結論(30秒でわかる要点)
- 特定技能「介護」は2019年創設の在留資格で、最大5年間就労可能
- 介護技能評価試験と日本語評価試験の合格が必要(技能実習修了者は免除)
- 即戦力として期待でき、1年目から夜勤も可能
- 2025年4月から訪問介護も解禁、人手不足解消の重要な制度
- 制度は更新されるため、最新の厚労省資料で確認が必要
はじめに

介護業界の深刻な人手不足が続く中、「在留資格 特定技能介護」への注目が高まっています。2026年には全国で25万人、2040年には57万人の介護職員不足が予測される状況で、外国人材の活用は避けて通れない課題となっています。
しかし、「特定技能って何?」「どうやって採用すればいいの?」「他の制度との違いは?」といった疑問を抱く施設関係者も多いのではないでしょうか。
この記事では、在留資格「特定技能介護」について、制度の基本から具体的な採用方法まで、現場で本当に必要な情報を分かりやすく解説します。
この記事でわかること
- 特定技能「介護」の制度概要と他制度との違い
- 受入れ要件と手続きの流れ
- 採用成功事例と実践的なポイント
在留資格「特定技能介護」とは何か

用語の定義
在留資格「特定技能介護」とは、介護分野で一定の技能と日本語能力を有する外国人が最大5年間就労できる制度です。
制度創設の背景
2019年4月、深刻化する人手不足に対応するため、「特定技能」制度が創設されました。介護分野は16の特定産業分野の一つとして指定され、現在44,367人の外国人が特定技能「介護」で就労しています(2024年12月31日時点、出典:厚生労働省)。
制度創設の要因
- 2022年実績:介護職員215万人
- 2026年必要数:240万人(25万人不足)
- 2040年必要数:272万人(57万人不足)
- 高齢化の進行と介護需要の急増
他の在留資格との比較
外国人が介護職に就ける在留資格は4つあります:
1. EPA(経済連携協定)
- 対象国:インドネシア、フィリピン、ベトナム
- 日本語レベル:N3程度
- 在留期間:4年(介護福祉士試験受験必須)
2. 在留資格「介護」
- 要件:介護福祉士資格必須
- 日本語レベル:N2程度
- 在留期間:永続的(更新制限なし)
3. 技能実習
- 目的:技能移転(国際貢献)
- 日本語レベル:入国時は基礎レベル
- 在留期間:最大5年
4. 特定技能「介護」
- 目的:人手不足解消
- 日本語レベル:N4程度
- 在留期間:最大5年
特定技能「介護」の受入れ要件と手続き

外国人材の要件
Step1:試験合格または移行要件
以下のいずれかを満たす必要があります:
- 試験ルート
- 介護技能評価試験:合格(45問/60分)
- 介護日本語評価試験:合格(15問/30分)
- 日本語能力試験N4以上または国際交流基金日本語基礎テスト合格
- 技能実習からの移行
- 介護分野の技能実習2号を良好に修了(試験免除)
- EPAからの移行
- 一定要件を満たすEPA介護福祉士候補者(試験免除)
Step2:年齢・国籍要件
- 試験日に満17歳以上(インドネシア国籍は18歳以上)
- 日本国籍者は受験不可
受入れ施設の要件
対象施設(主要5施設で全体の75.6%)
- 特別養護老人ホーム:7,827件
- 病院:2,446件
- 認知症対応型共同生活介護:2,340件
- 特定施設入居者生活介護:1,996件
- 介護老人保健施設:1,931件
受入れ上限
- 制度全体:135,000人(5年間)
- 訪問系サービスは2025年4月まで対象外だったが解禁
支援体制の構築
必須支援項目(10項目)
- 入国前生活ガイダンス
- 空港送迎
- 住宅確保支援
- 生活オリエンテーション
- 日本語学習支援
- 相談・苦情対応
- 行政手続き支援
- 日本人との交流促進
- 転職支援
- 定期面談・通報
登録支援機関の活用
自社で支援が困難な場合、登録支援機関に委託可能です。全国で5,587件が登録されています(2021年2月17日時点)。
採用成功事例と実践ポイント

成功事例①:段階的受入れで定着率向上
関西のある特別養護老人ホームでは、初年度1名、翌年2名と段階的に特定技能外国人を受入れ。日本人職員との信頼関係構築に重点を置いた結果、3年間の定着率100%を実現しました。
成功要因
- 受入れ前の職員研修実施
- メンター制度の導入
- 定期的な面談と課題解決
成功事例②:夜勤体制の改善
東京都内のある介護老人保健施設では、特定技能外国人3名の採用により、慢性的な夜勤不足を解消。1年目から夜勤を任せることで、日本人職員の負担軽減にも成功しています。
ポイント
- 事前の夜勤研修プログラム
- 緊急時対応マニュアルの多言語化
- 24時間サポート体制の整備
実践的な採用のコツ
採用前の準備
- 受入れ体制の整備(住居確保、生活支援)
- 職員の意識統一
- 業務マニュアルの見直し
面接時の注意点
- 技術面だけでなく人柄を重視
- 長期的なキャリアビジョンの確認
- 施設の理念との適合性
定着のための工夫
- 文化的背景への理解と配慮
- 継続的な日本語学習支援
- キャリアアップの道筋提示
よくある質問(専門家に聞く)
Q1. 元看護士・元介護士が関わると、採用や教育は何が違うのですか?
「これは、私たちの一番の強みだと思っています」と大町は語ります。
元看護師・介護福祉士としての経験があるからこそ:
1. 現場目線での人材選考
- 「この人は現場で活躍できるか」を肌感覚で判断
- 技術だけでなく、人柄や適性を重視
- 受け入れ施設の文化に合う人材を選ぶ
2. 実践的な教育プログラム
- 現場で本当に必要な技術を優先
- 教科書的な知識より、実際の動きを重視
- 日本の介護現場特有の「細やかさ」を教える
3. 施設側の悩みに寄り添える
- 「受け入れる側」の大変さを理解している
- 現実的なアドバイスができる
- 一緒に問題を解決する姿勢
「単なる人材紹介ではなく、『介護の現場を知っているパートナー』として、一緒に良いチームを作っていければと思っています」
Q2. これから外国人介護士を検討する施設に、最初に伝えたいことは何ですか?
「これは、本当に大切なメッセージなので、丁寧にお伝えしたいです」と大町は真剣な表情で語ります。
一番伝えたいこと
「外国人介護士は、『人手不足の穴埋め』ではなく、『一緒に成長する仲間』だと思っています」
私が元看護師・介護福祉士として現場で働いてきた経験、そしてフィリピンで10年以上人材事業を続けてきた中で確信していること。
それは:
1. 受け入れる側の覚悟
- 最初は時間がかかることを理解する
- 「教える」ではなく「一緒に育つ」気持ち
- 文化の違いを楽しむ心
2. 外国人介護士のポテンシャル
- 真面目で一生懸命
- 学ぶ意欲が高い
- 利用者様を大切にする心
3. 長期的な視点
- すぐに結果を求めない
- 信頼関係を築くのに時間をかける
- 3年、5年後の姿を一緒に描く
「私たちは、ただ人を紹介するだけではなく、施設と外国人介護士、両方の『幸せな未来』を一緒に作りたいと思っています」
「不安や疑問があれば、どんなことでも相談してください。一緒に考えましょう」
最後に
「外国人介護士との出会いは、施設にとっても、職員にとっても、そして利用者様にとっても、きっと良い変化をもたらすと信じています」
「一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートさせていただきます」
制度に関するよくある質問
Q1. 在留資格 特定技能介護の受入れ上限はありますか?
A. はい、介護分野全体で5年間135,000人の受入れ上限が設定されています(出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日)。現在44,367人が在留しており(2024年12月31日時点)、まだ受入れ余地があります。
Q2. 在留資格 特定技能介護から永住権取得は可能ですか?
A. 特定技能1号から直接永住権は取得できません。ただし、介護福祉士資格を取得して在留資格「介護」に変更すれば、永続的な就労が可能となり、将来的な永住権取得の道も開けます。
Q3. 在留資格 特定技能介護の外国人は家族帯同できますか?
A. 特定技能1号では家族帯同は基本的に認められていません。在留資格「介護」に変更すれば、配偶者・子の帯同が可能になります。
Q4. 在留資格 特定技能介護の試験はどこで受験できますか?
A. 日本国内47都道府県と海外13か国で実施されています。海外実施国はフィリピン、カンボジア、ネパール、インドネシア、モンゴル、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、ウズベキスタン、バングラデシュ、ベトナムです。
Q5. 在留資格 特定技能介護の費用はどのくらいかかりますか?
A. 試験受験料は介護技能評価試験・介護日本語評価試験それぞれ約2,000円です。その他、人材紹介会社を利用する場合の紹介手数料、支援機関への委託費用、在留資格申請費用などが発生します。
まとめ
在留資格「特定技能介護」は、介護業界の人手不足解消に向けた重要な制度です。以下の3点が特に重要です:
- 即戦力として期待できる:一定の技能と日本語能力を有し、1年目から夜勤も可能
- 受入れ体制の整備が成功の鍵:支援体制の構築と職員の意識統一が不可欠
- 長期的視点での人材育成:介護福祉士資格取得支援により在留資格「介護」への移行も可能
2025年4月からは訪問介護も解禁され、活用の幅がさらに広がります。まずは制度理解を深め、自施設に適した受入れ方法を検討することから始めてみてください。
【YMYL注意】制度の詳細や最新情報については、必ず厚生労働省の公式資料や出入国在留管理庁の最新情報をご確認ください。個別の判断については専門家にご相談することをお勧めします。
出典・参考
- 厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」令和7年3月28日…特定技能受入上限・国籍別ランキング・都道府県別受入状況の根拠
- 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」…全国介護職員必要数の根拠
- 厚生労働省「外国人介護人材の確保・定着」2025年資料…在留者数データ・試験合格者数の根拠
- 出入国在留管理庁「特定技能制度」公式サイト…制度概要・申請手続きの根拠
- 令和6年度老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得の支援強化に関する調査研究事業」…日本語レベル別合格率・受験理由・支援内容の根拠
この記事の監修者
大町潤一(看護師・介護福祉士)
GENSAI Career Consulting Corp 代表
フィリピン人介護士の人材紹介・送り出し事業に2015年〜現在(10年以上)携わる。
