認定証明書の交付申請を、地方出入国在留管理局へ提出します。

Step 3:協議会への参加
受け入れ開始から4か月以内に、介護分野の特定技能協議会(厚生労働省が所管)への参加が義務付けられています。

技能実習「介護」の特徴と2027年の制度移行について

技能実習の段階的な仕組み

技能実習「介護」は、1号(1年目)→2号(2〜3年目)→3号(4〜5年目)と段階を踏んで在留期間が延長される仕組みです。各段階を進むためには技能検定試験への合格が必要です。

業務範囲も段階的に広がります。1年目は「技能実習生以外の介護職員が常に同行する」条件のもとで業務を行い、人員配置基準への算入も6か月後からとなります。夜勤は2年目以降かつ複数体制が条件です。

2027年4月「育成就労制度」への移行

技能実習制度は数々の問題点が指摘されてきたことを受け、廃止が決定しました。2027年4月より「育成就労制度」が施行される予定です。新制度では、一定の条件(在職1年以上・基礎的な技能・日本語能力の習得など)を満たせば転職が可能になる見込みです。

現在技能実習で受け入れを検討している施設は、新制度への移行スケジュールを踏まえた中長期的な採用計画を立てることが重要です。

技能実習2号修了者は特定技能へスムーズに移行できる

技能実習2号を問題なく修了した外国人は、技能試験・日本語試験が免除され、特定技能「介護」へ移行できます。「技能実習で育てた人材を、特定技能でそのまま継続雇用する」という活用パターンは、施設にとって人材の連続性を保てる合理的な選択肢です。

受け入れ事例から学ぶ:制度選択のリアルな判断軸

事例①:即戦力が必要だった施設の特定技能活用

関西地方のある特別養護老人ホームでは、日本人スタッフの退職が相次ぎ、夜勤シフトが組めなくなる懸念が生じていました。そこで特定技能「介護」を活用し、すでに試験合格済みの外国人介護士を2名採用。配属後すぐに夜勤に入れたことで、シフト不足の問題が解消されたといいます。

担当者が振り返るポイントとして多く聞かれるのは「入国前から日本語でのコミュニケーションが成立していた」「業務の基礎知識があったため、OJTの期間を短縮できた」という点です。

事例②:長期育成を前提にした技能実習の活用

東北地方のある介護老人保健施設では、3年以上前から技能実習生の受け入れを継続しています。最初の1年は日本語や文化の習得に時間がかかりますが、2年目以降は「利用者様への丁寧な関わり方が日本人スタッフにも刺激を与えている」という声が上がっています。

また、技能実習2号を修了した人材が特定技能へ移行し、そのまま正職員に近い形で長期就労するケースも出てきており、「育てた人材が定着する」喜びを感じている施設も増えています。

よくある質問(専門家に聞く)

介護ケアジャパンを運営するGENSAI Career Consulting Corp代表・大町潤一氏(元看護師・介護福祉士)に、施設担当者からよく寄せられる疑問をぶつけました。

Q. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?

「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。

一番伝えたいこと

「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」

私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。

それは:

1. 受け入れる側の覚悟

  • 最初は時間がかかることを理解する
  • 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
  • 文化の違いを楽しむ心

2. 外国人介護士のポテンシャル

  • 真面目で一生懸命
  • 学ぶ意欲が高い
  • 利用者様を大切にする心

3. 長期的な視点

  • すぐに結果を求めない
  • 信頼関係を築くのに時間をかける
  • 3年、5年後の姿を一緒に描く

「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」

「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」

最後に

「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」

「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」

Q. 元看護師・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?

「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。

元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:

1. 現場目線での人材選考

  • 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
  • 技術だけでなく、人柄や適性を重視
  • 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ

2. 実践的な教育プログラム

  • 現場で本当に必要な技術を優先
  • 教科書的な知識より、実際の動きを重視
  • 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える

3. 施設側の悩みに寄り添える

  • 「受け入れる側」の大変さを理解している
  • 現実的なアドバイスができる
  • 一緒に問題を解決する姿勢

「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」

制度に関するよくある質問

Q1. 特定技能「介護」と技能実習、コストはどちらが高いですか?

一般的には技能実習の方がトータルコストは高くなる傾向があります。技能実習では「初期費用20〜30万円」「実習開始までの費用約15万円」「実習開始後の費用約80万円」が目安とされており、監理団体への費用も別途発生します。

特定技能の場合、人材紹介料・送出機関費用が1名あたり10〜30万円、ビザ申請・支援費用が15〜25万円程度が目安です。また、国内在留者を採用する場合は海外からの呼び寄せより費用を抑えられる場合があります。いずれも条件によって大きく変わるため、複数の機関に見積もりを依頼することをおすすめします。

Q2. 特定技能「介護」の受け入れ上限はありますか?

はい、あります。特定技能「介護」の受入見込数(5年間の上限)は135,000人と定められています(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。また、訪問系サービスは2025年4月以降に対象となりましたが、直接雇用のみが認められており、派遣雇用は対象外です。

Q3. 特定技能「介護」の外国人はどの国籍が多いですか?

特定技能「介護」の在留者数は2025年12月末時点で67,871人に達しています
(出典:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」令和7年12月末速報値)。

参考までに、国籍別の構成比(2024年12月末時点の44,367人ベース)は以下のとおりです。

– 1位:インドネシア 12,242人(27.6%)
– 2位:ミャンマー 11,717人(26.4%)
– 3位:ベトナム 8,910人(20.1%)
– 4位:フィリピン 4,538人(10.2%)
– 5位:ネパール 3,602人(8.1%)

上位5か国で全体の9割以上を占めています。

Q4. 技能実習から特定技能に移行する際、試験は免除されますか?

技能実習2号を修了した外国人は、介護技能評価試験・介護日本語評価試験・日本語試験がすべて免除されます。そのため、技能実習で育てた人材を特定技能としてそのまま継続雇用するケースが増えています。移行手続きとしては、在留資格変更許可申請が必要です。

Q5. 特定技能「介護」外国人の介護福祉士合格率はどのくらいですか?

合格率は日本語レベルによって大きく異なります。N2保有者の合格率は53.4%、N3保有者は25.2%、N1保有者は86.7%という数字が出ています(出典:令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」)。日本語力の向上支援が、長期定着のカギを握ると言えます。

まとめ:施設のニーズに合わせた制度選択を

特定技能「介護」と技能実習の比較、3つの要点

  • 即戦力が必要なら特定技能:試験合格済みで、配属後すぐに人員配置基準に算入でき、夜勤も初日から可能
  • 長期育成・国際貢献を重視するなら技能実習:ただし2027年4月に育成就労制度へ移行予定のため、早めの情報収集が必要
  • 長期定着を目指すなら特定技能→介護福祉士→在留資格「介護」のキャリアパスを描く:外国人介護士自身の定着意欲も高く、施設の継続的な支援が定着率を高める

外国人介護士の受け入れは、「とりあえず人数を確保する」という発想ではうまくいきません。制度の特性を理解した上で、施設の現状・将来像に合った選択をすることが、受け入れ成功の第一歩です。

「まずは制度の違いを整理したい」「自施設に合った受け入れ方法を相談したい」という方は、専門家への無料相談をご活用ください。

> ⚠️【YMYL注意】本記事の制度情報は執筆時点のものです。法改正・制度変更が行われる場合があるため、最終的な判断は厚生労働省・出入国在留管理庁の最新公的資料、または専門家(行政書士・社会保険労務士等)にご確認ください。

出典・参考

  • 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日(https://www.mhlw.go.jp/)…特定技能受入上限135,000人・国籍別ランキング・在留者数推移・試験合格者数の根拠
  • 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…2026年・2040年の介護職員必要数(240万人・272万人)の根拠
  • 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…日本語レベル別介護福祉士合格率・国家試験受験理由・職場支援状況の根拠
  • 出入国在留管理庁「特定技能ガイドブック」(https://www.moj.go.jp/)…特定技能制度全体の仕組み・在留資格変更手続きの根拠
  • 厚生労働省「介護分野の1号特定技能外国人を受け入れる対象施設について」…受入施設種別・訪問介護解禁条件の根拠
  • 三菱UFJリサーチ&コンサルティング「外国人介護職員の雇用に関する介護事業者向けガイドブック」…4制度比較表の参考資料

この記事の監修者

大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。

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